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22.結依との帰省②

「それにしても随分と大きなくなったな透真」


「あぁ、お陰様でな」


「あら宗一郎さん帰ってきてたのね」


「丁度今帰ってきたところだ」


 宗一郎と会うのは実に4年ぶりであり宗一郎も透真と久しぶりに会えたことに加え透真の成長が見られてとても嬉しい表情をしている。

 宗一郎と話していると奥から千代子がやってきた。


「あ、おじいちゃん! 久しぶり〜」


「椿、久しぶりだな。椿も随分と大人になったものだな」


「それはもう大学生だからね」


 椿も片付けが終わり階段を降りてくると宗一郎と出会い、大学生にもなり大人の風格が出始めた椿を見て宗一郎は透真同様成長を実感する。

 するとまた階段から足音が聞こえてきて誰かと思えば結依が一階に降りてきていた。


「透真、このお嬢さんは一体誰だ? もしかして彼女······」


「断じて違う。こいつは俺の幼馴染の天宮結依だ。今回一緒にどうかと思って誘ったんだ」


「······天宮、あぁ、昔透真とよく遊んでいたあの女の子か!」


「宗一郎さん初めまして、天宮結依と申します。短い間ですがお世話になります」


 どうして俺の家族や知人は結依の事を初めて見た時の感想が俺の彼女という発想に至るのか本当に意味が分からない。

 透真は幼馴染として、そして少なからず異性として好意を持ってはいるものの、まだ交際をしている訳では無いので今は否定するのが当たり前だろうと思い彼女と言ってくる人には必ずNOと答える。

 そして結依は宗一郎に自己紹介をし深々と一礼をする。宗一郎の方は昔に透真と結依が遊んでいたのを覚えているため初めましてというわけでは無いが直接的な関わりは今まで無かった。

 なので初めましてと言われても頷ける。


「天宮さんよろしく、透真達の祖父の萩野宗一郎だ。よし、今日は孫達も帰ってきた事だし奮発してバーベキューをしよう!」


「まじで!?」


「おじぃちゃん太っ腹〜」


 宗一郎の提案で今日の晩御飯はバーベキューという事に決定した。恐らく宗一郎は久しぶりに家族が集まったので普通に良い帰省にしたいと思っている上、孫の幼馴染まで来たのだから周りの人と交流を深める事も目的とした食事にしてやろうという思惑だった。

 その後は近所のスーパーにて肉や野菜といったバーベキューの食材を買いに行き夜になると今日送ってくれた茂永だけでなく他の宗一郎や千代子の知り合いが何人か来ていた。


「それじゃあ、今日は孫達が久々に帰ってきた事を祝して乾杯!」


『乾杯!!』


 宗一郎が乾杯の音頭を取ると他の皆もグラスを鳴らしそこからは各々バーベキューを楽しんでいた。

 ビールを飲んで高らかに笑う者や透真達と仲良く話をする者など様々だった。


「ねぇ、透真君。天宮ちゃんだっけ? 付き合う予定とかはあるのかい?」


「いや、まずなんで未来付き合う事が決まってるかのような事聞いてくるんですか······」


「いやぁ若者の恋バナとかって僕達の年頃になると輝いて見えるからさ」


「······今は予定が無いとだけ」


「ふぅん、結依ちゃんと《《今後は》》付き合う予定があるとの事ですな」


「姉さんしばくぞ」


「透真怖い〜」


 宗一郎の知り合いが急に結依との関係を聞いてきて困惑しながらも話している所に椿がちょっかいを掛けてきたので軽く警告の意志を示すと椿は胡散臭く怖がるが全く怖がっているように見えない。なんなら煽ってるまである。

 しかしこの話題は近くにいた結依の耳にも聞こえており今は予定が無いと言う透真の発言に少しばかり不満があったのかむすっとした表情を見せる。


「······」


(私は今でも良いのにな······)


「天宮さん? どうかしたのか?」


「え!? い、いや!? 何でもないです!」


 朝陽が何かを察して結依にどうかしたのかと急に聞かれ結依は慌てて返事をする。よほど驚いたのか朝陽に声をかけられた時は思わず肩が跳ねてしまった。

 その後もバーベキューは盛り上がり、気がつけば夜の21時にまでなっていた。

 そろそろ片付けないといけないのでそれぞれ役割分担しながらバーベキューの後片付けを行い、約20分程で片付けは全て終わらせることができた。


「皆今日は来てくれてありがとう」


「宗一郎さんまた呼んでくださいよー」


「あぁ、もちろんだ。皆、気をつけて帰ってくれ」


 それぞれ解散した後、萩野家は家に戻り風呂に入ったりなど済ませ就寝した。

 朝、透真が起き、時計を見ると時刻は9時だった。

 下に行くと千代子がご飯を作っていたので挨拶をふる。


「ばぁちゃんおはよう」


「透真おはよう。ご飯食べる?」


「あぁ、お願い」


 千代子に朝御飯を作るようお願いをし、作られたご飯を頂くと口の中に優しい味が広がってくるのが伝わってくる。

 椿や結依はどちらかというと透真の好みに合わせた味付けが基本的だが、千代子のご飯の味は全てが優しく、万人に愛されているようなご飯の味だった。

 そんなご飯を食べ終え、部屋に戻ろうとした時に後ろから千代子に声をかけられる。


「透真、今日の夜に近くで夏祭りがあるんだけど、透真も行かないかい?」


「ここの夏祭りか、最後に行ったのは確か小5の時だから久々に行ってみたいな」


「なら、天宮ちゃんにも行くかどうか聞いてみてちょうだい。椿と朝陽には既に伝えてあるから」


「分かった」


 透真の生まれ育ったこの街の夏祭りは伝統的な踊りや多種多様な屋台、そして大規模な花火とイベントが盛り沢山な夏祭りだ。

 透真は小5の時に行ったっきり夏祭りには行けていなかった為、この街の夏祭りに久々に行ってみたいと思っていた。

 それに今回は結依もいるので、楽しくなること間違いなしだと思っている。

 

「結依、入るぞ」


「どうしたの? 透真」


「実は今日の夜に夏祭りがあるらしいんだけど結依も来ないかって」


「夏祭り! もちろん行く!」


「そうか。じゃあばぁちゃんにあとで行くこと伝えておくから」


「うん。ありがとう」


 早速結依を夏祭りに誘ったが案の定透真が行くかどうか聞いた途端に行くと言い笑顔が溢れていた。

 結依がここ最近夏祭りに行ったことがあるのかは分からないが、夏祭りというイベント自体はとても楽しみにしているのだろうという事が結依の顔から伺える。


 こうして、家族と結依で夏祭りに行くことが決まった。透真も楽しみに夜を待っていた。


 この決断が、透真の人生を大きく変える事だとは、誰一人として知らずに·····




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