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本気で向かえる相手

紆余曲折=色んな事。色々。


心を剥き出しにして喧嘩出来る相手って大事。

 手合わせの決着がついた、露死南無天とミリャナをキャンピングカーに乗せると、元来た道を戻り。冬美の自宅へと向かう元気達。車内では、露死南無天がミリャナや元気達の急激なレベルアップについての話しを色々と聞きたがった。


「ふむ。なるほどのう。……ただの石つぶてがあそこまでの威力に精錬されていたのは、知識の女神の試練のお陰で御座ったか……」


「そうなの。あの石つぶて──」


「──ミリャナピストルね?あれはミリャナの必殺技なんだ!俺が名付けたんだぜ?格好いいでしょ?」


「うむ。良い名前で御座るな!ブルッファハハハ!」


 後部のリビングルームで雑談を楽しむミリャナ達に、一人で運転中の元気は、何としても混ざりたい。


 そんな元気が格好いいと言って、自信満々にダサイネーミングを周知した事で、恥ずかしさによって少し頰が染まるミリャナ。


 そんな彼女に、同乗する女子組が同情の目を向ける。普通の女子は、必殺技に自分の名前がついても普通に嬉しくないのだ。


「……。そ、そのミリャナピストルの要領で一気に走りだせば、私も凄い速さで動けるの」


「ふむ。実に興味深いで御座るな……。あれは本当に目にも止まらぬ速さで御座ったからな……」


「化学や物理と魔法の融合。私はまだ知識の収集段階だったから実験は見送ってたんだけど……。流石は知識の女神様よね……。魔力の少ない人間が扱えるレベルまで掘り下げて研究をしているなんて……」


 以前。元気達の造った集合アパートを見に行った際に、自由に空を飛び回る子供達の姿を見て、子供達の魔力の枯渇が心配だったポタンは、何かアレにも魔力の消費を抑える細工があるのだろうと思い少し安心した。


 これは魔力が枯渇してしまうと、死んでしまうこの世界ならではの心配事だ。


「これで一緒に行けるわね~ポタンちゃん?フフフ……宜しくね!」


「あ、うん。ママ……よろしく……」


「元ちゃんも……。これで文句は無いでしょ?」


「ええっと……。うん……まぁ。うん……」


 ニッコリ笑顔だが、ミリャナがまだ怒っている様子に少し萎縮してしまう元気とポタン。二人はまだ、ミリャナが未来で起こる事を何も知らないと思っているので、怒っている理由が解らないのだ。


「……それで、現在は何処まで進んでいるので御座るか?……未来で元気が死ぬ事は、もう既に回避出来そうなので御座ろう?」


「ろ、露死南無天!それは今、言っちゃダメ……ママが……」


「何故で御座るかポタン?……ミリャナ殿はとうの昔に知っていた様子で御座るぞ?」


「「え!?」」


 露死南無天の発言に驚く元気とポタン。ミリャナは笑顔を保ち無言のままだ。


「マ、ママ……。知ってたの?」


「えぇ。知ってましたよ~?ポタンちゃん……。あの日、私がアイリスと喧嘩してたから聞いていないと思ってたんでしょうけれど……」


 ミリャナが敬語なのは、かなり怒っている証拠だと知っている元気とポタンは一瞬にして青ざめる。


「や、やだな~ミリャナ……。知ってたなら教えてよ~……まったくもう。ハハハ……」


「そ、そうよママ。知ってたなら──」


「──いえいえ……。二人で!……何とかしたそうだったから……弱い者の私は出しゃばっちゃ駄目かな?って思いまして……。だから私も強くなったら、元ちゃん達の口からちゃんと教えて貰えるかもって、ずっと必死で毎日訓練したりして待ってたのよ?……でも結局……」


「そ、それは……ミリャナに心配掛けたく無くてさ……。わ、解るだ──」


「──そんなの解んないわよ!!!……家族なんだから私も一緒に心配しても良いじゃない!私ってそんなに頼り無いのかしら!」


 ドカン!と大きな声を出したミリャナに、話しの内容が全然理解出来ていない冬美と、ミリャナの膝に座っていたポタンがビクッとお尻を浮かせた。


 一瞬にして場が凍り付き。シーンとする車内。しかし、空気を読まない系。もとい。読めない系男子がそこには搭乗していた。


「そ、そんなに怒んなくてもいいじゃ無いか!今まで黙ってたのは謝るけどさ!俺達がミリャナを頼りにしていない訳無いだろ!」


「じゃあ!なんで言わなかったのよ!?」


「それはさっきも、ミリャナを心配させたくなかったいって言いましたけど~?」


「家族なんだから心配するのは当たり前ですよね~?それをずっと秘密にして私をずっと仲間外れにして!」


「はぁ?仲間外れに何かしてませんけど~?ずっとミリャナと一緒にいました~」


「そう言う事を言ってるんじゃありません!心の問題よ!」


「心とか言われても解りませんけど?ちゃんと言葉にして言って貰って良いですか~?」


「家族なんだから!隠し事をしないでって言っているのよ!私も一緒に心配しても良いじゃないの!そんな事も解ら無いの!?」


「だから、それは悪かったと思ってるし、さっき謝ったじゃん!」


「謝って貰ったけど!今までずっと黙ってた事が私は許せないの!私はもう足手まといじゃ無いんだからね!」


「謝っても駄目って、一体どうすれば良いんだよ?訳分かりませんね?大体!ミリャナが強くなってるのは、いつも頭をかち割られてる俺が一番良く知ってるよ!アレ本当に痛いんだからな!」


「あれは他の女の人のおっぱいやパンツばっかり見てる元ちゃんが悪いんでしょ!私のせいにしないで下さい~!アレでもちゃんと手加減はしてるんですからね!拳骨されるのが嫌なら鼻の下伸ばすの辞めなさいよね!」


「無理です~!だって男の子ですから~」


「無理です~って!開き直らないでよ!このパンツ!」


「いった!クッキーをピストルで飛ばして来るなよな!しかもパンツを悪口みたいに使わ無いで戴けますか?このオッパイ!」


「お、オッパイって!子供みたいな言い返ししないで貰えますか~?恥ずかしい」


「ど、どっちが子供なんだよ!こっちこそ恥ずかしいよ!」


「「……ふん!」」


 ミリャナが怒った事で、テンパってしまった元気が先に仕掛け、突如として始まった二人の口喧嘩。最初は驚いていた冬美や露死南無天も、しょうも無い口喧嘩に途中から呆れ顔だ。


 二人の口喧嘩を定期的に家で見ているポタンは、巻き込まれない様に沈黙を貫いた。


 ミリャナに心配を掛けたく無い元気と、元気の心配をしたいミリャナの口喧嘩も一段落ついた様で、二人の鼻が鳴るのと同時に休戦に入り。車内に静けさが戻る。


「若いってのは良いで御座るな……」


「フフフ……。そうですね……」


「あ……。すいません……冬美さん……初対面でこんな……。元ちゃんも謝りなさいよね!」


「わ、解ってるよ!すいません冬美さん……。まったく、ミリャナはうるさいんだから……」


「はぁ?うるさいのは元ちゃんの方でしょ?」


「ま、まぁまぁ。二人とも……」


「「……ふん!」」


「フフフ……」


 冬美になだめられ。対面していないのに鼻を鳴らしながら、そっぽを向く二人。そんな二人の姿を見て、家に置いて来た子供達の姿を思い出す冬美。子供のいる大人から見たら、二人の喧嘩は子供の喧嘩そのものなのだ。


「あ……。冬美さん。集落が見えて来ましたよ!……へぇ~……山岳地帯の谷間にある集落かぁ……。何か忍者の隠れ里みたいだ……」


「あら。元ちゃんは忍者を知っているのね?フフフ……私も最初に見た時は驚きましたのよ……。あそこの高台の屋敷が私達の家です……」


 冬美に元ちゃんと呼ばれ、照れる元気の後ろから座席越しに、集落の高台を指差す冬美。露死南無天がその指の先を見て嬉しそうに声を上げる。


「おぉ!名のある坊主の住む山寺の様な、立派な造りの家で御座るな!……時の流れの中で、集落の方もそれに流された感じで御座るかの?……点在する木造の家々と畑がとても懐かしい雰囲気で御座る……」


「元ちゃんたら……綺麗な女の人に褒められるとすぐデレッとしちゃうんだから……恥ずかしい……。ポタン!私達もあっちの部屋に見に行きましょ!」


「う、うん!」


 ポタンと寝室にある広い窓へと景色を見に行くミリャナ。それを見送ると露死南無天が元気に向かって口を開いた。


「……まったく。何故アレで喧嘩になるのじゃお前達は?」


「……何かミリャナが怒るとテンパっちゃうんだよ……。どうしよう……」


「取り敢えず。時を見て謝る事じゃな……。お前の言い分も解るが、女子とて、好いた相手の心配をしたいと思う気持ちはあるので御座るからな……。それに信頼している相手から隠し事をされ続けると言う事が、どれ程辛い事か解らぬ歳でもあるまい?」


「……うん」


「フフフ……。元ちゃんは素直なのですね」


「え?いやぁ?そうかなぁ?へへへ……」


 褒められて照れる元気を見て笑う冬美。


 彼女の指示通りに、彼女の家へと車を向かわせる。一方、寝室に向かったミリャナとポタンは……。


「ママ……。内緒にしててごめんね……」


「フフフ。良いのよポタン。私を心配してくれての事だってちゃんと解ってるから……。私……ちょっと寂しかったのよ……。ビックリさせてごめんね……」


「良いのママ!謝らないで!もう二度と寂しい思いなんかさせないから!これからはママに何でも話すからね!……だからママ……パパよりもポタンの心配をしてくれる?……私もママがいなくて寂しかったのよ?」


「そう。ポタンも寂しかったのね……。長い間、家を留守にしてごめんね。……他の人のオッパイばっかり見るパパよりも、ママはポタンの心配を一番にする事にするわね!」


「本当!わ~い!やった!」


 そこには、元気とミリャナが喧嘩を始めたのを良い事に、ミリャナにべっとりと抱き付きながら、ひたすら彼女に甘えるポタンの姿と、それを無条件に受け入れるミリャナの姿があった。


 こうして、紆余曲折ありながらも冬美の住んでいる家へと無事到着した元気達は、今後の予定について話し合う事となるのだった。



結局喧嘩しちゃった二人。しかし言いたい事を終わってしまえば、二人の喧嘩は後を引きませんw


後はどちらが先に謝るかの許す前提の勝負です。だって二人の頭の中にはお別れすると言う選択肢が無いのですからw


次回こそは、作戦会議。と思うw冬美の子供達の紹介で終わったらしいすいませんw


少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。


下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw



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