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望む者達

タダより安い物は無いよね……。


 本日の物資配給は、魔王軍がメインで行い。元気達は校舎内で作戦会議。会議室内部の様相は、ソファーのある校長室と言えば解りやすいだろう。元気とポタンにミルオレとグレゴリーは、そこでソファーに座り向かい合って座っている。


 現在の支援は一時的な物なので、元気達が去ってしまったら終わる。その後。領民達が力を合わせて仲良く皆で領地の復興となれば良いが、他領地に対して報復への報復を行う恐れもあるので、今日は領民達の自活サイクルを造る為の話し合いだ。


「とりあえず。選別が必要になるのは必須ね」


「選別じゃと?何じゃそれは?」


「争いを好む者と、静かに暮らしたい者達を分けるのよ……」


「何故そんな事をするのじゃ?」


「復興中に争い事を起こされたら困るからよ、それに、死に急ぐ者や人殺しをしたい者に与える食事は無いわ」


「何じゃ?ポタンは戦う者達が嫌いなのか?戦う者は、国を守る気高き戦士達じゃろうが?」


「守る為であれば良いけど、そうじゃ無い人達もいるでしょう?ミルオレにも心当たりはあるはずよ?……国を守る行動をしていた人を殺した愚か者に心当たりが……。あんなのを野放しに出来る?」


「うむ。確かにオルガンの様な魔族はいらんな……。アレは戦士などでは無い」


 オルガンに夫を殺されたミルオレは、自分の事を例に出されてポタンの意見に納得出来た様子。夜通しの作業で目の下に深いくまが出来ているグレゴリーも、ミルオレと同意見の様子で納得した。


「……と言う訳で……。グレゴリーさんの今日の作業は、その選別をお願いしますね」


「え!?……あのそれは……」


 ポタンに作業の振り分けをされて、ドキッとするグレゴリー。昨日から一睡もしていないので、流石に会議の後は休みだと思っていた。


「え?何を驚かれているのですか?……まさかまさか、自分の馬鹿にしていたママがもう働いていると言うのに……お休みしたいだなんて……言わないですわよね?」


「そ、それは……」


 ミリャナは朝から、配給部隊の総指揮者として既に現場に出ている。それを見ていたグレゴリーは、ポタンの言い分に対して反論が出来ない。


「何じゃグレゴリー?魔王軍幹部であるのに、たった一晩寝なかっただけで、貴様はねを上げるのか?情け無いヤツじゃのう?」


 夕方には切り上げて元気に催促した料理のフルコースを堪能して、朝までグッスリと眠っていたミルオレが、グレゴリーを嘲笑する。魔国では王女ミルオレの言う事は、絶対命令。なので何も反論出来ないグレゴリーは、ただただ頷く事しか出来ない。


「あ、いえ……。本日も頑張りたいと思います……」


「うむ。せんしんせんい?いしんせんい?……まぁ。頑張るが良いわ」


 ミルオレ達に礼をすると、とぼとぼと会議室を出て行くグレゴリー。


「ポタン。休憩無しは流石に可哀想じゃあないか?」


「はぁ?ママに無礼を働いたのだから当たり前でしょう?……火山に落とされなかっただけ感謝して欲しいもんよ……」


「カカカ!アレを火山に飛ばす時は教えるが良い!妾も見学してみたい!……さてと妾も何かして来るかのう!ミリャナの手伝いが良いな!」


 勢い良くブルン!っと椅子から立ち上がり。ポヨンポヨンと大きな胸を揺らしながら会議室を出て行くミルオレ。一度元気とミリャナがブラを付けろ!と言ったが、ブラとパンツは窮屈で嫌らしい。ミルオレのピッタリとしたスリッドドレスの、左右に揺れる大きなお尻部分に、パンツのラインが無いのはそう言う事だ。


「まったく、ミルオレのヤツは……。けしからんな……」


「パパ。鼻の下伸びてるわよ。気持ち悪い」


「すいません……」


 椅子に座るだけで良い。ミリャナのお手伝いにミルオレが行った事で、会議室には元気とポタンだけが残った。


「結局。俺とポタンしか残って無いけど……。自活のサイクル……どうしよっか?各町々に畑でも造る?」


「そうね。それも勿論だけど……。まずは崩れた町の復旧が先ね……。家が崩れたホームレス達が住み着いちゃってるから、その人達を町に戻さないと……」


「町の復興か、一気にやっちゃって良いの?」


「良いけど……。パパの魔力は大丈夫なの?……流石に連日使いすぎじゃ無い?」


「ん?あぁ。異世界特典で超回復してるから全然問題無いよ。一日で回復する。それに、旅行中にレベルも上がったし」


「はぁ……。パパは化け物ね。私もレベル上げ、そろそろしようかしら……」


「え!?ポタンはまだダメダメ!危ない目にあったらどうするんだよ?ミリャナが悲しむぞ?」


「……ママが悲しむか……。そう言えばパパが死ぬ二年後の話しだけど、あれ回避出来そうよ……」


「おぉ!本当か!流石ポタン!」


「私も色々と動いたけど、一番の功労者はママ……。パパ達一体どんな旅をしたのよ?……ママ……。とっくに人間の領域を越えているじゃない……その気になれば、もう神をも殺せるわよ……」


「え?そんなに?……ミリャナの拳骨めっちゃめちゃ痛くなったなぁ~。って思ってたけど、そんなに強くなってたんだな……やば……」


「やば……。ですませるパパも大概よね……。まぁ、アレなら人質になる前に自分で対処出来ると思うわ」


「そっか……。良かった」


「それで?何したの?」


「何したって……ダンジョンでレベル上げただけだよ……。ダンジョン内部での詳しい話しは、ミリャナに聞きたいだろ?」


「そうね……。パパの口からよりも、ママのお口から直接聞きたいわね。たまには良い事言うじゃ無いパパ!」


「へへへ!そうだろう?俺もミリャナの可愛いお口から直接聞きたい!」


「はぁ~……。ママはあの可愛いお目々で何を見て来たのかしら……。楽しみだわ……」


 ミリャナの事を思って、幸せそうに宙を見ながら呆ける二人。少し冷めたお茶でも美味しく感じる。そんな二人が揃うと話しがすぐに脱線してしまう。しかし、ポタンの知能と元気の実行力があれば、その時間を越える程の成果が産まれるのだ。


「さてと、ママ空想の幸せ時間は今日はこれ位にして、作業を開始しなきゃ……」


「そうだね。後三時間はミリャナの事を想っていたいけどまずは、ミリャナのお休みの時間を作らなきゃな!」


「働いてるママも良いけど、やっぱりのほほんとしてるママがいいわ。……と言う訳で町の復興とそうね……。畑に食べられる作物を植えに行こう!町の修復が終わったら、私が水道や配管関係をして回るから……。私がそれをしている間に、パパは今までどんな風に生活をしていたのか、町の人達に聞き込みをお願いね」


「ガッテン承知の助!」


「え?何ソレ?ダサ……」


「え!金蔵さんにはウケたのに……」


「誰よそれ……。まぁ良いわ。さっさと行きましょ。夕方には帰って来て、ママと御飯を食べなきゃ!」


「あ、あぁ。そうだな!れっつらご~!」


「…………」


 ポタンにジト目で見られながら、各町に瞬間移動する元気。ポタンと一緒に何かをするのは久しぶりなので、嬉しくてテンションが爆上がり中だ。


 その後。町に向かった二人の作業は恐ろしく早かった。


 元気は瓦礫の撤去に、建物の再生。まったくの空き地になっている所には、近くの住人にどんな家があったかを聞き、それを再現して創造した。


 ポタンは、山や川が近くにある所にはそこから水道管を引っ張り。まったく何も無い所では、地下水を掘り当てた。


 そして、その作業中にポタンがある物を発見する。


「パパ!この辺り……温泉が出るわ!」


「え!?マジ!?……温泉が出るなら……。ワンちゃん観光地とかにならないかな?」


「……そうね……。走りだけ造っておきましょうか……。獣人達が温泉好き解んないし……」


「あ~……。一緒にしちゃ駄目だけど……。動物ってお風呂好きなイメージ無いもんな……」


「とりあえず……。こんな感じかしらね……」


 ポタンが一度。大きな入浴場を元気に造って見せると、それを見て覚えた元気がそれを再現。各町の中央広場に巨大な、源泉掛け流しの入浴場が造られた。


 イメージはポタンの物なので、日本式の銭湯では無く、古代のローマのテルマエの様な様相。レンガ式の街並みに意外と良くマッチしている。そんなかんだで、町の修復を終えた元気達は孤児院へと戻った。


「グレゴリーさん。町の修繕を終えたので、ホームレスの人達に家に帰る様にと伝える様に兵士の人達に伝言をお願いします」


「ま、町の修繕を終えたのですか……?」


「えぇ。畑や水回りも改善して来たので……。今日、ホームレスの方々が帰宅されれば、明日は休めるかもしれませんね……。フフフ……」


「た、只今!迅速にふれ回って参ります!」


 ニコリと微笑むポタンに向かって、胸に手を当て敬礼をすると、グレゴリーはすぐさま兵士達に動く様に伝えに行った。


「流石に明日は、休ませてあげたら?……カッコ良かったオールバックもボサボサになってたじゃん……」


「フフフ。そうね……。お休みがあるか無いかは、明日次第じゃあ無いかしら?……フフフ。領民達が甘えん坊じゃ無ければ良いわね……。領地をほったらかしていたあの人の自業自得よ……フフフ」


 疲弊気味のグレゴリーの後ろ姿を見て、ほくそ笑むポタン。その様子を見て、明日何の問題が起きるのだろうか?と少し不安になる元気だった。


 本日の配給作業が終わったのは、夜の八時過ぎ、それから、孤児院内部の人達の配給を行う。そして兵士達による入居者達への入浴指導だ。


 入浴を行うと言う習慣が無いのは、人間の国も魔国も一緒だったので、指導をする方もされる方も苦労していた。


 その後。全行程が終わると、やっと兵士達の休息の時間が訪れた。


 一日振りの休息に喜ぶ魔王軍の兵士達だったが、見回りの業務や、見張りの業務で休めない兵士達がいる。なので大手を振って休息出来る兵士達はいなかった。


 そんな中、部下を休ませる為に二徹目に突入し、見張りを行っていたグレゴリー。


「……食糧も、家も復興がなされたのだ……明日はもう誰も来まい……。今日はやっと眠れる……。クフフ……」


 孤児院の門前に立ち、夜空を眺めながら、彼は数時間の後に訪れる。睡眠と言う至福の時間に想いを馳せていた……のだが、それから数時間が経った後。彼は門前で絶句する事となった。


「な、何故だ……。コイツらは何故やて来たのだ……」


 驚きに目を見張るグレゴリーの目の前に、配給を貰おうと、領地民達が朝日に照らされて、どんどんと姿を現し始めたのだ。


 来たからには、対応しなくてはポタンに飛ばされる。そう思ったグレゴリーは兵士達に伝令を出し、校庭に集結させた。


 そして、魔王軍はまた朝から配給に追われる事となったのだった。

町の復興は終わったのに、孤児院にやって来る人達。グレゴリーの休息の時間は一体いつやって来るのでしょうね?


次回は、まだ考え中ですwどう収めようかな?w


少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。


下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw



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