パン屋を救おう~お祭り開始~
お祭り前~開始までです。
マーリュクを怒らせると風穴が空きそな声をしてますw
ミールが指笛を鳴らすと、すぐにフェルミナが飛んで来た。マーリュクも一緒だ。
「ミール!指笛はやめろ!と言っただろう!それで、何か用か?」
そう言いながらも、少し嬉しそうなフェルミナだった。
「あのさ、今から祭りをしよう。と思うんだけど、優秀な警備隊員がいないんだよ。フェルミナ?心当たり無いか?立ってるだけで、ビシッと格好いい人達」
「ま、祭りだと!?ま、待ってろ!今呼んで来る!」
そういうとフェルミナがまた飛んで行く。
「ま、待ちなさいよフェルミナ~」
その後をマーリュクが追いかける。
「ミール、お前フェルミナの扱い上手いな」
「ずっと、遊んでたんだ。さすがになれるよ」
ミールがそういうと、お下げの女の子が誰?と詰め寄っている。近場で見ると、前にミールが前歯を治してやって欲しい。と頼んで来た女の子だった。
元気は、喧嘩を始めそうな二人をほったらかして、マザーに向き直る。
「マザー、子供の安全面はどうにかなると思うんだけど、どうかな?」
「安全ならば問題無いですじゃ。神様の仰せのままに致しましょう。それで神様、ちくっと相談がありましての」
ほら来た!と元気は思った。
元気を神様にしようとする姿に、違和感があったのだ。
「相談って、何……。面倒なのは……って、お、おい。何処に……」
マザーが元気の手を引っ張り、皆から離れた方へ連れて行く。
「あの、手伝いの褒美として、打ち上げなぞは、しませぬのか?」
「手伝いの報酬をくれって事?」
「め、滅相もありません!催促しとる訳じゃ無いんですじゃ、無いんですじゃが……」
確かに、ただ働きとはいかないな。と元気は思う。
「今日は子供に、御馳走でも用意しようかな、いつもはここを出た時困るからと思って、質素にしてるけど」
「おお、それは子供たちも喜ぶでしょうな、ですが、そのシスター達は……」
「一緒に食べればいいじゃん?」
「そうです、そうですね、そうですが……その……」
「何だよ。マザー……。ハッキリ言ってくれよ?」
マザーは、意を決した様に目を閉じると、おもむろに口を開いた。
「…………酒。ですじゃ……」
酒はこの世界では高級嗜好品だ。教会ではまず手に入らないだろう。しかし、疑問も残る。
「教会の人って……お酒飲んでも良いの?」
「そ、それは……神様次第ですじゃ」
「神様次第?」
「我等が神である元気様が良い。と申されれば良い事になります」
「でも、酒飲みたいって事は、飲んだ事あるんだよね?」
元気の質問に、シスターがそ~っと目をそらす。バーニャのパターンかと思い。元気はお酒はやめておこう。と思った時だった。
シスターから会心の一撃が飛んで来た。
「一度、ミリャナが興味を持ったので、飲ませた事があるんですじゃが……凄かったなぁ。老いぼれの儂でも、興奮してしまった程じゃ……凄かったなぁ」
「おい、ばーさん、ミリャの名前を出せば良いと思ってるな!そういう訳にはいかんぞ!」
マザーの目線がミリャナへと向く。
それにつられて元気もミリャナを見る。今日は、黄色いワンピースだ。足元にチョコンとお花が咲いてて可愛い。
襟に主張しない程度に、ふりふりがついている。そこから、ミリャナの可愛いお顔がチョコンと咲いていて可愛い。
暑い日差しに照らされて、燦々と輝くミリャナの。クリーム色の髪をクリームパンにして食べちゃいたいな……。と元気が思っていた時だった。
老婆の皮を被った悪魔が、耳元で囁いた。
「おっぱい」
「お、おっぱい?」
元気の目線が自然と、ミリャナのおっぱいに向かう。
「おっぱい」
「お、おっぱい……」
呪いの呪文が頭に響き……元気を苦しめる。
負けるものか!とあらがっていると悪魔がトドメを刺しに来た。
「今日は……大丈夫な日」
「おい。ばばあ、今日だけだぞ?他の日は駄目だからな?」
「流石、神様!ありがとう存じます!……おらぁ!皆の衆!戦じゃぁ!気を引きせめるのじゃぁ!」
そういいながら。孤児の元へ戻って行くシスター。酒が飲めるのが相当嬉しい様だ。
おっぱいは関係無い、純粋な元気の優しさなのである。
「元ちゃん?シスターと何話してたの?」
「あ、おっぱ、じゃ無い、ミリャ!」
「おっぱ?」
「おはようの、可愛い方の呼び方だよ?知らない?おっぱよ~!」
「ん~、知らないな~」
「そう?」
元気も知らなかった。
その後、フェルミナも合流し一連の流れを決める。エルフ、子供達、シスターと総勢50名程の集団で、バーニャのパン屋へ向かう事になった。
エルフは10人程だが、問題無いだろう。
子供達の売り子集団に、エルフが2名程つく事になっている。子供達には噴水の周りから離れない事。暗い路地には近寄らない事を約束させた。
余程酒が飲めるのが嬉しいのか。マザーは先頭で鼻歌らしき物を歌っている。この世界で歌を初めて聴いたなと思い。どんな歌があるのか後でマザーに聞く事にした。
「おばさ~ん。焼けた~?」
「あぁ、取り敢えず200個程焼けたよ。って!何だい!この人達は!ってマザーじゃ無いか?」
「バーニャ。今日は手伝いに来たんだ。神様に言われてな」
「神様?」
「そうじゃ!このお方こそ我等の……」
「はい!ストップ!おばさん、気にしなくて良いから。それよりもパンを袋に入れよう!」
元気は袋を出して、パンを子供たちと一緒に入れる。入れ終わると子供達に渡して、噴水の周りで、宣伝しながら売って貰う事にした。
「釘が打てないパンで~す!」
「軟らかいで~す!」
噴水のあちこちで子供の声が上がりはじめた。
値段は小銅貨2枚だ。約200円。
人気が出ればもうちょっと上げても良いだろうと思う。
しかし予想に反して、売れ行きが良く無い。可愛いわね~。と子供は皆見て行くがパンが売れない。
「ほらね、パンは今時誰も買わないんだよ」
「何でだろ?」
「幾ら子供達が売ってても、パン1個小銅貨2枚は高いんじゃ無いかい?肉が買えるよ」
「そうか、値段を下げてみようか?」
「まぁ。余ったら、孤児院に持って帰って食べればいいさね」
店の前で待機中のバーニャと元気が話していると、店の中の片付けをしながらヘレンが言う。
「そりゃあ、誰も買わないさ」
「どうして?ヘレン?」
店の中の片付けをしながらヘレンにミリャナが理由を聞く。
「パンで釘を打てないのは当たり前だろう?」
「そうね」
「だから、いらねぇだろ」
「それもそうね」
その通りだと元気も思った。
面白いから、釘が打てないパンとしたが、本当に打てるとは誰も思っていない。ジョークはあくまでジョークなのだ。
「ヘレンはどうすれば良いと思う?」
元気はヘレンに意見を聞いてみる。
「お、神様、私に聞くのかい?私は頭が変だから聞いても無駄ってもんだよ?」
「いや、ヘレンは、どう思ったか聞きたいな」
「私か。私は中が見たいし、食べたいな」
「まぁ、ヘレンたら食いしん坊ね!」
「へへへ、それに神様が来るまで、食事は食べるだけで、楽しくも、楽しみでも無かったんだ。でも今は楽しみだから。楽しいっていうか何だろ?ミリャナ~」
「食事に興味が無かったけど、美味しい物を食べたら、楽しみになっちゃった。って事でしょ?」
「そうそう!さっすがミリャナ!だから、食べないとわかんないよ!って話しかな?普通の人達が何食ってるかは、わかんないけどさ」
「普通の人達って言い方。駄目よヘレン!」
「ごめん、ミリャナ、また失敗かな?」
「言い方は良く無いわね。あなたも私も食べる物は変わらないでしょ?」
「そうだね、きをつけるよ」
そういって、ヘレンとミリャナが笑い合う。
「食べさせるか……。試食で会でもしてみるかな?」
「あ!そうそう、お腹空いたからさぁ。神様、おやつのちょうだいよ。私ペコペコなんだよ」
「もう、ヘレンたら……フフフ」
二人で笑い合うのを見て。クッキーをヘレンとミリャナに渡す。
「おばさん、材料は準備するからパン焼いて!」
「良いけど、売れないのにどうするんだい?」
「食べさせるんだよ!買いたくなる様に!試食会をしてみる!」
「何だかわかんないけど、自信満々だねちょっと待ってな!」
バーニャは店の中に入ると、元気が準備した材料でパンを焼き始めた。
元気は一度。宣伝中の皆を集め、袋の中のパンを切り分け、トレイに仕分る。そして簡易テーブルを出し、それぞれのグループに試食の説明をした。
「何で、そんな事私がしなきゃいけないのよ」
「いや、朝の演技が凄かったからさぁ。マーリュクがやってくれれば、百人力!いや、千人力だ!と思ってさ!可愛いし、美人だし!」
「そ、そうね!私は凄いんだからね!しかた無いわねぇ。手伝ってあげても良いわよ!」
「ありがとう、マーリュク!助かる!」
「ふん!別にあなたの為じゃ無いわよ!フェルミナが楽しそうだから仕方なくよ!その試食ってやつで、町の人の気を引けば良いのね!昔、育った村でお母さんとお店やってたから楽勝よ!」
可愛いお胸をぽん!と叩くマーリュク。どうやら、マーリュクはチョロツンデレ属性に決まった様だ。
試食の説明が終わると、皆を送り出す。
完璧だ!パパも頑張れば出来るんだぞ!と。心の中で、元気がポタンに胸をはっていると、噴水の方からドーン!ドーン!と爆発音が響いて来た。
元気は何事だ!?と思い。ハッとする。子供の護衛は、エルフ達がいるが。エルフ達の監視者が誰もいなかった。
お祭りが始まっちゃいましたね~!
マーリュクの属性も決まりました!
王道チョロリツンデレ!
その内、マーリュクが癒やしの神になった理由や話しも書きます♪
評価やコメント、よろしくお願いします♪




