28階層~地獄の椅子~
悪口が出るのは、その人をよく見ているから……だといいなw
「も、もう。勘弁して……くれ」
「駄目よ。ヒール。次ポタンね」
「しつこい所」
「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!」
28階層の悪魔の椅子で、元気は死にかけていた。
元気達は27階層の椅子を難なく突破し、28階層に到達していた。
27階層の椅子には。露死南無天が座った。
質問は同じで良い所10個。「優しい所」「渋い所」「強い所」「居ると安心する所」「エロく無い所」「ちゃんと怒った後で説明してくれる所」「面白い所」「時々子供っぽい所」「冷静な所」「ちゃんと見てる所」
悪い所5個。「優し過ぎる所」「エロく無い所」「真面目過ぎる所」「ござるが多い所」「皆を見る所」とマーリュクがほとんど答えてしまい、即座に終了した。
「ブルッフフフ……。マーリュクありがとうのう。拙者、嬉しいでござる」
「フフフ……。いいわよ!露死南無天の為だもの!」
ステージをクリアした露死南無天とマーリュクに、お爺さんと孫娘の様な、暖かい絆が生まれていたのだった。
クリア報酬には、馬の鞍が入っていた。
フロアの宝箱からは椅子に座った人間が使える物が、出て来る様だった。
『ポタンちゃんと、マーリュクちゃんは子供だし、コンプライアンス的に電気ショックは駄目なんだ。だから、次は元気ね』
「何だよそれ!ズルいぞ!」
『元ちゃん!ポタンに危ない事させるつもりなの?』
「い、いや!そ、そんな事はしない!」
『フフフ……。知ってるわ。頑張ってね。元ちゃん!』
「あぁ!任せろ!」
メタ発言を始めた悪党に指名され。自分で逃げ場を無くした元気は、28階層の悪魔椅子に座っているのだった。
始まりは、やはりフェルミナだった。
『良い所を10個。答えよ』
「馬鹿な所だな!」
「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!おい!フェルミナ!馬鹿か!お前!良い所を言うんだよ!」
「良い所だぞ?馬鹿で面白い!」
「お前に言われたくないわ!馬鹿が余計だ!」
「うむ。そうか、じゃ、面白い所。次はマーリュク」
「馬鹿」
「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!いい加減にしろ!もういい、ポタン……。頼むよ……」
「…………。ママに甘えすぎな所」
「うげげげげげげげげげ!!!ちょっと!タイム!作戦タイム!だ!クソ!これぐぐぐぐぐ!クソ!ハズレねぇ!ろ、露死南無天……」
元気が露死南無天を見る。
「……。修行を途中で抜け出すのは……感心せぬのう……」
「うひひひひひひぃ~!!!」
28階層に来て、かれこれ30分……。元気は地獄椅子で地獄を見ていたのだった。
『ちょっと……。元ちゃんが可哀想よ……。そろそろ許してあげて』
ミリャナの声でアナウンスが流れる。
「ミ、ミリャナ……」
元気がそれを聞いて泣きそうになる。
「駄目よ。ママ……。ママも言いたい事あるでしょ?こんな時じゃないと、聞かないんだからパパは」
『言いたい事なんて……』
「ママ?嘘つきは駄目なんでしょ?」
『…………。わ、私の……。その、く、靴をくんくんするのは、恥ずかしいから……。辞めて欲しいな……』
「バレてたのぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ~!!!」
『ち、違うのよ!悪口じゃないの!冒険の後は、そのやっぱり……匂うじゃない……だから……その……臭いのは嫌でしょ?』
元気がぐっと力を振り絞り……叫ぶ。
「はぁ……はぁ……。ミリャナの匂いなら……。どんな匂いでも、俺は愛する事が出来る!」
『げ、元ちゃん……』
ミリャナの声が、感動している風に震える。
「いや……。アンタ達がクサいわよ」
「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!」
マーリュクの鋭いツッコミと、椅子の電撃が元気を襲った。
『げ、元ちゃん!?』
元気が白目をむいて気絶してしまった。電気で縮れたアフロヘアーと、開いた口からは黒い煙が上がっている。
『ちょ。ちょっと君達……。あんまりだよ……。もうそろそろ……ね』
悪党が元気の心配をする。
「どうする?ポタン?」
「まぁ、仕方ないわね……」
「うむ。私はもう満足した!」
「ブルッフフフ……。これで少しは、性根が真っ直ぐになるかも知れんでござるな」
4人は笑い合うと、元気を見据える。
「そうだな!やっぱり、面白い所だな!そして、優しいな!作るご飯も美味しい!おやつもだ!次はマーリュクだな」
「う~ん。そうね……。無関心そうだけど、ちゃんと色々と見てる所?後は、見かけによらず頼りになるわね……次はポタン」
「……。気絶してて良かったわ。面倒見が良い所、一途な所、ママを好きな所……。ポタンを守ってくれる所……」
「ブルッフフフ……。元気は皆に愛されておるのう……。素直な所、真面目な所……。簡単そうで難しい良い所でござる……では、最後にミリャナ殿!」
『え!?私!……。。……フフフ……一緒にいて……安心させてくれる所……かな?ちゃんと私の事も考えてくれるし……。人を……。本当に傷つける事を言わない所が1番好き……』
「おや?良い所を言うのであって、ノロける場では無いのじゃがなぁ……ブルッフフフ……」
『あ!あの、ち、違うのよ?そんなつもりじゃ!……。ひゃー!助けてー!……』
ブツン。とアナウンスが終わった。
『悪い所を5個答えよ』
「馬鹿。阿呆。マヌケ。スケベ。ニート。キモイ。アンポンタン。これで良いかしら?」
マーリュクがササッと答える。
『おめでとう!次の階層へ進んでね!』
椅子が魔石に変わると、ドサリと元気が床に転がる。
「じゃ。ヒールを……あ、コイツ!起きてるわよ!」
元気がピクリと動く。
「え!何だと!元気!お前凄いな!良く耐えられたものだ!」
「お、おやおやー?ど、どーうしたんだろ?俺?あれ!あ!そうだったー、気絶しちゃったんだったー」
元気も演技が下手だった。
「最低ねパパ!もう嫌い!」
「またまた~。ポタンったら~、パパが一生守るかぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!」
ポタンの電撃魔法が元気を襲い。今度こそ本当に元気が気絶してしまった。
「おぉ。何という威力じゃ!凄いのぅポタン!」
「フフフ……。電流に少し水分を加えて。感電の速度を上げたの。それに超振動を加えて、ほとんどの魔法壁は貫通するわ。まぁ、パパ以外は即死だろうから、普段は使えないけどね」
ポタンが自慢気に語る。
「ふむ……。今度。教えを請うても良いかの、ポタン」
「お城で今、お爺様達に教えてるから。一緒にどうぞ」
「うむ。ありがとうでござる!」
「わ、私も行きたい!ね!フェルミナも行こ!」
「ふむ。そうだな!ダンジョンも終わるし、マーリュクが行きたいならそうしよう!」
「フフフ……。ありがとう!フェルミナ!じゃ、私、ちょっと宝箱見て来る!」
和やかムードの中。マーリュクが笑顔で宝箱を開けに行く……。そして、宝箱を開けた瞬間に笑顔が曇ってしまった。
「……何コレ……。最低……」
元気専用の宝箱には、白い女性用パンツが1枚入っていたのだった。
マーリュクはそれを燃やすと、元気を蹴飛ばし、中身を皆に伝えた。
その後一同は、元気を置いて29階層に向かったのだった。
ダンジョン編もそろそろ終わりです。
また色々と、派生しそうですが引き続きよろしくお願いします(*^_^*)
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