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08.お弁当と期末テスト

 登校し教室の席に座り耳を澄ませていても天宮との噂は聞こえない。どうやら噂は無くなったようで透真は一安心する。

 その後は普通に授業を受け昼休みになり月島と水篠と弁当を食べる。

 透真が弁当を開けると中には彩り鮮やかな中身だった。


「萩野君の弁当何か豪華っていうか、綺麗だよね」


「それ自分で作ってるのか?」


「いや、弁当は姉さんが大学の授業が1限無いときに作ってる」


「いいなーめっちゃ美味そう」


 まぁ、今日は天宮が作った弁当ではあるが。

 それでも椿と殆ど変わらないくらい丁寧に作られた弁当でいざ食べてみると透真好みの味付けがしてあった。


(美味い、姉さんの弁当と変わらないくらいだ······)


 弁当を美味しく頂いた後は眠気が襲ってきながらもそれに耐え授業を受け下校の時間となる。

 帰宅途中に後ろから背中を軽く叩かれ誰かと思えば天宮だった。


「天宮か」


「透真君、一緒に帰ろ?」


「一緒に帰るも何も部屋隣だけどな。それより今日弁当ありがとう。美味しかった」


「本当? 良かった〜」


「······透真君に美味しいって言ってもらっちゃった」


「何か言ったか?」


「いや? 何も?」


 天宮は透真に弁当が美味しかったと言われとても嬉しかったのだろう。少し照れながら小声で嬉しさを表現していたが透真には聞こえていなかった。

 マンションに着き玄関前で天宮に弁当箱は洗って返すと伝え部屋に入る。

 そうするとソファで寛いでいる椿が居た。透真はすぐさま椿に今日の事を聞きに向かう。


「おい姉さん今日の事は一体どう説明してくれるんだ?」


「やだなぁ〜透真ったら、ちょっとしたサプライズじゃないの。実際、嬉しかったしお弁当は美味しかったんでしょ?」


「ぐ······そうだけどさ」


 椿は今日の出来事をちょっとしたサプライズとして用意していたらしくそれが見事上手く成功したようで上機嫌でソファで寛いでいた。

 

「あ、そろそろ時間だ。透真、私バイト行ってくるから戸締りよろしく。ご飯は冷蔵庫に作ってあるから食べる時にレンジでチンしてね〜」


「分かった。行ってらっしゃい」


「はいよ〜」


 椿がバイトに行った後、透真は着替え弁当箱を洗って乾かす。できるだけ早く返したいと思っているので最初に洗っておいた方が良いなと思った。

 洗い終わった後に家のチャイムが鳴る。

 朝陽は鍵を持っているため、それ以外だともうあいつしか居ない。


「······なんだよ」


「今日はこっちで食べようかなって」


「まぁちょうど姉さんが作り置きしてたから良いけど」


「やった〜」


 天宮が急に部屋に入ってきた。どうやら今日は萩野家で食べる予定だったようだ。

 今日の献立は肉じゃがだ。冷蔵庫のタッパーに1人分が"4つ"入っていた。あの姉貴、天宮が来ること分かって4人分作ったな。これもサプライズの一環なのか······


「そういえば朝陽さんと椿さんは?」


「姉さんはさっきバイトに行った。兄貴は大学で多分そろそろ帰ってくる」


 天宮が今家に透真しか居なかった為他の2人が何をしてるのかが気になって話を聞いている時に丁度良く朝陽が帰ってきた。


「ただいま」


「兄貴おかえり」


「朝陽さんお邪魔してます」


 天宮は朝陽が帰ってきてからすぐさま挨拶をする。そういった礼儀の部分はしっかりしてるのがなんかムカつく。


「天宮さん今日はこっちで食べるの?」


「はい」


「そっか、まぁゆっくりしていって」


 その後は朝陽、透真、天宮の3人で椿の作った肉じゃがを頂いた。天宮が部屋に戻る際にしっかりと洗って水気もしっかりと拭いた弁当箱を返す。


「今日はありがとう。その、姉さんが忙しい時はまた頼めるか······?」


「ふふっ、透真君がそこまで言うなら作ってあげるよ」


「······助かる」


 天宮は透真のお願いを聞いてまるで天使の微笑みかのような笑みを裕太に見せた。それを見た透真は少し照れながらも七瀬にお礼を言う。


「じゃあまた来週ね。おやすみ」


「あぁ、おやすみ」


 それからは火曜日とたまに金曜日に七瀬にお弁当を作ってもらう生活が始まった。

 天宮の料理を食べ始めて約1ヶ月、今なら椿と天宮の料理を目隠しで食べても分からないくらいに食べた。

 そして6月に入り教師から期末テストの連絡をされる。


「再来週から期末テストだから、それぞれしっかりと勉強しておけよー。高校初回のテストで赤点を取らないように」


 その教師の言葉を聞き透真は不安になっていた。

 何故かと言うと高校に入り授業の難易度が上がりあまり小テストなどで点数が取れていなかったのだ。

 中学では大体50位〜40位前後と言った成績だったが今では恐らく半分より少し下と言ったレベルだろう。

 このままでは本当にまずいと思いながら3人で廊下を歩いていた。


「期末テストダルいな〜」


「萩野君期末テストどう? 自信ある?」


「いや、全くと言っていいほど自信は無いな。中学に比べ小テストの点数も落ちてるし」


 そんな話をしながら廊下を歩いていると別のクラスの教室の話し声が聞こえた。


「天宮さんここ教えて〜」


「英語? その問題はこの文法を使って······」


「天宮さんって頭も良いのかよ。完璧人間じゃねぇか」


 クラスの話し声の正体は七瀬と天宮の友達だろうか。

 友達が分からなくて困っている問題に対し的確に教えている。あいつそんなに頭が良いのか。

 

「僕あのクラスに友達が居るんだけど天宮さんって小テスト毎回満点とか悪くても1問か2問間違える程度なんだって」


 は!? 天宮がほぼ毎回満点!?

 衝撃の事実を目の当たりにし目を大きく広げる。

 天宮の状況を聞いて本当にまずいと思った透真は家に帰ったらやるしかないととある事を決意した。

 下校時間となり今回は天宮が都合よく一緒に帰れないとのことなので猛ダッシュでマンションへと向かい玄関の元まで走り抜く。

 家に着くと朝陽が掃除をしていた。


「おかえり透真。どうしたんだそんな息切らして...何かあったのか?」


「······はぁ、兄貴、俺に、勉強を教えてくれ!」




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