13、日常の終わり
閲覧注意です。
カマラは、レオンが家を出た後国に警備のために、大通りに出ていた。そこには、正式に国の兵士である先輩方がすでに集合していた。
「お待たせしてすみません。カマラ只今着きました」
すると、今回のリーダーを任されている兵士が部下に命令を下す。
「では、皆が集まったところで、国の安全のため警備を始める。皆、気を引き締めるように」
リーダーの言葉に、兵士は大きな声で返事をする。
今回の警備は、ラムタイ王国の入り口から真反対の場所にある多くの貴族たちの住む区域だ。外の方は、カマラとは違う班の任務であるため、カマラの班は国内の警備だった。
「こんな毎日警備する必要ないのにねぇ」
カマラに話しかけてきたのは、カマラにいつもよくしてくれる女性兵士だった。
「そうですね。でもこのような積み重ねが、国の犯罪率の低下につながると思います」
「ふふ、カマラちゃんは真面目ね」
何気ない日常が流れる。しかし、この世界は平穏な日常を許さないかのように動き出す。
そして、カマラの平穏な日常に終わりをもたらしたのだった。
国の入り口付近から、怒鳴り声や悲鳴が聞こえてくる。
カマラを含め国内を警備していた兵士たちに緊張が走った。
「総員、今すぐ門に迎え。何者かの襲撃だ‼」
国内を警備していたものが入り口の門に向かうと、そこには魔獣の軍勢だった。もうすでに国の半分は崩壊しており、あちこちに死体が散らばっている。
カマラは、母や妹の安否が気になり、班から抜け出し、家に向かって夢中で走る。
(お願い、無事でいて)
何度もこけそうになりながら走る。速く走れるように鎧を脱いで。
やっとのことで、カマラは自分の家に着く。だが、家はつぶれていおり、カマラを迎えたのは、首から上が消し飛んでいる母親と原形をとどめていない妹の死体だった。
カマラは、声にならない悲痛な叫び声をあげ泣きじゃくる。
(あぁ、神様。私からすべてを奪っていくのですね)
国も、家も、家族も、友も死んでいく。この世から自分の居場所が、一つ一つと消えていく。
気が付けば魔獣たちに囲まれていた。その光景を見てある場面を思い出す。
(前回は、こんな状況の私をレオンさんたちが助けてくれたっけ)
あの物語の英雄のような力を持った3人のことを思い出す。そういえば、あの人たちはちゃんと逃げられたのかな。結局、ちゃんとお礼もできなかったな。―――今になっては遅すぎることを考える。
そして、魔獣たちが一斉にカマラに襲い掛かる。と同時に、魔獣たちは肉塊へと形を変えていく。このありえない状況をカマラは、一瞬で理解する。
そう―――物語の英雄様が助けにきてくれたのだと。