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ラノベが子供に受けない理由

作者: 谷橋ウナギ


 目次


 1.概要

 2.子供向けとは

 3.キャラクター

 4.一話完結

 5.恋愛描写

 6.ストーリー

 7.ギャグ

 8.親

 9.話題

 10.最後に



1.概要

 このエッセイは昨今見かけるようになった「ラノベが子供向けに受けないのはこう言う理由では?」と言うシンプルすぎる発想に一石を投じようというモノである。

 私の結論から言えば『端的に語れる物ではない』。

 尚、個人的見解が散見されると思われるが致し方無しと言う事で一つ。



2.子供向けとは

 子供向けの作品とはいったい──まずはそこに思いを馳せてみよう。

 一般的に子供向けと言われる作品は「主人公が子供」「一話完結」「シリアスすぎない」といった特徴が有る。無論例外は山ほどあるが、ここではとりあえずは置いておく。んなこと言ったら検証できない。



3.キャラクター

 当然キャラクターは大事である。

 特に生活環境に於いては、大人とは大きく異なっている。


 “一般的な”小学生はあまり家事をしない。通勤電車には乗らない。働いて給料は貰わない。受験勉強もしない。

 大人は「あーあるある」と思えても、子供は「へー?」となるわけである。逆に重すぎるカバン、積み重なる宿題、鬱陶しい親などは大人には過去に通り過ぎた道だが、子供には今直面する問題である。軽く書かれていたら違和感を覚えるかもしれない。


 ラノベの主人公は高校生、それ以上が大半を占めている。周囲のキャラクターも同じである。

 それが悪いとは決して思わない。むしろ当然なのではとも思う。しかし小学生にも感情移入できる『高校生のキャラクター』を書こうと思ったらそれなりの工夫が必要になる。


 “小学生に向けて作っている作品”でなくとも、せめて“小学生が見る可能性が高い媒体の作品”でなければその工夫をする意味は薄い。大人にとっては無駄な部分になりかねないというリスクもある。



4.一話完結

 子供向けアニメなどでは一話完結になっている場合が非常に多い。

 “子供は複雑で長い話を吸収できない”と言う考えが一般的に思えるが私はそうは思わない。個人的には“小学生は時間が多く好奇心も強いので一つのモノに固執し続けない”と言うのが理由だと考えて居る。

 なんにしても一話完結の作品が多いのは事実であるし、その方が好まれると考えられている。


 ライトノベルに一話完結のモノは無い──とは言わないが少ない。特にダラダラ読み書きするなろう作品では少ないし、一話完結にしようとするとより労力がかかると思われる。

 漫画なども同様なのだが、活字は読むのに労力を使う。少なくとも漫画よりは大きく。



5.恋愛描写

 子供は恋をしないワケではない。ある程度は理解もするだろう。

 しかし子供──特に男の子は恋愛描写を好まない傾向にある。比率にもよるがあまりにも多ければ辟易するだろう。


 少年誌などは丁度“男女の絡みを排除したい腐女子の方々”と利害が一致しているようにも思う。


 対してラノベは恋愛が多い。恋愛をテーマにしたものも少なくない。バトルモノですら女の子の比率が格段に高い。

 なろう作品はより極端である。悪役令嬢モノなどはその最たる例だろう。



6.ストーリー

 世界を手にせんとする悪の組織に正義のヒーロー。子供っぽいと思われるかもしれない。そう“子供”っぽい。

 子供は子供っぽいモノが好きなのである。大人は“そんなもん居るワケないだろ”と考えるだろうが、子供は夢いっぱいなのだ。出勤して上司に怒られることはない。登校して先生に怒られる可能性は有る。

 エログロなど気持ち悪いし、正義の一撃でやっつけて貰うのはいかがだろうか。


 ジョークが少し多くなっているが、子供には子供のストーリーがある。それを否定しがちな大人の方に問題があるのかもしれない。

 そして、同居は難しい。



7.ギャグ

 子供と大人ではギャグも異なる。

 “うんち”などはその典型例で、大人は首をかしげがちである。


 また、世代間でも感覚の違いがある。使ってきた道具や社会環境など二十年もすれば大きく変化する。若者がポケベルで会話するのを見て昔の大人は驚いていたが、今や“ポケベルってなに?”と言った感じなのだ。ギャグにも当然影響してくる。知らない道具でギャグをされても意味がわからない。


 ラノベの主人公はキャラクターの項目でも書いたが高校生以上が多い。しかも今の高校生以上だ。無論恋愛の項で書いた少年誌のように意図的に“子供に受ける高校生”を書くことは可能である。しかしラノベのターゲットが高校生以上である以上、ラブコメ出来ないのは痛い。

 少年誌は雑誌によっても対象年齢が異なっているように感じる。ラノベは単行本売りが多く、なろうはそもそも子供が少ないと言う理由も有るかもしれない。



8.親

 子供にとって親は非常に重要なファクターである。

 作中のという意味ではなくリアルの親である。教育に悪いと思われれば趣味すら制限されお小遣いは雀の涙。小学生に戻りたいと言う人は恐らく過去のことを覚えていないか、今がそれ以上の地獄なのだろう。


 さて、ラノベが教育に良いかという話だが──言うまでもないと思われる。ライトノベルが好きな親が居たとして、そのラノベやアニメ化作品を進んで子供に見せるかは謎だ。無論ゼロだとは言わないが。



9.話題

 大人が話題について行くためだけに映画を見たりするように、子供も話題について行くためだけに漫画やアニメを見たりする。

 少年誌のように集まっているモノのほうがこの点では有利である。アニメや動画サイトは無料だ。勝負にもならない。「話題になっているから見てみるか“五百円”だし」とはならないのが子供である。子供に五百円は大金なのだ。

 なろうは無料だが商品化する程のクオリティなら結局有料になる。



10.最後に

 この辺でとりあえず閉じておくが、まだまだまだまだ理由はある。子供と大人は違うのだ。私と貴方が異なるように。


 故に私はライトノベルが子供に受けない事について悪いとは思わない。しかし、その理由を短絡的な理由に求めるのは問題だ。

 工夫の余地が無くなってしまうし、思考はそこで停止してしまう。作品作りに於いても商品のマーケティングに於いても“不毛”である。


 尚、子供に受けないからと言って“大人向け”だと言うのもいかがなモノかと思う。個人的に。


 様々な問題をクリアする画期的な作品が出てくることを願ってやみません。


感想評価お待ちしております。

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― 新着の感想 ―
[一言] そもそも昨今のラノベがスレイヤーズやオーフェン、禁書、フルメタなどを見て育った大人向けのものという印象があります。 また、小学生ならエルマーの冒険、指輪物語などの児童文学や海外ファンタジーも…
[良い点] 細かくまとめてある所。 [気になる点] タイトルの「子供」の部分。 [一言] 概ね納得ですが、テーマ3・5・7・8を読んでいると、本エッセイの挙げる「子ども」の対象は主に小学生なのではない…
[良い点] 細分化されていて、良く分析さてれるなぁと思いました!! [一言] 私には歳の離れた兄弟がおりまして、小学生のころには家にあるラノベにも触れていたのですけど、その殆どは読み切れずにいました。…
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