表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/35

28.警察の協力と計画

「昨日の事件について何かしているのですか?」


「はい。実は事件の最中を目撃して、物陰に隠れて今回の事件の証拠となる動画を撮っていたんです」


「それは本当ですか! 是非確認させていただきたいです」


「どうぞ。途中からですが3人の暴行は捉えているはずです」


 横田が今一番欲しかった情報、証拠がこんなにも早く集まってしまった事に横田は驚きを隠せず、結依が撮影したとされる動画をすぐさま確認したいとお願いした。

 動画は事件の途中からではあったものの、結依の言う通り3人が透真に暴行を加えている瞬間はバッチリと捉えられていた。


「······お願いなのですが、この動画のデータを我々に共有してはくれないでしょうか。勿論私は警官ですのでこの動画を悪用することは断じて無いのでご安心下さい」


「分かりました。質問なのですが、この証拠映像を元に裁判とかはどうなるのでしょうか」


「恐らく今回の事件は刑事裁判として扱われますが、まず被害者もといその保護者などから被害届を出して頂かないとこちらとしても調査が出来ないのでいつになるかは分かりません」


 横田はこの動画は絶対に重要な証拠として扱われると確信していたので結依にこの動画を警察側に共有という形でデータを転送してくれないかとお願いしてきたが、結依としても断るメリットが無いので快く横田にデータを渡した。

 その後、結依はこの事件の裁判などがどうなるかが気になっていたので横田に質問をしたが、警察側としても透真の保護者、つまり朝陽や椿、宗一郎達から被害届を貰わないと警察側は捜査ができないとのことだった。

 それを聞き、今日はもうこの場所でする事は無いなと思った結依はまた後日伺うと横田に言うと横田はスムーズに連絡などが取れる方がいいと思い自分の電話番号を結依に教えた。


「この電話番号に掛けていだだければ私が出るので何か御用がある時はお掛けください」


「ありがとうございます。ではまた後日伺います。今日はありがとうございました」


 そう言うと結依はドア前で深々と一礼をし部屋を出ていった。

 

 時刻は大体12時を過ぎた頃だった。結依は警察署で話を終えた後宗一郎の家に戻ってきた。

 外では宗一郎が家の作業をしていたので軽く声を掛け結依は玄関まで向かい家の中へと入っていった。

 

「天宮さんおかえり」


「朝陽さん、椿さんの方は······」


「まだ部屋に篭もりっきりだ」


「そうですか······」


 玄関に入ると朝陽が丁度リビングから出てきたので結依を迎え、結依は椿が今の状態は大丈夫かと聞いたが返ってくる言葉は嬉しくない内容で少し落ち込む。

 椿は恐らく家族の中で一番透真の事を思って今まで透真を育ててきたのだから、そんな透真がボロボロに傷だらけになった様を思えば部屋に閉じ籠もるのも理解出来ないわけでは無かった。


「それで、今どこに行ってきたんだ?」


「ここだとちょっとあれなので、朝陽さんの部屋で話をしても良いですか」


「分かった。向かおうか」


 何処に行っていたか、それは紛れもなく警察署だったがこの玄関前で話すと千代子などに聞かれ余計な心配を掛けてしまう可能性があった為、誰にも聞かれない朝陽と透真の部屋で話すことにした。

 

「それで、場所は?」


「······警察署です」


「警察署?」


「はい。実は昨日、透真が五十嵐達に暴力を振られている場面を丁度見てしまって、それで証拠にでもなればと物陰から撮っていたのでそれを警察の方に話してきました」


 朝陽は最初結依から警察署という言葉を聞いて何が何だか理解出来なかったがその後の内容を聞くに透真を助ける為に動いていた事が分かり警察署に行ったのも辻褄が合い理解できた。

 結依は朝陽に少し申し訳なさそうにとあるお願い事を言ってきた。


「······それでなんですが、今後この事件を解決する為には朝陽さんなどの家族からの被害届が必要なんです」


「被害届、つまり天宮さんは今回の事件を裁判を通して加害者を裁きたいと言うことで合ってるかな?」


「はい、大方合ってます」


 朝陽達に被害届を出してもらう理由、それは透真を傷つけた3人を裁判で、法で裁いて少しでも透真の脅威となる存在を消す事が目的だからなのだが、この自分の計画に朝陽や椿達を巻き込んでしまって良いのか、この計画は自分一人で行って透真を助けた方が被害を最小限に抑え終わらせることが出来るのではないかと思っていた。

 朝陽の様子を伺うに、朝陽も被害届を出す事に対し少し葛藤が生じていた。やはり自分一人で終わらせた方が良いのだろうか。

 そう思っていると朝陽は深呼吸をし結依に決断を伝えた。


「分かった。被害届を出そう」


「······良いんですか?」


「あぁ。俺も今までのように逃げてばかりでは透真に合わせる顔が無くなってしまうし、これ以上透真を苦しめたくないんだ」


「ありがとうございます。よろしくお願いします」


 以外にも朝陽は被害届を出すことを承諾してくれた事に結依は少し驚きの表情を見せていた。これ以上面倒な自体に持ち込みたくないとは朝陽は思っているとは考えている。

 だが朝陽が被害届を出すと決めた理由はこれ以上透真が傷つけられているのに自分達だけ楽をしてはいけない、これ以上透真を苦しめたく無いという朝陽の切実な思いだった。

 これで被害届の話は終わり、結依はまた外出しようとしていたので朝陽はまた何処に行くのか聞いてきた。


「また出掛けるのか?」


「はい。透真の様子を見に行ってきます」


「分かった。気をつけてな」


 結依が次に向かう場所は透真が現在集中治療室にて治療をしている病院だった。昨日の夜様子は見てはいるものの、やはり結依は透真の様子が気になって仕方が無かったので病院に向かう事にした。

 病院に着くと受付にて透真に面会して良いか訪ねたが、了承してくれたので透真が居る集中治療室に向かった。


「透真······」


 透真を窓越しで様子を見るがやはり昨日と変わらずに身体の彼方此方には傷や痣があり、目を覚ます兆しは見せずにずっと目を瞑って眠っている。透真はいつ目を覚ますのだろう、このままずっと覚まさないのだろうか。

 透真の近くに行くとこの不安な気持ちがずっと心の中に現れてくる。

 そんな中、横からコツコツと足音が聞こえ振り向いてみると透真のオペを担当していた医者がこちらに歩いてきていた。


「······こんにちは」


「こんにちは。彼の様子を伺いに来たのですか?」


「はい。透真は今どんな状態なんですか?」


「萩野さんは現在幸運にも順調に回復してきています。このまま良好に進めば後1日から2日で一般病棟への転室を予定しています」


「······そうですか。透真の事、今後もよろしくお願いします」


「心得ております」


「私はこの辺りで失礼します」


 透真の容体は順調に回復傾向にあるらしく、医者曰く後数日もすれば集中治療室から一般病棟への転室を予定しているとの話を聞くと結依は一安心し、ここに長居していても透真に申し訳無いと思ったので結依は家に戻ることにし医者に一礼をし病院の入り口へと向かっていった。


「透真、必ず私が助けるから」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ