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カツラギ星域会戦・・第二幕


メルテリア共和国艦隊500隻から一斉に放たれるレーザーカノン砲。

その数、15000の光の矢が真っすぐな筋となり・・・カツラギ公国護衛艦30隻へと突き進む。



一方、カツラギ公国護衛艦は戦列を組んでおらず それぞれ単独にて単艦行動・・・

・・・メルテリア共和国艦隊の球円陣形を包囲するように行軍していたのである。


ただし!! 包囲するといっても 500隻に対して30隻はあまりにも少なく 艦と艦の隙間はスカスカのような状態であった。

そんな公国護衛艦に向けて放たれたレーザーカノンの光の矢は わずか2秒ほどで到達した。



この公国護衛艦は・・・全長400m、46cm小型時空投射砲30門装備、ワープエンジン4基。

メルテリア共和国からすれば大型戦列艦級とされるのだが・・・カツラギ公国基準からすれば小型護衛艦という分類となる。

この艦艇は・・・テイラの周囲を回る衛星ルーナの造船ドックで製造される量産型小型護衛艦。

それ故に・・・名前は簡略化されており、k-02型と明記されていた。



・・今まさに 共和国艦隊から放たれた無数の光の矢が・・・そのK-02型護衛艦に命中しようとした瞬間!!

深淵の闇で輝く花のように・・・・虹色の泡が そのK-02型護衛艦を包み輝きだしたのだ。



その不思議な様子を目撃した共和国艦隊の将兵たちは すこし首を傾げたものの・・

常識的判断から 誰もがその護衛艦が爆散したと確信した。

しかし・・・爆散していない!!


放たれたレーザーカノンの光の矢は 護衛艦に命中したにもかかわらず・・・なにも起きなかった。

それどころか まるで鏡に反射したかのように 光の矢はあらぬ方向へと飛び去っていく。

そうです!! カツラギ公国護衛艦30隻、すべて無傷であり・・・一発も命中しておらず爆散もしていない!!

 


これは公国護衛艦に装備されている時空間防御システムのおかげであった。

護衛艦周囲の空間をひん曲げることにより・・・直進しているレーザーカノンの方向を変更させる!!

・・・・この技術を知らない者にとっては とんでもなく卑怯すぎる・・魔法のような防御システムだった。



『さあ~おどろくがよかぁ  これが我が公国艦隊の実力でごわぁす 』

サイドウ提督はドアップ顔で、豪快に笑う。



そんな笑いが宇宙をこだま!?する中・・・

不幸なことに 乱反射したレーザーカノン砲の何百発かは 共和国艦隊にふりそそいだのである。

共和国艦隊には・・・電磁防御がなされているため ある程度の被害は抑えられたものの戦列艦の4隻は大破してしまった。

自ら放ったレーザーカノン砲によって・・・損害を受けてしまったのである。


だが・・・メルテリア共和国艦隊はひるまない!!

再びレーザーカノン砲を カツラギ公国護衛艦30隻へと・・・撃ち放つ!!放つ!!

何万もの光の矢を放つ!・・・見るからに恐ろしく美しい光景。


しかし!! これだけのレーザーカノン砲を撃ち続けても・・・

いまだに公国護衛艦の一隻も破壊できず・・・それどころか、反射されたレーザーカノン砲で戦列艦に被害を出してしまっていた。




レーザーカノン砲を撃ち返されている!!

このような状況にいたり・・共和国艦隊総旗艦エルフイートの指令室は大騒ぎになっていた。


敵に損害を与えることができていない・・・それどころか こちら側が一方的な被害となっていた!!

命中したにもかかわらず 損害をあたえていない。反射してるのだ!!


共和国艦隊の兵器がまったく通用していない!!


デルスデル提督は冷や汗を流す。

「ま・・まさか銀河帝国の・・ 」

だが・・・戦闘中の艦隊司令官は・・けっして迷ってはならない。

すでに戦闘状態に突入しているのだ。


たとえ 銀河帝国ゆらいの技術であろうと・・・・こんな小国相手に共和国の敗北などありえない。


第4メルテリア共和国艦隊の名誉にかけて この公国を屈服させるのだ。

デルスデル提督は決断する。


「敵・公国艦艇は無視する。 全艦隊を地表に降下させ・・・あの小さい公王宮殿を占領し 姫公を捕らえる!

戦争は艦隊同士で戦うだけではないのだ!! 」


デルスデル提督の命令によって 共和国艦隊の進行方向が惑星へと向けられ前進を開始した。

カツラギ公国第三惑星テイラ・・・カツラギ公王宮殿に向かって・・・



艦隊が前進を開始したとたん・・旗艦エルフイートに強烈な振動と衝撃が走る。

指令室では 緊急警報が鳴り響いた。

「カシミヤエンジンに被弾!!制御不能 現在、修理ロボットが急行中!」


その報告を聞いたとたんデルスデル提督はディスプレイを見た。

共和国艦隊の球陣形の周囲を無数の点が高速にはしりまわっている。

「あれはなんだ!?」


提督の問いに対して 誰もが答えられなかったが・・・艦隊周囲を飛びまわる物体を望遠レンズで拡大しディスプレイになんとか表示させた。


「人間なのか!?」


「人間があのように高速で飛べない」


「いや!! あれは人の形をしたロボットです。銃のようなものを持って こちらを攻撃してきています」


「なんて兵器を・・・・人型兵器なのか」


「こちらも 小型艇をだして対処せよ」




この人型兵器はアーティラリアーマーまたは機甲砲兵と呼ばれているカツラギ公国の秘匿兵器である。

2800年前、かつて・・カツラギ公国が属していた銀河帝国にて・・開発された二足歩行型兵器。

西暦時代のアニメを彷彿とさせてしまうような形状・・・全長8M弱の大きさ、

様々な武器、兵器を両手に持たせることによって どのような状況でも対応できる一人乗りの汎用兵器。

しかも・・・無人での運用が可能である。



ついに現れたロボット兵器!!

中二病の心を揺さぶるロボット兵器!!

なのだが、厳密にいうと元々・・・このロボットは兵器ですらなかった。



2800年前 銀河帝国のとあるテーマパークの展示物として・・・作られたのである!!

展示物・・見世物である。

見るためのもの!!

模型である! おもちゃである!!

・・・・そんなわけで 実用的なものではなかった。



偉い人にも分かる・・無駄な二足歩行。

戦場で目立ち・・標的になりやすい巨体。

意味もなく露出している動力ケーブル。


常識的に言うと・・大型二足歩行兵器である機甲砲兵は戦場では 役に立たない!! 

戦うことを前提にしておらず 趣味満載、見せることを意識して 面白おかしく造られていたにもかかわらず

・・・・科学技術が退化してしまったこの現代においては 時代の先を行く・・先進的兵器!!

とんでも最強兵器になってしまっていたのである。


そう!!! 2800年前の趣味人的な技術者が この事を知ったのなら・・笑い転げまわることになってしまうだろう!!




そんな機甲砲兵が公国小型護衛艦一隻当たり50体搭載しており、

全てあわせて 1500体がメルテリア共和国艦隊に襲い掛かってきている。



今回・・・この戦いに投入した機甲砲兵は遠距離射撃に特化したトモエⅡ型とよばれる機体であった。

おもに遠距離からの攻撃を任務としていた。


そうです!!・・・狙いは共和国艦艇のエンジン部分!!

機甲砲兵トモエⅡ型が両手で担ぎ持つ 電磁バルカン砲の連続発射によって、

共和国艦艇を覆う電磁防御を削り取り ついにはエンジンを破壊する戦法をとっているのであった。



まるでハエのように・・・共和国艦隊へと群がり、電磁バルカン砲を次々と撃ちこんでいく。

それに対して共和国艦隊は死に物狂いの対空レーザーを乱射するが、なかなか機甲砲兵を撃墜できない。

小型艇でも対処するが・・機甲砲兵トモエⅡ型の機動力においつかず、一方的に撃破されていた。



機甲砲兵には ある程度の電磁防御システムが組み込まれており、

少々の対空レーザーが命中しても 電磁防御を削り切れず・・・撃墜できない。


一方・・・エンジン部分を集中的に攻撃される共和国艦艇!!

ついには動力を失い・・慣性の法則のまま・・・宇宙を漂流しはじめる。


もちろん機甲砲兵だけではなく 公国護衛艦搭載の46cm小型時空投射砲による実弾攻撃もなされていた。

攻撃目標は 共和国艦艇の破壊ではなく・・・砲塔を狙った攻撃である。

移動力も奪い・・・攻撃力をも奪おうというものであった。


「逃がさんでごわぁす! 逃がさんでごわぁす! 共和国の諸君!! 」

護衛艦隊司令部で ご機嫌なサイドウ提督。


戦況は圧倒的に有利・・・

・・・・カツラギ公国護衛艦隊30隻は・・・500隻のメルテリア共和国艦隊を包囲しつつ

逃がさないように 断続的攻撃をくわえていく。

最終目的は共和国艦艇の接収、拿捕である。




機甲砲兵の両手で抱え持つ、電磁バルカン砲が火を噴き 大量の実弾をばらまき続け・・・

・・・共和国艦艇のエンジンを蜂の巣へとかえていく。


対空レーザーで反撃を試みるが 機甲砲兵の機動力に追いつかずターゲットロックさえできない。

命中させたとしても火力不足で 撃破しきれない!! 


これら機甲砲兵の活躍のなかでも・・・

特に目覚ましく戦果をだしているのは 純白に塗装された機甲砲兵の一体。

通常・・・いや、それなりの特別製らしい!!

目にも止まらぬ早業で 敵の攻撃をくぐり抜け・・・確実にエンジン部分を破壊する機甲砲兵のエースパイロット!!


その名も・・・白き狼のハクア


何故だか カツラギ公国首相が最前線でエースパイロットをしていた!?

ちなみに 白き狼とは・・・自称であるww



『 ハクア首相!! どうして最前線で戦ってるのだ!! 貴公には首相としてやるべき仕事があるだろうが・・・!! 』 

通信機がつぶれるほどの大音量で サイドウ提督は怒鳴る!!

真空の宇宙なのに・・・なぜか伝わってしまうほどの大音量で・・・



『そ・・そんなに怒鳴らなくても・・・』 

ハクア首相は、悲しい顔になりながら、とぼとぼと ふらつきながら惑星テイラへと戻っていった。

戻っていく純白色の機甲砲兵の後ろ姿には なにやら哀愁が漂う。

男の悲しみか!?

『デスクワークばっかしの仕事で・・ ときには・・・暴れたかった・・』 





メルテリア共和国艦隊とカツラギ護衛艦隊、並びに機甲砲兵が激戦を繰り返している。

会戦から2時間、すでに共和国艦隊の半数はエンジンを破壊され漂流・・・

戦列艦の主力兵器であるレーザーカノン砲も沈黙させられていた。


カツラギ公国側もそれなりに損害は出しており、機甲砲兵トモエⅡ型を100機ほど喪失している。

なによりも意外だったのは カツラギ公国小型護衛艦の一隻が被弾して中破状態なってしまっていることであった。

どうやら共和国艦隊の放ったミサイル・・・おそらく核融合ミサイルの爆発に巻き込まれて被弾してしまったようである。

護衛艦を守る時空間防御は核爆発には耐えられなかったようであった。

西暦時代の原始的な古典兵器であっても・・・やはり脅威の兵器であったようだ。




メルテリア共和国艦隊・総旗艦エルフイートの司令部では 沈痛な雰囲気に包まれていた。

次々にもたらされる損害報告にデルスデル提督をはじめとした参謀たちの顔色は悪い。

それに引きかえ・・・敵であるカツラギ公国に与えた損害は微弱。


謎の人型兵器を100機ほど撃墜しているが・・・こちらの艦艇の半分は大破のような状態であった。

そして・・・恐るべき情報もはいってきている。

カツラギ本星を周回する衛星軌道に なんと全長12kmにおよぶ超巨大戦列艦・・・いや要塞ともいえる艦艇の存在が確認された。


「どうして・・・こんなことに」


「こんな小国に・・これほどの技術・・・なぜ!!」


「こんな技術を隠しもつなど・・・卑怯な」


悲しいかな・・・参謀たちの意味のない悲鳴のような声が聞こえてくる中、敵であるカツラギ公国からの通信が入ってきた。

デルスデル提督はついに来たかと身構え 敵からの通信をディスプレイに映すように通信仕官に命じた。


すると、パジャマ姿などではない・・・ちゃんとした正装をしているあの少女の姿が映し出された。

それも その特徴ある正装は 古い文献に描かれている衣装にそっくり!!

あの伝説の国の衣装・・・


「銀河帝国なのか!?」



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