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僕らの奏でる百鬼夜行  作者: 玉響
1/14

1.はじまり

初投稿です。

 この世界は様々な者たちが生きていた。海に生きるもの、空に生きるもの、地に生きるもの・・・それらの生物たちが自然とともに進化し、死んでいった。


 しかし、世界は進化の過程でより素晴らしいもの、完璧なものへと変わり、かつては想像もしえないほど美しい自然を持つ星になった。

 もしこれがこの名もなき星の意志ならば、これを知った者たちは皆拍手喝采を星に送ることだろう。だが間違えてしまった。

 より素晴らしいもの優れたものになっていく過程で不完全なものができてしまった。無限を思わせるほど長い歴史の中で唯一の汚点である。

 それは人間の誕生であった。


 人間は不完全すぎた。魔獣のようなすべてを押しつぶすような力も、虫たちのように俊敏に動くことも、外敵から身を守るための堅い皮膚も持ち合わせていなかった。だからこそ、唯一得た知恵を使って生き延びることにしたのだ、自然を破壊することによって。

 結果として人間は生存に成功した。自然とともに生きてきた生物たちに対して人間は知恵を使い、自然を利用し、繁栄していった。


 すると世界に異変が起こった。

 これまで星を繁栄するためだけに進化を繰り返した生物たちが、己の種を繁栄させるためだけに行動するようになり、知恵を使い、世界中に様々な国がうまれた。

 だが人間の知恵は他種族より優れていた。人間は瞬く間に成長してゆき、弱点であった武力も、現在は既に存在していない素材を使った13個の魔具を使い、他種族国家を攻め落としていった。今ではこの名もなき星最大の種族である。


 ♢ ♦ ♢


 現在の名もなき星で大きな勢力を持っている国は、5つの大国と16つの小国である。16小国は国というより大きな町のようなものであり、主に昔の戦いで英雄のような戦果を打ち立て、褒美としてもらった広大な土地が、長い年月を経て国となったものだ。


 そして5大国は、名の通りこの世界を牛耳っている5つの国である。大きな大陸の東に位置する大陸最大国家であるエレヴァニー王国、大陸中央に位置するトロマニア公国、西南部に位置するエステラ評議国、魔境と呼ばれる魔獣たちが多く生息している近くに存在するセイフター連合国、最後に魔獣たちの国である魔獣協議国である。


 もはや5大国及び16小国に所属していないもの達は、命があってないようなものである。もう決して崩れないような均衡を保っている国々をつぶし、世界を統一しなければ世界に平和などありえない状況なのだ。

 もう誰もが平和などあきらめている。これまでも5大国の1軍隊に匹敵するような猛者も現れているが、嘘のような莫大な金や権力に目がくらみ、国の兵士として雇われ、滅ぼすどころか強大な力として吸収された。


 結局歴史に平和は戻ることがなかった。そして、もうこれらの国は滅亡しないものだとだれもが考えていた。


 だからこそ大陸北西の最も端にできた国に、世界中の国々があまり気にしていなかった。目先の脅威は5大国のいずれかだと考えていたのだ。その国は、世界を脅かすほどの脅威だというのに・・・


 

 ♢ ♦ ♢


「レオン様、起きてください」


 ふと俺を呼ぶ声がする。とても聞きなじみのある声だ。ゆっくり目を開けると幼いころからの親友であり、戦友であり、この世で最も信頼している相棒が立っていた。


「おいレイモンド、様付けやめろよ気持ち悪い」

「いや、今のあなたには立場というものがあるので、少し我慢して下さい」

「お前はいつも堅い奴だ。この場は誰もいないし、いたとしても幹部のあいつらだろう。気にすることなんてねぇだろ」

「あなたは気にしなさすぎです」

 そこは、あまりにもきらびやかな部屋で2人の男が話していた。


 1人は、どこぞの王様が寝るような大きなベッドに寝っ転がっている。名はレオン・バウアー。黒髪の鬼の青年であり、クールな見た目である。

 もう1人、レオンを起こしに来た男の名前はレイモンド・バトラー。彼は、派手すぎない衣装着のような服を着ており、裏ボスのような貫禄のある青年だ。

 2人の話している様子は、まるで絵画を思わせるほど華があった。


「それにしてもよく寝ますね。もう昼時ですよ」

「もうそんな時間なのかよ。鬼の寿命は長いって言われてるけど、一瞬だな」

「そうですね。だからこそ、皆この命を一瞬の輝きを悔いの残らぬように、一生懸命生きているのですよ」

 レイモンドはあきれたような顔をして言った。


 

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