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05.頼りになる家族

 椿の料理を頂いた後、天宮は椿の食器洗いなどを手伝っていた。とっくに椿と天宮は距離が縮まったようだ。

 片付けも終わり、時間はもう20時を回っていたので天宮は自分の部屋に戻る事にした。明日も学校なので長居する訳にもいかない。


「皆さん、今日は色々とお世話になりました!」


「良いよ良いよ! また私の料理食べたくなったらいつでも歓迎するよ」


「天宮さん、これからの学校生活楽しんでね」


「朝陽さんもありがとうございます!」


 椿と朝陽に挨拶をした後、最後に透真と言葉を交わそうとする。しかし明日も学校で会うので別れの挨拶は良いかと思った透真はとある事を天宮に言う。


「天宮、その、今日の事は何とか誤魔化してくれ。親と買い物してたとか、そんなので大丈夫だから······」


「そこは心得てるよ。こんなに良い空間を私のせいで台無しにしたくないもん。大丈夫、任せて」


 透真の事情は天宮はほとんど知らないが今回の事で目立つのはどうしても嫌だということは天宮には伝わっていた為彼女もなんとかやり過ごさなければと考える。

 そんな事を玄関で考えていても時間が過ぎていくだけなので後は家で考えておこうと思った天宮は最後に挨拶をする。


「では皆さん、おやすみなさい」


「結依ちゃんまたね」


 そう言って天宮は自宅に戻った。その後透真は風呂に入り明日の準備などを終えスマホを弄っていると朝陽が部屋の扉をノックしてきた。

 

「透真、少し良いか」


「あぁ、良いけど」


「今日、学校はどうだった? 椿姉は今日大学休みだからもう知ってると思うし俺はその後帰ってきたから知らないんだ」


 そうだった。朝陽は天宮と椿が荷解きをし終える直前に帰ってきてその後は学校の事を話す時間も無かった為、知りたいのは当たり前だ。


「クラスはまぁまぁ良かったよ。月島と水篠ともまたクラス一緒になれたし」


「あの2人とまた一緒になれたのか、それは良かった。しかし幼馴染の天宮さんとも同じ高校になれたのに何か引っかかっている感じがするんだが、何かあったのか?」


「あぁ、天宮は見ての通りだ。クラスどころか学校中で注目を浴びている。恐らくだけどあいつは今後校内一の人気者になるに違いないと思ってる」


 今日の天宮に対する反応を見れば当たり前のことだ。透真だけでなく月島や水篠、他のクラスの奴らも天宮に釘付けにされていたのだから注目度は初日から一気に上がっているに違いない。そこで天宮と透真が幼馴染だという事がバレてしまえば透真にも影響は必ず出る。

 それを避けるため嬉しいという気持ちだけという訳では無いのが現状だ。


「なるほど、確かに影響が出ないとは言いきれないな。だがそんなにネガティブすぎても良くないと思う」


「何でだ? バレたらまずいのに······」


「そこが今の透真の良くないところだ。さっき天宮さんが言ってたようになんとか誤魔化してくれる。しかも彼女は人気者なんだろ? それなら必然的に信頼性も向上してくれる。筋が通ってる話ならそれなりに周りは理解してくれると思うぞ」


 朝陽の言う通り天宮は人気者だ。その為筋の通った話ならほとんど周りは信用してくれるだろう。そのため天宮が筋の通った誤魔化しをしてくれれば大体のことは大丈夫だろうと朝陽は考えたのだ。


「昔の事があって人を簡単に信用出来なくなってるのは俺や椿姉も十分理解してる。だが天宮さんは10年間会ってなくてもわざわざ透真の方に自分から会いに来てくれた。嫌ってるなら、わざわざ来ないと思うぞ」


「······そっか、ありがとう兄貴。俺、天宮の事少しづつでも信用してみるよ」


「あぁ、一気に信用はしなくてもいい、少しづつ関係を築いて信用していけばいい」


 その兄の一言で透真は少しづつでも人を信用する事は良いんじゃないかと考え始めた。

 扉の前で盗み聞きしていた椿も一言呟きリビングの方に戻る。


「人生、いつか変われるときはきっと来るよ。透真」


 やっぱり、俺の兄と姉は、頼れる家族だ。





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