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探索一日目終了!

前半冒険~後半家庭

「ファイアだにゃん!」


 ミリャナがそういって短剣を大ネズミ向けると、先から野球ボール程の火球が飛び出し、大ネズミを焼く。


「フリーズでげす!」


 ミリャナがそういって短剣をオオトカゲに向けると、先から吹雪が飛び出し、オオトカゲを凍らせる。


「ストーンでやんす~!」


 ミリャナがそういって短剣をスライムに向けると、先から石のつぶてが飛び出し、スライムの核を貫く。


「ストームでございまーす!」


 ミリャナがそういって短剣を元気に向けると、先から風が吹き出し、元気を浮かせて落とした。


「ぎゃふん……」


「元ちゃん、流石にわかるわよ!私に嘘教えてるでしょ!」


「ごめん、ごめん……でも、遊びながらだと覚えやすいだろ?」


「まぁ、そうだけど、何か、恥ずかしいわ」


「そう、可愛いけど?あ、ほら、ミリャナ!後ろ」


 ミリャナの後ろから、大ネズミ2匹が襲いかかった。


 ミリャナはうしろを振り返り、大ネズミに気づくと、ひとあしうしろに飛んで、弓を構える。


「ストームショット!」


 ミリャナはそういうと弓を放った。


 放たれた矢は風の力を受け、大ネズミ1匹を貫通する。その後、上空へと軌道を変え。そしてもう1匹の大ネズミを飛び刺した。


「キキィ~!!!」


「凄い凄い!ミリャナ、センス良すぎ!」


「本当?でも私、魔力が少ないみたい……あんまり、連続で使えないわ」


 ミリャナはそういって、少し離れて楽しそうにはしゃぐ露死南無天を見やる。


「忍法:火遁の術!」


 露死南無天が二足で立ち両蹄を合わせると、前方に火柱が上がり、オオトカゲが消え去った。


「忍法:雷鳴の術」


  稲光が身体を覆い。露死南無天が駆け飛ぶさきのモンスター達が、次々に感電していく……。そして、ブルヒィヒーン!といななくと、感電したモンスターに稲妻が落ち。モンスター達が全て黒焦げになった。


「忍法:影分身:火炎殺法」


 露死南無天がそういうと、複数に分身してモンスターの周りを駆け回り、炎の渦で燃やし尽くした。


「ミリャナ、露死さんと自分を比べたら駄目だよ。あの人は俺と一緒で異世界人なんだから」


「わかってるけど……。ちょっと、嫉妬しちゃうわ」


「え~、嫉妬するなら、俺にしてよ~!俺も強いでしょう?」


「元ちゃんはなんか……嫉妬とというよりも……元ちゃんだから仕方ない。って感じなのよね。あきらめ?」


「ひどい!俺を諦めないで!」


「ち、違うの。凄くて追い付くのを諦めるっていうか……尊敬ね。そう、尊敬!」


「本当?」


「うん、本当!凄いと思う!」


「え~、そうかな~へへへ……」


「フフフ……」


 じつのところ。ミリャナは時々、元気のかまってちゃん行動が面倒くさいなぁ~。と思う事があるのだが、喜び方素直すぎてついついかまってしまうのだった。

 ポタンは知っての通り既に塩対応だ。


 元気は昼食後、魔法の使い方を二人に教えた。


 二人とも飲み込みが早く、魔法をすぐに使いこなし始めた。

 それからモンスター討伐がはかどり、モンスターの魔石がかなり集まった。


「じゃ、今日はこれくらいにして戻ろうか」


「そうね、そろそろお腹もすいて来たし」


「拙者、たけのこの煮物が食べたいでござる」


 そういいながら三人のダンジョン探索1日目が終わった。


 ダンジョンを出ると外は夕暮れ時だった。


 兵士に挨拶して、モンスターを倒した時に落とす、小さな魔石を換金屋で換金した。


「す、凄いわ!元ちゃん!小銀貨3枚になったわ!」


「ミリャナ、すごく頑張ったもんね」


「へへへ~、じゃぁ、はい!」


 そういうと、ミリャナは銀貨を元気に渡してくる。


「え?それは、ミリャナが頑張ってモンスターを倒して得たお金でしょ?」


「だからよ。いつも元ちゃんに、ご飯とか色々として貰ってばっかりでしょ?」


「え~。そんなの気にしないで良いのに」


「そう言うわけにはいかないわ!」


「だって……。そのうち俺達……。ふ、ふふふ、夫婦に……なるんだし……」


「夫婦!」


「だ、だから、気にしないで良いよ」


「だ、駄目!その……私が貰って欲しいのよ……い、一緒にいるには!お互いに……支えあって……その、色々と分け合って……想い合うものでしょ?」


「ミリャナ……」


 照れながら、そう言うミリャナに。何だか今日は、行けそうな気がする~。と元気が思った時だった……。


「なぁ。其方らはいちいち、イチャつかないと駄目なのでござるか?はよかえらんと、日が落ちてしまうでござるぞ?」


「そ、そうね!日が暮れちゃう!アイリス達がお腹すかせて待ってるわ!」


「そ、そうだな!帰ろう!」


「そうだな!家に帰るでござるぞ!」


 そうして結局。銀貨をミリャナから元気は受け取り……町に戻る。そして町に着くと……そこからは二人で家路についた。


「ちょっと!?元気!ミリャナ殿!酷いでござるぞ!」


 露死南無天はレンタルなので、馬屋に置いてきた。


 レンタルなら、1日小銀貨1枚だが、馬を買い取るなら小金貨1枚と言われ、そんなお金無いので置いてきたのだ。


「この馬、喋ったぞ!こりゃ、金になる!」


 馬屋の主人がそういっていたので、その内いなくなっちゃうかもだが、魔法が使えれば日本食も自分で出せる。きっと大丈夫だろう。と元気は思ったのだ。


 そして……美少女の可愛いお声をしたお馬さんなら、喜んで迎えたのだが、おじさんの声で喋る馬の面倒はいいかな。とも思った……。

 さらに本音を言えば。ミリャナとのほほんいちゃらぶダンジョンデートに喋る馬は邪魔以外の何物でもない。


 露死南無天の事は嫌いではないが、ミリャナとのいちゃらぶデートか、喋るおじさん馬か天秤にかけるなら……。

 考えるまでもなくミリャナ100%だった。


「また、くるから」


 元気はそういって露死南無天を泣く泣く残し、二人でらんらんるんるん。お買い物デートをしながら家に戻った。


「おぉ!凄い良い匂いがする!」


「お帰りなさい、旦那様!さみしかったですぅ」


 二人が家に戻ると、そういって元気にアイリスが抱きつく。


「ただいまアイリス、ポタン」


「ミリオレは今日も城?」


「はい、今日も帰って来ません。お姉ちゃんもお帰りなさい」


 最近、ミリオレはヴェルニカとフンフン、ハッハしている。とメルディが言っていたので、ほったらかしだ。元気はその内様子を覗きに行こう。と思っている。


「ただいまアイリス、ちゃんとお留守番出来た?」


「ちょっと、お子様扱いしないでよ」


「何言ってるの?そんなに甘えて、お子ちゃまじゃないの」


「なにをぉ!」


「なによ?」


 いつも通り、喧嘩を始めようとする二人を、パンパン!と手を叩きポタンが止める。


「はいはい。二人ともそこまで!ママお帰り。初ダンジョンはどうだった?」


「ただいま、ポタン。フフフ……楽しかったわよ。ちょっと先に着替えて来るわね。今日のことはご飯食をべながらあとで話しましょ」


「うん、楽しみにしてる」


 ミリャナはポタンにチュッとすると部屋に戻って行った。ポタンは嬉しそうにミリャナを見送る。


「ポタン~、パパには?お帰り……ないの?」


 ポタンは溜息を吐きながら、きたきた。と思う。甘えん坊将軍の登場だ。


「はぁ……。そうね……。どうぞ()()()下さい?」


「酷い!今日、パパ一生懸命頑張ったのに」


「あ~もう!お帰り。かまってちゃんはママにしてよね」


「わかった!ちょっと行ってくるよ」


 元気がそういって、ミリャナの部屋に行くと、ミリャナの悲鳴と一緒に元気が吹き飛ぶ。そして、ポタンのカート元に元気が転がった。


「へぇ~、ママ魔法覚えたんだね。パパが教えたの?凄いじゃん」


「だろ?」


 元気のこの自滅に向かう行動が、ポタンには難解で面白い。と思うのだが、言うとすぐ調子にのるので、元気には言わない。


「旦那様……大丈夫ですか?痛いところ無いですか?ペロペロしましょうか?」


「アイリス、パパの真似してないで、ご飯の準備しなきゃでしょ?せっかくやり方教えてあげたのに、冷めちゃうわよ?」


「お、アイリスが作ったのか、凄いな!楽しみだ!」


「へへへ~、今並べるので待っててくださいね」


 そういうと、アイリスが料理を並べ始める。元気はその間に手洗いうがいをし、部屋で着替えた。


「おぉ、アイリス、凄いよ!スパゲッティーにパンにコンソメスープ!良く出来てるじゃないか」


「へへへ~。後で一緒にお風呂に入っていっぱい褒めてくださいね」


「アイリスあなた、また一緒に入るの?元ちゃん疲れてるんだから、あんまり手をかけさせないの!」


「いいじゃん、どうせ、今日1日お姉ちゃんは旦那様といちゃらぶしてたんでしょ!夜は私がするの!」


「いちゃらぶなんて!……してないわよ……」


「わっかりやす、なんならお姉ちゃんも一緒に入る?」


「な、なに言ってるのよ!は、早くご飯食べるわよ!」


 一緒に入らないのか……残念。元気はそう思いながら、みんなといただきますをする。


「そうそう。アイリス……これ……ミリャナから。モンスターを倒して、ミリャナが稼いだお金で買ったんだ。ポタンにも……お揃いだぞ」


 小さい黄色の花飾りが付いた髪留めだ。

前に部屋に飾ってあった。『ヒリストリア』という花らしい。


 花言葉は:あなたの健康を願う。元気でいてね。……などだ。


 今はもう、花は飾っていない。

 

 今はもう、自分で確認出来るから。とミールが帰って来たときに、ミリャナが嬉しそうに言っていた。


「ありがとうママ!大事にするね!……どう?似合う?似合う?」


「フフフ……可愛いわよ。ポタンちゃん」


 そういって、ミリャナはポタンの頭を優しく撫でる。するとポタンがへにゃりと笑う。


「なんか、ひんそな髪留め~」


「なによ、アイリス、いらないなら返しなさい」


「い、嫌よ!もう、貰ったんだから私のよ!」


「全く……もう……」


 そういいながらも、嬉しそうに髪留めを見つめるアイリスを、ミリャナが微笑みながら見つめた。


 その後、ダンジョンでモンスターを倒した事、魔法を使ったこと、喋る馬がいたことをミリャナが嬉しそうに、楽しそうに話す。


 今日は余程楽しかった様で、夕食のお話しはミリャナの独壇場だった。

 それを見ながら、明日も頑張ろうと元気は思った。


 因みにミールは最近、アルトと孤児院でご飯を食べている。帰ろうとするとさみしそうにするから仕方なくだ。と言っていた。


 最近フェルミナも、裏小屋でマーリュクと一緒に食べているのだが。ここ2、3日。姿が見えない。元気は嫌な予感がするが、いない者はどうしようもなかった。


 そして、元気達はご飯を終えると、先にミリャナとポタンをお風呂に入らせ、アイリスと食器の片付けをする。


「アイリス。それ、よかったな」


「……うん……。お土産……初めてで、嬉しかったです……。お、お姉ちゃんには言わないでくださいね!調子にのってす~ぐ、子供扱いするので!」


 アイリスがしれっと。ミリャナから貰ったヘアピンをつけているのが、いじらしくて可愛らしい。と元気は思ったのだった。


 ミリャナ達がお風呂から上がると、元気とアイリスがお風呂に入り。身体の洗いっこをする。そしてお風呂を出たら身体のふきっこと耳のふきっこをして、先に上がったミリャナ達とデザートを食べる。それが終わると、それぞれ就寝だ。


 元気は寝る前に、先ほど洗濯機からもってきた。ミリャナが一日はいていたニーハイをポッケから取り出し、足先をくんくんすると、そっと装着してから眠りについた。


 そして……元気はミリャナの温もりに包まれ。朝までぐっすり眠っていのだが、枕元に誰かが立ったのに気づき、元気は驚いて飛び起きた。


「だ、誰……?」


 元気の枕元には、綺麗で豪華な着物を着た。とても美しい花魁が立っていた。

 怖い位に美しい……元気はそう思った。


「フフフ……眠っていてもその動き。感服するでありんす……」


 笑う顔も美しい……声も透き通る様に美しい……。


 露死南無天の次は、美人の花魁がやって来た。日本フィーバーが始まるのか?そうなのか?アイドルとかAV女優とか、やって来るのか?と元気の胸が期待に膨らんだ時だった。

 花魁がドロン……と消えてしまった。


「ブルッファハッハッハ!拙者でした~!」


 露死南無天だった。


 元気は魔法で部屋の壁を大きく開けると、露死南無天の首を掴んで、そのまま遠くに放り投げたのだった。

ダンジョン探索1日目が終了!

魔法の習得も終わったので次回からは、ダンジョン探索メイン……かな?w


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