12.週末の予定
結依の本音を聞き自分の家に戻る。結依はそのまま自分の部屋に戻るという事なので玄関前で挨拶をして別れようとした時に結依が何やら聞いてきた。
「透真さ、今週末って空いてる?」
「一応予定は今のところないが、どうした?」
「······そのさ、今日私の本音を聞いてくれたお礼と言ってはなんだけど、週末2人でお買い物行かない?」
「······は?」
透真は困惑していた。勿論今日の事のお礼というところまでは理解出来ていたが、その後の2人で買い物に行こうという言葉だけはどうしてもすぐには理解できなかった。
結依は学校で人気者だ。そんな人と2人で一緒に出歩くようなものなら同級生の1人や2人に出会うことが目に見えていた。自分から首を絞めてどうする。
「いや分かってるよ? 同じ学校の子にバレたくないのは分かってるし行きたいのは少し電車で行く所だから大丈夫だと思うの」
「······それでもなぁ、必ずバレるって訳じゃ無いんだが、分かったよ。俺の勝手だけじゃ通らない事もあるよな」
「いいの? 別に無理して行こうとは提案してないけど」
「俺の事だけ通してばかりだと結依の自由も奪われかねない。そんなので結依の自由も奪いたくはない」
透真の心配性な部分を全て事情に通す事になると透真と関わっている人の自由を奪うことに繋がりかねないと思った透真は支えると大輔に誓ったばかりなのに破ってしまうのではないかと思っていた。
結依も無理に誘っているのではないかと心配になっていたが透真の言葉を聞いてその心配も薄れていった。
「······分かった」
「ごめんな、心配かけて」
「ううん、大丈夫。それより、週末の予定は後日連絡するから」
「あぁ、分かった」
「じゃあおやすみ。また明日ね」
「おやすみ」
結依と別れた後椿が何か心配そうに透真に駆け寄ってきた。
「······透真、結依ちゃん大丈夫だった?」
「あぁ、話の内容は結依本人から聞いてくれ。あいつの今までの事を俺から伝えるより、本人から聞いた方が姉さんにとってもいいでしょ?」
「······そうだね」
「それと、週末結依と買い物に出掛けることになった。と言っても場所は少し電車で行った所にあるから多分大丈夫だとは思うけど警戒はして行くよ」
「えっ、それってデート······」
「デートではない。まずデートって恋人同士がするものだろ」
「いや、今の時代友達の関係でもデートとして一緒に出歩く事も増えてるらしいぞ」
ソファで横になってスマホを見ている朝陽が急に会話に入って来る。まずなんでそんな事兄貴が知ってるんだよ恋愛とかそういった事殆ど興味無いくせして。
「とりあえず楽しんでこい。今の彼女には優しさなどを伝えたり行動で示す事が1番必要だ」
そう言って朝陽は少しばかりのお小遣いを透真に手渡す。本当、どこまでも優しい兄と姉だ。
お小遣いを貰い、少し3人で話した後、そろそろ寝る時間が近づいて来ているので早々と風呂に入り歯磨きを終わらせベッドに横たわる。
(結依と、2人きりで、買い物か······)
結依と買い物する事ばかり考えている内に透真は眠りについていた。
気がついて起きると時刻は朝5時半。週末の事が気になりすぎてあまり寝ることが出来なかった。
透真にとって異性と2人きりの外出だ。楽しみだとか気になるとか色々な感情が折り重なる事に違いない。
起きてからまた色々考えていたら時間は7時になっていたのでベッドから起き上がる。
少し重い瞼を擦りながらリビングに行くと椿が丁度朝御飯をつくり終えたところだった。
「透真おはよう〜 あれ? 昨日はよく眠れなかったの? 寝不足っぽく見えるけど」
「あぁ、あんま寝れなかった」
「週末が楽しみなの?」
「楽しみじゃないって言えば嘘になる」
「素直に言えばいいのに。週末、楽しみなんだね」
透真の言葉を聞いて椿は楽しそうにしている透真を久々に見ることができて嬉しいのか微笑みをみせる。
「そういえば兄貴は?」
「朝陽は大学だよ。それより早くご飯食べちゃいな」
「うん。いただきます」
椿の朝御飯を食べ終え学校の準備を済ませ玄関に行き椿に挨拶をし学校に向かう。
――――――――
学校は何事も無く終わったが授業中や昼食の時間などずっと週末の事を考えていて授業は全くと言っていいほど頭に入らなかった。
帰ろうとした時月島と水篠から声をかけられる。
「なぁ透真、今週末遊びに行かねぇか?」
「新しくできたショッピングモールがあってね、そこに行こうとしていたんだけどどうかな?」
「悪いけど、今週末は予定が入ってるんだ。すまないな」
「いや、透真にも予定とかあるよな。また時間あるときに遊ぼうぜ」
「あぁ。それじゃまた明日」
「萩野君また明日ね」
月島と水篠から新しく出来たショッピングモールに行き遊ばないかと誘われたが生憎結依との約束がある。これだけは親友の誘いを受けたとしても結依の約束を優先せざるを得ない。
確かに月島達の誘いを断ったのは申し訳無いと思っている。だが結依は一番と言っていいほど大切な人だ。
今度何か月島達にお詫びをしようと透真は決めた。
帰っている最中に結依からメッセージが来ていて、恐らく週末の約束の事についてだろうとメッセージを開くと思った通りだった。
*
『透真、週末の予定なんだけど、土曜日の10時に駅前集合で良いかな?』
『ああ。その時間で構わない』
『ありがとう』
*
買い物の予定が決まり土曜日の午前10時に駅前集合との事だった。
透真は結依が先に待っているとナンパなど危険な目に合わないとは言い難い為30分前には着いて時間を潰そうかと思った。
その後の土曜日までの学校はずっと結依との買い物の事で一杯だった。なんなら家でもそうだった。
そわそわしているかのような透真に朝陽と椿はなんだか嬉しそうにしていた。昔の透真からは見られなかった表情を見ることができ、結依と出会ってから透真は少しずつ変わってきているなと2人は感じていた。
透真が寝た後、朝陽と椿はリビングでテレビを付けながら2人で話していた。
「明日は透真と結依ちゃんのデートかぁ」
「本人はデートとは認めてないけどな。だが透真にとっては最近で1番楽しみにしている事なんじゃないのか?」
「それもそうだね。私は2人の様子が気になるからこっそり着いていこうかとも考えていたんだけど」
「やらなくていいだろ。それに2人に椿姉がバレたらそれこそ楽しみにしていた買い物が台無しだ」
「あはは、ですよねー」
「透真、明日は楽しく過ごせるといいな」
「だね」




