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14.週末デート...?②

 服を買った後は雑貨店やゲームセンター等に寄り映画までの時間を潰す事にし、ショッピングモールの色々なテナントを回った。

 色々回っている内にそろそろ映画が始まる時間になったので映画館へと向かう。透真は結依の方を見ると余程映画が楽しみなのか目がいつもよりキラキラと輝いていた。


「そんなに映画楽しみなのか?」


「だって作品の最後を劇場版にするんだからきっと最高の終わり方が待ってるでしょ!」


「確かに映画にまでするんだから駄作には出来ないな」


 確かに人気作品の最終回を映画化するのはリスクがある。もしその映画が不評にでもなれば作品自体の印象も落ちてしまうからだ。

 そういった事を懸念して映画化するのだからきっと良い作品なのだろうと結依が思っている事に透真も同感する。


「ポップコーン代は俺に払わせてくれないか?」


「え? いいの?」


「今日誘ってくれたお礼として受け取ってくれ」


「······そういう事なら、有難く受け取るけど」


 今日誘ってくれた上に予定まで立ててもらって今まで何も結依にあげれていない気しかしなくて顔が上がらないので少しくらいはと映画のポップコーンや飲み物代は透真が奢る事にした。

 ポップコーンと飲み物を買い、上映場所に向かう。透真と結依の席は右側の列の後ろ側だった。


「本当、席隣同士で取れてよかったよ」


「そうだな。そろそろ上映開始みたいだぞ」


 上映が始まりお互い好きな作品の為スクリーンから目を離すことなく映画を見ている。

 作画がとても綺麗で素晴らしく、声優の熱意が込まったような迫力あるセリフに透真は思わず鳥肌が立つ。

 最後は感動的なシーンがメインとなり、終わり方は完璧と言って間違いないだろうと思うくらい最高のエンディングだった。思わず目が潤んでしまうくらい。

 良い映画だったなと思いながら結依の方を見ると、大号泣していた。この前のお祝い食事会程ではないが感動したのか結依は鼻水をすすりながら泣いていた。


「······透真ぁ、最高の終わり方だったねぇ」


「いや泣きすぎだろ。ハンカチいるか?」


「ありがとう、うぅ······」


 確かに周りを見回してみると感動で泣いている人がちらほら見受けられるが結依程ではなかった。結依が異常すぎた。

 取り敢えず透真は結依が泣き止むのを待ち、映画館を出る。


 時刻は17時30分頃。そろそろ電車で帰った方がいい時刻だった。

 透真と結依からしても映画の余韻に浸って帰りたい気持ちがあったので駅まで戻ろうと考えていた。


「今日は楽しかったね〜 特に映画」


「映画がメインって思うくらいだったな」


 お互い買い物という体で来たのに映画を観るためにショッピングモールに来たかのような感覚になり2人で笑い合う。

 そろそろ駅に戻ろうとした時、思いがけない事が起こる。


「え! 透真!?」


 横から聞いたことのある活発な声色。その声を聞いた瞬間思わず透真は体がびくりと跳ねてしまった。

 透真が声の方向を見ると、なんと月島と水篠が驚いた顔で透真と結依の方向を見ていた。

 終わった。見られたくなかった2人に見られてしまった。


「お前、何で天宮さんと一緒に居るの!?」


――――――――――

 見られてしまった。見られたくなかった。2人だけの秘密のままにしておきたかった。


 この広場で話を続けるのも嫌なので近くにあったカフェに入る。

 透真と結依は少し下を向きこの気まずい空気が早く終わってくれないかと願うばかりだったが、その時月島が透真に聞いてくる。


「透真、何で天宮さんと一緒にここに居るんだ?」


「······ここから言う事実は他言無用と約束してくれるなら話す」


「俺も友達の秘密をバラす様な真似はしないから」


「分かった。俺と結依は幼稚園からの幼馴染で俺のマンションの隣に住んでいる。今日何故ここに居るかという質問の回答は結依との買い物で来たんだ」


「······なんか、凄い関係だね。まさか萩野君に幼馴染が居てそれが天宮さんだなんて」


 水篠は透真から真実を言われてもいまひとつ信用しがたい内容なので少し困惑している。


「ということは俺達からの誘いも天宮さんと出掛けるから行けなかったと」


「それに関しては本当に申し訳ない。だけど俺の勝手だが結依の方が大切なんだ」


 この言葉を言うのは月島や水篠にとって棘のある言葉だという事は重々承知の上で透真は誘いを断った理由を話す。これで最悪絶交とでも言われるようならそれは自分のせいだという事は覚悟していた。

 月島の体が少し震えている。それは怒っても仕方の無い事だ。


「透真、お前······」


「月島、俺は······」


「良い奴だなぁ〜」


「······は?」


 月島から返ってきた言葉は予想外にも程がある言葉だった。

 月島は中学の頃クラスメイトをいじめていたのにも関わらずそれを隠していた人の事をこれでもかというくらい怒鳴っていた事があった。それくらい月島は正義感が強く例え友達であろうとも隠し事は許さないと思っていたのだがその月島は少し泣いているようにも見えた。


「だってさ、俺達の誘いを天宮さんっていう幼馴染の為に断ったんだろ? そんなの仕方が無いに決まってるじゃんか。俺が透真の立場だったら同じ事してると思うぞ」


「月島······」


「多分だけどさ、萩野君には天宮さんとの関係を隠さないといけない理由があるんでしょ」


「それは······」


「無理に教えろとは言わないよ。僕らはそこまでする人では無いっていうのは萩野君がよく知ってると思うし」


 この2人はどこまで俺に対してこんな優しく接してくれるのだろう。

 透真の理由を否定せず客観的に意見を見て自分と合わせて意見を話してくれる月島の正義感溢れる良いところや、人の事情に無理に突っ掛からずに言える範囲で良いと言ってくれる人との距離を理解してくれる水篠。

 多分この2人と中学校会っていなかったら今の自分は無かったなと透真は思う。


「天宮さんごめんな。3人でばっか話してて」


「いや大丈夫だよ。元々は3人の事なんだから」


「一応クラス違うし自己紹介はしとかないとな。俺、月島宏斗。天宮さんよろしく!」


「僕は水篠渉。天宮さんよろしくね」


「月島くんに水篠くん、よろしくね」


 月島と水篠は結依とクラスが違うことから名前も恐らく分からないだろうという月島の考えから2人は自己紹介をする。余計な勘違いとかは全く無く何なら結依と2人が仲良くなれたことが嬉しい限りだと透真は思う。

 

「じゃあ透真、この話はずっと他言無用で良いんだな?」


「あぁ、それでお願いしたい。もしバレるような事があったら学校中が面倒になる事が目に見えてるからな」


「分かった。約束だ」


「そういえば僕たちはもう少し買い物とかするけど2人はどうするの?」


「俺と結依はそろそろ帰るよ。姉さんからなるべく遅くならないように帰ってこいって言われてるんだ」


「そっか。じゃあまた学校でだな 」


「あぁ。また学校で」


「天宮さんも気をつけてね」


「うん。2人ともありがとう」


 2人はもう少しショッピングモールに居るようなのでここで2人とは別れ透真と結依は駅まで向かう。

 さっきまでは映画の余韻に浸って帰るなどと言っていたものの、2人だけの秘密だったものが月島達にバレてしまってからは余韻といったものはとっくの前に消えてしまって疲労感だけが残ってしまった。

 疲れている様子に結依が気づいて気にかけてくれる。


「透真、大丈夫?」


「悪い、心配させたな。俺の危機感が足りてなくて」


「全然大丈夫だよ。それよりバレたのがあの友達2人だったのが不幸中の幸いだったよね」


「あぁ。本当に焦った」


「本当にごめんね。私のせいで······」


「だから結依は悪く無いから。これは正直、俺の問題なんだ」


 透真の問題が無ければ普通の学校生活を結依と暮らせていたのだがやはりトラウマが何処に行こうとも透真を付き纏って引きずっていく。このトラウマから解放されなければ、この問題は解決されない。

 そんな個人の問題に結依を介入したくない。いや、させたくない。自分の問題に他人を巻き込むなど大輔との約束を簡単に踏み躙るようなことなのだ。


「······これ」


「このキーホルダーって」


「雑貨屋のキーホルダーの場所を見てたらちょうど残り2つの物があったからこっそり買ったの。1個透真にあげる」


「良いのか?」


「うん。私とお揃いって事で」


 結依が買ったキーホルダーは月型のキーホルダーで少しラメ加工のおかげでキラキラと光っている。


「ありがとう。大切にする」


「電車来たよ。透真、乗ろっか」


「あぁ」








 



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