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拙者、露死・南無天。

新たな能力が登場します。

 「拙者の名はロシナンテ。露死・南無天とこう書く、馬を食べようと追いかけ回していたら、神隠しに遭ってな……。気付いたら、この世界に来ていたのでござる。何故か馬の姿でな。今まで食って来た馬の呪いかも知れないでござるな!ブルッハッハッハ!」


 そういって、草原の地肌が出た部分に漢字名をひずめで器用に書くと、地面にあぐらをかきながら腕を組み話す。


 元気は関節はどうなっているのだろう?と思い。そして、自分以外の転移者に興味が湧いた。


 「馬を追いかけて食べる時代を知らないんだけど、どの時代から来たの?露死さんは?」


 「拙者は江戸から、遠く離れた北の小さな村の生まれでな。徳川が殿だったとしか知らんでござる。神隠しにあったのは、江戸に武者修行に行く途中でござった。こちらの世界では20年ほど過ごしている」


 露死南無天がこちらに来てから、20年……ポタンの言ってた『次元時間無規則理論』は当たってそうだな。と元気はそれっぽい名前を勝手につけて、そう思う。


 「なるほど、あ、俺は元気。あっちがミリャナだ。とりあえずよろしく」


 ミリャナは、草原で巨大蜂『キラービー』とぷるんぷるんチラりチラりと戦っている。

 弾ける汗と、健康的な絶対領域が堪らない。後でブーツをクンクンしようと元気は思っている。


 「元気にミリャナだな。よろしく頼む。拙者、久々に人と話せて嬉しいでござる。

今までもののけ扱いされ、散々追いかけ回されて来た。なので人前では喋らなかったのでござるが。前に元気を見かけた時に思った通り。元気は大丈夫だったでござったな」


 「それそれ!前にどこかで見かけた気がするんだけど……」


 「やっぱり忘れているでござるな。拙者が、賊に捕らわれ酷使されていた所を助けてくれたのでござるよ。他にも耳のとんがった奴隷っぽいのを助けていただろう?」


 「あ!思い出した!エルフ達を救助した時にいたな。なんかずっと見てくる馬が!あれかぁ!」


 謎が解けて元気は、歯に挟まったモヤシが取れた時の様に、とてもスッキリした気持ちになった。


 「そうでござる。あの時は声をかけられなかったが、今日二人の話す姿を見て大丈夫だろう。と思ったのでござるよ」


 「そ、そっか」


 結構はしゃいでいたので、元気は少し恥ずかしくなる。


 「奥方にも挨拶をしたいのだが、よいでござるか?」


 「あぁ、そうだったな。おーい、ミリャナ~、こっちおいでよ~!」


 ミリャナには、露死南無天が安全かどうか確かめると言って、先にレベル上げをして貰っていたのだ。


 「は~い、元ちゃん!今いく……わね……」


 丁度、キラービーを倒したミリャナが、元気の声を聞いて振り向く。そして少し固まった後に、元気達の方へ戻って来た。


 「初のモンスター討伐どうだった?」


 「え?えぇ。ちょっと怖かったけど、先生の特訓に比べたら簡単だったわ……」


 そう言いながら、ミリャナは露死南無天をチラチラと見る。座って、腕組みをする馬がとっても気になる様だ。


 「いや、お見それしましたぞ、奥方殿。見事な短剣さばきに、正確な弓道。そして戦う姿もなんとも可憐であったでござる」


 「お、奥方!……」


 元気はいちいち反応するミリャナが愛しくて堪らなくなる。


 「拙者はロシナンテ、以後よろしくお願いするでござる」


 「いえいえござる……こちらこそよろしくお願いござる?しますでござる?」


 元気と露死南無天は首をかしげながら、ござる。と言うミリャナがおかしくて、顔を見合わせて笑った。


 「な、なによ!?何で笑うの!?」


 ミリャナが何だか恥ずかしくなって、赤面しながら怒る。


 「いやいや、失敬失敬。ござるとは言葉のクセみたいなの物でござる。だから、マネしなくていいのでござるよ」


 「そ、そうなんですね……ちょっと!元ちゃん!笑いすぎよ!」


 そういってミリャナが元気の腕をパシンと軽くはたく。


 「あいた。はぁ……ゴメンゴメン。あまりにもミリャナが可愛くてさ」


 「……!もう!いつもそうやって!可愛いとか好きって言えばいいと思ってるでしょ!」


 「思ってない思ってない、可愛いとは思ってるでござるよ?」


 「もう!馬鹿にして!」


 今度はちょっと強めに叩かれたので、ミリャナをからかうのは程々にしておき、元気は昼食の準備を始める。


 気分は青空ピクニック!サンドイッチにミルク!……と思ったが、出す前に元気は露死南無天に聞く。


 「露死さんて、食べ物は何でも食べられるの?」


 「ああ、何でも大丈夫のようでござるな、魚も肉も食ったが、問題なかったでござる」


 「そっか」


 元気はそれを聞いて、広げたナプキンの上におにぎりと、少しぬるめの味噌汁を大きいおけに入れて出した。


 「おぉおぉおぉぉ……こ、これは、米か!それにこっちは……味噌汁……あぁ……拙者は夢でも見ているのでござろうか……」


 露死南無天がおにぎりと味噌汁を見て、ポロポロと涙を流し、泣き出してしまった。


 異世界に来てから20年。馬の姿で転移し。もののけ扱いされ。ずっと、逃げ隠れしながら過ごして来たのだ。


 異世界に来てからすぐにサバイバル生活をしていた元気には、全部では無いが露死南無天の気持ちがわかった。


 そして、どんなに辛くて寂しかったかっただろう。と思ったのだ。

 そして思いついたのが、元気も森の中で思った事……元の世界の食べ慣れた食べものを食べたい。だった。


 「す、すまぬ……年甲斐もなく涙など……して、早速戴いてもよいでござろうか?はずかしながら、馬の体ゆえにヨダレが止まらんでござる……」


 「もちろんさ、あ、これも追加で」


 「おぉぉぉぉ!たくあんか!有り難い!」


 「じゃ、食べようか!」


 いただきます。三人でそういうと青空の元昼食を食べ始めた。


 ミリャナは最初、泣いていた露死南無天を心配そうに見ていたが、元気が露死南無天の生い立ちを説明すると、良かったわね。とミリャナも泣いてしまった。

 そして、元気もミリャナにつられて泣いてしまい、3人泣きながらの食事になってしまった。


 泣きながらの食事をする、子供と綺麗な女性そして、同じ様に泣きながら、座ったまま前屈みで食事をする白馬……。


 周りの冒険者達はその異様な光景に恐怖したのだった。


 「ブルッファッ!満腹でござる!馳走になった!本当に旨かったでござる!馬だけに!ブルッファッハッハッハ」


 露死南無天が久々に食べた日本食にご機嫌で、親父ギャグを飛ばす。


 「それは、良かったよ。今度はもっと美味しい物を食べさせてやるよ」


 「そ、そうか!せ、拙者!山の生まれでな!山菜などが好きでござる!」


 露死南無天が目を輝かせながら、食べたい物をリクエストしてくるので、わかったよ。と元気は返事した。


 そして、もうひとつ気になった事を聞く。


 「そういえば、露死さん。異世界特典とか無いの?」


 「異世界特典?なんでござるかそれは?」


 「異世界に来たときに貰える特別な力かな?」


 「特別な力……あぁ、これの事でござるかな?」


 そういうと露死南無天は元気達から少し離れると大きな声で叫んだ。


 「妖怪変化の術!」


 ドロン!と煙が露死南無天を包むと、グワッと黒い巨大なドラゴンが現れた。


 「どうでござるかな?かっこいいでござろう?ぐあはっはっは!」


 露死南無天が巨大な黒竜の姿で愉快そうに笑う。


 「凄い!ね、元ちゃん!ドラゴンよ!初めて見たわ!大きいわね~!」


 ミリャナがキラキラした目で露死南無天を見る。ミリャナの琴線に凄く触れている様だ。

 

 以前。ミリャナになって、おっぱいで遊ぼう!とそう思い。身体変化を元気もしようと試みた事があったが、ダメだった。出来なかった。


 その後、人間椅子になってミリャナに座って貰おうと思ったがこれも、駄目だった。

 魔力は体の再生は出来るが、形状の変化は出来ないとポタンから聞いて、元気はガッカリしたのだ。


 ぐぬぬ……!露死南無天め!ミリャナのキラキラした可愛いお目々を奪いやがって!と元気が露死南無天に嫉妬していると……。


 「な、なんで、黒竜が!?」


 「ぎゃぁぁぁぁぁ!黒竜が現れたぞ!!!」


 「急いで、兵士に知らせて騎士団を呼べー!!!」


 「殺されるぞ!早く避難しろー!!!」

 と冒険者達の逃げ惑う声が聞こえて来る。


 「ろ、露死南無天!わかったから、戻って!早く戻って!」


 「なにやら、やり過ぎた様子でござるな……ドロン!」


 そういって露死南無天が変身をとくと。露死南無天の周辺が煙幕の煙で見えなくなった。

 そして、ドラゴンがいきなり現れて消えた様にしか見えなかった冒険者達は、今のは何だったんだ?と混乱している。その混乱に乗じて元気達はそそくさとその場を離れた。


 「あぶねぇ……。露死さん、次から何かする時は教えてね。バレたら多分もう、来られなくなるから」


 「あぁ、すまぬ。気をつけるでござるよ」


 元気に注意されて、露死南無天がシュンとしてしまった。


 「ロシさんは、良いところを見せたかったのよね?とても、かっこ良かったわ。ね、元気ちゃん」


 「あぁ、凄かった!」


 「げ、元気、奥方殿。かたじけない」


 「奥方!……あの、ロシさん……出来ればミリャナって呼んで欲しいです」


 奥方を呼びを嫌がるミリャナに元気は驚愕する。


 「な、なんで!?ミリャナは嫌なの!?」


 「い、いや。その、そうやって呼ばれるたびに、ドキッとしちゃって、心臓に悪いというか……」


 「そ、そっか……」


 今度は元気がシュンとしてしまう。


 「げ、元ちゃんのお嫁さんになるのが嫌って訳じゃ、ないのよ?その心の準備が……ね」


 「み、ミリャナ……」


 「だ、だから、もうちょっとそういう呼び方とか……色々、待って欲しいな。とか思ったりして……」


 「い、いや、良いんだ。色々と待って欲しいって言ったのは俺だし、嬉しくて舞い上がちゃって……俺も待つよ」


 「ありがとう、元ちゃん……」


 「うん、ミリャナ……」


 照れるミリャナにもう、ちゅ~しても良いかなと元気が思った時だった。


 「二人の仲が良いことはわかったでござるが……人前でイチャつくのはどうかと思うでござるぞ?」


 近くを通り過ぎる冒険者達が二人を見て微笑んだり、ツバを吐いて舌打ちして行く。


 「さ、さて!レベルあげてくるわね!頑張るぞ~!」


 そういって照れを誤魔化すミリャナを尊いと思いながら、元気と露死南無天は笑顔で見送った。


 そして、元気は改めて周りを見渡す。


 スライムにトカゲにカエルにネズミに蜂と様々な形態のモンスターがいる。


 露死南無天に気を取られていたが、レベル上げをしなければ!と元気は思った。

 しかしもう一つだけ、気になった事があったので露死南無天に質問する。


 「露死さん、変身できるなら人間になれば良いのに、なんでしないの?」


 「あぁ。1日、10分しか変身出来ないのでござる。だいぶ不便でござるが、見ただけで変化出来て、力も得るのだから、そんなものなのか。と思うようにしたでござる」


 「なるほどね……制限はあるけど、見ただけで何にでもかぁ……」


 パンツにでもなれるのかな?とはりきって戦闘するミリャナの太股を見ながら元気は思う。


 そして、()()()()()化けられる能力の恐ろしさに元気と露死南無天は、まったく気付いていないのであった……。


さてさて、何にでも化けられる能力であなたは何に化けますか?

ミリャナのパンツも良いけど、アイリスのパンツも捨てがたいですよね。


そして、神様や月太陽に変身したら……これは後日、ポタンとお話しするお話しw


次回は、露死南無天とミリャナの魔法レッスンだと思いますw


ブクマ、評価、コメント等々よろしくお願いします!

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