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16.夏休みの予定

 透真の言ったことに未だ動揺してる椿だったが少しずつ状況を飲み込み始めていた。

 透真にあれだけ結依との関係はバレないように気をつけると言った傍から親友の月島、水篠にバレてしまったのだから動揺を隠せないのも仕方がない


「······その、ごめん。気をつけるって言っておきながらこんな事になって」


「いや大丈夫だよ。なにより秘密を知ったのがあの2人だったのが不幸中の幸いだし。月島君達は何て?」


「別に俺と結依の関係はバラすつもりは一切無いって」


「それは良かった」


 月島は元々正義感が強く友達を裏切るなどは一切しない事は俺も十分知っているが一番月島を知り尽くしてる人物は水篠だろう。

 水篠も大人しい性格で月島に似た優しさがあるのであの2人になら秘密を明かしても良かったと今では思っている。


「ただいま」


「朝陽おかえり〜」


「兄貴おかえり」


「今日の天宮さんとの買い物、どうだったんだ?」


 椿と話していると朝陽がバイトから帰ってきた。

 勿論朝陽も今日の結依との買い物は楽しかったのかどうかは気になっていたのですぐさま朝陽は透真に聞いてくる。

 透真は正直な感想に加え、椿と同じ様に今日あった出来事を話すことは決めていた。


「······そうか」


「姉さんみたいに驚かないのか?」


「まぁ全然驚かないと言ったら嘘になるが。それに秘密って言うのはどんなものでもいつかは誰かにバレるのか普通だ」


「······ありがとう。兄貴」


「別に礼を言われる事はしてない」


「俺もう寝るよ。今日は流石に疲れたし昨日はあんま寝れてなかったし」


 透真は2人と話し合った後どっと疲れが出てきたので今日は寝ることにした。

 

「一応透真の分もご飯作っておくからもし起きたら食べてね」


「分かった。ありがとう」


 透真は自分の部屋に戻ると、今日結依から貰った月型のキーホルダーを眺める。

 そして今日の出来事を一つ一つ振り返る。電車での事、服選び、映画鑑賞、そして月島達との事。

 今日は本当に色んな事があったなと振り返っている内にいつの間にか透真は深い眠りについていた。


「······嘘だろ」


 透真が目を覚まし時計を見ると現在時刻は朝の9時半で昨日眠りについてから約12時間近く爆睡していた事に透真は思わずベッドから飛び起きる。

 普段透真は8時間程度の睡眠を基本として取っているのだが12時間も睡眠を取ったのは今日がはじめてだ。


「姉さんおはよう」


「透真おはよう。随分寝ていたようで」


「12時間も寝てた······」

 

「昨日はそれくらい疲れてたってことだよ」


 椿がリビングにいたので声を掛けてその後は昨日椿が作っていたというご飯を朝食として頂く。

 その日は昨日の事もありなんてことのない普通の一日を過ごした。


 夏休み前日。クラス中では夏休み何をするだとか何処に出掛けるか等の話で持ちきりになっていた。

 透真も予定は立てていたのだが友達だとかの予定は一切作っていたかった時に月島と水篠がやってくる。


「透真、夏休み海行かね?」


「海か、良いな」


「あの人も連れていかないか?」


「その場合時間を考慮しないとバレるぞ」


 あの人。それは結依の事だった。

 月島も先日知り合いになったので善意で結依を誘って4人で行かないかという考えなのだろうがその場合、海は昼間より夕方から夜にかけての時間帯が好ましい。

 昼間は恐らく人も多く出回るのでその中にクラスメイト等が居て見られてしまうと面倒な事になるので時間を考えろよと月島に言う。


「そこは大丈夫だ。昼間は別のところを散策して夕方頃から海で少し遊ぶってのはどうだ?」


「それなら多分人も少なくなると思うし大丈夫だと思うんだけどどうかな?」


「夕方か、まぁそれなら大丈夫だろう」


「じゃあ透真、あの人に行けるかどうか聞いておいてくれ」


「分かった。日程はできるだけ早めの方が俺は都合が良いな。8月には帰省するからな」


「日程は僕達が作っておくね」


「頼む」


 これで友達間での夏休みの予定は一つ出来た。結衣も誘えれば楽しい海になる事は殆ど間違いは無いから楽しみにはなるな。



「······帰省するんだ。萩野透真君······」




「えー明日から夏休みに入りますが、くれぐれも怪我や事故の無いように過ごしてください」


 全校集会で校長の話を聞いた後、今日は午前で下校出来るので結依といつもの場所で合流してから帰ることにした。


「結依さ、夏休みって空いてる?」


「基本的には空いてるけど...」


「今度月島達と海に行くんだが結依もどうだ?」


「海! 行く!」


 結依に海に行かないかと提案しもし予定が埋まっていればどうしようと不安があったが思いの外結依は海に行きたかったらしくすぐに返事をしてくれた。

 

「良かった。予定はあっちが立ててくれるから」


「分かった。そうだ、椿さんと朝陽さんも誘わない?」


「姉さんと兄貴か、確かに家族揃って出掛けたのは結構前だし誘うのも無しではないな」


 結依は椿と朝陽も誘って6人で行かないかと提案してくる。

 恐らく大人数で行った方が楽しいと考えているのだろうがその中には透真の心配はなるべく彼にさせたくない気持ちも込めての提案だろう。


「······分かった。姉さん達には伝えとくよ」


「ありがと」


 結衣は椿達も来る可能性があると決まった時、買い物の時と同じ様にワクワクしているかの様な表情をしていた。


 帰宅すると朝陽がいつものようにリビングで掃除をしていた。


「おかえり透真」


「ただいま兄貴。あのさ、夏休みの序盤って空いてる?」


「まぁ空いてない事もないが、どうした?」


「今度月島達に加え結依と海に行くんだけど、結依が兄貴達とも一緒に行きたいって」


 朝陽は透真の高校より3日遅れで夏休みが始まる為用事がなければ都合は良いがバイトも入れているのでタイミングを合わせないといけない。


「分かった。椿姉にも言っておく」


「ありがとう。兄貴」


*

『兄貴達都合が合えば来るって』


『本当? やったー!』


『それとさ、海とは別の話だけど、8月になったらじいちゃんの家に帰省するんだけど結依も来ないか?』

 

『いいの? 私透真の祖父母の方達と面識無いし、家族間の輪の中に急に行くのもあれだと思うんだけど』


『じいちゃんは色んな人と仲良いし姉さんが友達とかが友達連れてくるとすげー喜ぶんだよ。だから大丈夫だと思うぞ』


『透真が言うんだったら、行く』


『そっか。行く日決まったらまた言うから』


『うん。ありがとう』

*

 

 透真は結依にメッセージで朝陽達が都合が合えば来ると伝えると結依は椿達が来ると分かるとメッセージ越しからでもとても喜んでいるのが感じ取れる。

 それから8月になってから帰省の話を結依に提案する。  

 最初は結依も遠慮していたが、透真の祖父母は孫達が友達を連れてくるとこれでもかというくらい饗すのが萩野家の祖父母の関わり方で、この関わり方をずっと行っているおかげか、祖父母には色んな人達との関係が築き上げられている。

 そのため結依が来ても特に問題は無いだろうと言うと結依も安心したのか行くと返事をする。


(夏休みも楽しくなりそうだ)


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