創造主になった日
報酬は、貰ったけど?
「遊びに行くって……。日本に……行けるのか?」
「ポタンちゃんの研究をこっそりと見ててね。時空を曲げる方法を見つけたんだ。あの子凄いよ。本当に……」
「ポタンが凄いのには同意する。だけど、お前も相当凄いぞ……。ポタンより先に完成させるなんて……」
「ハハハ。ありがとう。億年生きれば元気も僕みたいになれるよ」
「億年て……長すぎるな。それに、世界をくれる。って、どういう事?いらないんだけど?」
「酷いな。一応僕の本体なんだよ?ハハハ……。世界の方は、自由にすればいいよ。世界を滅ぼすも、発展させるも。フフフ……。ハーレム化させるのも、自由だ」
「ハ、ハーレム化だって……」
元気がゴクリと息を呑む。
「ハハハ。元気は解りやすいな。まぁ、自由にすればいいさ、元気が思った通りにね」
そう言うとラストが指を鳴らした。
「何したんだ?」
「権限を与えたんだ。僕と同じにね。これで、本当に何でも出来るよ」
ラストが元気に微笑む。
「いや……。実感がわかないんだけど……」
「ハハハ……。まぁ、便利になったって思えばいいよ。じゃ、僕はそろそろ行くよ……凄く……楽しみなんだ」
ラストが嬉しそうに椅子から立ち上がる。
「向こうで……。何するんだ?多分。お前が思ってる程、楽しくは……無いぞ?」
「ハハハ……。それでも良いんだ。僕は、知らない事を知りたい……。楽しみたい。そうだ!元気も一緒に行くかい?」
ラストが元気に手を伸ばす。
「い、いや……。いい。帰ってもやる事無いし……。ミリャナとの生活の方が大事だ。それに、ミリャナやポタンを置いては行けない……」
「そう?残念」
ラストはそう言うと目の前にゲートを開く。
「……。もう、会えないのか?」
「フフフ……。そんな事は無いよ。僕はいつでも帰って来れるし……。そのうちポタンちゃんが、このゲートを使える様になるよ」
「そうか……。元気でな……。億年分……。地球で遊んで来るといいさ」
元気とラストが、握手する。
「ハハハ。そうする。じゃ、またね。元気!……。あ!あ、そうそう。世界が滅ぶと、元気も死んじゃうから、気を付けてね……。フフフ……。異世界人が世界を破壊するとか……」
「そんな、世界が滅ぶなんて……」
「露死南無天だっけ?あの、お馬さん……。彼が太陽に化けてごらんよ……。フフフ……。僕の言いたい事が解ったみたいだね……。それじゃ、色々とよろしくね」
ラストはそう言うとゲートに消えて行った。
「露死南無天……。ヤバ……。ってか……。世界貰っても嬉しくねぇし、実感無いっての……」
そう言いながらも、嬉しそうに去って行ったラストに対し、良かったな。と思う元気だった。
その後、元気は瞬間移動でポタン達と合流した。
「そう。ママは無事帰ったのね……。良かった。所で……。パパ……。どうやって、ここまで来たの?」
現在、露死南無天達は、泥沼のトラップに引っ掛かったフェルミナを救助している。どうしてそうなったのか、フェルミナがの足だけが泥沼から出ていた。
「あっちの方が、どうなってるのかが知りたいけど……」
「……。出口は、沼の底にあるかも知れん!って言って、飛び込んだのよ。さっきは、毒矢に刺さって死にかけてたわ」
ポタンが心無しか疲れている。
「毒矢って、酷いな……。……ポタン。俺、報酬で世界貰っちゃたんだ。創造主のラストに……」
「は?どゆ事?説明求む」
元気は、事の顛末をポタンに聞かせた。
「お馬鹿!何やってるのパパ!」
「え?。怒る感じなの?」
「あたり前よ!本当にお馬鹿なんだから!」
「い、いや……。半分強制的と言うか、気付いたらなってたんだよ。それにやる事はほとんど何も無いって言うし、便利だ。って言うから……まぁ、良いかって……」
「何も無いですって?世界の管理があるでしょ!人間はほったらかしで良いかもだけど!神々の役割とか知ってるの?」
「え?役割とか……。あるの?」
「……。風も大地も海も空も森も、運命や時間。癒しや病気や暗闇にだって。全部に神がいるわ、それぞれの役割を担って世界を回してる」
「え?そうなの?」
「それに、この星は自転してないの、それも神々の力のおかげよ……」
「へ〜。そうなんだ……」
自転は知っているが、自転しないとどうなるのか、あまり知らない元気だった。
「……。それに、この、ダンジョンだってそう!誰が管理するの?世界各国にあるのよ?放置したら、魔物が町に溢れるわ!……まさか、パパ。ダンジョンには勝手に魔物が生まれたり、宝箱が生まれるとか……思って無いわよね?」
ポタンは難しい話しをするのを諦めた。
「……。」
自然発生じゃ無いんだ。と元気は思う。
「はぁ。まったく……。言わば、創造主は会社の社長みたいな物よ。暇な訳が無いでしょ」
「ポ。ポタン……。どうしよ?あ!そうだ!この能力ポタンにあげるよ!パパからのプレゼントだ!」
「いる訳無いでしょ!子どもに面倒事を押し付けるパパが、この世のどこに……。はぁ……」
ポタンの目の前にいた。
「……。社長……創造主って……忙しいの?ラストは暇だって言ってたんだけど……」
「暇?そうね。慣れれば、暇かもね……。退屈の極み……。何億年も同じ事の繰り返し……。はっきり言って地獄よ……。フェルミナやマーリュク見てたら解るけど……。神々の協力もほとんど無いんでしょうね……」
ポタンが、沼から足だけ出たフェルミナと、露死南無天を応援するマーリュクを見る。
「騙された!……くそ!ラストめ!笑顔が胡散臭いと思ったんだ!アイツ!仕事を押し付けて、遊びに行きやがった!」
「ラストが言った事は嘘では無いわよ。……暇で退屈だし。それに自由だもの……魔法と世界については、ね……。管理と責任があるってだけ。勘違いしたパパが悪いわ……。って事で、パパ。魔法の制限解除だけくれない?」
ポタンがニコリと笑う。
「やだよ。ダンジョンの報酬が、管理と責任だけってどんなバツゲームだよ。……。でも、ポタンが色々と手伝ってくれるなら……研究に付き合うのは、やぶさかでは無いな……」
「……。パパも少しは賢くなったじゃない……。面倒事は嫌だけど……。パパが困ってるなら、仕方ないわね。手伝ってあげるわ」
お互いの利益の為に二人は握手した。
「とりあえず、いったん帰りましょ。ママが心配してるだろうし……私とパパの先の事も……。考えなくちゃ……」
「俺とポタンの?死ぬまでずっと一緒だけど?」
「……。そう言う事じゃない、ずっとは一緒にいないし。……そうじゃ、無くて……。ママの両親が帰って来たんでしょ?……本当の家族が……」
「……。うん。……。そうだな……。考えないとな……。いくら大好きでも……。俺達は、家族じゃ無いんだもんな……」
家族水入らず。それがいい事だとわかっていても、元気は寂しくなってしまう。
「……。パパ……抱っこ……」
「うん。パパも抱っこしたい……」
ポタンも一緒だった。
元気がポタンをぎゅっと抱きしめる。ポタンも元気をぎゅっと抱きしめる。
「大丈夫。パパが何とかする……。大丈夫だから」
「うん……」
「おや!元気では無いか!やっと来たか!この迷宮は、凄いぞ!」
元気とポタンが慰め合っていると、泥だらけのフェルミナと、救助が終わった露死南無天とマーリュクがやって来た。
その後、「せっかくだし、まだ遊んで帰る」と言う三人を残し、ポタンと元気は、帰宅したのだった。
ここでまた、色んな筋道が出来ましたね。
ダンジョン編。次回終了かな?多分……w
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