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日付や季節の巡りを考えなきゃな

 領主の屋敷へミリャナを迎えに行った後、元気とミールはミリャナにビックリするくらい怒られた。


「お城の屋根を壊して、奥様を気絶させてメルディ様をビックリさせて一体何を考えているの!貴方たちは!挙げ句の果てにおじ様に怪我をさせるなんて!信じられないわ!」


「い、いやだってミールが、ミリャナが攫われたとか言いながら帰って来てさ!」


「何だよ、僕のせいにするなよ!屋根を壊したのは元気だろ?僕は姉さんの居場所を教えただけだ!」


「大体何だよあれ!ロボットとかどうやって作ったんだよ!?」


「エルフ達に手伝って貰ったんだ!良い出来だろ?僕じゃ動かすの十分が限界だけどね」


「なるほどなぁ、俺も何かロボット作ろうかな?」


「お!良いね、森を抜けた先に平原があるから作ったらそこで遊ぼうぜ!」


「お!良いな!リアルロボット大戦!面白そうだな!」


「貴方たちは!何の話しをしているの!?反省なさい!!!」


「「ご、御免なさい!」」

 

「とりあえず、後日謝罪に行くから二人ともそのつもりでいてちょうだいね!」


「「はい!」」

 元気とミールは背筋を伸ばししっかりと返事をする。


 ミリャナは怒り疲れたようで、椅子に座り大きな溜息をつくと顔を覆い泣き出してしまった。


「ミリャ!本当にごめん!ちゃんと謝りに行くから!泣かないで!」


「おい!元気!姉さんを泣かすなよ!」


「お前!?何俺のせいだけにしようとしてるんだよ!」


「僕、迎えに行っただけだし屋根を壊したのは元気だろ?」


「ぐぬぬ」

 元気は言い返したかったがその通りだったので何も言えなかった。


「御免なさいね、溜息と一緒に気が抜けちゃった……ミールお帰りなさい、帰って来てくれて本当に嬉しいわ……本当に……」


「おい、お前のせいじゃないかミール」


「ね、姉さん、泣かないでよ……やっと話しが出来るんだからさ」

 ミールがミリャナに駆け寄り慰め始める。


「俺はご飯の準備をするから、二人で話しでもしてなよ……おいで~ポタンママの為にご飯を一緒に用意しようね~」

 元気はそういうとポタンをミリャナから受け取り食事の準備を始める……ポタンはぐずる事無く元気に抱っこされた。


「ポタンは偉いね~」


「あい!」

 

 ポタンは確実に言葉を理解している。元気はポタンは天才かも知れない。さすが、俺とミリャナの娘だぜ!とわりかし本気で思い始めていた。


 そろそろポタン用の教育教材でも出すかな?と考えながら元気はハンバーグを魔力で出して温める。ミリャナの大好物だ。

 最近はダイエットしているらしく食べていなかったが、今日はミリャナの誕生日。

 今日くらいは良いだろうと元気は思う。


 元気はミリャナとミールに気を遣い、少し長めに食事の準備を行うそして、頃合を見て出来た料理をテーブルに並べた。


「実は僕死んじゃったんだけどさ元気に体を作って貰ってさ!こうやって姉さんと話しを出来るようになったんだ」


「ミールちょっと待って、何を言っているのか意味がまったく解らないわ」


「後で元気に聞けばいいさ」

 テーブルに料理を運んでいるとミールがミリャナに余計な事を言っている。

 ミリャナがこっちを複雑な顔で見つめて来るが元気は笑顔を返し食事の準備を続ける。

 ミリャナは何かを言いかけたが元気の仕事の邪魔をしないことを選んだようだ。


 「さてと、これは絶対に必要だな!」


 元気はホール型のケーキを出しチョコプレートにミリャナお誕生日おめでとう!と白いチョコが出るチューブで書く、名前がわからなくてもイメージ出来れば出せるようだ。


 テーブルの上にはデミグラスハンバーグ、コンソメスープ、タンドリーチキンにサラダ、フワフワパン、未成年ばかりなので飲み物はいつも通り水だ。

 食後にジュースを出すことにする。


「さて、準備完了!食べようか!」


「今日は豪華だな!?僕の復帰祝かい?」


「何言ってんだよお前、ミリャナの誕生日なんだろ?まさか覚えて無いのか?」


「じょ、ジョーダンだよ!も、もちろん覚えてたさ!忘れるわけ無いだろ!」

 ミールほど解りやすい奴も居ないだろうなと元気は思った。


「良いのよ元ちゃん、ミールが帰ってきて最高の誕生になったわ」


「ね、姉さん!」


 ミールが優しくされ喜んでいるのが鼻につくが、今日は良いだろう。と思い元気は席についた。

 そして戴きますをしようとした時。ドン!と何かが家にぶつかった音がした。


「きゃっ!なに!?」


 ミリャナが驚いていると、フェルミナがドアから入って来た。


「おぉ、今日は晩ご飯が豪勢だな!なんだ私の復帰祝いかなんかか?」


 満面の笑みでミールと同じ様な事を言いながらミリャナの隣に座るフェルミナ。料理に目を輝かせている。先程元気から逃走した事は既に忘れている様だ。


「喜んでいるところ、悪いけど今日はミリャナの誕生日なんだフェルミナの復帰祝じゃない、大体お前ら復帰祝って何だよ?祝われる前に俺に感謝するべきだろ」


「うむ、そうだな嬉しすぎて浮かれすぎていた様だ!元気!私はお前にこの身を捧げても良い程に感謝しているぞ!その、あんな事をした仲になったんだしな……」


 ミリャナの横でフェルミナがモジモジする。フェルミナを見ていたミリャナが「あんな事?」っと元気を見た。


「ばっ!お前は何言ってんだよ!あれは体を作るために仕方なくだな!」


「フフフ冗談だ、しかし何かあったら言ってくれ!全力で我らエルフはお前の力になるぞ!」


「まったく、ミリャに誤解されたらどうするんだよ……まぁ、何かあったら頼むよ……」


「おう!任せろ!それと、ミリャナ誕生日おめでとう!」


「あ、ありがとう御座います……それで貴女はどちら様でしょうか?」


「あぁ、そうか!ミリャナに姿を見せるのは始めてだったな!私はエルフのフェルミナだ!運命の女神をやっていたが今は無職だ!改めてよろしく!」

 ポカンとしているミリャナと笑顔のフェルミナは握手を交わす。


「フェルミナの事なんてどうでも良いからさ早く飯にしようぜ!お腹すいたよ!ねぇ!姉さん!」


「ミール貴様は後で覚えていろよ、しかし今日は魔力をいっぱい使ったのでお腹がすいたな!」


「まったく、今日の主役はミリャナなんだから喧嘩せずに今日くらいは大人しくしてろよな?」

 二人を睨んで忠告する。

 実体があるときに二人に喧嘩をされたら家が潰れかねない。


「わ、解ったよ」


「う、うむ、すまない」


「あい!」


「ポタンは良いんだよ~いつもお利口さんなんだから~、じゃミリャナ!挨拶をよろしく」


「あ、挨拶!?」


「あ、ちょっと待て、ミリャナこっちを向け」

 そういうとミリャナにフェルミナが癒やしの魔法を掛ける。

 すると見る見るうちに泣いて赤くなっていたミリャナの目元が元に戻っていく。


「腫れたままではミリャナの美人な顔が台無しだからな!」


「あ、ありがとう御座います」


「うむ、気にするな!裏庭に間借りしている礼だ!では、ミリャナ!挨拶を頼むお腹がすいた!」


「挨拶と言っても何を言えば良いのかしら?」


「笑えば良いと思うよ……」


 ミールがミリャナにニコリとする。


「え?笑うの?」


「ちょっとミール黙ってろ、何かこれからしたいこととか?目標とか?」


「目標?目標……」


「ご、ごめん無いなら良いんだ、俺が前いたところではやってたからさ、それじゃ!ご飯を食べようか!」


 施設での習慣だったので自然と言ってしまったが、普通はしない事に気づく元気。ミリャナはその様子に何かを感じた様だ。


「ま、まって!あるわ、目標……私は今幸せよ、元ちゃんがいて、ミールが帰ってくれて来て、ポタンが居て、フェルミナさん?とも出会えた……毎日美味しいご飯も温かいお風呂もある本当に幸せなの、だからこの幸せを私に何が出来るかは解らないけど町の子供達にも分けてあげたいと思う……ます」


 言っていて恥ずかしくなったのだろう、ミリャナが赤面している。


「素晴らしいよ、姉さん!流石だ!姉さん!」


 ミールがパチパチパチパチと拍手をする。それを真似するフェルミナ。力加減がおかしいフェルミナのは、バッチン。バッチン。とうるさい。リズムも変でゴリラの様だ。


「珍しくミールと同意見だ!教会で見ていたが、あれだけ献身的だったのだから、子供達はこれからもミリャナがいれば幸せだろう、素晴らしい目標だ!」


「ポタン~ママは優しいね~、まるでどっかの誰かと違って本当の女神様のようだ」


「あい!」


「ポタンも元気も言ってくれるな、まぁ、もう女神ではないのだ!好きに言うが良い」


 元気に力と翼をなすりつけたフェルミナは、ぶるるんと胸を張り満足げだ。


「フフフ、フェルミナさんと元ちゃんは仲良しなのね。……それじゃご飯を食べましょう、いただきます!」


「「「いただきます!」」」


「まい!」

 賑やかなミリャナのお誕生日会が始まった。

 ミールの体の事や裏の喋る木の事、森のエルフの事やフェルミナの事をミリャナに聞かれて、説明しながらの食事だった。


 ミリャナは驚いていたが途中から本の物語みたいだと楽しそうに聞いてくれた。

 ミールの事が死んだことは残念だけど、ここに居ることに感謝すると気持ちの整理をしたようだった。


 屋根裏や地下室の改造、孤児院への神さま活動の事は既に全てバレていた。

 おっとりしている様でミリャナは感が鋭いようだ。アレな本は金庫か何かに隠した方が良いかもしれない。と元気は思った。


 食事の後はケーキだ。蝋燭の火を吹き消して貰い切り分けてみんなで食べる。


「これは、凄く美味しいぞ!毎日私のご飯はこれが良い!」


 口の周りをクリームでベトベトにしながら、フェルミナが元気にねだる。


「別に良いけど、食べ過ぎると凄く太るぞ?」


「む、そうなのか?動きが鈍るのは困るな」


 見栄えじゃなく機動面で困ると言っているフェルミナの隣でミリャナピクリと反応する。少し何かを思案している様だったが、「きょ、今日だけ……特別……」と言ってまた食べ始めた。


 食事が終わるとミールは屋根裏へフェルミナは裏小屋へと戻って行った。

 

「元ちゃん今日はありがとうね、凄く嬉しかったわ」


「ハハハ。喜んで貰えて良かった!」


 笑顔でそう言葉を交わしたあと、ミリャナはポタンとお風呂へ行き、元気は片付けを始めた。


 「フフフ……ありがとうか……。こちらこそだよなぁ……」


 異世界でミリャナに出会ってから元気の日常は充実している。ミリャナとの生活が幸せだと素直に思えるようになっていた。


 洗い物が終わると元気は部屋に戻る。ケーキの後だ。おやつタイムは今日はお休みである。


「領主の城の屋根どうしよう、弁償とか言われるかな?めっちゃめちゃミリャナ怒ってたし、シカトするわけにもいかないよなぁ」


 魔力で大金を出しても良いが、何か頑張って働いているミリャナに申し訳なくて出来ない。と元気はためらう。


 どうしようかと思いながらウトウトしていた時だった。背後にモゾモゾっと誰かが潜り込んできた。


 驚いて眠気が霧散する。……確認してみるとミリャナとポタンだった。


「ど、どうしたの?」


 元気は久しぶりの事にドギマギしてしまう、ミリャナからお風呂上がりの良い匂いがするから尚更だ。

 十五歳と聞いてからベッドでの撫で撫ではなくなっていたのだ。


「何だかドキドキして眠れなくて」


「そ、そう」


 ドキドキのお裾分けだろうか?……眠れなくなってしまう。……以外とミリャナは意地悪さんなのかも知れない。と元気は思った。


「ミールの事。本当にありがとうね……他にも孤児院の事とか……食事とかお風呂とか私、元ちゃんに良くして貰ってるばかりで……どう恩返ししたら良いか解らないわ」


「気にしないで良いよ。俺はミリャナに会ってから幸せって言うのかな?それを感じる様になったし、毎日元気なミリャナを見ると安心するんだ。爪切りだって、耳掃除だって、膝枕だってしてくれるし恩返しならして貰ってるよ」


「そんなの、ミールにだってしていたわ……ねぇ……元ちゃんは、何で私に優しくするの?」


 背後でそんな事を言うミリャナの甘い声に、元気の心臓がドキリとと跳ねた。


 こ、これは、もしかしてイケる!空気では無いだろうか?と思う元気。生まれてこの方彼女無しの喪男だが、恋愛小説。ギャルゲー。漫画は読み込んだ!これは……。


 『君が好きだからさ……。愛してる』のタイミング。こ、告白……しよう……そして伝説へ……。


 舞い上がった元気がゆっくりとミリャナの方へ向く。ゆっくりとである。ここで焦って童貞臭を匂わせてはいけない。無駄な努力だが元気は本気だ。


 ドキドキしながらそっと向き直ると……ミリャナ……ではなく。抱かれたポタンと目が合った。


そして「フッ」っと鼻で笑われた。


 元気の舞い上がった気持ちが、急に恥ずかしさに変わる。


「そ、そりゃ、ミリャナは大事な命の恩人だし、今は俺は家族だと思ってるし、それに、す、好きだ……し……」


 焦った元気は、しどろもどろ。言い訳染みた告白になってしまった。


 しかし、言った。元気は気持ちを伝えたのだ。


 元気はドキドキが止まらない、心臓が飛び出しそうな感覚に襲われる。

 ポタンが、えぇ~告白しちゃうの?これからどうなるの~?と言う感じの下卑た顔でニヤニヤしているのが気になるが、それよりもミリャナの反応の方が気になる。

 

「私も好きよ。元ちゃんの事……」


 ミリャナの口から出た。好き。に元気は叫び出しそうになった。


 これはもう結婚するしか無いだろうか!そうだ、結婚しよう!と元気の心が再び舞い上がる……が人の話はちゃんと最後まで聞こうである。


「……家族の様に思ってるし、弟のように大切よ。元ちゃんがいなくなったらミールと同じように悲しくなると思う……」


「……そ、そう」


 ポタンが笑うのをこらえている。


「ま、まぁ、大切な家族だろ?助け合うのは当たり前じゃないか、優しくするのも当たり前さ!」


「そう……。じゃ……私もお姉ちゃんとして優しくしなきゃね……」


「うん!……俺も……頑張る……家族は仲良しが一番だ!」


 にへらと笑う元気。ミリャナが元気の反応を伺うが、元気は気付かない。


 ここで好きの種類が違うと説明して。断られたら泣いてしまいそうなのだ。なのでミリャナ家族案にのる事にした元気だった。


 本日はゲームセット。その空気を感じるとポタンが溜息をついた。


「……話してたら気分が落ち着いたわ……部屋に戻るね」


 ベッドからミリャナが出て行き少しガッカリする元気。


「今日は本当に嬉しかったわ、おやすみ……」


 そう言うと元気のおでこにチュッ。とミリャナはキスをした。


「……お、おやすみ」


 元気はポカンとしながら、恥ずかしそうに部屋から出て行くミリャナを見送った。


「……ミリャナは俺の心を掻き乱す天才だ……。い、今のはどう言う事だ?……家族ならするのか?デコちゅう……。す、するのか?……しても……良いのか?……あぁ~!解ら~ん!……完全に目が覚めてしまった……」


 やきもきして眠れそうに無い元気。目玉がギンギンだ。


「弟。……弟かぁ……赤の他人よりか良いけど、なんかどっかで家族認定されたら恋人になるのは難しい。と聞いたきがする……弟かぁ……。でも……ちょっと照れてたよな?……えぇ~!普通がわかんね~!……ハッ!誰かに相談!……普通の人間!……いねぇ~……」


 元気の一人言を扉の前で聞きながら、ポタンと二人でクスリと笑う。今日は少し意地悪なミリャナなのだった。

ミリャナとの関係性は進展している様子?

ちょっと無理矢理ですがミリャナへの情報が共有出来て良かったです。


意地悪って信頼関係が無いと出来ないですよねw


少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。


下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw



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