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21.結依との帰省①

「まさかおじさんが迎えに来るなんてね〜 おじいちゃんは?」


「宗一郎なら今ボランティアの方に向かっているんだ。つい今朝頼まれたらしくてね」


 柏木茂永。透真の祖父の大親友であり、付き合いは中学の頃からともう40年以上も付き合いがあると言う。

 その茂永の大親友である透真達の祖父の名前は萩野宗一郎はぎのそういちろう、それが透真達の祖父の名前だ。

 宗一郎は昔から何かと頼み事は何でも受け入れどんな人にも協力し助けていた為、周りの人からも厚い信頼を受けているので頼まれるのも仕方がなく、今朝も公園のゴミ拾いのボランティアを手伝ってくれないかと頼まれたらしく、そっちで手一杯ということなので茂永が迎えに来たのだ。


「朝陽君に透真君も久しぶりだね。ところで、そちらのお嬢さんは、透真君の彼女さんかな······?」


「なっ!? おじさん違いますって! 結依は俺の幼馴染ですから!」


「はっはっは、冗談だよ。からかってしまってすまない。実に5年振りに透真君達と会うのが嬉しくてつい」


 茂永は結依の存在を透真の彼女とからかったが、透真は顔を少し赤くしながらもその事を否定し結依の事は幼馴染だという事を説明した。茂永も透真達と最後に会ったのは5年前なので久々に出会えた事を嬉しく思っての行動だったのだろう。

 そんな話題が入ってきて結依も茂永に自己紹介せねばと前に出て自分の名前を言う。


「始めまして茂永さん。天宮結依と申します」


「······天宮、何処かで聞いた事が」


「おじさん、結依ちゃんの事覚えてるの?」


「思い出した。お嬢さん、大輔の所の娘さんかな?」


「父の事、ご存知なのですか?」


 茂永は何故か結依の父親、大輔の事を知っていた。

 結依もこの事は生まれて初めて知ったことなので驚きで目を見開かせる。


「あぁ、大輔は此処で仕事をしていた時の私の部下だったんだよ」


「そうだったんですね·······」


「大輔は若手ながらも凄く優秀な上、人間関係もとても良かった。彼とは昔仲良くしていたよ。今の大輔は元気かな?」


「はい。転勤が多い中ですが体調を崩さずに元気ですよ」


 大輔は結依が幼稚園の頃この地で仕事をしていた時の茂永の部下に当たる人だったようで、上司であった茂永や他の社員からも厚い信頼を受け人間関係も良かったらしい。

 結依も昔の大輔がこんなにも良く思われていた事を知り、とても嬉しいのか自然と笑顔が浮かんでいた。


「そうか、良かった。良ければなんだが今度大輔と会った時によろしくと伝えてくれはしないだろうか」


「分かりました」


 「話も済んだし、そろそろ宗一郎の家に向かおうか。皆早く乗ってくれ」


「はーい!」


 茂永に促され4人は車の中に入り座る。車の中での会話も当然の如く昔の事がメインとなって話が盛り上がっていた。椿の昔のやんちゃだったり透真の運動会の時の事などと楽しい出来事の話ばかりだった。

 

「そういえば茂永さん、祖母の方も元気ですか?」


「千代子さんか、2年前くらいに身体の調子を崩してしまったが最近になってようやく完治したよ。」


「そうでしたか、元気になったようで安心です」


「多分君達を見たら今まで以上に元気になるだろうね」


 透真達の祖母、萩野千代子はぎのちよこは透真達が隣県に引っ越した1年後に重い病気に掛かってしまい体調を崩していたようだが現在では体調は良好との事らしい。

 千代子も宗一郎同様周りからは温厚な千代子に色々と世話になった人が多くいたので体調を崩した際はその人達が看病を手伝っていたという。その御蔭で病が深刻には至らなかったそうだ。


「見えたよ、そろそろ宗一郎の家だ」


「うわぁ! 懐かしい······」


「相変わらずの新築振りだな」


「家とても綺麗ですね」


 宗一郎の家は過去にに起きた大地震で倒壊してしまい、家を建て直しもう築30年にはなるものの、家は古くなる兆しを見せないほどの綺麗な家だった。

 家に着くととある女性が玄関前で待っていた。


「千代子さん、透真君達を連れてきましたよ」


「ごめんなさいねわざわざ頼んで」


「いえ、このくらいお安い御用ですよ。いつもこちらこそ助かってますから」


 玄関前で待ってくれていたのは透真達の祖母、千代子だった。千代子は既に定年を迎えてはいるものの、10歳下に見られるほど若い容姿をした温厚な雰囲気を醸し出している人だった。


「ばぁちゃん、久しぶり」


「あら透真! 久しぶりね、随分と背も伸びて」


 最初に声をかけたのは透真だった。透真も久しぶりに椿と朝陽以外の家族に会えたことがとてつもなく嬉しいのだろう。

 そうすると後から結依がやってきて千代子に挨拶をしようとして透真の横に来る。


「千代子さん、初めまして。透真の幼馴染の天宮結依と申します」


「これはご丁寧にありがとうね、と言っても実は天宮ちゃんの事は昔から知っていたのよ」


「えっ······?」


「昔、よく透真と遊んでいたでしょ? たまにだけどこっちにも来て遊んでいたものだったのよ」


 実は結依はこの宗一郎と千代子の家に幼稚園の頃ほんの少しではあるが透真と一緒に来て遊んでいたらしく、その昔話を千代子が結依に聞かせる。

 そんな事が昔あったのかと結依は忘れていた透真との思い出を徐々に思い出していく。


「さ、電車とか移動で疲れたでしょう? 取り敢えず家に入って」


「ばぁちゃんありがとう」


「お邪魔します」


「どうぞ〜」


 部屋に入ると懐かしい匂いが漂ってきて、やはり祖父母の家は落ち着くなと再認識させられる。

 椿や朝陽も約4年ぶりの祖父母の家なので懐かしい物を見るとそれに目を向ける。


「これ、小学校卒業の時の朝陽じゃん! 今では考えられないくらい可愛い〜」


「今ではってなんだよ」


「だって今は髪も伸ばしてどっちかって言うとクール系になってるじゃん」


 椿は玄関入ってすぐの靴箱の上にに飾ってあった朝陽の昔の写真を見て以前とは違う見た目に思わず可愛いと言ってしまう程昔の朝陽は押さなく可愛く見えた。

 今ではその面影は無く、クール系のイケメンに進化している。


「ニ階の2部屋どっちも片付けておいたからそれぞれ2人ずつ部屋に入ってちょうだい」


「おばあちゃんありがとう〜」


「なら、男女で2つに別れるか。俺と透真、椿姉と天宮さんで」


「そだね、そうしよう」


 部屋は片方は朝陽と透真、もう片方は椿と結依の部屋になった。まぁ順当と言えば順当の組み合わせであり、もし男女混合にして夜中に何かしでかして祖父母達にバレるなどといったことは絶対にしてはいけないからだ。

 そうして2つに別れた4人はそれぞれ部屋に入り荷物を整理し始めた。透真がいち早く終わり一階に戻ろうと思い階段を降りると玄関のドアが空き男性が入って来る。


「ただいまー おぉ透真! もう来てたのか!」


「あぁ。じぃちゃん、久しぶり」


 玄関のドアを開けたのはこの家の主人兼透真達の祖父、萩野宗一郎だった。





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