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僕らの奏でる百鬼夜行  作者: 玉響
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9、ギルドとはじまりの塔

 レオンはカマラ一家の手厚いおもてなしを受けた後、ラムタイ王国の大通りに来ていた。それというのも、話を聞いていた中で気になったものを、実際に見ようと考えたからだ。


 レオンが気になったものとは、ギルドとはじまりの塔とよばれる建物だった。カマラの母親に話によると、ギルドとは、国に仕えていない傭兵部隊のようなものである。国が表立って動けない汚れ任務や、危険な任務を請け負うのがギルドの役割だ。

 

 ギルドは、基本的に15歳以上であれば誰でも入ることができるため、むかしに罪をはたらいた罪人や、危険な仕事が多い分報酬が良く、一獲千金を狙う力自慢が集まるので、国民からは距離を置かれている。


 実際に足を運んでみたが、きれいなのは外側だけでひどいものだった。掃除が行き届いていないフロアに、たくさんある机の上には、誰かが置きっぱなしにした食べ物の数々、フロア内で喧嘩したのかあちこち傷だらけ穴だらけ。レオンですらあまり長い時間居たくない空間だった。


 その後レオンは、はじまりの塔に向かった。とても高くそびえるその塔は、まるで国民たちを見守っているよな印象を受けた。はじまりの塔は、たくさんの国が建設しているらしい。その理由は、生活に必要な電力の約7割を負担している国の発電所のようなものだからだ。

 

 クレセントでは、トモエの作った「超高性能ウルトラ自動電力生成器マークⅡ」が国のほぼすべての電力を賄っている。そのときのドヤ顔もあっぱれだった。


 見終えたレオンは、レイモンドとアトモスに合流しようと腰のトランシーバーに手を当てた時、ふと何者かの怨念のようなものを感じた。あたりの気配を探ると、はじまりの塔の近くで強く感じる。気のせいかもしれない。

 だが、一時を気にしたことを無視できないのがレオンという男だった。


(俺の気配遮断は、グレナダと比べたら制度はかなり落ちるけど、この国の警備程度じゃきずかれる気づかれることもないだろう)

 レオンは、幹部一の潜入のプロフェッショナルを思い浮かべる。


 王直属執行部隊序列6位グレナダ・プレティンス。気配遮断や瞬間移動を得意とする暗殺者だ。普段は、結構陽気で、任務のないときは、クレセントの酒場で飲んで騒いでいる。見た目も茶髪で誰からも好かれそうな容姿をしている。

 しかし、任務が下ると人柄が変わる。ちなみに見た目も変わる。髪は黒色のストレートになり、目も多少鋭さを増す。全身は黒を基調とする服をまとい、レイモンドを思わせるような雰囲気を持つ男に大変身。

 その状態のグレナダのことをトモエが「仕事モード ナダナダ」となずけ、誇らしげな顔をしていた。


 トモエはいいとして、「仕事モード」のグレナダの潜入任務は一度も失敗したことがない。気づかれるどころか、気づかれそうになったことすらないのだから、グレナダの腕がどれほどすごいか語るまでもない。


 グレナダは現在、クレセント鬼国(きこく)から最も近い5大国である魔獣協議国に潜伏中だ。


 部下の優秀さに自分もまけていられないなと感じながら、レオンは難なくはじまりの塔の警備網を抜け、下に続く階段を下りて行った。

 


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