贈り物~ヴェルニカ~
自分を大切に思ってくれている人と一緒に過ごす時間と言うのは、何よりも大切な物です。
自分の時間もそうですが、相手の時間もまた有限なのです。
中央王国に新たな王が君臨してから数か月が経ちました。
これから訪れる戦争の無い平和な世の中。
それはとても喜ばしい事なのですが……平和であればある程に忙しくなるのが、領主夫人。いえ今は女王になるのですか?今までとあまり何も変わらないので、現状あまり自覚はありませんが、自覚があろうとなかろうと関係ありませんわね。まぁ。とにかく、忙しくなるのは、そう言った貴族と呼ばれる女性達の社交界の世界なのです。
「アルト準備は出来ましたか?」
「あ、はい!大丈夫です!ヴェルニカ様!バッチリです!」
「はぁ……。準備は整っております。でしょう?あ、って何ですか。あ、って……」
「す、すいません……」
「申し訳ございませんでしょ……。はぁ……もういいわ。行きますわよ……」
「はい……。あ!かしこまりました!!!」
「正解です。ですが声が大き過ぎます……」
ミールの恋人であるアルトを立派な貴族令嬢にする為に、彼女の教育を引き受けた私でしたが、最初は本当に彼女は駄目かも知れないと思いました。
アルトが悪い子とかそういった事ではありません。アルトはとても素直で良い子です。もし、貴族としてでは無く、下町で平民として生活するのであれば、元気も体力もある彼女はとても優秀だと思われます。思われますが……。現状。彼女が貴族として生きて行く事は難しい。としか言い様がありません。
どうも、彼女は言葉覚えがとても苦手らしく、何度教えても言葉使いが治らないのです。
彼女にとっての救いは体感が驚く程に良く、所作と姿勢がとても綺麗な事でしょう。それに身体を動かす動作系統の事はすんなりと覚えてしまいますので、根っから地頭が悪い訳なのでは無いはずなのです。
彼女は多分……。いえ確実に、戦闘を得意とする兵士や騎士向きの人間なのでしょう。午前の教育が終わった後のお昼休憩中に、休憩をせずにドレスのまま。兵舎の詰め所で剣を振り回している姿を見た時は、流石の私も驚き過ぎてひっくり返るかと思いました。
「いいですか?アルト今日は発言をせずに、場を見ていなさいね。そして貴族同士の会話を見て覚えるのです。いいですね?」
「わかりました!」
はぁ……。かしこまりましたと先ほど教えたばかりなのに……。
燃える様な赤い髪に整った顔つき。そして、私ほどでは無いにしても出る所は出ていて、女性としては完璧に整った体躯。見栄えと所作は完璧な貴族令嬢なのですから、公の場に出ても喋らなければ大丈夫でしょう。まぁ。本日はいとこ同士のお茶会なので、多少なりの無礼があったとしても構いません。と言いますか、無礼な事を行って追い返して欲しいとも思います。
あのお姉様の相手は、とても疲れるのです……。
「随分と遅かったわね……ヴェルニカ?女王になって気が大きくなっているのかしら?」
客間のソファーに座り。優雅にお茶を飲みながら下品な真っ赤な口紅を塗りたくった顔で、挑発的に笑い。年甲斐も無く金色の髪を縦ロールにしているおば様は、情勢が悪くなった途端に、さっさとアルカンハイトと領民を見捨てて中央王国へと出て行った。
私のいとこのヴェルバラ姉様です。
今日も黒い薔薇のドレスが良く似合います事。まるでお姉さまの心の色がそのままドレスに滲み出たようなドス黒さですわ……なんて事は言えないので、こちらも笑顔で対応する事に致しましょう。
「ごきげんよう。ヴェルバラ姉様。気が大きくなるなど、とんでもございませんわ。最近はあれやこれやと、日夜大忙しで夜も眠れぬほどですの……。実は本日も少々寝不足気味でして、それにこの後も大事なお仕事が残っておりますのよ?ホホホホホ……」
「そう?大変ね」
だから早く帰って頂けるかしら?何て本音は言えるはずもありません。そもそも帰る気も無さそうですし……今日は一体何の用事かしら……。
「は、初めまして、わたくし、どうもアルトと申します。以後……お見しりおきを……」
目上の人間に対して自分から挨拶を行った事はとても偉いですが……。残念ながら60点です。お名前の前に、どうも。はいりませんよアルト。貴女はお城にやって来る下町の商人じゃ無いんですから。
「あら?貴方のお気に入りだった紅色のドレスを、その娘に着せるなんてどう言う気の代わり様かしら?私には絶対に貸さなかったのに……。その方は貴女とどう言ったご関係なのかしら?もしかして……第二夫人?」
「……。いいえ。甥っ子の婚約者ですの……。ヴァイドもそろそろ第二夫人を娶ってくれれば、私も楽になりますのにね。第二夫人などいらないと申しますのよ?まったく困ったものですわ。ホホホホホ」
「あらそう?てっきり。古くなった馬から新しいのに乗り換えたのかと思ったわ。フフフ」
「嫌だわお姉さまったら……。ホホホホホ」
相変わらず憎たらしい笑い方だ事。貴方の言う貸しては頂戴と同義でしょ?それに、お姉さまの旦那とうちのヴァイドを同列に語らないで欲しいものです。私に色目を使って来たあの禿頭の豚の事を思い出すだけで、今でも全身に怖気が走りますわ。
「ママァ、早くお願いしてよ……僕はあれが食べてみたいんだ」
「マルムちゃん、まずは、おばさんにご挨拶なさいな。後でお願いしてあげますから」
「……。こんにちはおばさん。マルムです」
「おいおい……。あの歳でママって……。しかも運動不足過ぎだろ、まるで豚……。あいた!?」
「アルト?ちょ~っとお静かにしましょうね……?」
「は、はい……」
何でも正直に言えば良いってものではありません事よアルト……。たとえそう見えたとしても、憎たらしいオークだなんて、絶対に言ってはいけません……。
しかしあれはわざとやっているのかしら?ジャケットのボタンがお腹の所ではち切れそうではありませんか……。それにおばさんじゃなくて、おば様ね?
「お久しぶりですねマルム……。久しく見ない間にその……少しふくよかになったんではなくて?毎日美味しい物を食べているのでしょうね?とてもうらやましいわ……。さぁアルト私達も立ってないでソファーに掛けましょう。メールヒオーネ。私達のお茶をお願いね」
「はい。かしこまりました女王様」
「ふ~ん。女王様ねぇ?アルカンハイトが独立したって噂は本当なのね……」
「はい。お姉さまが中央へご旅行へ行かれている間に国になりましたわ」
「そう……」
そこで黙らないで頂けるかしら?何か用事があるのなら、さっさと言って下さいまし。国を捨てたお人の為に裂く時間はありませんと、すぐさまお断り致しますので。
「おいそこのお前。何歳だ?」
「アルトは今年で十四歳になりまして──」
「──おばさんには聞いてないよ。そこのお前に聞いてるんだ!」
「十四です……」
「そうか。じゃあ、俺の方が一つ上だな!兄上と呼ばせてやる感謝しろ!」
「遠慮しときま……。いった!?……何も抓らなくても……」
「……良かったですわねアルト~?お兄さんが出来て~」
「は、はいぃ~……。嬉しく思います~……」
ごめんなさいねアルト。後でちゃんと謝りますから……。理不尽な仕打ちをどうか許してくださいませ……。
「……ところでお姉さま?今日はどんな御用事で?」
「そうでしたわね。実はこの子がね。アルカンハイトで出回っているお菓子を食べたいっていいだしたのよ、だから準備して貰えないかしら?」
「お菓子……?クッキーの事かしら?……でもあれはまだ国外に出すつもりはありませんの……ここで食する分には構いませんけれど……」
ポタンとの約束で、料理やお菓子やそのレシピは絶対に他国に出してはいけないとなっているのです。戦争が終わった後にやって来る経済戦争で、他国よりも有利に立つ為だそうですので絶対に渡せません。特に。余計な事にしか頭を使わないこの人には、絶対渡せません。
「なぁに?では、私たちはそのお菓子を食べる為に、毎回毎回こんな辺鄙な所にある、田舎の島へとわざわざ足を運ばなければいけないと言うのかしら?」
「……そうなりますね」
「まぁ!?ずいぶんとセコイ事を言う様になったのね?ヴェルニカ?昔あんなに可愛がってあげた恩を忘れたのかしら?お菓子のレシピ位、すぐに寄越しなさいな!」
「レシピを寄越せと言われましても……。あれは私たちの作った物ではありませんので無理なのですよ……」
「どうせ平民の作った粗末な屑菓子なのでしょう?今すぐ先ほどのハーフエルフでも、平民にけしかけてレシピを献上させなさい!」
はぁ……。テーブルをそうバンバンと叩かないで下さいませ。気に入らないと直ぐに怒って喚いて。てんでお話になりませんね。
「お茶をお持ちしました」
「丁度良い所に来ましたわ!ハーフエルフ!貴方!町に行ってお菓子のレシピを貰って来なさい!」
「……申し訳ありません。ヴェルバラ様。町の嗜好品はアルカンハイトの神が造りし物。なので勝手に持ち去る事は禁止されていますのです」
「か、神様ですって!?そんなものこの世に居る訳がないでしょうが!ハーフエルフの分際でよくも私にふざけた事を!」
「ちょっとお姉さま何って事を!?メルヒオーネ!大丈夫ですか!?誰か!メルヒオーネに手当てと着替えを!」
「大丈夫です女王様……。こう言う事には慣れておりますので……」
「慣れているって!今入れてきた熱いお茶を浴びせられて平気なハズが無いでしょう!?慣れているのと、平気なのとは違うのですよ!」
この人はもう!本当に!いつも何にでも我慢ばかりして!
一応。身内だからと言う事で我慢しましたが……もう無理です。お帰り頂き──
──「あらら?汚いハーフエルフの心配をするなんて、とってもお優しいのね?ヴェルニカ?あはははは。まぁ。恩知らずな貴女には、とってもお似合いな所作です事!神様なんて馬鹿けた者!いるはずが無いでしょう!ふざけるのも大概に──」
「──大概にするのはお前だ馬鹿!神様と俺の母様と作法の大先生を馬鹿にするな!!!このくっそばばぁ!」
「アルト!?」
「お嬢様!?」
「ぎえぇぇえええぇぇ!?」
「お前!ママに何て事をするんだ!この──」
「──うるせぇ!この豚ぁ!!!」
「ぶぎゃぁ!!!」
……それは一瞬の出来事でした。
ソファーに上って、私に向かってゆびを指しながら仁王立ちするお姉様に向かって、アルトが飛んで行ったと思ったら鋭い右フックで一撃。
お姉様がソファーの裏へと汚い悲鳴を上げて転げました。
そしてマルムはアルトの鮮やかなキックで、お姉様の後を追ってコロリとソファーの裏へと消えてしましました。
「あ……。やべ……」
「ア、アルト!?どこに行くのです!逃げるんじゃありません!コラ!戻ってらっしゃ……。もう!あの子は何て逃げ足の速さなの!?まったく!メルヒーネ!何を笑っているのですか!?笑い事ではありませんよ!」
「すいません女王様……。フフフ。生前の奥様を思い出してしまいまして……」
「おばあ様を?」
「えぇ。いつもこうして、悪さをしては逃げ回るヴァイド様やダルドリー様を叱っておいででしたもので……。とてもそっくりでございます」
「何ですかそれは……。おばあ様に似ていると言われては怒るに怒れないではありませんか……。まったく……」
「さてさて。私はオイタをした可愛い弟子の為に後片づけを致すとしましょう……。お二人の治療を行える人を呼んでまいります」
「えぇ。お願いします。メルヒオーネ……。お茶が掛かった場所は本当に大丈夫なのですね?」
「はい。……少しやけどをしているかも知れませんが、最近出来た知り合いの方が治療の魔法が得意なもので、その方に治療をお願い致します……。あぁ。その方達に、この方達の治療もお願い致しましょう……」
メルヒオーネがとても悪い顔をしていますわ……。
「そ、そう……。その……。こんな方でも一応は私の身内の者ですの……。なので、ほどほどにしておいてあげてくださいませね?」
「かしこまりました。ほどほどにしておきます……。では、女王様はアルトの方をよろしくお願いします」
「……そうですね。では、メルヒオーネ。後はよろしくお願いいたします」
……。まったくあの子は……。行先はどうせあそこでしょう。逃げる度に同じ所に隠れて……本当にお馬鹿なんだから。
「アルト出てきなさい。兵舎に隠れても私が来る度に整列しなくてならない兵士達が困るだけなのですよ。早く出てきなさい」
「はい……」
はぁ……。そんなに落ち込みながらとぼとぼと出て来るのならば、最初からやらなければいい物を……。
「ほら!貴女がここに逃げて来たせいで兵士の皆様は訓練の邪魔をされたのです!ちゃんと謝りなさい!」
「み、みんな。ごめんなさい……」
「い、いや。俺らは鎌わねぇよアルト……。。……あ、あの女王様。アルトの奴をあんまり怒らないであげてくだせぇ……アルトは女王様やメルヒオーネさんが言われっぱなしなのが──」
「──解っています。ですが、悪い事をした後に逃げると言う事は良い事ではありませんよね?兵士の皆様方ならおわかりでしょう?」
「それは……そうですね。すいません……。余計な事を言っちまいました……」
「……はぁ。頭を上げて下さい。こちらこそ……。私の娘が大変ご迷惑をおかけしました……。本当に申し訳ありませんでしたね」
「あ、いえいえいえ!ぜ、全然大丈夫でさぁ!謝らないでくだせぇ!アルトが来ると兵舎が明るくなるので……。アルト!またいつでも遊びに来いよ!」
「うん!」
「来るのならば、逃走中では無く、自由時間になさい……。まったく貴女はそんなにニコニコして!ちゃんと反省をなさい!」
「はい……。……あ!オリビアさんだ!」
「な!何ですかあれは!?」
見た事も無い大きなモンスターが!城へと凄い速さで向かって来ているではありませんか!?
「黒竜のオリビアさんと……。背中に乗ってるのは……。あぁ。エルフのフェルミナさんと癒しの神様のマーリュク様ですね!」
「ア、アルト!?あの方達は知り合いなのですか!?し、城が!緊急事態では無いのですか!?え!?黒竜と神様!?」
どう言う事ですか!?情報量が多過ぎです!
「大丈夫ですよ?母様?オリビアさんは毎日。大師匠を迎えに来てますし、フェルミナさんは一時。孤児院に遊びに……お手伝いに来てた人です!マーリュク様は話した事無いですが、孤児院の神様のお友達らしいです!」
「オリビアさんはメルヒオーネさんを待ってる間に、俺らの訓練の相手を時々してくれる。凄く良い黒竜なんでさぁ!問題無いですぜ!」
「そ、そう……。元気の知り合いなのね?」
何が何だか解りませんが、元気の知り合いなら、多分大丈夫なのでしょう。
ですが、良い黒竜って……。黒竜って何体も存在するものなのかしら?それに神様も……。
はぁ……。何だかどっと疲れましたわ。まったくヴァイドも、こんな事になっているのならばもうちょっと私にお話をするべきでしょうに!
「あちらの方は、メルヒオーネに任せた方が良さそうね。ではアルト私達はお部屋に戻って今日の反省会です。いいですね?」
「はい!」
「返事だけは完璧なんですけれどね……。では皆様。失礼します」
「おっちゃん達!またね!あ。……オ、オジサマ方々、ご機嫌麗しゅう?」
「ごきげんよう……そしてこっちを見ながら頭を下げない」
「はい!」
こうして、お茶会から逃げ出したアルトを捕まえた私は部屋に戻り。二人で本日のお茶会の反省会を行いました。
アルトの行動は、ほとほと駄目な所ばかりでしたが、その実。私もスッキリとしたのでお説教は程ほどにしておきます。そんなお説教が終わる頃に丁度報告に来たメルヒオーネの話によると、彼女達は飛ぶ様にして、中央王国へと逃げ帰って行ったとの事でした。
「いやぁ!アルトにも見せてやりたかったなぁ!元気達を馬鹿にしたあの女が泡を吹く所をさ!アルトもアイツに怒ったんだってな!ナイスガッツだ!いえ~い!元気にアルトを褒める様に言っといてやるよ!」
「えへへ!ありがとうフェルミナさん」
「私が!あのマザコン豚息子の首を魔法でコロンと見事に落としたからよ!すごいでしょ!ね!凄いわよね!私って美人だし!私の事も褒める様に言っておいてねフェルミナ!」
「わかった!」
「ねぇ?メルヒオーネ?まだ仕事は終わらないのかい?アーシャが家で待ってるんだ。あの鳥娘達二人に任せたままじゃ心配なんだけど?」
「おや?一緒に連れて来れば良かったではありませんか?」
「やだよ。私が空を飛んでる間にこの二人にアーシャを抱かせて、もしアーシャを落としたりなんかしたら。今度は世界を此奴らごと本当に破壊するよ?」
「それは、大変困りますなぁ。母さんはいないのですか?」
「何か今日は集まりがあるからって、エルフの森に行ったよ。折角同胞と会えたんだから邪魔は出来ないだろ?毎日色々と手伝ってもらってるんだし」
「そうですか……。母さんが森に……。ぐふぅ……」
「もう。泣くなって……メルヒオーネ。さっさと仕事終わらせて来い!」
「そ、そうですね。もう少々お待ちになっていて下さい!……では女王様私はこれにて仕事に戻ります」
「え、えぇ……」
メルヒオーネ?この方達は置いて行くのですか?ここ……私の自室なのですけれど?小テーブルに座っているオリビアさんとアルトは良いにしても、フェルミナさんとマーリュク様は私のベッドで飛び跳ねているのですけれど……。私はどうすれば……。
「貴女がこの国の女王様?」
「はい。そうです。ヴェルニカと申します」
「そう。私は黒竜のオリビア。メルヒオーネの嫁だ。これからよろしくね」
「よ、嫁?」
「うん。はぐれ者同士一緒になる事にしたんだ……。駄目かい?」
「い、いえ!駄目だなんてとんでも無い!あのメルヒオーネが結婚だなんてとても素晴らしい事ですわ!何かお祝いをしなくては!結婚式も是非お城でやりましょう!」
「あぁ。そう言う目立つ事はしなくて良いんだ。やらない。その代りと言っては何なんだけどさ、私達の子供が大きくなった時に笑顔で暮らせる国を作ってよ。そうなれば私が生きている限りこの国を守ってやるからさ」
「それは勿論ですとも。子供が笑って暮らせる国は当然目指しますわ!」
「そうかい。じゃあ頼んだよ?」
「よし。マーリュク。フェルミナ。兵舎に行くぞ!私に勝ったら格好いい鉄砲を作ってやる」
「おぎゃ!?本当かシルビア!お前嘘つくなよ!私が昨日開発した竜巻旋風鳳凰パンチで今日こそぶっ倒してやる!」
「ちょっとフェルミナ!?ま、待ってよ!本気で走って行かないでよ!」
「馬鹿どもが……一度も勝った事無い癖になんであんなに自信満々なんだよ?そうだアルトも行くか?女王様はだいぶお疲れの様子だし」
「そ、そうね……。お勉強はお終いにしましょう。行って良いわよアルト」
「やった!じゃ、行ってくるね!母さん!」
「はい。いってらっしゃい。怪我に気を付けてねアルト」
「うん!」
……。パワフル過ぎるわあの人達。はぁ……。それにしても勝手に黒竜……。シルビアさんと未来の国の事で約束をしてしまったのだけど、よかったのかしら?ヴァイドに相談……何も言わないあの人も悪いし良いわよね……。
少しベッドで休みましょう。本当に今日は疲れたわ……。…………。最低ですわねあの方達。せめて靴を脱いでからベッドに上がりなさいな!掛け布団が土だらけじゃあ無いの!
あぁ。もう良いですわ。掛け布団無で横になりましょう……。はぁ、気持ちいい。
……行って来ます母さん!……ですか……。そこは行って参ります。なのですよ……アルト。
しかし彼女の笑顔には、行って来ます。の方が似合っているから困りものですね。
アルトが男の子だったら……もっと……甘やかしてあげれましたのに……。
厳しい私を許して下さいねアルト。
きっと貴女を立派な女性にしてあげますからね……。誰にも負けない様な立派な貴族令嬢に……。きっと私が……。
それが、私を母として想ってくれている貴女へ……私個人が唯一贈る事の出来る。母としての送り物なのです……。
ちょっと前から書きたいなぁ。と思っていて保留していた物です。
皆、それぞれに楽しく忙しい毎日を送っている様ですw
次回はどうしよ?そろそろ戻そうかな?
少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。
下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。
『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw




