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お茶会

最初はワイワイなのに最後何故ああなったw

「なんじゃ、其方リョナの息子だったのか?早う言わんか、威圧して悪かったな」


「いえいえ、ハーフエルフとは疎まれる存在ですので慣れております」


「やはり、今も昔も変わらんか、リョナは元気にやっておるのか?」


「はい、坊ちゃんのお陰様で今は笑顔も増え時々、森に遊びに行ってる様です」


「そうか、ならば良かった」


 城の客室にてミルオレと話しながら、お茶の準備を始めるメルヒオーネ。


「メルヒオーネさん、わたしにもお手伝いさせてもらませんか?旦那様はお仕事を教えてくれないのです」


「そうなのですか?」


「はい、手伝おうとしてもお皿を運ぶわたしを抱っこして運んだり、お洗濯干しもずっと抱っこされてるので仕事をした気になりません」


「あやつめ、妾が本を読んでいる間にそんなことをしておったのか」


「アイリス様が可愛らしいので、きっと甘やかしたいんでしょうな、元気様は小さいお子様が大好きな様ですので」


「ロクデナシじゃな」


「お母様、旦那様のお陰で助かったのですよ?悪口はいけません!メルヒオーネ様?旦那様は小さな子供が好きなのですか?」


 アイリスに元気の事で怒られたミルオレは面白く無さそうにメルヒオーネの準備したクッキー頬張る。


「メルディ様にもお優しいですし間違いないかと思われますよ?」


「うーん、じゃぁ、ミリャナ様は違うのかしら?でも……」


 アイリスはブツブツと独り言を言いながら腕を組んで考え始める。


「アイリス様、まずはお座りになってお菓子を召し上がったら如何ですか?」


「はっ、そうですね!ありがとうございますメルヒオーネさん!」


 そういって客室様のソファーに座りアイリスはクッキーをかじる、自然に口元が緩む……幸せの味だ。


 ミルオレとアイリスがクッキーを食べていると、客室のドアが開く。


「あ、いた!メルヒオーネ?元気が来ていると聞いたのですが?……あら、お客様?」


「今、坊ちゃんは旦那様とお話しをしておられます、奥様」


「そうなの、メルディと急いで来ましたのに……それで、その方達は何方かしら?」


「元気様のお連れのミルオレ様とアイリス様でございます」


「あら、そうなの?ご機嫌よう、ミルオレ様とアイリス様、わたくしは領主婦人のヴェルニカと申します。こちらはメルディ。以後お見知りおきを」


「メルディでございます。以後お見知りおきを」


「うむ、苦しゅうない」


「お、お母様!申し訳ありません。奥様にメルディ様!わたしはアイリスと申します。以後お見知りおきを」


 ミルオレの横柄な態度にヴェルニカは驚いたが、元気の知り合いだということもあり、気にしないことにする。


「あの、ヴェルニカ様とアイリス様は旦那様とはどういったご関係ですか?」


「血は繋がってはおりませんが、わたしは元気の母です。元気を息子のように思っているのです」


「わたくしは、妹ですわ!」


「自己紹介はそれ位にして、お二人共お茶して行かれませんか?坊ちゃんが来るまでお暇なのでしょう?」


「まぁ、メルヒオーネ。人を暇人みたいに言って!……まぁ、暇人なのですけれど、ではご一緒しても宜しいかしら?ミルオレ様?」


「駄目だ。人間と飲む茶など……ッぎゃ!アイリス!何をするのじゃ!しかも、何じゃそりゃ。結構、痛いぞ!」


「スタンガンというそうですよ?お母様が何かしたら、旦那様にビリッとするように渡されたのです!持っておいて正解でした!」


 片手にアイリスがスタンガンを持ちパチパチと鳴らしながらニッコリする。

 出会い頭でミルオレから電撃魔法を喰らった元気のささやかな仕返しである。


「問題を起こしたら、どうなるのかお母様忘れていませんよね?わたしは旦那様と一生添い遂げるつもりなので、一緒には行きませんよ!」


「ア、アイリス!?ぐぬぬぅ、クッキーはやらんからな。好きにするが良い」


「母が申し訳ありません。どうぞお席の方へ」


 アイリスがメルヒオーネのマネをして、ヴェルニカとメルディを席へ誘導する。


「お上手ですな、アイリス様」


「ありがとうございます。メルヒオーネさん」


 アイリスは褒められたのが嬉しくてメルヒオーネに微笑む。


 扉から正面のテーブルを挟んで右側のソファーにアイリスとメルディ、左側にヴェルニカとミルオレだ。


「ミルオレ様とアイリスはどういったご関係ですの?」


「ふん、人間になど話す言葉など……。……今は元気の元でメイドをしておる」


 ヴェルニカの質問を足蹴にしようとしたミルオレに、アイリスがパチパチとスタンガンを鳴らして見せる。

 余程痛かったのか、ミルオレはそれを見て素直に話す。


 それもそのはず、元気がアイリスに渡したのは護衛用の軽いスタンガンでは無く。軍事用の攻撃スタンガン。普通人間であれば即座に気絶する代物である。


 安全の為。ミルオレの魔力意外には反応しないように設定してある。


「アイリス様もお兄様のメイドですの?」


「そうですよメルディ様、旦那様の為だけのメイドです!」


「では、ずっとお兄様と一緒にいるのですか?」


「はい!ずっと一緒にいますよ、これからずっと何があってもずっとです」


「はぁ、羨ましいですわ」


「メルディ様も旦那様が好きなのですか?」


「はい!お兄様優しいですもの!」


「ほかには?」


「ほかですか?楽しいです」


「ん~。まだ、大丈夫かな?」


「大丈夫?何かあったのかしら」


「いえ、こちらの話しです。これから仲良くしましょうね、メルディ様」


「はい!学校のお友達も減って寂しかったのです!ぶち上がりますわ!」


「ぶち上がり?」


「引っ越して行ったお友達が使っていたのです。気分が高揚する時に使うらしいのです」


「そうなんですね、愉快なお友達がいらしたのですね」


「そうなんですの!他にはぶちかますとか……」


 メルディとアイリスが楽しくお喋りをしている頃、ミルオレとヴェルニカは……。


「そんな事が……さぞや辛かったでしょうに」


「フン、妾は一応、魔王国の姫じゃったからな、アイリス為にも泣く泣く捕まるしか無かったのじゃ、なんじゃ、泣き虫な奴じゃのう……ほら、クッキーやるから泣き止め」


 ヴェルニカがミルオレの話しを聞いて泣き出していた。


「愛する夫に先立たれ、娘を盾に幽閉されそれでも生き抜こうとする姿、尊敬いたしますわ」


「ふ、ふむ、そうか?ほれ、もう1個クッキーをやろう、メルヒオーネ、ヴェルニカに茶のお代わりを持ってきてやらぬか!気が利かぬな」


「申し訳ありません。只今」


「まぁ、あれだ。エルフは死なんからな、愛する者との死別には慣れておる」


 ヴェルニカの目がキラリと光る。


「過去にはどんな殿方との恋愛をされたのですか?ミルオレ様の事ですから、きっと素晴らしい恋をしてきたのでしょうね。わたくし、聞いてみたいですわ」


「む?そうか?仕方ないのぉ特別じゃぞ?」


「はい、ありがとうございます!ミルオレ様」


 話したがりのミルオレと、面白い話し好きなヴェルニカは気が合うようだった。


「森を出てから、直ぐに妾は人間に捕まってしまっての、奴隷にされそうになっていたところを、ミュルアの奴が助けてくれたのじゃ、いい女じゃった」


「じょ、女性の方ですの!?」


「ん?そうじゃが?それでな。妾を助けてくれたミュルアは、妾の世話を甲斐甲斐しくしてくれての、良く笑う娘じゃった」


 「お相手の方は、おいくつ位だったのですか?」


 「人間で言うと……27~8位かの?妾と出会った頃は、男に裏切られて死のうとしとったらしいんじゃが、ミュルアが死ぬと困るのでな、ずっと寝るときも一緒にくっついておったのじゃ」


 「い、一緒に……」


 「そしたらあるときから、ミュルアと寝ておるとムズムズするようになっての。最初は独りでしておったんじゃが、気付かれてしもうてな。ミュルアが手伝ってくれるようになったんじゃ……」



「な、何をでしょうか!?く、詳しくお願いします!!」


 ヴェルニカの目がギンギラリンと輝いている。


「何って、そりゃ……」


「ウオッホン!!!ミルオレ様?ヴェルニカ様?お話しで盛り上がっている所申し訳無いのですが、お子様の前でするお話しでは無いと思われますよ?」


 アイリスは少し興奮しながら興味深々に。メルディは知らないお話にワクワクしながら聞いている。


「ふむ、そうじゃな辞めておくか」


「え、えぇ。教育上良くないですものね」


 ミルオレが話すのを辞めると、アイリスとメルディがガッカリする。そしてヴェルニカは一応、メルヒオーネに同意する。


「ミルオレ様……今度、お一人でお話しをしに、城に遊びにいらっしゃいませんか?

 友人が中央へ帰っていき暇を持て余していますの。お話しの続きを是非とも聞きたいですわ」


「そうか?妾の話しを聞きたいとは殊勝な心掛けじゃな。特別に暇な時にでも来てやろう!」


 ミルオレは偉そうにいっているが暇人だ。アイリスがそこに目をつける。


「お母様!良かったですね!お友達が出来て、ここに遊びに来ると言えば、手土産にとお菓子をいっぱい出してくれますよ!」


「おぉ、そうか!アイリス!賢いな!早速明日来てやるぞ!」


「まぁ!嬉しいですわ!」


「お母様だけズルいですわ!アイリス様?アイリス様はメルディと遊んでくれませんの?」


「わたしは旦那様のお世話がありますし、でもお暇を頂けたら必ず遊びに来ます」


「本当ですの!?嬉しいですわ!!」


 純粋に喜ぶメルディにアイリスはチクリと胸が痛むが、時々遊びに来れば嘘では無い!と思い直す。


 家には常にミールとミルオレのどちらかが滞在しており、アイリスは元気と二人きりになれないのだ。


 アイリスの行動は、嫌な記憶から自分の心を守る自己防衛から来るものであった。


 嫌な記憶を忘れるために、自分の感情を全てぶつけても許してくれる存在、それが元気だ。


 奴隷の時に感じた嫌な感覚が、元気の前では幸せに感じられる。やりたく無かった事が元気にはしてみたくなる……。


 早く大きくなりたいとアイリスは思う。


 そうすれば、旦那様はわたしと……。


5人の関係性は上手く行きそうですねw


最後にちょっとアイリスの心の闇が出てきますw


次回は難民キャンプの建設開始です!


多分w

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