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とある冬の日に

200話は、アイリス視点のお話を書きました!


 旦那様とお姉ちゃんが旅に出てから結構な時間が経ちました。二人はまだ帰って来る様子がありません。


 そんな二人のせいで……。お馬鹿なお姉ちゃんが、私の旦那様を連れ回しているせいで、現在。可愛い可愛いアイリスちゃんのお財布の中身が、大ピンチなので御座います。


 お小遣いが底をついてしまいそうなのです!


「ア、アイリスちゃん……。無理し無くていいよ……。私、我慢するから……」


「うるさいわね!私が良いって言ったら良いの!」


「ご、ごめんね……」


 私の隣を、泣きそうな顔でトボトボと歩くのは、元難民だった、ウサギ族の女の子の『ノエル』。


 毎日、ブカブカなパーカーの下に、ブカブカな赤いワンピースを着て、地面とスレスレなスカートの裾を踏んでは、転んで泣いている。とても泣き虫な子です。


 この子は孤児なので、衣食住があるだけマシというのは勿論解っています。


 解っていますが、ノエルはもうすぐ七つになる乙女なのです。もうすぐ恋愛適齢期なのです。


 毎日ダボダボの服を着て、いつも生傷だらけとか、信じられません。そして、その事に納得している感じなのが、私にはもっとせません。とてもなのです。


 あ……。そう言えば、彼女は何と!奴隷船で私がお世話になった、ウサギのお姉さんの妹さんなのです!


 皆さんは、覚えていますか?私に最後まで笑いかけてくれていた、あの優しいお姉さんの事を!


 忘れているのならば、私の悲しい悲しい過去のお話を読み返して、是非とも思い出しましょう!


 そうすれば、このプリティーキューティーなアイリスちゃんこそ、真のヒロインであり。


 あんな、少しだけ顔が良くて、ちょっとパイパイと、お尻が大きいだけの筋肉ゴリねぇが、ヒロインな訳が無い!って事がスルリと解るはずです!


 読み返してもそれが解らないと言う人は、変態なのでもう知りません。


 因みに私は今、背中が大きく開いた、レースたっぷりの黒いメイド服を着て、薄肌ピンク色のピチピチな生足に、そのまま赤いメリージェーンのお靴を履いています。


 一万いいね到達で、背中の肩甲骨と可愛いデビウィングの画像をさらしま~す。


 なので、黒髪ロリッコが好きな紳士の方は、私の出ている話だけをブックマークと高評価。そして、いいねをして、紳士らしくサッと去ってくださいませ。


 ……………………。


 私の過去編。ちゃんと読み返しましたか?……では、私が真のヒロインである事が皆さんに理解戴けた所で、私の現在いま編のお話を続けましょう。


 あれは、ちゃんと報酬があるからと、おばさんに孤児院へと連れて行かれ、詐欺られ、強制ボランティアさせられた時の事でした。


 校庭の端で、独りポツンと過ごすノエルを見た時に、その子がウサギのお姉さんに似てる気がしたので、もしかしたら、血縁の人かも知れないと思い。私は彼女に話し掛けてみる事にしました。


「あなた、何で一人なの?」


「……何で一人?……お姉ちゃんは私を逃がす為に奴隷狩りに捕まって、何処かに連れて行かれました……。お父さんお母さんは、村ごと焼かれちゃって……それで一人に……」


 ノエルは私が質問する前に、勝手に過去の話を喋り出し、勝手にシクシクと泣き出しました。


 ノエルの話を聞いた私は、ノエルはお姉さんの妹さんに間違い無い!と思いました。


 そして、とても心優しい私は、あの日死んじゃったお姉さんの為に……。お姉さんの代わりに何かしたい!と思ったのです!


 なので、取り敢えず。


「悲劇のヒロイン気取りかて!ヒロインは私じゃい!」


 ……っといつまでもシクシクと泣くノエルに優しく拳骨を喰らわせ、優しく泣き止ませたのでした。


 あの時は、勝手に不幸話を喋り出しやがってと思ったのですけれど、あれは、どうやら、一人の意味違いだったようです。人とのお話って難しいです!てへぺろ!


 そんな運命的な出会いから、とうとう々と時は過ぎ去り。相思相愛となった私達は現在。ノエルのお洋服と、学校で使う鞄等を買う為に、アルカンハイトの北区へとショッピングに来ているのでした。


 そうなのです。ノエルの学校がとうとう始まるのです!


 孤児院の暮らしが良くなったとは言え、孤児達の洋服やズボンはお下がり、そして学校で使う鞄等もお下がり。まったくもって、オリジナリティーがありません!


 私が面倒を見るのですから、そこら辺の有象無象に埋もれる様な無様な格好はさせられません!ノエルには、学校二位の地位には軽く就いて貰わなければ行けないのです!ドドン!


「先輩。孤児院の洋服とか鞄とかもっと可愛く出来ないの?」


「どうしたの急に?……別に可愛くしても良いけど……。孤児達に普通の人達よりも良い物を与えたら、孤児院に子供を捨てに来る人が増えるわよ?人間の欲深さと浅はかさは海よりも深いんだから……。そうなった場合、あなた責任取れる?」


 前に一度、孤児院のお洋服や学校用具の事で先輩に軽く意見をしてみたら、真顔でそう言われました。


 私は勿論。責任なんて取る気が無いので、それ以来意見をしていません。私はとても賢いのです。他の子供の事など知ったこっちゃ無いのです。なので、ノエルの学校の準備は私が責任を持ってする事にしました。


 しかしこの子……。本当にあの優しくて、最後まで気高く生きたお姉さんの妹なのか?と思う時があります。


「人と会いたく無い……」


「学校怖い……」


「お外に出たく無い」


「学校なんて行きたく無い!」


 こう言った具合に、まったくのダメダメのヒッキーなのです。


 その度にメッ!っと私がしていたら。そのお陰で、最近はあまり泣かなくなりました。


 そして、メッ!が嫌でノエルが逃げても、私が全力で追い掛け回すので、ノエルは足も速くなりました。


 今や小等部の運動会で一等賞が取れるレベルです。私の指導のお陰です!


 まぁ。そんな事はどうでも良いとして、脱線した話を本線へと戻しましょう。今はお金のお話しなのです。お財布の中にお金がありません。洋服と鞄は買えたのですが、値段が高すぎてお靴が買えないのです。


 せっかく大枚を叩いて、シックな黒のメイド服と、ワンポイントに白いお花が付いている。可愛い赤いトートバッグを買ったのですから、可愛いお靴が無いとお話になりません!しかし、お金が足りません!


 微妙に可愛いだけのメリージェーンの靴が、小銀貨いちまんえん五枚は、流石にボッタクリだと思います。……品が少ないので値段が高いのは仕方が無い事なのでしょうが……。侘しいお小遣いで生活をするこちらからすると、もう少し安くなって欲しいと、思わずにはいられません。


「ど、どうするの?アイリスちゃん……」


「……アンタを闇商人に売ろうかな?」


「えぇ!?ひえぇええええぇぇ!」


「あ!コラ!ノエル!逃げるなぁ!」


 ダッ!と脱兎の如く逃げ出したノエルを、二百メートル程追い掛けて、私は余裕で捕まえます。こんなのは余裕のよっちゃんです!


「ひぃ~……。う、売らないでぇ~……」


「ぐはぁ。うはぁ。ぜはぁ。う、売れる訳無い……でしょ……アンタみたいなすぐ逃げるウサギなんて……んはぁ。ふはぁ。ひはぁ……」


 コイツは私の事を何だと思っているのでしょうか?青白い顔をして怯え過ぎです。何かムカつくので、取り敢えず。えい!っとしておきましょう。


 ……ノエルが泣くのはいつもの事なので良いとして、お金……。本当にどうしましょう?メイド服に木靴は似合わないのです。


 こんな時に旦那様がいれば、チラッとパンツを見せて願いするだけで、すぐにお金をむしり取……。お小遣いを戴けるのに……。


 私は十歳前なので、働けません。ノエルは七歳です。なので勿論。働けません。


 今履いている子供パンツは、変態さんに高値で売れますが、この前売ったら、お姉ちゃんにメッ!っとされて死にそうになりました。


 お金を手に入れても、死んだら意味が無いのでこれは売れません。パンツ見せで小銭を稼いでも良いですが、兵士に捕まったらチクられて、また私刑になるのでこれも無理です。


 はぁ……。子供は辛いよ。と言いたい状況です。世知辛い世の中です。


 その後も色々と、お金を手に入れる方法を考えたのですが、バレたら死にそうな事しか思い浮かば無かったので、お靴を買うのを一旦諦めて、今日は帰る事にしました。


 私が帰ると聞いて、ホッとするノエルに腹が立ちましたが、私は優しいので、今回は見て見ぬ振りをしてあげました。


 家に帰ると私は、夕食の準備をしながらお金をどうしようか考えます。


 おじさんは、無職なのでお金がありません。完成された生粋のダメンズです。それに、現在は東の大陸に行っていて、家にいません。


 魔国も遠いです。お城まで行っていたら、ノエルの登校に間に合いません。初日の登校時にド派手に一発カマせるかが、勝負なのです。


 おばさんは、お金を持ってますが利子が膨大で借りたら大変な事になるので、借りられません。トイチ?と言うのを、異世界の漫画本で覚えたらしいです。この前「アルカンハイトの帝王になるわ」と言っていました。


 狙っているのが、ヒロインで無ければ勝手にどうぞですね。


「……結局はやっぱり。先輩にお願いするしか無いかな……」


 ノエルの為に動いている事を、あまり知られたく無いクールビューティーな私なのですが……背に腹は代えられません。


 パリピキャラが崩壊するのを覚悟の上で、先輩にお金を借りられ無いかかどうか、夕食の時に聞く事にしましょう。


「先輩……。ちょっとお金を貸して欲しいんですけど……」


「幾ら?利子はトイチだけど、あなたなら幾らでも良いわよ?」


「いや。おばさんじゃ無くて……。先輩に……」


「……そう」


 おばさんのお金への食い付き方が速い……。そして、借りないと解った時の冷め方も……。


 ……この人はどれだけお金が好きなんだろうか?……と普通なら思っちゃいますが、おばさんがお金を稼ぐ理由を知っているので、家族から利子を取ろうとしても、私は何も言いません。


 これは私の為のお話なので、おばさんの話は詳しくはしませんが、食べる物に困っているのは、孤児院の子供達だけではありませんよ?と言うお話です。親が居れば幸せ?ノンノン。親よりも生きる為には、まず栄養が必要なのです。


 ……それでも一緒に居たい。それもまた……。


 です!後はどっかで語られるかも知れませんので、その時にどうぞ!


 今はそんなお話よりも、私のお話が最優先です!


「……お金を貸すのは良いけど……。一体何に使うの?お昼ご飯代はパパから貰ってるでしょ?」


「そうなんだけど……実は……」


 私は恥ずかしかったですが、お金の使い道を先輩に正直に話しました。


 奴隷狩りに捕まった時、恐怖と絶望の中で、優しく抱き締めてくれたお姉さんの話。そんな彼女が死ぬまで私に笑いかけてくれた時の話。そして彼女の妹が、奇跡的に孤児院にいた話。それから、私がお姉さんの代わりに、ノエルの面倒を見てあげたいと思った事を、ちゃんと話しました。


「……そう。それは……。。……まぁ良いわ。後でお部屋に取りに来て……」


「うん……。ありがとう先輩……」


 いつもは何だかんだガミガミと言っていても、根っこは優しい先輩です。


 そんな先輩の言いたい事は、勿論解っていますとも……。


 これは私の勝手な自己満足であり。あの時、海に投げ落とされるお姉さんに、何もしてあげる事が出来なかった私の贖罪。ちゃんと解ってます。


 本当ならばあの時に起きた事は、過去の事として、ノエルとは関わらずに早く忘れた方が良い事なのでしょう。


 なのにそれをせず、ノエルを自分の罪悪感を消す道具として良い様に使って、さも美談の様に語る私は、本当に性格の悪い人間なのだと言う事も、勿論解っています。


 ……まぁ私。悪魔なんですけどね……。


 何も言わない所が先輩の優しさであり。厳しさなのです。まったくもって敵う気がしません……。


 先輩とお話をすると、私の外側が剥がれて行くのです。パリピと言うお洋服が溶けて行きます。


 それは……とても怖くて不安で……。誰かに守って欲しくなります。でも、私には誰もいません……。


 はぁ……。こんな日は、とことん落ちてしまいそうになります……。早く旦那様に会いたいです……。あの人の無垢な笑顔に触れたいーーーー……


 ……ーーーーなんちゃって!おセンチになっている場合ではありませんよ!先輩の気が変わる前に、お金を借り無ければなりませんのでね!


「やるならとことんね……。その内きっと……抜けられると思うから……」


「……うん」


 よっし!小銀貨五枚ゲット!本当に、先輩には頭が上がりませんです。


 少しだけで良いので、一を聞いて十理解出来る、あのスーパーな頭脳を分けて戴きたい。……本当に……。でもそんな事は言いません。地獄の様な猛勉強が始まる気しかしませんからね……。


 何はともあれ、私は無事。お金を手に入れる事に成功しました。


 なので早速明日は、朝からノエルと買い物に行く事にします。おやすみなさい!


 その日の夜。早く眠ったのが悪かったのか、お金を借りる為にあんな話をしたのが悪かったのか……。いいえ。何もかもが全部悪かったのでしょう。


 夢の中にウサギのお姉さんがやって来ました。


 でも今日は、いつも見る夢とは違って、耳も、目も。尻尾もちゃんとあります。ニコニコ笑顔です。周りには霧がかかっていて何も見えませんが、どうやら奴隷船の上では無い様です。


「久しぶりね……。元気だった?」


「うん。お姉さんは?」


「どうだろう?フフフ。私、死んじゃってるし」


「あ、そっか……。ごめんなさい……」


「謝らないで良いわよ……。あなたのせいじゃ無いもの……。私はノール。ノエルの姉って事は……知ってるのよね?」


「うん。……あ、そっか……。口を塞がれてたから……お話はした事無かったね……。私はアイリス。よろしくね……って、今更変よね……」


「フフフ。そうね……。今日はね……。お礼とお別れを言いに来たの……」


「お礼とお別れ……?」


 訳が解らないんですけど……。この夢何か変だ。


「そう。ノエルの事……。構ってくれてありがとうね。あの子引っ込み思案だから……誰かが引っ張ってくれないと駄目なのよ……」


「あの子……前からああなの?」


「ええ。家から全然出なかったわ。無理矢理外に出すと泣いて逃げるのよ……?フフフ。解るでしょ?」


「うん。解る」


 私の夢なんだから、私が知ってる事を知ってるのは当たり前じゃん。何だこの夢は?


「……これからも、ノエルの事をよろしくね……」


「……よろしくって……。あれは私の……」


「……理由は何でも良いのよ。それにあの時の事は、誰にもどうしようも無かった事よ。もう、気に病むのは辞めなさい……」


「辞めなさいって……」


 こんな夢まで見る様になったら、とうとう末期だわ私……。まだ大丈夫だと思ってたのに……。船の中にいた女の人達の様に、私もこのまま。訳の解らない事を言い出しちゃうのかな……。


「私ね。神様に生まれ変わらせて貰える事になったの!アイリスちゃんのお陰でね!」


「私のお陰?」


「そうよ!あなたの知り合いの神様が……生まれ変わらせてくれるって!」


「知り合いの神様……」


「本当はね。生き返る事も出来たみたいなんだけど……。ごめんね……。私は無理なの……もう。忘れられない……。思い出にも出来ないの……。そっちに戻っても……多分無理……耐えられずにその内……」


「何を……言ってるの?お姉さん……?」


 結局は、嫌な夢なのね……。ノエルを使って今度はお姉さんまで使って……本当に私は……。


「ご、ごめん……。泣くつもりじゃ無かったんだけど……。……取り敢えず。私は生まれ変わる、そして全部忘れる……。だから、アイリスちゃんも全部忘れて……」


 あれ?お姉さん動けるんだ……。


「訳解んない……。全部忘れてって言いながら抱き付かれて……も……」


 ……どう言う事……。何で?あの日の夢の時はいくら触れても駄目だったのに……。いくら叫んでも届かなかったのに……。


 今日はお姉さんの匂いも、感触も……ちゃんとする……。声も聞こえて、私の声も届いてる。……暖かい……。まるで本当に生きてて、そこにいるみたい。


「最後にこうしたかったの……。出来て良かったわ……。アイリスちゃんは良い家族に巡り会えたのね……。本当に良かった……」


「家族……」


 ……もしかして……。旦那様が何か?


 ……それこそあり得ない。あの人はお姉ちゃんと旅に行ってるんだから……。今日の話を知ってる訳が無いし、ノエルの事も勿論知らないもの……。


 これは私の夢。何かにすがりたい私の心が求めている夢。覚めたら終わりのただの夢……。でも今だけは……はかない夢でも良いから……もっとギュッとして欲しい。


「フフフ。やっぱり私の言ってる事が信じられ無いのね。神様が言ってた通りだわ」


「言ってた通り?」


「見た目はプリティーだけど、中身は大人顔負けのしっかり者だって、何気に疑り深いから……。これを渡せば信じるだろうって言ってたわ……。それで……これは何なの?」


「……。本当に……。本当にお姉さんなの?」


「凄い。本当にこれだけで信じて貰えるのね……。そうよ……。生まれ変わる前に、あなたと少しだけお話をする時間を貰ったの……」


「そっか……」


 パンツを見せれば解るって……。本当にあの人……お馬鹿過ぎでしょ……。それに先輩……さっきの今でもう、解決しようだなんて……行動早過ぎよ……。


「……私は……。負けちゃったけど……。アイリスちゃんは負けないで欲しいの……」


「お姉さんは難しい事を言うのね……」


「そうね……。でも、アイリスちゃんなら出来るわ!」


「そんな、無責任な……」


「フフフ。無責任で結構。だって私。生まれ変わるんだから!」


「なにそれ……フフフ」


 何ともまぁ。嬉しそうに笑っちゃって……。ノエルを残して行っちゃうのに……。まぁ、あの子に泣かれちゃったりしたら、行くに行けないか……。


 その後は、時間が許す限り。お姉さんとお話をしました。


 船を降りた後の事から、今している事まで全部全部。私ってこんなにお喋りだったんだなと、自分で驚く程に喋りました。


 でも……。喋る事と言うのは、思い出が無ければ無くなってしまう物です。沈黙が始まれば、お話はお終い。物語の幕引きの時間となります。


「……勝手なお願いだけど……。もう一度だけ言わせてね……。ノエルの事をどうか、よろしくお願いします……。それと、私の事は、その内でも良いから……忘れてね……」


「……うん」


「それじゃ……。さよなら」


「それじゃ……。さよなら」


 お別れは呆気ない物でした。


 泣きたくても、引き留めたくても、それはしてはいけない事だと思いました。


 なので、私はお姉さんが消えた後。「またね」とそれだけ言って、目を閉じたのでした。


 そんな事があった日の朝の事です。目が覚めると枕の横に、黒いフリルの付いたパンツが一枚と、それに包まれた大銀貨じゅうまんえんが二枚ありました。


 そして、『メーリー・クリスマス!サンタさんより愛を込めて……』と謎の手紙が置いてありました。


 クリスマスと言う行事の事は、前に旦那様から聞いていて知っているのですが、確かあれは、赤い服を着た白髭のおじさんが、赤い靴下にプレゼントを入れる、子供向けの行事だった様な気がします。


 夜な夜な童女の部屋に忍び込んで、自分好みのパンツに、お金を包んで枕元に置いて行く、変態さんのお話では無かったはずです。


「まったく……。どうせ来るなら、ついでに夜這いでもしてくれれば良かったのに……」


 そうすれば、ヒロインの座は自然と私に……。


 まぁ、何はともあれ、お代は戴いたので、黒いレースのスケスケおパンツは、ちゃんと履いて差し上げましょう!


 そしていつの日か私が……。


 と言う事で、今回のお話はここまで!


 またいつの日か、アイリスちゃんの為に世界を救おうと思う!でお会い致しましょう!


 PS。お姉さんはノエルの所にも来ていた様で、少しだけお外に出る様になりました。



そろそろ、ニコラウスの話しも書かなきゃな~。


次回はダンジョンに戻るか、ニコラウスを一度挟むか……。未定ですw


少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。


下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw



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