第4話 ネムレジャスティス
突如始まった日常の崩壊。人々は不安を隠せずにいた。
ネムレジャスティス代表取締役社長・逢葉咲はブラッディサン対策本部にて、敵の正体について会議を開く。
「続いてのニュースです。昨日、ブラッディウォールの門が開きデモンズシティから二体のバリアントクリーチャーが姿を現し、周辺の街は一時混乱に包まれました。しかしネムレジャスティス所属の戦士たちの迅速な対応により幸い重傷者は一人も出ませんでした」
バリアントクリーチャーの出現から一日がたった今日、国民は不安をつのらせていた。
「咲社長、昨日のクリーチャーの件なのですが……」
雷馬たちは朝はやくから社長室にいた。
「ああ、クリーチャーに変身していた二人は警察が連れて行ったよ、まぁまだ意識は戻っていないようだが……そんなに不思議だったか? 人間がクリーチャーになる姿を君たちは何度か見たことがあるだろ」
「そうですが……つまりデモンズカラミティにより生まれた数百体のクリーチャーの正体は人間だった、ということでしょうか……?」
「それはどうかな? 雷馬、お前はクリーチャーについていた首輪の事を気にしていたな。そのことについてだ。その首輪は金属のようなもので出来ていたが激しい戦いの影響で破損していて、もう機能していない」
咲はそう言いながら、雷馬と龍吾が回収した首輪のようなアイテムを見せた。
「これについているスロットにバリアントクリスタルがセットされていた。詳しいことは分からないが、やはりこの首輪を使うことでクリーチャーになれるんだろうな」
「つまり、昨日現れたクリーチャーは二体ともデモンズカラミティとは無関係ってことか?」
今度は龍吾が咲に問う。
「まだ確証はないけどな、けどそう考えるのが自然だ。今もなお数百体のクリーチャーがデモンズシティにいるなら、門が開いた時にもっとたくさんのクリーチャーが出てくるだろうしな。それと、クリーチャーに姿を変えた人間の身元がわかった。今から俺は国のお偉いさんたちと、そのことについて話し合いをしに行かなければならない。お前らには帰ってから話すよ、じゃあな」
「え、あ……ちょっと……」
華恋は質問をしようとしたが、急いで部屋を出る咲を止める気にはならなかった。
「俺たちもとりあえず寮に帰るか……社長がいない社長室にいる意味もないしな」
雷馬はとりあえず寮へ戻ることにした。
それから数十分後、咲はブラッディサン対策本部にて、会議を始めていた。
「さっそく始めましょう。まず最初に、昨日のクリーチャーの変身者の身元について警察の皆さん、ご説明をお願いします」
「はい、こちら凶悪犯罪組織対策課です。クリーチャーに変身していたと考えられる二人の名は、
猫峰 恭子、獅子原 威愚流。皆さんご存知だと思いますが、三年ほど前に大勢の人間が命を奪われた……あの悪魔の組織、ミネグレサクリファイスのメンバーだということが判明しました」
会議に参加していた者たちは驚きを隠せずにいた。
「やはり、ミネグレサクリファイスが組織の名を変えて再び動き始めたということか」
「その可能性が高いでしょう。奴らを閉じ込めていた牢屋はデモンズシティにあります、何らかの方法で抜け出したと考えるのが妥当でしょう」
咲は落ち着いた様子で周囲に説明した。
「だがいきなり話が進んだな、まだブラッディサンが動き出して一日しか経ってないというのに。これも君の会社の戦士たちのおかげだ。まさか タクティクスアルファ が現場に向かう前にクリーチャーを仕留めてしまうとはな……」
「ちょうど一年というのもあって念の為、武装開放デバイスを装備させておいて正解でした。ですがこれからはどのタイミングで門が開き、奴らが現れるかが予測不可能です。なのでできるだけ素早く現場に到着するための乗り物が必要なのですが……一年前からデモンズシティに置いたままなので……うちには予算がもうありませんし……」
咲がそう言うと国土防衛省の木村が言った。
「なるほど、君の望みは予算の増加だな。言われなくても増やすつもりだったよ、もう国に伝えている。これからも頑張ってくれ」
「本当ですか! ありがとうございます、これからも皆さんやタクティクスアルファと協力しブラッディサンの壊滅を最優先にしていきます。そこで提案なんですが……」
「何だい? 言ってくれ」
「はい。要求が多くて申し訳ないのですが、ネムレジャスティスが回収したバリアントクリスタルを我々に管理させていただきたい」
「ほう、なにか考えがあるようだな。逢葉君」
「ええ、もしかしたらあの忌々しい壁、ブラッディウォールを破壊することができるかもしれません」
――様々な議論が交わされた後、逢葉の提案は可決された。
ネムレジャスティスについて少し判明しましたね。
本当はこの回でもっと深く掘り下げるつもりだったのですが、流石に長くなりすぎるな、ということで次回に持ち越しすることとなりました。
順調にブラッディサンの正体がわかってきましたが本当にこのまま上手く行くのでしょうか……。
この時は誰も気づいていません。
——すべてサタンの手のひらの上で転がされているということに。