魔石と魔法
魔法の使い方のお話しです。
元気はベッドに座りミールの幽霊?と向かい合っていた。ミールがこの世界の色々な話しを聞かせてくれる。
「魔力を持った生き物は死んだ後。魔石になって魂を縛られるんだ。石が砕けたら魂も本当は消えちゃうんだけど。君の魔力の影響で僕はこっちの世界に縛られちゃってるみたい」
「ふ~ん……不思議だな」
あまりにも普通に喋るミールに、元気はすぐに慣れてしまった。そして、難しい話には、耳がちくわになり。話が左右にぴゅんと抜けていく。ふ~ん。は聞いていない証拠だ。
「これは、相当な魔力が無い限り起きない現象らしい……王国の図書館の本で読んだ」
「へぇ~……」
「お前、聞いてないだろ?」
ミールがギロリと元気を睨む。
「え!?聞いてる!ちゃんと聞いてる!そ、それで?魔石と図書館とミールが、魔法でドーンだろ!?え?なに?それ?」
コイツ馬鹿だ……。ミールはそう思った。
「はぁ……もういいよ……。あ!そうだ!ならさ。僕が魔法の基本を教えてあげるよ」
「おぉ、それは凄く助かるよ!本を読んでもこんな感じかなぁ?って感じであやふやだったんだ」
「任せなさい!とりあえず師匠と呼ぶところから始めようか」
「よ、よろしくお願いします。師匠」
やる気満々な、幽霊の師匠が出来た。
「うむ!とは言っても。魔力の循環が終わったら、後はイメージと魔力量の問題なんだ」
「イメージ?……これをちょっと読んだけど、地獄の業火を召喚しせるし者や、その業火により。神々の恩恵を受けるだろう。って……」
「あぁ。それは難しく書いてあるだけ。火を強くイメージしたら、火を生み出し、水をイメージすると水が生まれる」
「なるほど……とりあえず、業火は怖いから……。水だな……イメージ……」
元気が水をイメージした時だった。
「ぶごぼぉ!?」
部屋の中いっぱいに水が溢れた。
そして、何故か鮫が居る。そして、元気に向かって口を開き突進してきた。
「あぼごぼあばごぼあ!!!」
「馬鹿!魔力の流れを止めろ!」
水中でも喋れるらしいミール。ミールの言う通りに魔力の流れを止める元気。すると間一髪。元気の目の前で鮫が消え。水も消えた。
「ぎゃ!」
水中に浮いていた元気が落下する。
「馬鹿!何をイメージしたんだよ!?」
「はぁ。はぁ……。海……」
「海って……。と、取り敢えず。小さな物からイメージだ!家が壊れる!」
「う、うん……」
地獄の業火をイメージしなくて良かった。と思う元気だった。
その後は、部屋の中の濡れた物を干しながら魔法の練習を行う。
手のひらの上に、小さな火をイメージすると、ライターの火位の炎がぽっと出てくる。他にも水や風、土なども出す。すると全部成功。どうやら魔力があれば大概の現象は起こせるらしかった。
「元気。君……センスいいよ……。す、凄いよ……」
「そ、そうかな?エヘヘ……。魔法っておもしろいな。何でも出来る……。楽しすぎる!」
「……でも、1時間ほど使いっぱなしだけど?魔力は大丈夫?」
「うーん、まだ1割も使って無いかな?それも少しずつ回復してるみたいだし」
「やっぱり召喚された勇者ってのは、魔力量が半端じゃないんだろうね。僕の具現化にも納得するよ……」
「魔力量の規準ってあるの?」
「………………」
魔法のことに関しては、師匠と呼ばなければ答えてくれないミール。めんどくさいと思いながらも元気は付き合う。
「師匠、魔力量の規準等はあるのでしょうか?」
「そうだね、下級、中級、上級、特級、極級があって貴族もそれで分かれてるんだ。うちの親は中級クラス。僕は下級クラスだったよ。王族辺りが上級、特級で、魔王や賢者辺りが極級かな?」
「ふ~ん……?」
元気は、なんとなく凄いんだな!と理解した。
「とりあえず王国でも破壊しに行く?」
「いや、いかねぇわ!遊びいく?的なノリで怖いこと言うなよな!あそことはもう、関わりたく無いんだから」
「ナイスツッコミ!まぁ、関わらないのが正解だね……」
そんな事を言い合いながら、シーツ等を干し終えた元気達は、部屋に戻りベッドに腰掛けた。
「まったく……。ヨシ、次は……。イメージで土が出るなら……出来るんじゃないか?イメージ……イメージ……」
「へ、変な事するなよ……」
警戒するミールに元気がニヤリとする。
「……母なる海の恵み。父なる太陽の暖かな温もりにて、万物に愛でられし至高のその姿を現さん!其方を求めし我が命じる!ここに顕現せよ!!!」
それっぽく詠唱する元気。すると、手のひらに白い粉があふれ出た。それを見て、元気は泣きそうになった。
「何だい、それ?」
「塩」
「塩?何それ?」
「料理を美味しくいただく為のものだよ……見たことない?」
「ないな。そんなの、魔力の無駄遣いじゃないのかい?消えたら意味ないし……」
元気は塩を出した状態で、魔力の循環を止めてみる。結果、塩は消えなかった。
「大丈夫みたいだ。物質として召喚した物は残るみたい、だけど魔力の消費が大きいみたいだね」
「ふむ。面白いね。他にもなにか出せないのかい?今度は面白い物が良いな」
ミールが興味津々である。元気は期待されるのが嬉しくなり12,3歳の少年が喜びそうな物を出してみる。魔力を循環させてイメージ、イメージ……。
「始祖は揺れしか異形の魔物、打ち震えるは我が魂……世界は求めし異界への扉!鍵を握るは、財宝を締めし者のみ!目覚めの時は来た!いざ鍵を持って開かん!!!」
詠唱がちょっと面白くなる元気。そして、出現した物に歓喜する。
「うほほほほほほほ!!!」
全身の震えが止まらない。手のひらの中に現れたのは、弁天堂スウェッチだった。電源も付く、動力源は魔力の様だ。
「次はスマホ……。おぉぉ!」
嬉しすぎて元気は詠唱を忘れる。スマホもちゃんと出たが、ネット通信は出来ないみたいだった。
もう1台出して、電話が出来るか試してみた結果。通話は出来たが、元の世界には通じなかった……現状カメラや動画撮影機能付きの無線機だ。
何かあったときのために1つは、ミリャナに渡しておこうと元気は思う。
「おい、元気さっきからそれ何だよ?」
「あぁ、スマホとゲームだけど……解んないか……失敗失敗。自分の気になる物を優先的に出してしまった……。次はミールが好きそうな物を出すよ……。あぁ、あれは好きだろうな」
「あれって何だよ?」
首を傾げるミールを見ながら、元気が仰々しく両手を掲げ、詠唱を始めた。
「悩めし夜に猛るは我が魂。歳は違えど瓜二つ。帰結するは我が至高。揺られし祈祷に爆ぜる白鳳。散りし花びら春うらら。賢者が目覚めし悟りの時分!欲望に呑まれし我等が魂を今!救い給え!!!」
元気が詠唱を終えると、ある物が出現した。
「お、おい元気!そ、それは何だよ!?」
それを見るなり、ワナワナとおののき。ミールの鼻息がとても荒くなる。男子が好きな物。それはHな本。それの召喚に成功した元気だった。中身はちゃんとモザイク加工されている健全な物だ。
窓の前に立つ元気に、後光が差す。
「やっぱ実体が無いのは不便だな……これ読みたくても読めないし……。くそ~……」
悔しがるミールを見て、元気は新たな事を思い付いた。
「出来るかな?やってはいけない気がするけど……やってみたい気しかしない……」
元気が思い付いた事……。それは、人体錬成だった。
しかし、失敗。イメージした次の瞬間。ボン!っという鈍い音と共に、元気の両手がはじけ飛んだ。
「おぎゃぁぁぁぁぁぁぁっぁ!!いってぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
元気は、痛みで床にうずくまりながら、生えろ!生えろ!と、無くなった両手をイメージする。すると爆発した手がにょきにょきと生えた。
「うわぁ、手がはえた……。気持ち悪!?お、おい!大丈夫か元気!」
ミールが心配そうに、元気の顔をのぞき込んでいる。
「はぁ、はぁ、はぁ……。だ、大丈夫みたい……。びっくりしたぁ~……」
元気は息を整えながら、ベッドに座り直す。
「いやぁ。人間を作れたら、ミールが乗り移ったり出来ないかな?ってさ」
「それは、神様の領分だから無理だって!
国を挙げて人間兵器を作ろうとして、神罰で滅んだ国だってあるんだからな!」
「何それ?怖い」
「気持ちは嬉しいけど、次から何かするときは教えてくれ!家ごと吹っ飛んだら姉さんが帰ってくる所がなくなるだろ!」
「はい、すいません。あ、でも腕はちゃんと再生できたよ。魔力は結構持っていかれたけど」
ミールに向かって、手をにぎにぎしてみると呆れた顔をされた。
「師匠。神罰って言ってたけど、神様って存在してるの?」
「ん?あぁ?神様を知らないって何だよ?」
「俺がいた世界では、信じる人はいても誰も見たことのない空想上の存在なんだ」
知ってる事を教えてやる。そういうと神についてミールが話し出す。
部屋中に飛び散った血を、魔法で出した雑巾で拭きながら、元気はミールの話しを聞くことにした。
魔法は便利で最強が良いかなと思いましたw
しかし。やってはイケない事。制限はあります。さてそれは一体誰が決めるのでしょうね?
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『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw