ダンジョンペナルティー。
戦いとは?
元気とミリャナが仲直りした後で3人は、ポタンから渡された、ダンジョンペナルティーについて書かれた紙の確認を始めた。
「えっと、じゃぁ、読むわね。ダンジョン内部では、回復。身体強化。魔力の使用にレベルによる制限が起きる。あがったレベル分の能力はダンジョン外でも適用される」
「なるほど。じゃ、レベル上げ自体は中でも外でも重要な訳なんだな」
「拙者は。その冒険者の札が無いのだが、どうなるのであろうか?」
「最初に冒険者の登録をした時。俺とミリャナにレベル差があったから、反映はされてると思うよ?」
「そうでござるか。ならいいでござる」
「じゃ、続けるわね。ペナルティーにについて……。レベルを越えた魔法の使用。使用者に対しての行動制限。これはパパに対してのペナルティーが異世界特典の状態異常無効のせ効果で。使用者ではなく、使用されたママに移り、睡眠が長引いたと思われる……」
「なるほど……ごめんミリャナ……」
「私は寝ていただけだし、気にしないで……。それに、今度は負けなければいいだけよ!」
「ブルッファハハハ!ミリャ殿は、本当にいいおなごでござるな!」
「だろ~?世界の女の子全員ミリャナになればいいのにな~。世界が平和で幸せになる」
「私は嫌よそんなの、ポタンもアイリスも、ヘレンだって私は好きなんだから!」
真面目に答えるミリャナが、元気と露死南無天はたまらなく可笑しくなり。顔を見合わせて笑ってしまった。
「え?なに?ちょっと!笑わないでってば!もう!続けるわよ!
他には……。レベルによっては、身体強化は能力の低下。などの反転の効果もあるとのこと。武器防具についても。付与魔法等は使用者のレベルで決まる……」
「なるほどな……。って事はミリャナのレベルが上がれば、装備の効果も上がるって事か……そして、俺がミリャナを守ろうと思って過度に強化すると、逆に邪魔になるんだな……」
「これらの制限や、ペナルティーは、普通の人間にではなく。異世界人やエルフそして神々がダンジョンを楽しめる様に、設定されたルールっぽい。なので、ママや他の冒険者達には、ほとんど関係無い物だと思われる……。今分かってるのは、これ位かな。あとは、パパがお馬鹿なのと。私がママを愛してる。って事だよ。ママ大好き。……だって……フフフ……ポタンったら」
ポタンからの手紙を読み終わると、ミリャナは手紙を腰の道具入れに大事にしまった。
「なるほどな……。俺と露死南無天が気をつける内容がほとんどだ」
「うむっ。気をつけなければいかんな」
3人は手紙を読み終わると、昼食を取り。午後のレベル上げを始めた。
「元気よ。踏み込みが甘いぞ。もっと速く……叩くのでは無く。切るのだ」
「はい!」
ミリャナはいつも通りにレベル上げだが、元気は露死南無天に戦い方の指導を受ける事になった。
「露死南無天!俺に戦い方を教えて欲しい……」
「そうだなぁ。家、早く作ってくれるならいいでござるよ……。毎夜毎夜。さむうて叶わんのだ」
「わかった!いいのを建てるよ!よろしくお願いします!先生!」
「先生はよせでござる。何かこそばゆいでござるよ。そんなにかしこまらんでいいでござる」
そして……。その日の終わり。ミリャナはグリズリーにリベンジを行った。
「ミリャナ……。本当に大丈夫?」
「もう。そんなに不安そうにしないで元ちゃん。大丈夫!戦い方は色々と考えたから」
「ふむ。ミリャナ殿は本当に戦いの才能があるのだな。相手を想像して、作戦を建てるとても大事な事だ。元気も見習うといいでござるよ」
「イメージトレーニングみたいなものか……。うん、これからはちゃんとやって見るよ」
元気は自信満々でボス部屋へ入るミリャナを信じ、露死南無天と共に後に続いた。
ミリャナは闘技場に一人で降り。現れたグリズリーへと戦闘態勢をとる。そして……
「パライズアロー!」
麻痺矢をグリズリーに打ち込んだ。
「ぐおぉぉぉぉ!」
矢が刺さると。グリズリーがミリャナへ突進する……それをミリャナが風魔法を使い避け、麻痺矢を当てて行く。
「矢の精度が上がってる……」
「うむ。レベルはそこまで上がらなくなって来た。と言って、ミリャナ殿は今日は朝から繰り返し繰り返し。弓矢の精度を鍛錬しておったでござるよ」
「朝から、繰り返し……ずっと」
「よく、見ておけ元気……。あれが、自分のプライドを守る為に頑張る者。の姿でござる……。とてもカッコ良かろう?」
「うん。凄く……格好いい」
元気の視界の先……今そこに写るのは……。
ミリャナのニーハイでも、揺れるおっぱいでもなく。懸命に強敵と戦う一人の戦士の姿だった。
「パライズアロー!」
ミリャナが5度目の麻痺矢を撃ち込んだ時。グリズリーがけいれんし。動きが止まった。
「はぁぁぁ!」
ミリャナがポイズンアローの矢を両手に掴み、グリズリーに接近する。そして……グリズリーの両目へと矢を突き立てた。
「グゴ……ゴウォ……」
グリズリーは麻痺で声が出せない……そして反撃も出来ない……。ミリャナはそれを確認すると、今度はグリズリーの足の健をナイフで切った。
グリズリーがバランスを崩して地面にひれ伏すのを確認すると、ミリャナはグリズリーと距離を取る。そろそろ麻痺の効果が切れる時間だからだ。
昼間のウチに何度も、モンスターを相手に性能を確認し、大体の効果時間をミリャナは把握していた。
そして……。はいずるグリズリーに向けて、一定の距離を取りながら。一方的にポイズンアローを打ち続けた。
「元気よ。あの戦い方……地味だと思ったでござろう?」
「え?まぁ……。派手ではないよな……。自信満々だったから。もっと何かこう……。格好いい必殺技とかあるかと思った……。でも……。凄いとは思うし……。ミリャナを怒らせるのはちょっとだけ控えようと思った」
「お前はもっと、怒られた方がよい。ペロペロにクンクン。カプリとは一体。何でござるか……まったく。必殺技とは、必殺……。必ず殺す技でござる。本来は格好いい物では無いでござるよ。露死南無天斬りぃ!とか言われて殺されたらたまらんでござろう?」
「最後に聞くのがそれじゃ、確かに嫌だな」
「歌舞伎者やチンドン屋のチャンバラなら良いが。ミリャナ殿は違う。命と命のやり取りをしているのだ。あれが本当の戦い……殺し合いでござる」
「……」
ミリャナははいずって来るグリズリーに対して、ひたすら無言で矢を放っている。地味だが……。息を呑んでしまいそうな緊張感に包まれた戦いに、元気は目が離せなかった。
ミリャナの弓を撃つ手が止まったのは、29本の矢をグリズリーに撃ちこんだ後だった。ようやく、グリズリーの動きが止まった。
淡く光りながら魔石になっていくグリズリーに近寄り、ミリャナは優しく撫でる。そしてグリズリーへ「ありがとう」とお礼を言った。
グリズリーが魔石になると、赤かったゲートが青色に変わり。ゲート前にポン!っと宝箱が現れた。
「本当にゲームだな……神々の遊びか……」
「さて、ミリャナ殿の元にまいろう」
「うん」
二人はミリャナに近づき声をかけた。
「ミリャナ殿、大丈夫でござるか?」
「ろしさん……。うん大丈夫……。でも倒せたらもっと。嬉しいと思ってた……」
「ブルッファハハハ……。強者がいなくなってさみしいのでござろう?命のやり取りとは、そんなもんでござる」
「そうなの?でも……嬉しい気持ちもちゃんとあるの……。でも、素直に喜べないって言うか」
「ミリャナ殿は本当に優しいのでござるな。しかし、殺し合いに情けは無用!勝者は素直に喜ぶでござるよ。そうすれば相手も浮かばれよう。な!元気よ!」
「俺に聞くなって……。でも、悲しい顔されるよりかは、嬉しいかも」
「そうね……。この人のおかげで強くなれたんだし。悲しむんじゃなくて、感謝しなきゃね!」
「うむっ!そうでござる!笑顔が一番!」
「うん!ミリャナは笑顔が一番可愛い!」
「もう、二人とも……。ありがとう」
こうしてミリャナの戦いが終わり。現れた宝箱を開け。次のフロアへと3人は向かった。
宝箱の中には、銀貨が数枚入っていた。
元気は銀貨かよ。と思ったが、このダンジョンは神々のゲームだ……。もちろんレアドロップ等もある。フェルミナが拾ったドラゴンの卵がそうだった。
ボスフロアからのゲートをくぐると、そこには壮大な森が広がっていた。
「凄い……。建物の中じゃないみたい……」
「うむっ……。香りも雰囲気も森そのものでござるな……」
「お、何だこれ……セーブポイント?ははっ本当にゲームだな……。登録っと」
「セーブってなに?元ちゃん?」
「冒険の記録かな?多分。上の兵士に言えばここまですぐに来られるんじゃ無いのかな?」
「なるほど……。便利でござるな」
「……お。なるほど……。このパネルで切り替えるのか」
元気がゲートの横についたパネルに手を触れる。すると光出し階層の表示が現れた。
そして、行ける階層は青。行けない階層は赤。全部で30階層だ……先は長い……。
「とりあえず、ちょっと早いけど、今日は帰ろうか……。露死南無天の家の事もあるし……仲直りの報告もしなきゃ……」
「そ、そうね……心配かけたものね……」
「いやぁ~。楽しみでござるな」
4階層の探索は明日にする事にして、今日の冒険を終了した。そして3人は、ゲートを地上に設定してゲートくぐり地上に戻った。
元気は家に戻ると、露死南無天の小屋を建てようと思った。だが、スペースが無かった為。ユートピアの農場地帯へ家を建てる事にした。
「おぉ……。素晴らしいでござる!」
露死南無天の希望通りにしたら、小さな日本のお城のミニチュアみたいになった。
「一国の主、自分の城を持つのは、男の夢でござる!感謝するぞ元気!」
周りの建物と風景とのアンバランスさが過ぎたが、露死南無天が泣いて喜んだので、まいいか。と元気は思い。室内の寝具等を一式和風で揃え。明日もよろしく。と言って帰宅した。
その後は、元気とミリャナが皆に謝ったり。ミリャナが冒険の話しをしたりして。皆で楽しく夕食を食べた。そして明日の冒険の話しをしながら、まったりと夜が更けていったのだった。
ペナルティー説明にリターンマッチ終了。
バシンバシン戦うか迷いましたが、雰囲気や心情を選びました!
次回から森探索ですw
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