魔王が死んだ日
魔王オルガン達の最後日
「魔王!オルガン様!準備が整いました!」
「そうか……フフフ……。あの忌々しい巨人を引き連れたエルフ共め……。皆殺しにしてやる……」
魔王城への襲撃からひと月……。魔王オルガンは、アルカンハイトへの逆襲作戦を着々と進め……今夜、出発の手はずを整え終わったのだった。
「しかし、魔王様……。魔王様が直々に出向かなくても、我々。3人……。魔王軍の幹部だけで、よろしいのではないのですか?」
カエル形の魔族ヤズールが、オルガンに進言する。
「ヤズールの言うとおりだぜ?魔王様よ?俺らでもやれるって」
それにトカゲ形の魔族ヒルズが賛同。
「ヒルズ……。言葉遣いが汚いですよ……。なおしなさい……」
「うるせぇな……。殺すぞヤズール」
「やめろ。お前達、王の御前だ」
ハチ形の魔族ダルアが二人をいさめる……。
「ダルアは今日も優等生だな~、おい、殺すぞクソアマ……」
ヤズール・ヒルズ・ダルアこの3人が現在の魔王軍幹部だ。
爬虫類・昆虫形の魔族は、モンスターの進化形態であり。それぞれに能力が超特化している。
「静まれ……。向こうには、裏切り者の、ミノスがいる……それに、巨人を操るエルフに……ミノスをしのぐ謎の男だ……」
「それ、マジモンの話しなのかい?魔王様よ?ミノスはそれなりに強いぞ?その内殺すつもりだったがな!ぎゃははははは!」
「本当、下品ね、あなた……。しかし、ミノスを倒すほどの男など……」
「確かに、我々だけでは……手に負えませんね……」
「案ずるな……その為に4千もの奴隷兵をかき集めたのだ……。しかし……集まりが悪かったな?何故だ?」
「それが……。避難民が何処にも見当たらなかったのです……」
「あぁ。忽然と消えてたな。殺し損ねたぜ……」
「殺してどうするのよ。ヒルズ……馬鹿じゃないの?」
「あぁ?ダルアてめぇ……」
「やめろ。二人とも……。話しが進みません……。魔王様どうやら、それにもエルフ達が絡んでいる様でして……」
「そうか……。まあよいわ……。中央戦争も我が国の勝利が近い……。ククク……人間の王が何者かに殺されたらしいからな……」
「それは、めでたい話しですね」
「まぁ、アルカンハイトの様な島国など、すぐに落として、そこからゆっくりと、中央に攻め入ればよかろう……」
「あぁ~、早く行こうぜ魔王様よ!早く、人間を殺してぇぜ!ぎゃははははは!」
「そうだな。では、行くとしよう……」
この日。四千人の奴隷兵を引き連れた。魔王オルガン達は、アルカンハイトへ向けて進軍を始めたのだった。
しかし、アルカンハイトまで、あと1日という所で、異変は起こった。
「おい、ガキ……誰だ?てめぇ?何で、この船の上にいんだ?どうやって来た?」
「やぁ、僕はラトスだったかな?スラトだったかな?ハハハ……今度あったら。僕の名前……また。呼んでもらわなきゃ……とりあえず、スラトでいいや……」
魔族達は、船の上に突如として現れた。白髪の少年。スラトの対応にあたっていた。
「君が何を言っているのか、知りませんが……。ここは、子供が遊びに来る所では、ありませんねぇ……。まぁ、いっぱいお友達がいますので……案内いたし……」
「は?何処に消えたんだ?カエルの野郎……」
急に。目の前から消えてしまった、ヤズールにヒルズは動揺する。
「下だよ。下……。海の底……」
スラトが足元を指さしてニコリと笑う……。
「はぁ?お前……。なに言ってんだ?こら、殺すぞ?」
「それは、困るな~。ちょっとお話しをーー」
「ーーうるせぇ!さっさと!死……」
「ヒルズ!?」
ダルアが、スラトに飛びかかったヒルズを止めようとするが、間に合わない……ヒルズも忽然と姿を消した。
「ねぇ。君は、お話しを聞いてくれるかな?」
ダルアはスラトに恐怖感を覚える。
「あ、あなた……。一体……何をしたの……」
「フフフ……。見るかい?多分、見たら。凄く……後悔すると思うよ?」
スラトが不適に笑う。そして、消してしまった。二人だった物を船の上に戻した。
「きゃあああぁあぁぁっっ!!!」
ダルアはそれを見て絶叫する。
「そっちのカエルの人は海底……」
戻って来たヤズールは内臓が飛び出し……水圧でグチャグチャに潰れていた。
「こっちのトカゲの人は火山……」
ヒルズは半分程ドロドロに溶け、未だに付着した溶岩で体が燃えていた。
「お姉さんは、何処に行きたい?」
ダルアは恐怖で体がガタガタと震える。
「お話し……出来るかな?」
「話しは我が聞こう。小僧」
「オ、オルガン様……」
「やぁ。こんばんは……。ありがとう。僕はね。彼の邪魔をされると、困るんだ……」
「彼?誰だそれは?」
「僕の友達さ……。だから、あの島には近づかないでおくれよ。お願いだからさ……」
スラトがニコリと笑顔でオルガンに頭を下げる。
「馬鹿か小僧……そんな事は出来ん。こちらは遊びではないのだ。まったく、コイツらは子供なぞに油断しおって……」
「どうしても駄目かい?」
スラトが頭を上げてニコリとする。
「オ、オルガン様……。も、戻りましょう……。駄目ですこの者は、何かが変です……戻り……!!!!!」
ダルアの頭が、オルガンの一撃によって吹き飛とんだ。
「戯けめ……。こんな子供にビビりおってからに……。では、小僧。死ね……。話しは終わり……!!!!!なん……ごっぉこわぁが……」
宇宙に飛ばされたオルガンが、ボコボコっと膨れあがり……ボン!っと破裂した。
「あ~あ……。可哀想に……。よっと」
スラトがダルアへと、ヒールをかける……すると、頭が再生し……。ダルアが蘇生した。
「あ。え……?ひひぃぃぃぃ……」
ダルアがスラトから後ずさりする。
「大丈夫だよ。君は話しをする気が、あるみたいだから……。怖がらないで……。出来る?お話し?」
ダルアは必死で頷く。
「ありがとう……。僕はね……彼と遊びたいんだ……。もうすぐなんだよ……。彼が僕の所までやって来るの……。凄く楽しみなんだ……。君……。クッキーって知ってる?」
「い、いい、いえ……し、知りません……ひっ!」
「フフフ……。これ、凄く美味しいんだ。食べてごらん……」
「は、は、はい……」
スラトに差し出されたクッキーを、ダルアが食べる……。すると口の中に甘さが広がり、気が抜けて行く……そして……ダルアは失禁してしまった。
「ハハハ……。おしっこが出るほど美味しかったかい?じゃ、もっと出しといてあげるよ。船の中のお友達にも……ね」
船いっぱいに、スラトはクッキーを出す。
「凄いだろ?このクッキー……?僕はさ、知らない事はないんだ……。だからビックリしたんだ……。ねぇ、凄い美味しかったでしょう?」
「はい……。美味しかったです……」
「フフフ……。おちついた様だね……。よかったよ。フフフ……僕はね。彼と遊ぶのが楽しみなんだ……。だからね。帰ってくれ無いかな?お家に」
「はい!帰ります!そして、二度とアルカンハイトには、近づきません!」
「そう、ありがとう……。じゃ、陸地まで送ってあげるよ。……さよなら」
スラトがそう言った瞬間、ダルアが見ていた景色が、魔国の景色に変わった。
「こ、これは……!?た、助かったのか……私は…………。おいしい……」
その後、ダルアは奴隷を解放し、クッキーを持たせて帰らせた。
「魔王様は死んだ……のよね……。もう……この国は終わりだわ……ヴェルゴレ様を裏切った罰ね……フフフ……。私……これからどうしよ……。おいしい……」
あの白い髪の少年は、一体何者で……その友達とは……一体何者なのだろうか?と、ダルアはクッキーを食べながら、思うのであった……。
さすがに、魔王がロボット踏まれて死んだはないですよねw
次回かその辺りから多分何か起こりますw
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