視察終了
ポタンちゃんは
お目々がくりっとした短銀髪の可愛い
赤ちゃんエルフw
インディゴは、髭ドワーフw
第二区画から第一区画へ向かう橋を渡ると、中央噴水が見える。
中央の噴水の周りを囲むように、大きめの建物が建築中だ。
「ここは、空き地が多いな?」
「えぇ、こちらには、飲食店や食材店、ギルドの支店や役所、病院などをここには構えるとの事で、中央に来た人が休憩出来る場所や、子供が安心して遊べる場所を作るとの事でさぁ。子供が犯罪に巻き込まれる可能性を減らせるだろう。って、お嬢は言ってましたぜ?」
「なるほどな、確かに、人前で子供をさらおうなど考える馬鹿は少ないだろうな、ポタンは凄いな」
それを聞いて、元気が得意げにウンウンと頷く。
噴水の周りには落下防止の鉄柵が立っており、等間隔にベンチが設置してある。
「ふむ、なるほどな、さっきの話しを聞いて納得した。この柵は子供が落ちないように設置しているのだな?」
「そうでさぁ。それに、円形にして、町全体の狭い路地や死角を少なくすることで、窃盗等の犯罪率の低下を見込めるらしい、おりゃあそれを聞いて身震いしたぜ、そして、確信したんだ。お嬢は神童だってな!」
ポタンが褒められる度に元気の胸が反り返って行く、その内ひっくり返りそうだ。
「ふむ、見通しを良くして、町民同士で監視し合うのか、何か起こってもすぐ犯人が捕まり、兵士の手間も減りそうだ。ポタンに町でも何か出来ないか、聞いてみるかな。ポタンが王になれば世界は平和になるかもしれんな」
「お嬢が世界の王様ですかい!そりゃあいいですな!がはははははは!あんなに可愛いくて賢いんだ!反対するやつぁいねえでしょうよ!」
元気がひっくり返ってしまった。
「何をやっているのだ、お前は?」
「いや、良い天気だなぁって」
元気は起き上がると、改めて周りをぐるりと見渡してみる。
中央噴水から十字に道が延びていて、何処からでも、回り道をせずに広場まで来られる様になっている。
ポタンは交通の便や人通りまで計算しているのだろう。元気もポタンを凄いと思うが、少し、寂しく思う。参加するならするで、言って欲しかったと……。
言ってくれれば、トイレ、お風呂、ご飯中もずっと、ポタンとお話し合いが出来たのに……。
最近は、ポタンが歯磨きをさせてくれないので元気は少し、ポタンシックなのである。
「顔がデレっとして、鼻息が荒くて、ヨダレが気持ち悪い」
ポタンにそう言われてから、歯磨きもミリャナが担当する事になった。
「ポ、ポタンも、ほら、あの、その、嫌々期なのよ、ね?元ちゃん、元気だそ?」
ミリャナが目をバシャバシャと泳がせながら慰めてくれたので、その場で号泣する事は無かったが。元気は部屋に戻ると、一人膝を抱え、こっそり自分の物と取り替えておいたミリャナの枕に顔を埋め、シャンプーの良い香りを堪能しながら……少し泣いたのだった。
「はぁ、ポタンの前歯を俺の前歯と入れ替えたい……」
「は?お前は何を言っているのだ?」
「な、何でも無いです」
ヴァイドが奇妙な物を見る目で元気を見る。元気の心の声が漏れ出ていた。
「町の廃棄物やの事なども、聞いて見たいな、インディゴ、何か聞いておるか?」
元気が変なのはいつもの事なので、気にしない事にして、ヴァイドはインディゴに話しを聞く。
「お嬢は地下の海水濾過施設?で一緒に焼くと言ってましたぜ?生ゴミ等は、農業や何かで使用するそうで、ゴミの分別を義務化するそうでさぁ」
「ゴミの分別を義務化か、難しいのでは無いのか?」
「俺もそう思いましたがね、ここがお嬢の凄い所なんですよ!旦那!この木札なんですけどね。これはポイントつって、分けたゴミを施設まで持っていって、ハンコをポン!と押して貰うんでさぁ。そしてこれが10個溜まると、なんと!銀貨の代わりにこの木札が使える様になるんです!」
「銀貨の代わりにだと?損ではないのか?」
「商業ギルドのクソジジィもそう、言ってましたね」
インディゴに悪気は無いが、商業ギルドのクソジジィと一緒にされて、ヴァイドはムッとしてしまう。
商業ギルドの会長は、セコイ、ウルサい、エロいとアルカンハイトの町では有名な男である。
ヴァイドも商談の話しが上がる度に、吹っかけられ、良いイメージを持っていない。
アレと一緒にされては堪らん。と、ヴァイドは思考する。ポタンの考えだ。何かあるはず……と。
「これがあれば、ゴミを町中に捨てる人も減るし、回収する人件費も減るし、燃やす物があれば、装置の燃料代も減るし、仕分けてあれば、生ごみも肥料としてすぐに使える。これ……袋一つにつき、判子一つって書いてあるでしょ?判子押して貰う為に、袋がいるんですよ。なので袋も売れる。人件費とか手間が減った分がすべて得で、袋の縛りで不正も防止も銀貨1枚で町が綺麗になるなら、安いでしょう?」
ヴァイドはギョッとして元気を見る。インディゴも同じだ。
「元気よ、それはポタンから聞いたのか?」
「え?いえ、異世界の常識です」
「そ、そうか、さっきのひっくり返りで頭でも打って、まともになってしまったのかと思ったぞ」
「大丈夫ですよ。叔父上、頭は悪いままです」
「その様だな。まぁ、アルカンハイトの町並みも綺麗とは言い難いので、これもポタンに相談してみるか」
「叔父上、俺に相談してもいいですよ?」
「そうだな、考えておこう」
「フフフ、いつでもどうぞ!」
元気は自信満々に答えるが、ヴァイドはコイツにに頼んだら、着地点が何処になるのかがわからん。と思い、辞めておくことにした。
メルディがお父様を助けて!と元気にお願いしたら、王国、魔国を巻き込み、アルカンハイトが独立してしまったのだから、そう思うのも仕方なかった。
普通なら魔族を撃退して終わりな話しなのである。
しかし、結果、悪いことばかりでは無いのが質が悪い。命の危険の無い忙しさがやって来るのだ。
ヴァイドは今、この町の建設の手配に、書類の確認、アルカンハイトの町の書類の確認に資金回しや、ギルドの面々との面会や商談など、他の貴族達が中央に行ったので、殆ど独りでやっている。
何をやっているのだ馬鹿者!と叱りつけたいが、メルディの笑顔が見られるのは元気のお陰なのだった。
「じゃあ、旦那!あっしはこれで!あ!そうそう、難民達の仕事ですが、まずは、自給自足させるために、町からトンネルまでの平地を耕す許可を貰っておいて欲しい。ってお嬢に言われてました。良いですかね?」
「うむ、構わんが、出来るのか?」
「えぇ、何だか、クソやションベンが肥料になるので、それも使用すると言ってましたぜ?」
「き、汚いな、大丈夫なのか?」
「どうでしょうね、まぁ、自分達で食うんだ。ちゃんと洗えば、大丈夫じゃあないんですかい?」
「そんなものか」
「それと、これも、農場や牧場も作るらしいですぜ、動物の捕獲は超人様にお願いするって言ってました」
「そう?ポタンが?今日帰って聞いてみよ」
元気がポタンとお話し合いが出来るとわくわくしている横で、ヴァイドは懸念を示す。
「野生の動物を飼うのか?危なく無いか?」
「お嬢は、比較的大人しい種類の物を選別すると言ってましたぜ?」
「ポタン主導であれば大丈夫か、うむ、好きにせよ。とポタンに言っておけ」
「わかりましたぜ、旦那!それじゃ、」
そう言って、インディゴは第二区画に戻って行った。
「ではな、元気」
「はい!ではまた!」
ヴァイドと別れた元気は、家に飛んで帰り玄関のとびらを開けて、ただいま~。と中に入った。
しかし、家にいるはずのアイリスから、返事が無い……。留守番をしているハズなのでいるはずだ。と元気は少しあせる。
アイリスは、時々ぼーっとしていたりする事がある。それを見る度に元気は何だか不安を感じていたのだ。
粗方部屋を見て回り。最後は元気の部屋だ……。いないと困る……。元気はドキドキしながらドアを開けた。
「良かった」
アイリスは元気のベッドでお昼寝していた。
「旦那さまぁ?」
物音に気づいたのか、眠そうにアイリスは起きあがる。
アイリスはご飯を食べるようになって、健康的な体つきになっていた。
アイリスとは時々お風呂で洗いっこをするので、元気は良く見ている。
「ゴメンゴメン、起こしちゃったかい?姿が見えなかったからさ、ちょっと心配しちゃった」
「あ、ゴメンなさい!お掃除してたら眠くなっちゃいまして……きゃっ!」
アイリスは小さく悲鳴を上げると、布団にもう一度包まる。
「まったく、アイリスはまた裸で寝てたのかい?風邪引くから辞めなさい。って言ったのに」
「で、でも、こうすれば、旦那様に夢の中でも会えるかなぁ。って思って」
可愛い事を言ってくれるな~。と元気は思い、アイリスに洋服を着せてやる。
福祉施設で子供の着替えやお風呂の世話をしていたので、お手の物だ。
元気に、何故?そんなことをするのか?
と聞けば『可愛いから』と素直に、純粋に、正直に真っ直ぐと、そう答えるだろう。
しかし、優しくされた方はどうだろうか?
死にたい程に不安な時に、優しくされてしまったら、何を思い、どう何を感じるだろう?
「お昼寝ご飯にするから、お手伝いしてね」
アイリスは嬉しい。必要とされているのが嬉しい。
「それから、ちゃんとお洋服は着て寝るんだぞ風邪引くから」
アイリスは嬉しい。心配して貰えるのが嬉しい。
「アイリスは何食べたい?」
アイリスは嬉しい。考えて貰える事が嬉しい。
「だ、旦那様を……いただきたいです」
「え~、何だよそれ、逆に俺がアイリスを食べちゃうぞ~!」
可愛い事を言うアイリスに、元気はいつもの様におどけて見せる。
楽しい、嬉しい、幸せ……もっともっと欲しい……もっと……でも、この人は、あの人と……。
「アイリス~?大丈夫か~?また、ぼ~っとしてたぞ?」
「だ、大丈夫です。旦那様!何を食べたいか考えてました!」
「何か決まった?」
「ハンバーグが食べたいです!」
「ハンバーグかぁ、ミリャナと一緒だな!よし!すぐ準備するからな」
「わぁ~い。ありがとうございます」
アイリスの幸せそうな笑顔を見ると、ハッピーで幸せな気分になるな。そう思いながら元気はアイリスに美味しいハンバーグを食べて貰おうと準備する。
そのアイリスの幸せそうな笑顔が、一瞬固まったことに、元気はまったく気づかないのであった。
町の視察終了です。
そして、
アイリスが勝手に動き出しましたw
家庭内でも、一悶着起きそうですねw
あぁ~どうしよう、昼ドラ、、、、、、好きですw
ブクマ、評価!応援!ビンタ!
よろしくお願いしますw




