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決意の夜に

共同体の体制が整って来ました!




 ダンジョンに行く事が決まった日の夜。元気は、子供達の装備や護衛で一緒に行く、冒険者達の装備を整えた。


 武器や防具は元気印の一級品。持つだけで身体強化される魔法武器と、ある程度の攻撃に耐えられる、魔法防壁防具を準備した。


 武器防具のデザインは、ダンジョン内部で子供達が悪目立ちしない様に、鉄シリーズの武器と鉄の胸当てだ。


「こ、これは……相当貴重な物ですが……。本当に貰って……良いのですか……?」


 元気から魔法の武具を与えられ、震える冒険者達。元気から支給されたチート装備の凄さと価値が、冒険者だった彼等には解るので、自然と身体が戦慄わなないてしまう。


 ダンジョンの宝箱から、魔法武具を入手出来る確率は、宝クジの一等を当てるのと同じ位の確率だ。


 そんな高価な物を無料であげる。と言われ、ビビってしまったのだ。


 それも、武器と防具の二個分である。もし受け取って、無くしたりしたら死んで詫びるしか無い。


「……どうしたの?やっぱりもうちょっと格好いい方が良かったかな……?」


 支給された魔法の武具を受け取り、困惑気味な冒険者達に、元気が訪ねる。稽古の様子を見ていて解ったが、結構な手練れの冒険者達が多いので、見栄えがやはり必要かな?と元気は思ったのだ。


「あ、いや。魔法の武具の提供は嬉しいのですが……。その、破損とか、無くしたりしたら……その死んで償うしか出来そうも無いなって……。弁償出来そうも無いので……」


「え~?浮浪者してたからお金が無いのは解りますけど、鉄の剣や胸当て無くした位で死ぬとか大袈裟ですよ~!ブラックジョークってヤツですね!ハハハハハ!」


 解りますと言っておいて、何も解ってない元気だった。


「弁償とかは別に考えなくて良いので、その代わり、明日は子供達の護衛よろしくお願いしますね!」


「も、勿論!頑張ります!」


 無くしても弁償しなくて良いと言われ、安堵する冒険者達。不安が消えると、一気に喜びや、嬉しさがこみ上げて来る。嬉しさのあまり泣いている冒険者もいた。


 子供達の方は、武具の価値は解らないが、自分の装備品がある事が嬉しい様子で、無邪気に喜んだ。


 しかし、警備組や女性達は、喜ぶダンジョン組とは違い、共有スペースの隅っこで大人しくしている。


「屋根がある生活……それだけで私達、幸せよね……」


「えぇ。お洋服も貰って御飯も食べられるし……」


「あぁ。そうだな。それに、彼等は遊びに行くんじゃ無いんだからな。ハハハ……」


「そ、そうよね。フフフ……」


 お留守番組の人達は、お互いにそう言いって聞かせるが、やはり羨ましい物は、羨ましい。チラチラとダンジョン組に目が行ってしまう。


 異世界に来る前の施設では、自分がそんなポジションだった元気は、そんな彼等の様子を勿論見逃さない。喜んであげたいが、素直に喜んであげられない辛さが、元気には痛い程に解るのだ。


 こういうグループ内で、不平等な事をすると、全部が全部では無いが、後に差別やイジメに変わって行く可能性がある。なので、兵士達には、魔法の大盾と槍。掃除を頑張ってくれている女性達には、シックなメイド服と、身を守る為のバタフライ・ダガーナイフを支給した。


 貰えると思っていなかった彼等は、大いに喜び、こちらでも、嬉しさに泣いてしまう者が出た。


 支給品というプレゼントは、どれもこれも喜ばれ、みんなが笑顔で、楽しく賑やかな夜は、(とうとう)々と更けて行った。


 そんな中。一番楽しかったのは、ミリャナが子供達を寝かしつけに行った後に始まった。


 元娼婦のお姉さん達による。お礼と感謝の『生着替えショー』だった。


 部屋の端に、テーブルを重ね。お立ち台を造った女性達が、ピンクのライトに照らされ、一人。また一人と服を脱いで、色んな所を上手に隠しながら、まるで手品の様にスルスルっとメイド服へと着替えて行くのだ。


 チラリと彼女達のお毛毛や小梅様が顔を覗かせる度に、男達から「うおぉ~」っと歓声が上がる。


 今は大人しくなったとは言え。元は荒くれ者の男達だ。盛り上がらない訳が無い。そして、元はプロのお姉さん達だ。少し痩せているとは言っても、見せ方を知っていて、とってもエロなまめかしい。際どい所が、見えそうで見えないのが、また良い。とても良い。


 観客を魅了するマジシャンならぬテクニシャンな彼女達は、お馬鹿な男達のツボを良く心得ていた。


 因みに。ピンクのライトは、自主的に元気が準備した物だ。


「良いぞ~!うわ~、もうちょっとで……。あ~!くそう!」


「も、もうちょっと!あ~……」


「ノルエちゃ~ん!綺麗だよ~!ヒュ~ヒュ~!」


 急遽始まった、女性達のエロしい計らいによって、共有ルームはお祭り騒ぎだ。


 しかし、そんな夢の様な時間は儚くも、長くは続かなかった。


「な、何をしているんですか!貴方達は!?」


 背後のドアがバーン!と開き、鋭い美怒声に、男達のお尻がピョンと浮き上がった。


 聖なる女神ミリャナ様の御帰還である。聖なる女神。これは、保護された大人達がミリャナに勝手に付けた愛称だ。


「め、女神様!……何故ここに……。か、神様!?大丈夫だって言ったじゃ無いですか!?」


 先に部屋に戻ってるね。とミリャナが言っていたので、安心していた元気だったが、普通に騒ぎすぎて、子供アパートまで、男達の声が丸聞こえだった。


 今日は普通に、青筋を立てながら、ツカツカと元気に向かって歩いて行くミリャナ。怒りを隠す気が無いミリャナの怒気を受けて、元気は逃げる事が出来ない。


「ミ、ミリャナ!違うんだ!これには、深い訳が……うぎゃぁああ!?」


 ボンッ!と、拳骨の音とは思えない鈍い爆発音を発するミリャナの拳骨により、椅子から転げ落ち、その場でのたうち回る元気。それを見て周りの大人達が、天罰が下る。と本気で死を覚悟した。


 しかし、死ぬ程の天罰が落ちる事は無かった。


「羽目を外すなとは言いませんが、隣には子供達が居る。と言う事を忘れないで下さい!……今のなた達の姿を子供達に見せられますか!?」


「み、見せられません……」


 二十手前の女の子に正座をさせられ、説教をされるおじさんおばさん達。元気は完全沈黙中。耳から煙が出ている様な気がするが、気のせいだろう。


「あの子達の近くには、貴方達しかいないのです!貴方達の背中を見て、あの子達は大人になるんですからね!……もうちょっと考えて行動して下さい!」


「す、すいませんでした……」


 ミリャナにどちゃクソ怒られるだけで済んだ大人達は、部屋へと戻り。意識を取り戻した元気は更に説教をされた。


 そして、毎晩の楽しみだった夜間運動が、罰としておあずけとなったのだった。


 ……後日行われた。大人だけの話し合いで、騒ぐの禁止。と言うのは、流石に可哀想だと判断したミリャナは、大人アパートの地下に、宴会用の部屋を造る事を提案。節度を守り、子供にはバレない様にする事を条件に、宴会事などをする事を許可した。


「許可はしましたけど!……その……。流れに任せてエッチな事をしたりとかは、しないで下さい……。そ、そう言うのは……好きな人とした方が良いと思うので……」


「はい!女神様!」


 甘々な処置と、頰を染めながら真っ直ぐに、乙女っぽい事を言うミリャナの言葉は、荒んだ大人達の心に、グッサリと刺さった様で、それ以降、大人アパート内で大きな問題が発生する事は無かった。


 ……と言う訳で、話を少し戻そう。


 大人達がミリャナに説教をされた次の日。元気達は朝食を終えると、アパートの前に集まった。


 ダンジョン組は、子供十人。大人五人の、計十五名。編成は、子供二人に対して大人一人の三人パーティーが五組だ。


 残った冒険者達は、緊急時に救助に行ける様、アパート内で待機。連絡手段は、スマホ形魔力通信機を使用する。


 そして、ダンジョン内部で稼いだお金は、七割がアパートの家賃。三割をダンジョン組で三等分と決まった。


 一人頭。稼いだ金額の一割程度しか手に入らないので、モチベーションや賃金を少しでも上げる為に、編成がスリーマンセルとなったのだ。


 因みに、家賃の七割分は、食費やアパートの方で働く人達に分配される。この事には双方納得済みだ。


 家を守ってくれる人達が居るから、安全に出掛けられる。家に帰れば御飯が食べられ、綺麗な布団で安心して眠れる。そして、自分の帰りを待ってくれている人が居る。孤独じゃ無い。そういう当たり前の幸せを、家を失った事のある人達は、海よりも深く理解しているのであった。


「命が一番大事です!この事を絶対に忘れないでね!」


「はい!解りました!」


 ミリャナの朝の挨拶が終わると、一組一組、時間をずらしてダンジョンヘと向かう。これは、集団でダンジョンへ向かい、狩り場を独占して、元々潜っていた冒険者達に集団で抗議されたり、嫌がらせをされるのを防ぐ為である。現在子供達は、狩り場を独占出来る程に、訓練で強くなっている。しかし、強くなったとしても、嫌がらせ等で狩りが出来なくなったりしたら、まったく意味が無いのだ。


 そして、冒険者達が出発し終わると、最後は元気とミリャナのパーティーが出発。二人の目的は、お金稼ぎでは無く、ダンジョンの攻略だ。


 晴天の町中。ダンジョンが楽しみすぎて、機嫌の治ったミリャナの、ウキウキプリンプリンな後ろお尻姿を眺め歩く元気。そんな元気には、攻略とは別に、もうひとつの目的があった。


 それは、ダンジョンの最下層にいる、とある神様に会う事だ。


 最下層に辿り着いた冒険者達の四肢を、残酷にもぎ取り。浮浪者に貶めた人物。それが、彼なのか、彼女なのかは、まだ解らないが、取り敢えず。浮浪者を増やすのを、辞めて戴こうと元気は、お願いするつもりでいる。


「あ!見えて来たわよ元ちゃん!」


「本当だ!……ゲートはアルカンハイトのとあまり変わんないだね……」


 町の大通りの中心にポッカリと口を開けるダンジョンのゲート。どうやらこの町はゲートを中心として円を描く様に、展開されている様だった。


 ゲート周りには、冒険者ギルドや武具屋。魔石の買い取り所、酒場等が集まっており。その箇所箇所に、厚化粧の女性達が立っている。元気とミリャナの目が自然とそちらに向ってしまうが、今日は彼女達と話に来たのでは無いので、気持ちを切り換える。アパートの宣伝はしてあるので、後はもう彼女達の気持ち次第。気にしても仕方が無いのだ。


「……おっし!行こうかミリャナ!」


「うん。はぁ~……。緊張して来たわ……どんな強い人達がいるのかしら……」


 元気は、頰がほんのりと赤らんだミリャナの隣に立つと手を繋いだ。


 そして、お互いに顔を見合わせるとコクリと頷き合い、虹色に輝くゲートの中へと一緒に飛び込むのだった。


すいません、やっとダンジョンに到着しましたw


お礼の話等は書かないでそのままダンジョンヘ行くつもりでしたが、何故だか書いちゃったw


次回こそダンジョン内部のお話ですw


少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。


下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw



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