20.結依との帰省の予定
「ただいま〜」
「あ、椿さんに透真、お邪魔してます」
「結依ちゃん今日はこっち?」
「はい! ご馳走になります」
家に帰ると結依がソファでのんびりと寛いでいて今日の昼と夜ご飯は萩野家で頂くようだが、この光景も早4ヶ月が経過しようとしている。透真達にとっては最早日常の一部として溶け込んでいた。
「そういえば結依ちゃんの面談っていつなの?」
「私は昨日お父さんが丁度良く休みだったので既に面談は終わってますね」
「まぁ結依ちゃんの事だし何事も無く終わったんだろうね」
「ですね。聞かれた事と言っても家での過ごし方とかくらいでしたから」
結依は今回の期末テストで文句無しの学年一位を取ったことに加え、普段の学校での立ち振る舞いも1年生の模範となるような完璧美少女として周りからは見られているので問題点と言える所が何一つ無い為、三者面談もスムーズに終わる事に違和感は無い。
「ところでさ、お盆の帰省の話って透真から聞いた?」
「はい、詳しい内容はまだ言われてませんが」
「行く日は一応13日から2泊3日で行こうと思ってるんだけど大丈夫かな」
「······2泊3日ですか、多分大丈夫だとは思いますが一応お父さんにも確認取ってみますね」
「りょーかーい」
結依も一応行けない事は無いらしいが透真の祖父母の家に泊まる為、親である大輔に連絡を取り確認ができたらまた伝えるとのこと。
その後は3人でお昼を頂いた後は透真は家で課題に取り組み、椿と結依は近所のスーパーに買い物に行くとの事らしい。
透真も流石にお盆までには全ての課題を終わらせなければまずいなと感じていた。お盆が終わればすぐに学校が始まってしまうし、祖父母の家にわざわざ課題を持っていってやるなどもしたくない。その為早い段階で終わらせようとしていた。
課題に取り組み始めてから約2時間半、時刻は16時半になっていたので取り敢えず今日の分はここまでにしておこうと思い課題を切り上げる。
リビングに行くと同時に朝陽が玄関を開け帰ってきていた。
「兄貴おかえり」
「ただいま。椿姉は?」
「結依と買い物。多分話が盛り上がりすぎて帰ってくるの遅れてると思うんだけどそろそろ帰ってくるはず」
「そうか」
椿と結依は大体スーパーに15時半頃に向かったのだが、普段の椿だと帰ってくるのが遅くなっても1時間は掛からない。恐らく結依と世間話でもしてるのだろうなと透真は思っていた。
噂をすればその話していた二人組が帰ってきた。
「ただいまー! あ、朝陽おかえり」
「朝陽さんお邪魔してます」
「あぁ、透真から聞いてるよ」
「姉さん今日は何作るんだ?」
「今日は結依ちゃんと一緒に冷やし中華でも作ろうかと」
「冷やし中華か、良いな」
今日の晩御飯は椿と結依の2人で冷やし中華を作るそうだ。しかし何故か透真には2人前用意されており椿が作った方と結依が作った方を目隠しで食べ当てるとかいう謎のイベントが開催された。
「······ん、決めた!」
「さぁ当てることは出来るのか!?」
「右の皿が結依、左の皿が姉さんのだ」
「······残念! 逆でした! まさかいつも食べてる姉の味が分からないとはね〜」
「透真、私のお弁当今年からずっと食べてるのに······」
当てなければ両方からとやかく言われる始末だとは分かってはいたものの透真は当てることが出来ずに2人から理不尽な言葉をこれでもかと浴びせられる。
正直、無理だ。冷やし中華のスープは手作りでは無く市販の物である為殆どの味は一緒だ。
「いや理不尽にも程があるだろ。そして姉さんから言われるのは慣れてるが結依は乗っかるな」
「いや、こういう事いつかしてみたかったなって」
「お前······」
賑やかな?晩御飯も終わり皿洗いも終わり20時を回ったので結依は玄関に向かう。
透真がそれについていく形で玄関に向かう。
「今日もありがとね」
「気にするな、いつもの事だろ」
「お盆、楽しみだね」
「まぁそうだな。じいちゃん達も多分結依の事は歓迎してくれるだろうな」
「本当? それを聞くともっと楽しみになってきた」
実はこの帰省は結依にとっても楽しみな帰省ではあった。数分前、大輔から連絡が来て透真の帰省について行っても良いということに決まった。
透真が小6まで過ごした地域、つまり結依としても生まれてから幼稚園卒園まで過ごした透真との思い出が詰まっている場所への帰省なので楽しみにしていた。
「じゃあおやすみ。またね」
「あぁ、おやすみ」
時は過ぎ帰省当日の8月13日朝、結依は透真達より早めに帰省の準備を済ませ、萩野家の方に来ていた。
今日の結依はいつも通りのロングウルフで服は水色のボーダーフットボールにグレーのスカートだったが帰省ということで透真の祖父母に会いに行くのだから服装などもより一層気合を入れてきたのが伝わってくるほどの可愛さだった。
透真達も荷物の最終確認をし終え早速駅まで向かい、祖父母の住んでいる最寄り駅まで向かう。
現在透真達が住んでいる県の隣県に祖父母が住んでおり電車だと約1時間弱掛かる所だ。
さっきまでの景色は都会の雰囲気だったものがトンネルを過ぎた後の景色は田舎の雰囲気でありながら懐かしい感覚もしていた。
「着いたー!」
「懐かしいな、この駅も変わってない」
1時間弱の電車を乗り終え駅から出ると透真が小6まで、朝陽が中2、椿が中3まで暮らしていた懐かしい風景が視界に広がる。
結依も生まれてから幼稚園まで暮らしていだが随分昔の事なのであまり覚えては居なかった。
懐かしい景色を堪能していると目の前の車から少し歳をとった男性が降りてきて透真の方に向かってくる。
「待ってたよ、久しぶりだね皆」
「あ! もしかして柏木おじさん!?」
「あぁ、椿ちゃんも随分大人になったようだね」
車から降りてきた男性は昔よく萩野家と仲良く遊んだりと交流を深めていた人である、柏木茂永だった。




