おわり
それからも、君の事が好きな気持ちだけは取り残されている。
ボクは変態だ。
君の言うとおり、ボクは変態だ。
変態でも友達がいた。生き物じゃないけど図書室だ。
学校の図書室は生徒があまり利用することもなく、いつもシンとしている。
朝から誰とも口をきいていないこの日、放課後図書室に寄って、今日こそお母さんに、いじめられていることを伝えて学校を休ませて欲しいとお願いしようかな、と思っていた時だった。
一冊の本が目にとまった。
小豆色の表紙に金の押し文字で「森の情景」とある。手に取って見る。
初めて見る本だ。
中を開けて少し文章を読む。子供向けの童話だった。
面白いこれ…。
ボクはいつの間にか本に引き込まれてしまい、そのまま寝てしまっていた。
ボクは夢を見ていた。
眠りながら、自分は夢を見ていると気づいた。
本の中に入り込んでいる。
ボクだけの世界。
ボクが主人公の世界。
誰もボクをいじめない。
そして、君がいない。
君のいないボクの世界。
君がいると心はかき乱されるし泣きたくなる。けれど、いつでも会いたいって思うから困る。ずっと、声が聞きたいし顔も見たい。笑う顔が大好きだ。
けど、君にはボクは必要じゃない。
ボクはこのまま夢の中にいた方がいい。
お母さんにいじめられていることも伝える必要もない。
幸せって、こんな気持ちなんだ。
ボクは満ち足りた気分になって、吐息をついた。
素晴らしい気持ちだった。
本を胸に抱く。
ボクを決して裏切らない友達。
たった一つのボクの友達。
☆☆☆
この少年の話はここで終わりです。
けれど、
物語には必ず続きがあって、
扉はどこかに繋がっていると信じています。
扉は繋がり、この続きは「聖なる歌に救世主あり!」になります。
読んで下さりありがとうございました(^.^)
最後まで拙作にお時間を頂きまして本当にありがとうございます。
これからも一生懸命書いていきたいと思います。また、どこかの作品でお会いできることを願っております。
ありがとうございました。