神の存在する世界
世界感違いに少し触れれたかなと思います。
ラストには神々が実在しており。気まぐれに姿を現し、時には救いを、時には罰を与える……。
「有名なのが、300年ほど前に特級魔力持ちの男が、神へ戦いを挑んで敗北した。っていう話しだね」
「神様って強いの?」
「さぁ。でもその男は、魔力を全て奪われたのちに肢体をバラバラに引き裂かれ。罰として不老不死にされたんだ」
「こわ……」
「その男は動けないまま、永遠に生きなきゃいけなくなって、今は王国神殿にて保護されてるよ」
「マジ?」
「うん、今は誰も見に行かないけど、300年ほど前は凄い人気だったらしいよ?」
「だったらしいよって?」
「王国にいったついでに、会ったんだよその人に。見世物にされるのはもう嫌だ。もう死にたい。って言ってた」
「手足無しで300年だもんな……」
「他には何も話さなかったし。人気だったって話しも、近くにいた神官が言ってただけだけ……。もう、ほとんど廃人だったよ」
「特級階級の貴族が、罰で見世物かよ……。酷いな神様ってのは」
「いや、見世物にしたのは人間だよ」
「そっか……」
「まぁ、神様にケンカを売ったんだし、当然って言えば当然だよね。勝ったら何でも願いを叶えて貰える約束だったらしいよ」
「そいつは何を願ったんだ?」
「神の座を寄こせって言ったらしい」
「うわ……。自信家すぎる」
「戦いに勝利した神様は、その男の一族を消滅させて、一生。罪の意識を感じながら生きろ。と言って消えたんだって」
「それ、神様じゃなくて悪魔様じゃないの?」
「これだけ聞くと、酷いけどさ。滅びかけた国を救ったり。悪い軍事国家を滅ぼしたりもしてるって」
「じゃ。いい人なのかな?」
「どうなんだろ。話しは大小と色々あるよ。神様は複数人いるって話しもあるし」
「俺の世界の神様は、迷信みたいな物だったけど、この世界には存在してるっぽいな」
「まぁ、居ても居なくても殆どの人は会えずに死んじゃうから、似たような物だよ」
「まぁそうか。実際、元いた世界でも、あったことないだけで、居たのかもしれないしな……」
元気は窓を拭きながら、天罰を受けるのは嫌なので、変なことはしないでおこうと思った。
話を聞いた限りでは、非人道的なことをしたり、ケンカを売ったりしなきゃ良いようだ。
「神さまに名前は無いの?」
「そう言えば聞いたこと無いね、みんな神様って言ってる」
「神様も異世界人って事は無いの?」
「可能性はぜろでは無いけど、異世界人も寿命は一緒だと思うよ?ってか異世界人って呼び方良いね!」
「そ、そうだろ?エヘヘ……。そうだ、ミール……。ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」
「ん?なに?」
「あのさ、この本なんだけど……。凄く高い物だよね?家宝か何かなの?」
「違うけど、なんで?」
「売ってお金にしようかと思うんだけど?いい?」
「ん?あぁ辞めた方がいいよ。それ、盗んだ物だから、売ったら足がついて捕まると思うよ?」
「え?」
「闇の道具屋なら、買い取ってくれるだろうけど。姉さんと一緒にいる今は、やめといた方がいいかも。盗品を売りに来たことで、おどされても、困るでしょ?」
「困るどころじゃないな……」
「姉さんに愛想尽かされて追い出された時は、持っていって売って良いよ。ハハハハハ」
「笑えない……」
ひととおり。話も掃除も終わった所で、元気はベッドに座り。魔力でお茶を出してみる……すると、ペットボトルのお茶が出て来た。
それなら、と。あんパンも試してみる。するとあんパンも出て来た……嬉しさのあまり、元気はすぐさまかぶりついた。
「くわぁ~、この甘さ……。殺人的!くふぅ……。久々すぎて、泣いちゃいそう……。うまぁ~」
「ごくり……。な、なんだよそれ……」
幽霊のミールがうらめしそうに見ている。
「あ、そうだ!」
元気は頭の上に、魔力で電球マークをピコン!と出すと、あんパンと牛乳をもう一度出し、エロ本の上に置いた。
そして元気は、それらの物の前に立ち、両手を合わせる。
「かしこみ、かしこみ~……」
出来るだけ神妙に、お供え物をイメージする。現世の物を霊界へ送る。これもイメージだ。
「ミールちょっとこれ、触ってみてもらっていい?」
「何だよ……。嫌がらせか?呪うぞ!このやろう……」
そう怒りながらも、ミールはあんパンと牛乳にふれる。
「えぇ!?元気!?君は神にでもなるつもりかい?いや、間違いない!君は僕の神様だ!」
「そういう事を言うのは、辞めて貰える?祭られて本当に神様になっちゃった。ってお話もあるし、神様に絡まれたら困る」
「わかった!心の中だけにしとく!……ふゃぁぁぁぁぁぁ!にゃんだこれぇ!!!!!うまぁい、美味しいよこれ!なんだいこれ!?ゴホ!ゲホッ……んぐんぐっ!プッハ!牛乳もうまぁ!臭くない牛乳とかなんだい!これ!」
必死にかぶりついているミールを見ながら。ミリャナにあんパンを食べさせてその様子を動画保存し、宝物にしようと心に決めた。
「ところでさ、幽霊って……そのさ。性欲ってあるの?」
ミールのあんパンを食べる手がピタッと止まる。
そして、ミールは口の中の物を飲み込むと、少し視線を彷徨わせた後、頰をポッと染めながらーー
「そ、そんなこと聞くなよ……」
ーーそう言ってあんパンをまた食べ始めた。
「ふむふむ、あるのか……。まぁ、エロ本に反応したもんな……あ、そうだ!うんこってどうしてるの?」
「おい、僕は食べ物を食べながら、うんこの話をするのか?お前、馬鹿だろ?最低だな」
一瞬にして元気の評価が、神様から馬鹿になってしまった。
おやつを食べた後は、屋根裏にミールの潜む部屋を作ったりして遊んだ。
「そうだ。元気、僕が死んだことは絶対に内緒だぞ!」
「わかったよ、でもいつかは明かさないとだろ?いつ言うんだよ?」
「うーん、気づいてからでいいよ。君が見えてない間も、話とか聞いてたんだけどさ。俺のために今、姉さんは頑張ってるんだろ?まぁ、5年も音信不通なんだ、薄々は感づいてるとは思うけどね」
そう言って寂しそうに笑うミールだった。
そしてひとしきり魔力で遊んだ後は、夕食の準備だ。最近はずっと、元気が夕食を作っている。
「おっし!できたぁ!」
「おぉ!美味しそうだね!僕にも送ってくれよ!」
こちらの料理は、肉や野菜を焼く。煮る。だけなので、誰が作っても一緒なのだ……だが、今日は違う。ミールがねだっている物はデミグラスハンバーグ、とふわふわのパンとコーンスープだ。
「夕食まで待てよ、皆で食べるんだから」
「あ、そうか、姉さんには見えないけど、君には見えるんだったね」
ミールが少し嬉しそうだ。まぁ、今まで孤独だっただろう。ボッチの気持ちが、元気には痛いほどわかる。
「ミール!今日から俺は、ミリャへ本気で恩返しを始めるぞ!」
「おぉ、良いねぇ!さすが元気!で、何をするんだ?」
「わからん。わからんけど、寂しくないかと、いつも寝るまで頭を撫でてくれるミリャが、幸せにならないでいいわけがないんだ!」
「恩返しには同意するけど、撫で撫ではそろそろやめたら?」
「やだよ、グッスリ眠れるんだから」
真顔で答えたら、ミールに微妙な顔をされた。
解らない。と言った元気だったが、実はこの時には既に考えてあった。
それはミリャナを守る事だ。
しかしそれには『パンツ』と『ブラジャー』の提供が欠かせない。勿論。黒いのでは無く白いのだ。
揺れるミリャナのポッチは俺が守る!寄り付く魔物(男)は俺が許さん!とボッチな元気は人知れず考えていたのだった。
仲良くなったようで何よりw
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