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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

愛しい君を

作者: 透明

始まりは何時からだったのだろう。

ある時、車に轢かれて死んだ。


全身痛くて熱くて苦しくて、気付いたら自分の部屋にいた。

慌てて飛び起きて身体を確認した。怪我なんてしてなかった。夢だったのかと、そう思った。


顔を洗って、歯を磨いて、ご飯を食べて、服を着替えて外に出た。

そして、車に轢かれた。


それを四、五回繰り返す内に気付いた。


「これは夢じゃない」


もう死にたくなかった。だから家から出ないことにした。

家から出なければ車に轢かれることもないから安全だ。そう、思った時。

身体に衝撃が走った。


目が覚める。

死んだ。家も安全じゃなかった。


またよくわからない内に死にたくなかったから家を出た。

何時も行く横断歩道ではなく、地下鉄を使おう。そう思って行った。

電車を待っていると電車が来るとアナウンスがされる。前を向いた。

ドンッ、と背中を押された。自分の身体は電車が通る下へと落ちた。

顔を上げる。光が迫ってくる。

身体に痛みが走ったのは一瞬だった。


起きる。起きて考える。

もしかすると、自分は誰かに命を狙われているんだろうか。

背中を押された力は酷く強かった。殺そうという明確な意思があったように思う。

自分は何か人に恨まれるようなことをしたのだろうか?

そんなことを考えていると、また身体に衝撃が走った。



考える時間すら与えてくれないとは、酷いな。

どうにか、どうにか自分を殺した奴の顔を見れないだろうか。

そうすれば、そうしたら――


家を出た。電車なら顔を見られるだろうと、地下鉄に向かった。

ホームに立つ。電車を待つためではなく、自分を殺した奴の顔を見るために。

電車が来るとアナウンス。そろそろだ。

ドンッ、と背中を押される。下に落ちる。そしてバッと振り向いた。

そこにいたのは――、

犯人の顔を確認した瞬間、自分は電車に轢かれて死んだ。



自分を殺したのは、恋人だった。

殺したいほど恨んでいたのか、そうなのか。

だから、


自分は恋人を殺すことにした。

殺せば、いつまでも何も言わずに一緒にいてくれるだろう。

自分を殺すこともなく、自分は恋人を愛することができる。


自分は起きてすぐ準備をして、恋人の家に向かった。

恋人は驚いて少し後ろに下がったが、笑顔で部屋の中に入れてくれた。

リビングへと入る。恋人は背中を向けている。

隠していた紐の両端を持ち、恋人に近付いて首を絞めた。

恋人は苦しそうに呻き、首を絞めつけている紐を外そうと必死でもがく。

自分は首を絞める力を強め、恋人がもがく様を見ていた。


段々と抵抗力がなくなり、恋人の身体から力が抜けた。

しばらく首を絞めたまま固まっていたが、死んだと気づいて恋人の身体を抱えた。

首を絞めていた紐が落ちて小さな音をたてる。

小さな音が酷く大きく響いた気がした。


じっと恋人の顔を見つめる。しばらく見つめて、笑って言った。

「君が悪い。自分を殺そうとしたから」

ソッとソファに恋人を置いた。頬を優しく撫でる。

「大丈夫だよ。死んだ君でも、自分はちゃんと愛するから」

愛しそうに恋人を見つめて、自分は額にキスをした。

家で死んだのは爆発だったりする。

車に乗っていたのは恋人。それほどまでに殺したかったのかもしれない。

爆発も恋人。バレないよう昨日の夜に合鍵を使って侵入してガスの元栓を開けておいて、自分の家に帰って頃合いをみて電話をかけた。それで爆発した。主人公は風邪で鼻がつまっていたりする。何故タイムループしていたかは不明。

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