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ポタンという女(幼女)

ポタンサイド、元奴隷の問題

ポタンは最近、孤児院教室を終えると、昼以降は城の図書館へ本を読みに行く毎日を送っている。


今日は異世界召喚についての本を読もうと、わくわくしながら全自動魔道ベビーカーで進んでいた所を、ヴァイドに呼び止められた。


「ちょっと、話しがあるのだが、と言うか相談なんだが、少し話す時間を貰えないか?」


「いいですよ、本はいつでも読めますから」


「すまない、助かる、では、執務室で話そう」


「わかりました」


そういうとヴァイドはベビーカーを押してくれる、こういう気が利くところが、元気とは違って良いところだとポタンは思う。


執務室に入ると、メルヒオーネが待っていたのでお互いに挨拶をする。


そして、ポタンはおやつと紅茶を出して、メルヒオーネに準備して貰った。


「ありがとうございます、メルヒオーネさん」


「いいえ、お嬢様、では、御用があればお呼び下さい」


ポタンは笑顔で返事を返すと、メルヒオーネも仕返し部屋の外へ出て行く。


今はヴァイドが用意してくれたふかふかのポタン用の椅子に座っている。


ポタンが魔力で出せば良いとヴァイドに言ったが、お爺ちゃんとしてプレゼントさせて欲しいと言われたので、ありがたく頂戴した。


魔力で何でもやってしまう元気の粘着質な優しさと違って、ヴァイドのスマートな優しさにポタンは好感を持つ。


因みに、おやつをポタンが出すのは、単純に魔力の差が大きいからだ。


ポタンの魔力をバスケットボールに例えると、メルヒオーネはゴルフボール、ヴァイドが野球ボールだ。


ヴァイドが特級なので、ポタンはの魔力クラスは極級だ、因みに、元気の魔力は、運動会で使う玉転がしの玉位の大きさがある。


そこにユグドリアスの神力とフェルミナから譲り受けた、運命の神の力『アカシックレコード』が加わっているので、例えるならば空を飛ぶ要塞鯨だ。


元気に自覚は無く平和主義者なので、ポタンはほったらかしているが、本当ならば世界を統べるべき力なのだ。


因みの因みに、エルフ達の魔力イメージはエクササイズ用のボール位だ、ポタンも日々増えている。


それが50も集団で居るのだから、普通は恐怖なのだろうが、元気に毒され遊んで暮らす事に勤しんでいる。


最近はエルフの中に数名、自作で絵や、小説をかく者が出て来ているので、後、500年は平和だろうとポタンは推測している。


人間の様に争わなければそれでいい、大いに遊んでいて欲しいとポタンは思っている。


「それで、お爺様、相談とは何でしょう?」


「うむ、小さな其方に本当は相談する内容では無いのだが、今、元、奴隷達の自殺が相次いでいてな、、、、、、対応に困っているのだ」


「なるほど、絶望と虚無ですね」


「絶望と虚無?何だそれは?」


「そうですね、メルディ様と、ヴェルニカ様が戦争で死んだら、お爺様はどう思いますか?」


「それは、勿論、悲しいな、死ぬかもしれん」


「死ぬのが早いです、お爺様が二人を好きなのはわかりました」


「うむ、そうか」


ヴァイドが満足そうに頷く、こういう所は元気に似ているな、とポタンは思う。


「とりあえず、お二人が亡くなった後に、戦場に送り込まれ、毎日、ボロボロまで戦わされます、どう思いますか?」


「世界も自分の命もどうでも良くなるだろうな、苦しみだけ続く地獄だ」


「そこで、いきなり、戦争が終わりました、貴方は自由です、良かったですねと言われます、どう思いますか?」


「とりあえずは、毎日戦わされていたのならば、苦しみの日々が終わって、良かったと思うだろうな」


「そうですね、安心します、するとどうなると思いますか?」


「うむ、嬉しいのではないのか?だってメルディや、ヴェルニカと、、、、、、あぁ、そうか」


「そうです、もう、二人はいませんね、お爺様一人で、生き残り、平和な生活を手にしたのです」


「そんなもの、意味ないではないか」


ヴァイドがシュンとしてしまった。


ポタンは素直に反応するヴァイドが不敬にも可愛いと思ってしまう。


もう少しで終わるので、頑張れ!と心の中でヴァイドを応援する。


「どういう気持ちになるでしょう?」


「考えるだけでこんなに哀しいのだ、凄く哀しいだろうな、そして、寂しいな」


「では、寂しい夜に独りぼっちで部屋に居たとしたら、何を考えるでしょうね」


「楽しかった事や、嬉しかった事や、もしかしたら嫌だった事を考えて怒るかもしれん」


「でも、怒る相手はもういませんよね?」


「そうだな、戦争は終わったのだからな、怒った所でどうにもならん、楽しかった思い出に浸るしかない、だが、もう、メルディや、ヴェルニカはおらん、、、、、、」


「お爺様は、天国って信じてますか?」


「天国?死んだら行くと言われている神の国だろう?あったら面白いなとは思うが」


「メルディ様とヴェルニカ様が死んだとしたらそこで幸せに暮らして欲しいと思いませんか?」


「思うであろうな、二人は天国で幸せに暮らしているだろうとな、兄上にもそうなっていて欲しいと思う」


「じゃあ、もしかしたら三人と会えるかも知れないとしたら、お爺様どうします?」


「それは勿論、会いたいだろう、話したいこともいっぱいあるし、何か方法があるのか?」


「行けば良いんですよ、天国に」


「どうやって?」


「死んで」


そこまで話すと、ヴァイドは黙り込んでしまった。


ポタンは話しの持って行き方が可哀想だったかな?と思ったが、ヴァイドには、ヴェルニカもメルディもまだ、いるのだから、生きているのだから、後で甘えるといいよと思う事にする。


「そういう事か」


「全員が全員そうでは、ないでしょうけど、独りぼっちになってしまったら、会いたいでしょうね、愛する人に、愛された人に」


ヴァイドが静かに、お茶を飲む、ポタンもそれに合わせてお茶を飲む。


「何か、何か、してやれる、事は無いだろうか?皆で励ますとか」


「気持ちは嬉しいでしょうが、何の為に頑張るのですか?」


「何の為って、自分の為にじゃ駄目なのか?」


「寂しくて、苦しいのに?」


「生きてればその内、良いこともあるだろう?それにいい人だって現れるかもしれん」


ヴァイドが質問責めにちょっとムッとしている。


「怒らなくても良いじゃないですか、えーん」


ポタンはミリャナの泣き真似の真似をする。


ポタンはこれをするミリャナが可愛くて大好きだ、ミリャナから泣き真似を引き出した事に関しては、元気を◎評価している。


「ポ、ポタン!な、なくでない、大人げなかった、すまない、泣き止んでくれ」


「えへへ、泣き真似です」


「な!驚いたではないか、大人をからかうでない!」


「すいません、へへへ」


ヴァイドが怒ってしまったが本当に心配してくれた事にポタンは嬉しくなる。


「さっき、お爺様は生きていれば、いい人が現れるかもと言いましたけど、それ最悪ですよ?」


「最悪だと?何故だ?」


「ヴェルニカ様が死んだ次の日に、パパが、まぁまぁ、旦那ぁ、いい人がまた出来ますよ頑張って下さいよ、へへへ!とかいってきたら、どうします?」


ポタンは出来るだけ憎たらしく、元気を表現してみた。


「三度殺して、また殺すな」


ヴァイドが真顔でいう、どうやらポタンの元気のマネは正確に伝わった様だ。


「そういう事です」


「最悪だな」


「なので、励まさず、寄り添うんです」


「寄り添う?それだけか?」


「そうですね、何気ない会話をして、また、明日って手を振るだけで良いんですよ」


「ふむ」


「励ます方は物足りないでしょうが、励まされる方は辛いんです、既に、辛さや寂しさに耐えて生きる事に頑張ってるんですから


これ以上、何を頑張れって言うんだ!ってなりますよ」


「なるほどな、わかる気がする」


「解決方法は待つしか無いですね」


「死ぬのをか?」


「違いますよ、立ち直るのを、寄り添いながら」


「寄り添うか、簡単な様で難しいな」


「なので、今、孤児院では、今までいた子供と、奴隷だった子をペアで行動させてます、奴隷だった子同士にしちゃうと、奴隷だった頃の話しばかりしちゃうので、下を向いちゃうんですよね」


「ふむ、確かに心地は良いだろうが、何の役にも立たんな、我々が学生の頃作っていた失恋同盟もそうだった、しかも、幸せな奴が憎くなって来る」


失恋同盟、何それ面白そう!詳しく聞きたい!そう思ったポタンは今度ヴァイドに聞くことにしようと思う。


「なので、何も知らないもの同士で組ませて、知らない事をさせれば、哀しい記憶も忘れるとまではいきませんが、少しは薄れると思いますよ」


「最後は断言しないのだな?」


「だって、人間の気持ちなんて百人いたら百通りあるんですから、断言も自殺を無くす事も不可能です、減らす方向でやらないと、こっちが潰れちゃいます」


「確かに、思いやるにも限界があるか」


「皆が皆、パパみたいに、何でもかんでも手を出せる訳じゃ無いですしね」


「そうだな、アレはエネルギーの化け物だ」


軽く元気の悪口を言い合うと二人は話しを終える。


「孤児院でやっていることを、こっちでもやってみよう、長い時間すまなかったな、助かった」


「いえいえ、楽しかったですよ、お爺様、今度、失恋同盟のお話し聞かせてくださいね」


「むぅ、忘れてくれと言ってもポタンは忘れぬだろうな、今度、話してやろう」


「ありがとう存じます」


二人はフフフと笑い合うと執務室を出て、図書室へ向かう。


ヴァイドと図書室の前で挨拶を交わして別れ後ろ姿を見送る。


「まったく、男は幾つになっても、甘えん坊なのね」


そわそわ、しながらヴェルニカのいる部屋へ向かって行くヴァイドを見ながらポタンは独りごちた。


こっちは終わったけど、あっちはどうなるかしらねと考え、ポタンは小さく溜息をつく、


ミリャナを傷つける気は無いようなので、ほったらかしているが、傷つける様であればその時は、、、、、、。


そこまで考えると思考をやめる、元気が連れてきたのだから、元気の問題だと思考を切り替え、本を読むために、ポタンは図書室へと入って行った。

思った以上に長くなりました。


これはフィクションですw


さて、ポタンは異変に気付いている様ですね。

どうなるんでしょうか?w


難民が来る前に解決したい物ですw


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