嘘
俺には仲のいい友達がいた。
海橋くん。
基本的にいつも優しくて、いつもいつも、俺と趣味が違うのに、俺の好きな動画を見てくれて、「かっこいいね」とか「面白い!」とか言って、俺を喜ばせてくれた。
でも、彼のあまり好きではないところもあった。
どうでもいいことですぐ嘘をつくこと。
「やべ。お前の好きな人がお前のこと好きって言ってた!!」
俺「え?!まじ?!」
「うっそぴょーん!!」
彼は嘘でしたー!とすぐ言ってくれるからまだいいものの、嘘つきはあまり好きではなかった。
けれど、俺のすきなことで笑うときは、本当に楽しそうで、それがとても嬉しかった。
だから、それは嘘じゃないんだなって考えてた。
そんないつもの日々が過ぎて、
突然学校にピタリと来なくなった。
来なくなって3日目。
メールをした。
返事はなかった。
ようやく6日目
彼は返事をして来た。
彼は言った。
「俺さ、あと3日で死ぬんや。
言ってなくてごめん。俺病気で、余命宣告されて
たw」
どうせ嘘だとおもったが、
やけにどうでもいい話ではない。
生と死に関することで嘘をつくのは流石にいやだった。
僕は無視した。
ふざけんな。
メールも送らなかった。
そして、
あいつからも、来なかった。
11日目
一通の電話だった。
奴の母親から。
「うちの息子が、今日の朝早くに亡くなりました。
仲良くしてくださってくれて、ありがとうございました。」
「…ガチャッ」
短い電話だった。
僕はもう。
何も言えなかった。
あのとき
嘘だよーって言って欲しかった。
いつものように呆れさせて欲しかった。
ごめんな。