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第25話 商談成立

 誰得イラストシリーズ。

 ハルド王国のアレー王女設定デザイン。


挿絵(By みてみん)


 初登場時はドレスですが、このイラストは現在の冒険者スタイルです。


 冒険者スタイルといっても、王族が冒険者同様の『たびびとのふく』とか『かわのたて』装備とはいかず。

 王国おかかえのクチュリエたちがあーでもないこーでもないと考えて仕立てたのがこのファッション。

 冒険者風ビスチェアンドキュロットパンツ型ドレス。


 全く冒険には向かない装飾過多な衣装ですが、もちろん誰も突っ込まない(突っ込めない)ので、王女本人はロングドレスよりも動きやすく気に入っている様子。


 ちなみにセシルはこの世界の常識がないので、ヘンテコだなあと思いつつも王族ならこんなものとスルーしている様子です。


 なので、アラデの服を見て『やっとまともな服』という感想になるわけです。


 ちなみに、今は冒険者スタイルなので髪をツインテールにしてますが、ドレスの時は編み込みです。

 展望食堂から見える空は、既に晴れ渡っていた。東には巨大な台風がきのこ雲のように広がっているが、かなり距離が開いた。

 プリンセス・アレー号は再び超音速に遷移し西北西に向かっている。

 アラデの情報で航路を多少修正した。魔大陸のだいたいの位置が特定出来たからだ。

 嵐龍との思わぬ遭遇戦で余計な時間が掛かってしまった。陽が沈む前に到着したい。


「これっ! なんすかなんすかこれっ! くぅぅっ、こめかみがキーーンとします! でも美味しい! ヤバいです病みつきになりそうです!」


 アラデがバクバク食べているのは果物を冷凍したシャーベットである。ゼリーは時間がかかるので今日出来た分は試食の5皿分だけだった。夜時間用に簡単に出来るものということで、冷凍庫を使ったフルーツシャーベットをセシルが教えたのだ。

 レシピというほどではないが、おかみさんは皮ごと冷凍しそうになったのでまず剥いてもらった。

 皮は皮で使い道があるし、種類によってはちみつやヨーグルトを加えている。


 ただ、凍った丸ごとフルーツをナイフで荒く削いだだけなので、若干食べにくい。

 細かく砕くためのフードプロセッサが要るわねと思うセシルであった。

 

「シャーベットはさすがにアラデも知らなかったか……」

「あたしが飛んでる空はたいがい氷点下ですが、果物はないですからねえ。今度やってみるっす」

「どうやって?」

「うーーん。竜巻で持ち上げる?」

「迷惑でしょが!」


 人見知りのアラデであるが、多少慣れてきたのとシャーベット効果もあり、同じテーブルに座っている人が増えている。アレー王女とマークスだ。ガリウズも例によって王女の背後に腕組みして立っている。

 ちなみに全員シャーベットを食べている。ただ、何皿もお替りしているのはアラデだけだ。アラデはシャーベットの前に定食の残りのボアやロックバードを食べていた。可憐な見た目と違ってとても大食いだ。魔物だけのことはある。


「これは少しリキュールを加えて凍らせればより美味しくなりそうだな」

「シュバルさん。オトナ!」

「果物の氷って、こんなに美味しいものなのですね」

「向かないフルーツもあるけど、水分の多いものなら大概イケるわ。それに本当はもっと細かく砕くとより美味しいの」

「ふーむ。水や果物を簡単に凍らせる機械か。ニホンってやはりとんでもない技術があるな」

「原理的には気化で熱を奪ってるだけだしそんなに難しいことをしているわけじゃないけど。コンプレッサーさえ作れればね。後は冷媒かな」

「電気が高価すぎる。食堂で気軽に使えるようなもんじゃない」


 そう、シュバルが指摘するようにこの世界では既に蒸気発電や水力発電が実用化されているが、一部の国で国家プロジェクトとして稼働をはじめたところで、まだ値段すら付けられないくらいだ。

 気軽に使っているセシルや黄金の止まり木亭が異常なのである。


 電気がそもそも庶民に知られておらず、黄金の止まり木亭のはおかみさんたちでさえ魔法の一種と勘違いしているので騒動になっていないだけなのだが。


「この国ではそうなのね(水力発電や風力発電なら理論が分かってるからすぐ出来そうなのに。下手に魔法があるから技術進歩が遅れてるのかも)」

「冷やすだけなら氷室(ひむろ)があるが、ここまで固く凍らせるのは無理だ。ニホンは電気が安いのか?」

「安いか高いかは一概に言えないけど、庶民が払えない額ではないわ。払えなくて電気を止められる人はいるみたいだけど、まれに」


 マンガなどでは出てくる境遇だが、実際そんな事実があるのかどうかセシルは知らない。健康で文化的な最低限度の生活は憲法で保障されているはずだから、インフラが止まる前に生活保護を受けられるだろう。

 それに電気代は最近高くなったように思う。燃料調整費とか再生可能エネルギーなど追加の費用も増えた。去年の夏場にミサママが『ぎゃあ! 2万円超えてる! どうしよう大赤字!』と頭を抱えていたのを思い出した。ちなみにその月はスマホ電話代も4人で4万円超えて追い打ちをかけた。


「ニホンは国民みんなが使えるだけの電気を生み出しているということだな?」

「家庭だけじゃなくて会社や工場の分も全部作ってます。マークス」

「恐るべしニホン……」


 シュバルもマークスも『会社』や『工場』には引っかからなかった。ということはそれらはこの世界にも普通に存在するようだ。


「ところでさ、アラデはどうやって飛んでるの? 龍形態の時」

「どうやってって、魔法です。飛ぶこと自体はほとんど意識してないっすよ。勝手に風が体を持ち上げてくれるので」

「上昇気流ね。でも風を使っている割には随分細長いよね。もっと薄く広い方が効率よく飛べるように思うけど」

「魔法なので効率も何も……。それに薄く広くって、それかっこ悪くないですか?」

「まあ、確かに」


 モモンガみたいになりそうね。可愛いかもしれないけど、龍とは呼べないか。


「それとアラデ、龍体を別次元に格納しているけど死んだりしないわよね? なんで?」

「へ? 死なないっすよ!? いちいち死んでたら困るっす」

「だからなんで? わたしが空間を曲げて転移させると生き物が死ぬの」

「ん? セシル様は瞬間移動が出来るんすか? ああ、なるほど。だからこの船、空間を曲げて慣性制御出来てるんすね」

「アラデ、あんた意外に知恵があるわね」

「ひどっ! 意外って。だてに歳くってませんって。知識はありますよ。ええと、なら……超対称性の保存がうまくいってないんじゃないですか?」

「うん?」

「余剰次元のコンパクト化の際に対称性が失われている可能性があります。そもそも超多様体においてですね……」


 アラデとセシルの間で高次元数学のやり取りがしばらく続くが、描写は割愛する。


「なるほど、射影空間か! 特異点でゼロ化してたからね。多重化しないとうまく抜けられないわけか」

「そのとおりっす」

「わかった、やってみる!」


 言うや否や、セシルは目の前の空中に穴をあけ右手を突っ込んだ。シュバルたちにはセシルの右手が先端から穴に喰われて消えていったように見えた。驚いてる間にセシルが右手を引くと今度は穴から手が戻った。同時に穴を再錬成して消す。


「おお、ホントだ! 死なない!」

「セシル様、転移上手っすね」

「慣れてきたからね。でも助かった。これで生き物の瞬間移動が出来るわ!」


 これは応用が利く。この惑星の詳細な全周マップが出来ればどこでも好きな場所に一瞬で行けるようになる。


「瞬間移動?」

「転移? そうか、それで料理が……って、そんな超高度な魔法をたかだか食い物のために!?」

「空中に、穴……??? お姉さまの腕が消えて戻った……????」


 周りは唖然茫然。

 さすがのシュバルも、高次元数学の辺りからもうついてこれてない。

 そしてマークスは空間歪曲を魔法と勘違いした。それは、転移魔法が実在しているからだ。

 使える者は漏れなく国軍に組み入れられているが。

 兵站に使うにしろ、暗殺に使うにしろ、国家戦略級にして超々難易度の高級魔法である。


「最後の質問。魔物のアラデに聞くのもなんだと思うけど、魔物って、何?」

「なかなか難しい質問っすね。人間って何? と聞いてすぐ答えられますか?」

「霊長類ヒト科ヒト亜科ヒト族ヒト亜族ヒト属生物ホモ・サピエンス・サピエンス。ざっくりいえば進化したサルね。このせか……、ここでは亜人や獣人も交配可能だから、形態が少し違うだけで同じヒト属ね」

「即答っすか!」


 理系定義である。セシルとしてはざっくりじゃなくて偽霊長類プレシアダプスに始まる霊長類8500万年、原人から旧人・新人に至るヒト属250万年の進化の過程も語りたかったが、長くなりすぎるので止めた。


「そういう定義なら、魔物は魔物としか。何かから進化したわけではありません。はじめから魔物として存在してました。あたしも自分と世界を認識した瞬間からずっとアラディマンダーです」

「やっぱりそうなんだ」


 進化論の範囲外の存在なのは間違いない。生物ではないというシュバルの説が補強された。


「魔物って、何種類ぐらいあって、何匹ぐらいいるの?」

「さあ? 龍だけでも何十種類もいますし、龍王(ドラゴンキング)たちみたいに一種一体の魔物もいますし。めっちゃ数多いのもいます。1匹見つけたら300匹は隠れていると思えみたいな」

「まるでGみたいね。なるほど、参考になったわ」

「今の話のどこがどう参考に!?」

「分からない、ということが分かったわ。考えても無駄なら、それはそれでいいことよ。後はアラデ、話していた服お願いね」

「わたくしもお揃いの服が頂きたいわ」


 アレー王女がちゃっかり便乗した。


「えっ。セシル様はともかく、この女のは……」

「姫殿下とお呼びしろ」


 ガリウズが剣に手を掛けようとするが、セシルが制する方が早かった。


「このトンマ! アラデはあんたよりうんと強いって言ってるでしょ。アラデがその気になったら瞬殺よ。文字通りばらばらに」


 風のカッター一つでこの場にいる全員を真っ二つに出来るだろう。


「ぐっ」

「ぐ、じゃない。いい加減学習しなさい」

「そのとおりです。ガリウズ」

「だけど、アラデも口の利き方に気を付けなさい。わたしはその王女様に雇われているんだから。ちゃんということ聞かないと亜空間にいる龍体を引きずり出して今度こそ再生不能に……」

「ひいっっ! 気を付けますぅ! セシル様!」

「よろしい。で、服はどうなの? 材料は二着分ある?」

「ミニスカでよければ……」

「ミニスカって何でしょうか?」

「丈の短いスカートよ。アラデが着てるのはロング丈だけど、膝上ぐらい?」

「まあ、それは着てみたいですわ!」


 普段ロングドレスばかりなので、アレー王女は実は庶民的で活動的な服に憧れていた。今の冒険者風ファッションも気に入ってはいるのだが、装飾華美なのが若干鬱陶しかったのだ。

 アラデが着ているようなシンプルでカワイイファッションが本当の好みなのだった。


「すぐ出来るの?」

「お揃いということは同じデザインでいいですよね。デザインもあたしに任せていただけるならそんなに時間はかかりません」

「採寸はどうするの?」

龍の眼(ドラゴンズアイ)でもう測り済みです。大丈夫っす」


 なにそれ怖っ。

 と思ったが、セシルがやっているマッピングも同じようなものだった。


「あっ、デザインは同じでいいけど、色は変えてね。わたしは青っぽい感じがいいかな」

「ではわたくしはピンク基調で」


 アレー王女の好みなんだろう。今着ている服もピンクだし。


「それはお安いご用っす」

「じゃ頼むわ」

「セシルの話はもういいのだな?」


 待ちかねたようにシュバルが割り込んだ。マークスも身を乗り出す。


「ええ、アラデ、シュバルさんとマークスが話があるみたい。わたしは仮眠取るから、二人の話を聞いてあげて。ちゃんと聞かないと……」

「ひいいっ! 聞きます聞きます!」


 本気でビビっている。美少女が美少女をいじめる図だ。


「おい、黒い剣見せてくれよ」

「あ、そうだったわね、マークス。はい」

「おお、ありがとう……。うおっ!!」


 ガシャーンと鞘ごと黒剣を取り落とすマークス。もはやお約束である。

 ガザルドナイトで出来ているのを知っているのに、ついうっかり片手で受け取ってしまったからだ。

 セシルが軽々と扱っているので、重量を忘れていた。


「もう、壊さないでよ」

「す、すまん。しかし、この重さは……。もしかして全部ガザルドナイトで出来ているのか?」


 この重さは異常だ。腕が折れるかと思った。合金製でもかなり重い部類の剣になるのだが、ガザルドナイト()()で出来た剣など人間には扱えない。それに重量だけではなく、採掘量からしてもばかげている。仮にこの量のガザルドナイトを手に入れようと思ったら、3億円は下らない。そもそも一般には流通していないものだ。王族か、上級貴族のみに許された希少金属である。


 マークスが脳内のそろばんをはじいた結果は武器屋の親父のグローブスの見立てと一致していた。

 それをわかっていて8千万円で買い取ろうとしたグローブス、マジ悪徳。


 それはともかく、現にセシルは問題なく振るっていたし、この剣は事実ここに存在している。


「すまん、これは俺には持てない」

「じゃあ私が持ったげるわ。はい」


 セシルはひょいと黒剣を持ち上げ、シャリンと抜いた。マークスはあきれるより背筋が寒くなった。

 セシルって何者なんだ?

 空飛ぶ船や純ガザルドナイトの剣を所有し、天龍を圧倒するレベルの身体強化に転移魔法が使える。


 はっ! そうか、正体はニホンとやらの国家代表騎士? 剣聖(ソードマスター)? いや姫騎士かっ?


 超勘違いである。そして姫騎士は存在するようだ。敵の三魔将にも『夢魔の(ドリマーズ)姫騎士(プリナイト)』がいたが。


「人の目の前に刃物を突きだすのはどうかと思うけど、まあ特別サービスということで」


 セシルはすっとマークスの前で剣を水平にした。


「すげえ、これが純度100パーセント……。ガザルドナイトが結晶化している……」


 吸い込まれるように深い黒だが、目を凝らせば内部にキラキラと光の粒子のような輝きが見える。ガザルドナイトの結晶体は可視光を偏光するようだ。


「魔法を吸ったり吐いたりする剣! さっきのこれには参りましたね!」


 アラデも感心したように見ている。ガザルドナイトの結晶はアラデも初見のようだった。


「しかし、よく持てるもんだね」

「そんなに重くないですよ、シュバルさん」


 いや、重いだろ! と全員が全力で突っ込みそうになったがその前にアラデが言った。


「あたしも持てると思うよ!」

「そう? じゃあ」


 セシルがホイと逆手で渡すと、アラデもひょいと持った。


「うん、確かに重い剣ですが、普通に振れるっす!」


 テーブルからちょっと離れてブンブンと振る。その様子を取り巻くように見ていたハンターチームが青ざめた。

 セシルに続き、アラデまで。美少女って怖え、逆らっちゃなんねえと肝に銘じる。


「そうよねえ」


 傍に戻ってきたアラデから剣を受け取り、セシルはシャリンと鞘に納めた。


「じゃ、これでもういいわね。部屋に戻るわ。アラデ、ちゃんということ聞くのよ」

「はい、セシル様」


 セシルが立ち上がると、アレー王女も席を立った。


「私も横になります」

「御意」


 ガリウズも後についてテーブルを離れた。三人はエレベーターに消える。

 アラデはセシルを不安そうに見送ったが、命じられた以上逃げずに話をしないといけない。テーブルに座り直す。

 人見知りだが、根は真面目なようだ。


「よし、ここからは商売の話だ」


 シュバルがアラデに切り出した。


「商売?」

「龍布はあとどのくらいある? 二人の服を作った残りという意味だが」

「あとどのくらいといわれても、あたしの毛から織るんで、抜いてもしばらくしたらまた生えてきますけど」

「では、一度にどのくらい作れる?」

「反物でいえば4巻ぐらいですかね」

「ざっと50メートルか。少ないな」

「だってあたしの毛だもん! 全部抜いたら禿ちゃうでしょうが! 一応防具なんすよあの毛。半分でもなくなったらめちゃ困るっす」

「それはそうか。とりあえず服3着だから、今でも1巻は残るな」

「そうっすね……。でも着替え用に自分のをもう一着作るつもりだったんで、手放したくはないんですが……」

「だから商売の話だ。龍布を買おう。金があれば都で服が買えるだろう?」

「金っすか。まあ確かに、最近の流行をチェックするためにも金はいるっすねえ」

「だろ? 1巻につきバッハアーガルム金貨10枚出そう。どうだ?」

「えっ、そんなに貰えるんすか! 売ります売ります!」


 1000万円である。王都の御用達クチュール店で服が4、5着は作れる額だ。

 そしてそんな金額をポンと口に出すシュバルに聞いていたハンターはドン引きだ。が、商人仲間のアントロや鍛冶ギルドのマークス、コレクトは逆の意味でドン引きしていた。


 ガザルドナイトよりはるかに価値がある龍布である。ガザルドナイトは希少だが既に流通しているものだ。しかし、龍布は今日の今日まで伝説でしかなかった。10億円以上出してもおかしくないのに、その100分の1で釣りやがったよこいつ!


「伝説では龍のうろこの盾、龍の角の剣があるが、それも作ろうと思えば作れるか?」


 シュバルがわずか1000万円で龍布を確保した。マークスも負けじと商談に乗り出す。


「昔そんな話があったような気がしますが、あたしが作ったことはないっす。人間が勝手に加工したんじゃないですか? でも、毛と違ってさすがに鱗を剥いだり角を折ったりは勘弁して欲しいです」

「うーむ、それはそうか。せめて素材でも手に入ればと思ったが」

「あっ。なら、脱皮した皮はどうですか? 昔はちょくちょく取りに来る人間がいましたよ。何に使うのか知りませんが」

「ふむ、それは興味深いな。脱皮した皮で作られたものは知らないが、天龍の皮ならよい材料になりそうだ」

「買ってくれます? こないだのならまるごと残してますけど」


 今度はアラデから持ち掛けた。現金な奴である。文字どおり。


「では俺も1000万円出そう」

「きゃー! お兄さんイケメン!」


 アラデはバンザイして喜んでいるが、今度はシュバルがドン引きだ。天龍一体ぶんの皮を()()()1000万円だと!


「では、わたしはマークスが皮で作ったものを売らせてもらおうか」

「え? でもそれは……」

「マークス、君は皮で何を作ればいいか分からないだろう? 情報はわたしが提供するから、専売権を売れ」

「シュバルさん、あんた龍皮の使い道知ってるのか!?」

「ああ、大体はな。詳しくは調べる必要があるが、結構用途は多いぞ」

「分かった。情報提供とバーターな」

「商談成立だ!」


 シュバルもマークスも黒く笑った。

 そして毛や皮で2000万円儲かったアラデの眼がウハウハのドルマークになっていた。

 激安で買われたのも知らずに。

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