難民移送
イグアナは美形女子形男子です。
移送中の船の様子です。
魔道式:超巨大海賊船
名称:『エルフィン・ドルフィン・エンドルフィン』
通称:『ゴーイング元気号』は現在、魔族国沖合にて、嵐に巻き込まれていた。
「おーい!イケメンが海に落ちたぞぉ!!!」
ドッグが船の帆をたたみながら、大きく叫ぶ。
「なんでよぉ!?嵐は確かに酷いけど、落下防止の設定は完璧でしょ!?」
イグアナが呆れなが叫ぶ。
「しょうが無いでしょ!?馬鹿なんだから!?勝手に上がってくるわよ!!!それよりこれ!早くどうにかしないと!船が沈んだら5000人の難民達が全員、死んじゃうのよ!!!」
ハナがドッグと魔力で帆をたたみながら、叫ぶ。
「解ってるわよ!キーキー叫ばないで!猿女!」
「はぁ!?この、筋肉オカマが!お前も沈め!嵐に吹かれて、何処かにとんでいけばーか!」
「キー!アンタ!本当にムカつくわね!」
嵐の中で2人が言い合いを始めてしまい、帆をたたむ魔力の流れが止まる
そうすると、たたみかけていた帆が、ヴァダボフン!!!と、大きな音を立て勢い良く開いてしまった。
ハナとイグアナの喧嘩はこれで38回目だ
38回の喧嘩。これは、帆をたたみはじめてからの回数である。そしてその度に帆が開くので……作業が全然進まない。
風を直接受けた影響で、船がギギギギギギギィっと大きく傾く……。
船内には、難民達の悲鳴が響いていた。
「アンタらには感謝してるから!もう、やめてくれぇ!」
「怖いよ、おかぁさーん!!!」
「避難先でも、こんな事が続くのか!?」
「ミ、ミノス様!!!本当に大丈夫なのでしょうか!?!」
「ミノス様!」
ミノスはその光景に頭を抱える。
「魔国の難民よ!おかしいのは、彼等だけだ!心配するな!人間は基本的に大人しい!おかしいのは、彼等だけだ!」
ミノスは魔法の詠唱の様に、そう繰り返す。しかし、そのおかしいの奴等の船に難民達は乗っているのだ……安心できるハズも無かった。
船の上ではいまだに帆をたたむ作業が、進んでは戻り。進んでは戻り。を繰り返していた。
「いやぁ、びっくりしました。バナナの皮が落ちてたんで、おもわずツルっと滑って海に落ちてしまいましたよ」
イケメンの今のマイブームはコメディーだ。
バナナの皮が落ちていたら、踏む。これ鉄則、鉄板、絶対のルールだ。
バナナの皮は踏んだだけでは普通、滑らないが、エルフの魔力のイメージ補正である。
踏んだ瞬間に、ギュン!と滑り出し、ポーンと飛び上がるとイケメンと一緒に海へ落ちたのだった。
後に、そのバナナの皮は『黄色い悪魔』と呼ばれ、都市伝説になるのだが、それはまた別のお話である。
「イケメン、戻ったか!こっち手伝ってくれ!」
「わかりました!」
「ハナとイグアナは喧嘩ばかりで役に立たん」
「また、喧嘩ですか?仕方ありませんね、あの方達は……まったく、いやはや、ほんとに、とほほのほのホーホケキョ!おや?これは、面白くないでしょうか?ねぇ?ドッグ?」
「だまれ!早くしろ!」
「ハハハ、怒らないで下さい、ドッグ、今行きます、行きます!私は生きます!」
イケメンはそういうと魔力を放出して、帆をたたむ手伝いを始めた。
◆海賊船にしませんか?
イケメンが船を作成する時に、そう言い出したのがキッカケだった。
エルフ達は皆が賛同した。
森から基本的に出ないエルフ達は、麦わら帽子の少年の冒険漫画が大好きだったからだ。
1番人気は三本刀の剣士だ。
漫画を読んでから、エルフ達の森で海賊ごっこが流行し、その結果。
森から木々が殆ど消えてしまった。
その後、元気にしこたま怒られてからは、自粛していたのだが、ここに元気はいない。そして、今のエルフ達の精神年齢は、小学生なのでこうなる……。
『バレなければいいんじゃね?』
バレて怒られた時の保険に、ちゃんと船に元気の名前を入れた。
船首には可愛いライオンではなく、デフォルメされた元気の笑顔をつけた。
エルフ達の中では完璧だった。
エルフ達は元気が喜んでくれるだろう。これで怒られる事は無いだろう!と本気でおもった。
が、女性エルフの胸を見ながらデレッとしている元気の顔がついる
海賊船、ゴーイング元気号は、元気によって後々破壊されるのだが。
その事をエルフ達はまだ知らない。
最初は、普通の海賊船を魔力で作った。
しかし、5000人は明らかに乗れなかった為、豪華客船程の大きさにまで巨大化させた。
そして、嵐に巻き込まれ。現在、無駄に巨大な帆が嵐の強風を受けて、転覆の危機に晒されていたのだった。
ネタバレをしてしまえば、これもエルフ達にとっては、刺激的なごっこ遊びでアトラクション……自然が生み出した遊園地だった。
難民移送だけなら、魔力で帆を消して船を飛ばして帰ればすぐ終わる。だがしかし、彼等はそんな事はしない……。浪漫がないからだ。
「おーい!エルフ達!いい加減にしてくれ!難民達が怯えているのだ!難民救助に協力してくれた事には感謝してるが、このままでは、元気に言いつけるしかなくなるぞ!」
ミノスが船上にやって来て、エルフ達にそう声をかけると、エルフ達の耳がピクリと反応する。元気に言いつける。と言うワードに反応したのだ。
「其方らは素晴らしく、心の優しく気高い森の戦士で美しく、格好いい!色々と手助けして貰った我が身としては、其方らが元気に怒られる姿を見たくないのだ!だから、船を揺らすのはやめてくれないか?」
エルフ達の耳がピクピクっとして、もじもじしだす……。エルフ達がもじもじしているのは、思春期を迎えると発症する。
『思春期症候群』の症状の一種だ。
『い、いや、別に?か、かっこ良くねぇし?
褒められても、別に、嬉しくねぇし?
困ってる人を助けるとかふつうだしぃ?』
と言いながらも嬉しいし、けど素直になれない、といった面倒くさいアレだ。
子供なら可愛いで済むが、大人にやられると、どんなに良いことをされたとしても腹が立つので、皆はやらない様に気をつけて貰いたい。
「怯えているのなら、仕方ありませんね」
「そうだな、んじゃ、消すか」
イケメンとドッグはそういうと、パッと帆を消した。
「ハナ、アンタ後で話しがあるから、部屋に来なさいよね!」
「嫌よ、アンタの部屋真っ赤で気持ち悪いし臭いんだもん!」
「く、臭いですって!?これだからガキは!?」
喧嘩しながら、ハナとイグアナが船をふわりと浮かせて揺れを無くす。
他のエルフ達が、風の抵抗から船を護る魔力結界をはると、船をアルカンハイトへと向かわせた。
魔国での難民救助はすんなりと終わった。
ミノスの知名度と、エルフ達が出す食料がマッチし、数はどんどん膨れ上がった。
船には、奴隷狩りから逃げ隠れていた家族や、単身者が多い。奴隷狩りに怯え隠れて暮らしていたので、比較的、大人しい獣人達だ。
奴隷は現在、捕まったら即戦場なので。奴隷の数は難民の10分の1にも満たない。奴隷は避難する以前に殺されているのだ。
ポタンはその報告をエルフ達から細かく受けて、あの町の設計を行った。
難民到着まで、あと少し……。
難民受け入れの準備も順調に進み、家庭の問題も嵐も過ぎ去った元気は、ここ数日。平和な生活を満喫していた。
「見つけた、やっと見つけた……」
だがしかし、そんな平和な時間を脅かすかもしれない不穏な陰が……。元気へと忍び寄っていたのだった。
もうすぐ難民達がアルカンハイトへと到着ですね~。
到着したら、獣人の説明入れるかなw
ドワーフ、犬猫、狼、鼠に、あ!ああ!ドラゴ!!!今思いついたw
面白くなりそうですw
幼女か、お姉さんか、ロリばばあか、
まぁ、ゆくゆく、ゆっくりとw
次回、不穏な陰ですw
ブクマ、評価、応援メッセージよろしくお願いします!




