カツラギ公国の陰謀
それから・・・三週間後
カツラギ公国・姫公執務室。
コトナは 執務室の壁面を覆うディスプレイを見て、苦笑いになっていた。
副官のルリも・・・ヒューマノイドのくせにふくれっ面をしていた。
ついでに・・ペットのウサミミンも なんだか・・・ふくれっ面のまねをしている。
いったい何が起きたのかというと・・・
・・・かんばしくない情報がディスプレイに表示されてたからである!!
それは・・モラウン少将、及び旧デルン王国地域に関する詳細情報・・・・
すなわち、コトナ達の悪の陰謀によって・・反乱を起こさせようとしていた地域情報なのであった。
情報元は現地に潜入させている諜報員からなので 間違いはないだろう。
『元王族であるモラウン少将のもとに 旧支配領域であるデルンの人達を結集し決起、反乱することは まずありえません!!』
ルリは苦々しく発言した。
「だよなぁ!! この資料からモラウン少将を担ぎ上げ王政復古させるなんて・・・無理どころか 逆に踏み潰されてしまうよね」
『モラウン少将の曾祖父・・つまりデルン国王は大変評判が悪く 悪政、悪逆非道、抹殺好き、血しぶきマニア!!』
「ちょっとちょっと これはひどすぎ!! 国民弾圧しまくりじゃないの~」
コトナ・・呆れ顔。
『歴史資料によりますと40年前・・・暴虐非道の悪政のすえにデルン王国にてクーデター発生!!
国王一家が追放されたのはいいが・・その後の国内は大混乱!! 統治能力を失い群雄割拠状態へ・・!!』
「革命を起こした後・・後始末出来ずに戦国時代の到来か・・・よくある話だなぁ」
『もとから貧しい一般のデルン人は・・・この混乱で一層貧しくなり ついに宇宙海賊へとジョブチェンジww
あちらこちらで略奪強盗で荒らしまわり・・・
ついに国境をも超えメルテリア共和国内まで侵入したそうです!!』
「なるほど・・・そういう理由で共和国が軍事介入をしたんだね~」
『そういうことですね!! それで・・軍事介入したことによりデルン国内の治安は安定化!!
ついでに傀儡政権か誕生したのです。 その後・・・紆余曲折の事情により共和国に吸収併合されました』
「となると・・・デルン地域の人達は三等市民扱い・・・共和国に対して不満があるのでは!?」
期待を込めて尋ねるコトナに・・・首を振るルリ。
『実は・・・そうでもなさそうです。身分は三等市民ですが、共和国からの投資が多く デルンの地域経済は潤っています。
へたすると共和国二等市民より いい生活をしているみたいですよ・・』
「あらら~ これでは離反が無理そうね。
でも・・うちで捕まえた捕虜たちの話では とんでもなく酷い統治をしてるらしいと聞いたのだけどね~!?」
『共和国は領土が広く・・多くの民族で構成されているため、地方によって統治方法が大きく違うみたいですよ。
民主平等を徹底してる地域から・・・中世もどきの奴隷制地域まで多種多様なようです。』
「地域によって天国と地獄。ものすごい地域格差だね!! 」
『えっとそれで・・我らの収容区にいる捕虜たちの出身地がおもに、シリュウス宙域らしいのです。
この宙域の政治体制はたいへん酷く・・・たえず暴動と反乱を繰り返し・・・住民たちもたいへん貧しいらしいです』
「なるほど シリュウス宙域か・・・ここがねらい目かな!!」
ニヤリと笑うコトナ。
『すでに・・シリュウス宙域には工作員を潜入しています!』
「おっとと~ 仕事が早いね!!」
◆◇◆◇◆◇◆
カツラギ公国情報部・・・工作員。
彼らは・・・人間ではない!!
ヒューマノイド・・・いわゆるAIロボットである。
だが・・見た目、しぐさは完全に人間であり・・・レントゲンで透視されたとしても決してバレない。
どこからどうみても・・・生身の人間!!
これこそ・・・銀河帝国由来のヒューマノイド技術! まさに脅威のテクノロジー!!
これだけ完璧な人間タイプのヒューマノイドを保有しているのは おそらくカツラギ公国だけであろう。
その上・・・彼らヒューマノイドの戦闘力は人間を上回る。
このようなヒューマノイドたちが・・・共和国の各地に工作員として潜入しているのであった。
その一つが・・・旧デルン王国地域である。
そして・・・潜入した工作員には、ほとんどやることがなかったww
この地域は、比較的裕福であり・・三等市民であっても いい暮らしをしていた。
そういうわけもあり まともな反政府組織など存在しなかったのである。
比較的平和な地域で活動している工作員には・・・騒動などおこさず、平和的手段での情報収集をお願いした。
しかし一方、シリュウス宙域はデルンとは正反対!! たいへん貧しい宙域であった。
不正と腐敗がはびこる行政組織。
電気も水道もまともに供給ができない。
あげくに・・・重税!!
経済システムは すでに崩壊。
地域全体がスラム化!! 犯罪の温床となっている。
いたるところで暴動が発生し・・爆弾テロが多発。
映画のようなアクションシーンが連発するような地域であった。
そして・・・工作員が工作しまくるには うってつけの場所でもある。
このシリュウス宙域に潜入したヒューマノイド工作員たちは、
この地で反政府活動をしているゲリラ組織に接近・・・そして、武器援助の話を持ち込んだ。
ゲリラ組織側も あきらかに怪しい連中からの武器援助を疑ったが・・・背に腹はかえられない。
勝つためには武器が必要なのだ!!
結局のところ・・なし崩し的に武器援助を受けることになった。
この怪しい連中の思惑・・・
・・どのような企みあっての武器援助なのかは不明だが・・・今は目前の敵を排除して・・勝つことこそ!!重要である。
それに これら供給される武器が物凄く性能がいい! 不気味なほど高性能すぎるのである。
そういう事もあり・・ゲリラ組織の人たちは これらの高性能武器の援助を感謝しつつも首をかしげるのであった。
これら援助した武器!・・・実は廃棄処分予定の武器だったりする。
年季が入りすぎた銀河帝国の創成期時代・5000年前に使用された古典的兵器!!
しかし 文明が衰退してしまった現代において・・・
5000年前の・・・お古な兵器であっても未知なる最新兵器となってしまったのであった。
見た目は火縄銃たが・・核融合反応で弾丸を飛ばす・・凶悪的重兵器。
西暦の地球時代から抱え持つ大量在庫品・・・74式戦車。
見た目が木目調!! 江戸時代方式の宇宙艦艇・・・アタケマール。
これらのお古な最新武器援助により シリュウス宙域におけるゲリラ活動は本格的な独立戦争へと突入した!!
「 デルン人たちよ!! 独立戦争に勝つのだ!! 戦いに勝てよ国民たち!! 」
ゲリラ組織の某総裁が・・・なんとなく演説をしている。
ゲリラ兵たちが抱え持つ火縄銃!!
その火縄銃から放たれる凶悪な弾丸一発で 共和国軍戦闘車両を簡単に吹き飛ばし残骸と化す・・・
そして・・その残骸を踏み潰し・・・進撃する74式戦車!!
ちなみに 西暦時代の製造である74式戦車であるが・・・防御磁場装置を組み込んでいるため・・かなりの防御力を誇る。
この武器援助によってゲリラ側の地上戦力が一挙にアップ!!
徐々に共和国軍を追い詰めていくことになる。
そして・・宇宙でも同様に激戦は展開されていた。
特に大活躍した兵器は・・・もちろんカツラギ公国から供与された兵器である!!
それは・・宇宙艦艇アタケマール搭載の巨大捕鯨砲から放たれる必殺兵器・・・
・・・全長100mの巨大な銛である。
かつて・・・西暦・地球時代に 人々を恐怖させ人類滅亡寸前にまで追い込んだあの海の大海獣クジラ!!
その大海獣クジラをしとめたあの伝説の兵器を搭載していたのであった!!
(注意・・・遠い遠い昔の伝説なので・・・多少事実と違うところがあります。)
そう!・・・・あの伝説の兵器である銛の一撃が 一万年前の時を超えて・・
今!! 共和国戦列艦を次々と引き裂き撃滅していく!!
「今日も大漁じゃゃ~」
真空の宇宙で 大漁旗をはためかせながら ゲリラ兵の雄叫びが真空の宇宙に鳴り響く。
このように・・・カツラギ公国からの武器援助によって ゲリラ活動はより激しく・・より活発化した。
そして・・もはやシリュウス宙域だけの反乱だけではなく、他の地域にも飛び火。
より大きい地方反乱へと成長していくことになる。
そして・・・半年後には共和国政府の首都星メルテハールにまで ゲリラ勢力の勢いがおよび・・・
もはや対外戦争をしてるような状態ではなくなっていた。
共和国の終わりが近い・・・
◆◇◆◇◆◇
「・・・この報告書!! とんでもないことになってるわね!! 大丈夫なのか・・共和国!!」
ルリから渡された報告書を読み・・・敵なのに何故か心配してしまうコトナ。
『陛下!! 敵に同情しないでください!! 大丈夫でないようにするために工作員を送り出したのですから・・・』
「あはっ・・・だよね!! でも、みんな頑張ってくれてありがたいよ。あと少しで共和国崩壊も近いかな!?」
『メルテリア共和国は大国です・・・この程度の反乱で崩壊するほど弱体化はしてません。
反乱を起こした地域も・・・統治が最悪だった地域のみ。まだまだ戦力的には共和国軍の方が圧倒的に有利なようです』
「ということは・・・引き続きゲリラ組織への武器援助は続行かな」
『いえ、武器援助を次第に減らしていく予定です。共和国と対立している同盟陣営から かなりの武器援助をされているようなので、
我等の援助がなくても やっていけるでしょう』
「あとは成り行き任せなのかな!?」
『我ら公国の戦力が整い戦争を開始できるまで・・・共和国には ゆっくりと弱体化してもらいたいですね』
「20年かけて・・・共和国をじっくりおいしく内乱の火で炙り続ける!!」
コトナ・・・おもっきり悪い顔になる。
『おいしく・・・香ばしく・・・ついでに熟成』
ルリも同じく悪い顔。
おまけに ペットのウサミミンまでもが 悪い顔のマネをしていたり・・・
それから・・・数か月後、シリュウス解放戦線とメルテリア共和国軍の一大会戦が行われたという。
勝敗はほぼ引き分け・・・両軍とも大損害を出し 戦線は膠着状態に陥った。
◆◇◆◇◆◇◆
「そういう訳で・・・ルリ!! 共和国がおいしく焼けるまでお休みすることにします。20年後に会いましょう」
『陛下!! やっぱし行ってしまうのですね!! さびしくなります!!』
なんとなく なごりおしそうにコトナはルリの手を握りながら・・冷凍睡眠装置に入っていった。
今回のコトナは・・・吸血鬼スタイルパジャマではなく パンダの着ぐるみパジャマを着て・・・眠りにつくことにした。
・・・・ただの趣味です! 深い意味はありません!
ちなみに・・・ペットのウサミミンも一緒に冷凍睡眠装置に入ることにした。
一人で眠るのも・・・なんか寂しいし♪
20年後に予定しているメルテリア共和国侵攻作戦が始まるまで 再び眠りにつくことにしたのである。
2600年間・・眠り続けたコトナにとって 20年程度は昼寝程度の扱い・・・
「ちょっと寝て・・・疲れをとる程度だよ!!」
その間にルリを始めとして・・首相のハクアたちが このカツラギ公国の戦力を強化しているはずである。
多分・・・・




