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神々の遊び

天手古舞い。太鼓の周りで人々が踊る騒がしい様子を現した言葉。


例:寝ている間にウンコを漏らした元気は、朝から天手古舞いだった。


まぁ、忙しい。騒がしい様子です。w



 元気達がダンジョンをクリアした後。


 各階層の入り口に、攻略法が記載された事によって、ダンジョンの攻略難易度が大幅に下がった。


 その結果。死人が減り。ダンジョンへの挑戦者が増え、武具や道具の需要が爆発的に増加。その事により、ユラの父親がやっている工場の売上げも上がり。ユラの家族は借金に苦しむ生活から抜ける事が出来たのだった。


「良かったねユラちゃん!」


「あぁ。親父の野郎。泣いて喜んでたぜ……。結局お前さん達には、返せねぇ程の恩が出来ちまったな……。子供達を使って、ウチの店の宣伝までしてくれてよ……。お陰で店の方はは天手古てんてこ舞いだ」


「ハハハ。気にすんなって……。俺達は友達だろ?」


「カカカ。そう言って貰えるのなら助かるぜ……。何かあった時は力になるからな、何でも言ってくれよな!」


 ダンジョンの攻略から数日後。アパートのリビングでまったりと会話をする三人。


「ユラちゃんはテンテコマイ?なお店の方は手伝わないで良いの?」


「あぁ。俺はまだ子供だからな、店には関われねぇんだ」


「そっか、軽量ハンマーとか良い武器を造れるのに勿体ないな」


「カカカ。子供の俺が大人の仕事に口を出す何て野暮なこたぁしねぇさ、親父にも職人のプライドってのがあるだろうからな。だから俺が武器を造ってる事も内緒にしてる。異世界の知識でそのプライドを打ち砕きたくはねぇからな」


「ユラちゃんは、お父さんが好きなのね」


「カカカ。まぁ。前世の記憶はあっても、親父は親父だからな。自然と愛着は湧くもんさ」


「そんなもんかぁ」


 元々親がいない元気は、異世界に来るまでは、親と言われてもピンと来る物が無かった。


 しかし、今は少しだけ解る気がする。家族や親ってこんな感じなんだろうなぁと、漠然にだが、アルカンハイトの家で、皆と一緒にいる時に、そう思う事があるのだ。


「しかし……。あれは何だ?ここは墓地のハズだろう?」


 窓の外を指差すユラ。


「あぁ。……あれは、学校……。メレオーネが造れって言って来てさ……造ったんだ……」


「メレオーネてぇと、女神様だったよな?また何で?」


「……誰でも攻略出来るダンジョンに居る意味が無いって事で、こっちに来たんだ……」


 ダンジョンの攻略が終わった次の日。元気が色々な色のパンツに囲まれながら、幸せそうに洗濯物をしていると、メレオーネが元気の元を訪れた。


「お前は、私の楽しみを奪った。なので新しい遊びの場所を提供する義務がある」


「ぎ、義務って何で?」


「お前は、全神ラストの何かだろう?魔力の質がソックリだ。……全神と言う事は私達の親だ」


「お、親!?」


「何を驚く事がある?神々どころか、この世界を造ったのだから当たり前だろう」


「そ、それはそうだけど、俺はその……ラストの代理と言うか……」


「代理でも、全神になったからには、責任は果たさないといけないだろう?……お前は、ラストに任されただけだからと言って、ラストの子供なんて、死んでも良いと言う人間なのか?」


「いや……。そうは思わないけど、メレオーネさんって……もう子供って歳じゃ……。ひえ!?」


 パンツをしっかりと握っている元気の股の間を、高圧縮されたレーザービームがビュン!っと通過する。あまりの速さに反応が出来なかった。


「おっと失礼。手が滑った……。女性に歳の事を言うのは、無知の次にあたる大罪。と言う事は覚えておく様に……。次は確実に当てる」


「は、はい……」


 当てるって……何処に?とは聞かない。メレオーネの鋭い眼光が何処かを物語っているからだ。


「……。親代わりとは言っても、親には変わり無いのだから、子供のおもちゃを奪っておいて、そのままと言う訳にはいかないだろう?……お前は子供のおもちゃを奪っておいてほったらかしにする最低な親なのか?」


「いや……。そんな事はーー」


「ーーしないのであれば、代わりの物を寄こすべきだろう?」


 どんどんと話を進めて行くメレオーネに、何で俺がと思うが、元気の股間に向けられた指から、レーザービームが飛んで来そうで何も言えない。


「か、代わりの物って……。何だよ?」


「そうだな……。見た感じ……子供が多い様だが……何なのだあれは?」


「あれは……。親が面倒を見なくなった子供達だよ……。流石に子供達はあげられないぞ?」


「お前は私を何だと思っているのだ……。子供を貰った所で、人体実験になど興味が無い私には必要無い。食人もしない。……しかし、そうだな……。私専用の学校をここに造って貰おうか……」


「学校?」


「あぁ。暇潰しがてら子供達に知識を与えてやろう……」


「ダンジョンの主を辞めて学校の先生になるって事?」


「そうだ。……ダンジョンの攻略者が私の出したお題で知識を学び、部屋までやって来る様子を見られ無くなったからな……。ここで子供達の成長を見るのも良いだろう……」


 そう言って子供達を見やるメレオーネ。目付きは鋭くて怖い人だが、人に物を教えるのが好きな様子だ。


「解ったよ……。子供達が賢くなるのは良い事だし……。でも子供達を危険な目に合わせるなよな……」


「勿論だ……。折角の実験体を粗末に扱う物か……フフフ」


「実験体?」


「…………。知識を与えて成長をする子供達を私は観察するのだ。知識を得る子供達を実験体と言っても、間違いでは無いだろう?……それに何かあったら、お前が私を殺せばいいさ。簡単に出来るだろう?」


「……出来るだけ、そうしたくは無いけどね……」


 返答前の沈黙の間が気になる所だが、メレオーネの提案を聞き入れる事にした元気は、子供アパートの横に、学校を併設した。


 こうして、ローテーションにてダンジョンに向かう子供達の居残り組が、昼間メレオーネの学校に通う様になった。


「今の所、問題事は起きてないし、メレオーネの面倒見も良くて、子供達に人気だし、学校を造って良かったのかもって思ってるよ」


「……問題無し……か」


 ユラは暢気のんきに笑う元気から視線を移し、アパートの窓から外を見る。


 窓の外では、墓の敷地内をビュンビュンと飛び回り追いかけっこする子供達に、木刀に炎や水。雷を纏い、それを木人に向かって飛ばす子供達。中には魔法で掃除道具を複数動かし、お墓を掃除する子供も居たりと、異様な光景が広がっていた。


 ユラはその光景に恐怖感を感じるが、元気は自分達でロボットを造って破壊して遊んだり、森の地下に秘密基地を造って遊ぶエルフ達に比べれば、可愛い物だと思う。


 メレオーネの本当の目的は、人間を超える人間の育成とその進化。そしてその先にある。人間の欲求から起きる現象の観察だ。


「フフフ。欲が深い人間の行く先は何処か……。愛なのかそれとも欲なのか……。元々、欲が無い子供達は、身に余る知識と力を手に入れる事で何処に向かうのだろうか……。フフフ。実に興味深い……。はぁ……考えるだけで身体が震える……」


 メレオーネが窓の外で、魔法を使って遊ぶ子供達を見て悦に浸る。彼女もまた元気とは違った変態なのであった。


 因みに元気は、世界中の女の人にちゃんとパンツをはいて貰って、それを観察したいと思っている。そんな変態なのであった。


 何はともあれ、心残りが無くなった元気とミリャナは旅を再開する事にする。アパートの事は後は住人達任せだ。


 親が無くても子は育つ。その事は元気が一番知っている。


 しかしいつかは、子供達が両親と一緒に暮らせる日が来ると良いな。と思いながら、元気とミリャナは、ダグスラクタルをソッと後にした。


 次の目的地は、人間では無く魔族が住む国。魔国である。見た事も聞いた事も無い、未知の世界が待っている思うと、心が弾む二人だった。

意外と長くなったダグスラクタル。やっと抜けられます。

メレオーネの教育を受ける子供達はどんな成長を見せるのでしょうか?wこの話はまたその内。


次回は魔国。突入か、閑話。


少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。


下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw



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