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逆侵攻計画


『捕虜を5424名ほどいるのですけど 如何しましょうか!?  捕虜に対する扱い方がわかりません 』

共和国との戦いが終了して二日後・・・

閣僚会議に出席していたカツラギ姫公・コトナ(正装である十二単姿をしてます)に・・このような質問を 閣僚の一人から受けた。



ヒューマノイド閣僚たちのAIには 捕虜に関する条項がなかったのである。

「とりあえず・・・処刑!? 拷問!? 強制労働!? 飼い殺しか!?」

コトナ・・・・ものすごく無神経な発言!!


捕虜の代表として なぜか!?閣僚会議に出席していたモラウン少将と名乗る共和国仕官の顔が真っ青になる。

捕虜の中で もっとも最高位ということで・・捕虜代表となった人物。

背が高く白髪・・見た目は若そうだが年齢不詳のような姿をしている。



「へ・・・へいか!! 銀河協定によって捕虜の扱いは・・」


「うちはそんな協定なんて・・知らないよ! 2600年の間、他国と接触しなかった究極の鎖国国家だし・・」


「そ・・・そんな!!」


「歴史書には捕虜は神の生贄にするとか書いてたけど・・・やっぱし 生贄にするのが妥当かな!?」


「ち・・ちがいます!! そ・・それは神代の時代・・・1万年前の歴史書です。現代ではそんなことはしません!!」


「だろうね・・・ちょっと聞いてみただけ・・・我が国の歴史では2700年前に捕虜を捕えたという記述があり・・その捕虜は・・」


姫公であるコトナの発言に 思わず息をのむモラウン少将。


「捕虜の返還要求がなかったので 死ぬまで収容所で隔離した!! 

2700年前の記述では その捕虜たちは泣き叫び帰してほしいと訴えてたらしい」


「共和国政府は・・・・きっとたす・・」


「メルテリア共和国とかいう名の国だったかな・・・その国から なんらかの通信があればいいんのだけどなぁ~ それまで収容所暮らしってわけだ」


「し・・・しかたがありません!!」



捕虜代表であるモラウン少将が 閣僚会議室から退出した後、

コトナは 閣僚席の真ん中に座るハクア首相を見て頷く。

それに対して・・ハクア首相も同じく頷き 目前にある端末を操作しだした。


閣僚会議室の明るさが わずかに暗くなると・・

会議室中央に 3D表示の銀河系地図が現れた。


『共和国と名乗る敵艦艇から入手しました・・・おそらく現在における銀河系地図です 』


コトナは ゆっくりと近づき・・3D表示された銀河系地図の隅々まで見た。

生まれ故郷であり・・・かつて2600年前に存在した銀河帝国!

その銀河帝国の帝都である地球を・・コトナは探した。



2600年前の地名が ほとんど失われ・・・銀河航路も変化している。

見慣れたかつての銀河系地図とは かなり変化していたが・・・・やっと見つけた!!


先日・・攻め寄せてきたメルテリア共和国領土の向こう側・・ヤシュミとよばれる地域であった。


「ヤシュミ!?・・・うちらの故郷の名前がなくなって 違う名前になってる」

コトナの何気ない囁きに ハクア首相はディスプレイに 現在のヤシュミの状況を表示させた。


『先日・・・拿捕した共和国艦艇の艦長室にあった歴史本によりますと・・

2600年前、銀河帝国がこのアマルガワ銀河を去ったあと・・帝都地球は無人の惑星となったようです 』


「無人!!・・・みんな出て行っちゃったからね」


『えっと それからですね~

そのうち辺境の人達が住みつき・・・・ヤシュミ帝国として独立したようです』


「帝国と名乗りましたか!」


『地名の由来は人名だったそうで・・・建国の創始者 ヤシュミ書記長という人物だったらしいです。

銀河帝国時代、辺境の地でゲリラ戦をしていた人のようで・・・銀河帝国が去った後、無人の地球を占領し

我らこそ本当の帝国人と名乗り帝国を興したそうです』


「思い出した!! 2600年前、そんな人物をニュースで聞いたことがあった。 

ゲリラ戦というより、近隣の惑星で略奪しまくっていた宇宙海賊!!

そんな海賊連中が増えすぎて・・手が回らなくなって・・ ついに銀河帝国はこの銀河を捨てたのだけどね~」


『ヤシュミ帝国を建国したヤシュミ書記長は傍若無人に振る舞い・・嫌われまくり悪逆非道 あげくのはてに!!クーデターで失脚しました。

その後・・ヤシュミ帝国は共和国になって内乱、王国になってクーデダー、人民共和国になって内乱・・

会議国・・共和帝国・・協和国・・教国・・』


「なんだそりゃ・・・クーデター祭なのか!?」


『2600年間で800回ほどクーデターがおきてます。一時期、40年ほど平和が保たれていることがありましたが・・すぐにクーデター祭が発生したようです』


「・・・・うちの故郷をなんてことに・・・」


『現在はヤシュミ共和帝国と名乗っており一応、連邦陣営に属してますが、連邦陣営の各国から忌み嫌われております。

長年のクーデターのためヤシュミ人民の生活は荒れており、すぐに人を殺す、すぐものを盗むなど 

殺人と盗みが民族文化として根付いてしまっているため、ヤシュミ人の入国を全ての国が禁止しております。

我がカツラギ公国と同様に鎖国のような状態に陥ってますね』


「うちの公国は自主的に鎖国だが・・・ヤシュミは嫌われ鎖国だろ!!」


『陛下の生まれ故郷の島は もうヤシュミに存在せず 島の地殻ごと移民船となり旅発ってしまってます。このヤシュミを故郷というには・・』


「いや・・・うちにとってやっぱし故郷だ!! 奪回しましょう・・・  あと、そのヤシュミとかいう民族!! なんとかしないと・・・

故郷の名前に傷がつく・・」


『・・・ということはメルテリア共和国領土の通過が必要となりますが・・』


「どうせ攻めてきたのだ!! 故郷奪回のついでに潰してしまおう!! 

おそらく共和国に属する連邦陣営諸国全体を敵に回すかもしれないが・・・銀河大戦の真っ最中!

ドサクサまぎれに・・・なんとかなるだろ!!」


『それでは国家総動員令を出します。全ての生産を軍需物資にふりわけます。艦艇の増産も急ぎましょう

情報部も増員し・・・すぐにでも共和国へ潜入させます』


「うんうん よろしく頼むよ!! 艦艇のメンテナンスも忘れずにね・・・我が国は どうもメンテナンス不足が目立つ」


『それはもちろん!! 修理・メンテナンス関係の人員も増加させておきます!!』


「2600年ぶりに侵略・・・いや、違う!! 国土回復戦争の始まりだ」



カツラギ公国は メルテリア共和国、もしくは連邦陣営との戦いに向けて準備を始めた。


まずは・・・艦隊建造計画である!!

小型護衛艦の増産は当然だが・・・切り札になる護衛戦艦の建造も重要。


現在 保有している10隻の護衛戦艦は・・・2600年におよぶ老朽化によってエンジン部分が不調となっていた。

問題になっているエンジン部分の取り換えもいいのだが・・・そろそろ2600年も経っていることだし・・後継艦がほしいところである。

そこで・・・既存の護衛戦艦より はるかに巨大な最新式・・超ド級護衛戦艦の建造を提案した。


もちろん・・・見た目も考慮!! カッコよくしなくてはならない。

このカッコよいとは コトナにとってのカッコよさであり・・・一般人の考えるカッコのよさとは意味合いが違ってくる。


コトナは・・レトロ好き!! 古き良き時代の古めかしい姿が好きなのである。

たとえば・・F15戦闘機より ライト兄弟が初飛行したライトフライヤー号。

または・・・T型フォード、ブラウン管テレビなどなど・・



少し前に鹵獲した共和国戦列艦を参考にして 見た目がレトロ風な姿の超ド級巨大戦艦がほしいよね!!

ただし・・・見た目はレトロだが 性能は最新式・・・その上、威圧できるほどの巨大さ!!


巨大さは重要である!! 大艦巨砲主義。

砲艦外交に最適!! カツラギ公国の偉大さを 銀河中の人達に知らしめよう!!



『 全長20km以上、小型護衛艦を60隻格納・・・

陛下! このような とんでもなさ過ぎる超ド級戦艦の建造には時間が掛かります!!』

建造計画の責任者・・カナタナ工廠長からの意見である。


「ん!? どれほどかかるのだ?」


『まずは 超ド級護衛戦艦を建造するためのドック建設から始めないといけません!!

それにいくつかの新技術開発も必要かと・・・おそらく、最低20年はかかるでしょう』


「20年!?」


カツラギ公国の偉大さを 銀河の民たちに知らしめるには・・・やはり超ド級護衛戦艦が必要だ。

ただ単に地球を奪回するだけが目的ではない。

銀河帝国により封土された偉大な国・・・カツラギ公国・・・ここにあり!!を アピールすることも重要なのだ。


「よし 20年かけて建造しよう!!

国土回復20年計画だ。 2600年も寝てたのだ。20年など・・たいしたことはない!!」


コトナの自己満足、または権威主義的志向から・・

超ド級戦艦を建造するまで・・・侵略を20年延期することにしたのであった。

あっ 間違い!・・・・侵略じゃなくて国土回復です!!


「ちなみに その超ド級巨大戦艦は88隻は用意してね!!」


『え!? 88隻・・・』


いきなりトンデモ計画を命ずるコトナ。 略して・・八八艦隊建造計画ハチハチカンタイケンゾウケイカク・・・・


「もちろんよ!! 超ド級戦艦を八八隻!! 天を覆うほどの大戦艦部隊で敵を威嚇する」


八八計画ハチハチケイカク・・・神代の時代にあったという八八ハチハチの意味合いはなく 単純にその数値である88隻を建造するのである!!

というか・・・88隻も建造するとなると、20年どころか200年はかかりそうでもある!!



さっそく計画は実行され・・・人工天体ルーナに 超ド級ドックの建設が始まった。

超ド級戦艦を建造するには・・そのサイズに合う超ド級ドックが必要というわけである。


しかし・・・この超ド級ドックはあまりにも巨大すぎた!!

コトナの趣味趣向である・・無粋な建造物を地下に隠すということができない!!

巨大すぎて・・地下に収めきれないのだ!!

というわけで・・クレーターで覆われたルーナ表面に超ド級ドックの建設がはじまる。


コトナのあまり好かない近代建造物が建ち始めたのであった・・・・

・・・のだが ここで やっぱしコトナの気が変わりストップがかかる。


「無粋な近代建造物は いやじゃゃゃ」

独裁者特有のわがままを言い放つコトナ!!

実に困ったお人である。



色々と思案した結果・・・ドックの見た目を変更!!

レトロ風な外観をもつ建造物として 建てられることになった。


それは・・・東京駅だった。

そうです!! 赤レンガで作られたクラッシックなあれである!!

外観、見た目は東京駅風に作られた!!


ただし地球時代の東京駅にくらべると・・・大きさは桁違い・・・

全長20kmの超ド級護衛戦艦を建造するドックであるがゆえに 富士山を超える大きさの東京駅であった。

もはや・・・駅というより山・・・いや山脈である!!!


ただし・・・この東京駅ドックの完成するのに4年はかかる予定。

それもドックは一つだけではなく 複数の東京駅ドックがつくられるのであるww


そんな とんでも巨大ドック計画ではあるが・・・公国独裁者のコトナはえらくお気に入りとなった。

「こういう地球時代ぽい建造物がいいのよね!!  はやくできないかな~♪」



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