ママ
ポタンとミリャナの初対面です。
「ただいま~……元ちゃ……」
「お帰りミリャ!ご飯出来てるよ!……あれ?固まっちゃってどうしたの?仕事で疲れたろ?とりあえず座ったら?紅茶でも飲むかい?」
「え、ええそうね……」
ミリャナは元気の方をじ~と見つめたまま、自分の席へと座る。ミリャナ元気が抱いている物体Pがとても気になる様子だ。
「ま~ま~」
「お~ポタン~、お腹すきまちたね~まんま準備をしましょうかね~」
Pについての説明も無く、台所に向かおうとする元気に、ミリャナが我慢できずに声をかけた。
「げ、元ちゃん?……その子……」
「あぁ!?」
「ひえっ!?」
元気の声にミリャナのお尻が浮く。そして二人の目線が合い……気まずい沈黙……。
「…………あ、あのね、ミリャ、実はこの子……親が居なくてさ……でね……ちょっと面倒を見てあげようかな~何て思うんだけど……どうだろうか?……め、迷惑はかけないからさ……」
「め、迷惑はかけないって言っても子供を育てるって大変な事なのよ?それに子供が子供を育てるなんて……」
「え?子供が子供って俺ももう15だしある程度は大丈夫だよ?……多分」
「え!?15!?」
「え?15歳だよ?」
「えぇ!?」
もう一度ミリャナのお尻が浮いた。
ミリャナはその事実に、拾った猫が実は犬だったという程の衝撃を受けた。
「……ミリャってさ……俺の事幾つだと思ってたの?」
「えっと、あの、12、3歳……?」
ミリャナの目が驚くほどに泳ぎ出した。
「……ミリャ?子供の前で嘘はいけないよ?ポタンが悪い子なったらどうするの?」
元気がそう言ってニコリと微笑みかけると、ミリャナがポタンを見る。
「……悪い子になっちゃ駄目ね……。あのね、怒らないでね?あの、その、10才くらいかと思って……いました」
「そ、そっか……」
「あい!」
落ちこむ元気の肩を、ポタンがポンポンと励ますように叩く。その気遣いにウルウルする元気。
「……励ましてくれるのかい?……あ、ありがとうポタン……。よし!落ち込むのは後だな!」
「うぃ~」
「…………」
ミリャナは赤ちゃんと会話する様に見える元気が、とても不思議でならない。
「ちゃんと面倒みるからさ……駄目かな?」
「……でも……う~ん」
もう一押しだ!と元気は思い、ミリャナの膝の上にゆっくりとポタンを乗せる。
「と、尊い……」
可愛い物と可愛い物の融合により。
『究極完全態:グレート・ミリャタン。
攻撃力:3500 守備力:2800
効果:このカードが破壊されると、元気の裁きで相手のデッキが全て燃える』
が特殊召喚された。
「ひ、卑怯よ元ちゃん!?」
そう言いながらも、ミリャナはしっかりとポタンを抱く。
「ポタンって言うんだ名前を呼んでやってよ?」
「……ぽ、ポタンちゃん?」
ミリャナは困惑しながらポタンを見やる。
「ま~ま?ま~ま?」
「私がママだなんて……ゴメンね違うのよ……」
「ふえぇ……」
ポタンがママじゃ無いよ。の言葉に反応して泣きそうになり、ポタンを揺らして必死であやすミリャナ。
「あぁ!な、泣かないでポタンち~ゃん……よしよ~し……」
「ミリャ、ママですよ~ってギュッてしてあげたら泣き止むとおもうよ?」
「そ、そんな……ママって……」
ミリャナがポタンを見る。ポタンは今にも泣き出しそうだ。
「ポ……ポタンちゃ~ん。~ママでちゅよ~?泣き止んでね~お~よちよち~」
するとポタンが泣き止んでにへらっと笑う。
「あぁ~!もう!あぁ~もう!どうしましょう、あぁ~どうしましょう!」
ポタンのあざとアタックにやられたミリャナは、母性やら何やらが大噴火した。
「フフフ……とりあえず、ご飯食べようよ」
「そ、そうね、ポタンちゃんはどうすれば良いのかしら?」
「俺がご飯を食べさせるよ、おいで~ポタン~ご飯食べましょうね~」
元気が手を伸ばすと、ぷいっとポタンはそっぽを向いた。
「あれれ?どうしたのかな~?パパだよ~?おいで~ご飯たべよ~?」
「や~!」
ミリャナにしがみついてポタンは離れない。出会って数日。早速反抗期が来たようだ。
「ま~ま~、ま~ま~」
「あらあら、まぁまぁ、ポタンちゃんは甘えん坊ねぇ、ご飯はわたしがあげても良い?」
「……う、うん、お願いしようかな?」
皆で戴きますを終えると、夕食開始。いつの間にか、ミールとフェルミナも席に着いている。何があっても夕食は欠かさない二人だ。
「あら~、おいちいの~お耳がピクピクして可愛いわねぇ~ポタンちゃんは美人さんになっちゃうわね、フフフ」
「あ~う、キャッキャ」
元気が幸せな光景を堪能していると、お呼びじゃ無い。幸せじゃ無い二人のやり取りが聞こえて来た。
「はぁ~姉さんはやっぱり可愛いなぁ~」
「まぁ、ポタンも負けてはおらんがな!」
「はぁ~?姉さんの方が可愛いに決まってんだろ?この暴力馬鹿エルフめ」
「ほほう貴様。我々エルフを愚弄するのか?」
「我々って、お前と他のエルフを一緒にするなよな。他のエルフ達が可哀想だろ。脳味噌がおっぱいに吸われたんじゃ無いのか?このムッダッパイ」
「貴様ぁ!もう許さんぞ!表に出ろ!性根を叩き直してやる!」
「お、おい!飯くらい静かに食わせろって!おい!引っ張るな!……や、やめろ~!」
フェルミナに首根っこを捕まれたミールが、外へと連れて行かれた。
外から悲鳴が聞こえるが、家の中は静になったのでよしとしよう。とミリャナを見る元気。
「それでさ、ミリャ、どうかな?ポタンも一緒に暮らしても良いかな?」
「元ちゃんは卑怯よ、こんなのもう!駄目って言えないじゃない!……犬猫じゃないんだからね!ちゃんとしてね!ね~ポタンちゃ~ん」
厳しい事を言いながらも、ミリャナはポタンにメロメロだ。
「うん、頑張るよ!」
「じゃ、ポタンちゃんママはお風呂に入ってくるからパパの所に行っててね~」
「パパ!?……フフフ……ポタン~おいで~……。ママ!……の所からパパ!……の所へおいで~。ウフフフ……」
「や!ま~ま~!ま~ま~!」
「ポ、ポタン……ママお風呂入らなきゃだから……汗かいたから……」
汗かいたままでもいいよ?と思ったが、ミリャナにしっかりしてね。と言われたのを思い出す元気。
「ポタン!あんまりわがまま言うんじゃありません!ママが困ってるでしょ?」
「ふぇっ、うえぇーん!!!」
「あ~!ゴメンねポタン!泣かないで!あ~ゴメンよ~」
しっかり出来ない元気だった。
「もう!言葉がわからないんだから怒っても仕方ないでしょ?あぁ~もう!ポタンちゃん~泣き止んでね~。わかったわ!一緒にお風呂入りましょう」
「う~……」
「フフフ……。泣き止んでくれたわね……じゃ、私たちお風呂に入って来るね、いきましょうね~ポタンちゃん」
ポタンにミリャナを取られ。ミリャナにポタンを取られた元気は、二人がお風呂に向かうのを見送る。残ったのは我が身一つ。……皿洗いのシャボンの泡が目に染みた。
お風呂を上がったミリャナには冷えたミルク、ポタンには少し温めのミルクを準備した。
その後は、風の魔法を使いミリャナの髪を乾かす手伝いをしたあと、三人で食後のデザートにプリンを食べる。
「ポタンちゃん、パパがね~ママとポタンちゃんの為に美味しい物を準備してくれてましたよ~良かったでちゅね~。ありがとうね~パパ~」
「ぱ、パパ……」
「ほら、ポタンちゃんママと一緒に食べましょうね~」
「ま、ママ……」
兎ちゃんパジャマ姿の二人を見て、元気の傷ついたハートが修復されていく。
「ど、どうだポタン?おいしいか?」
「あい!」
「あら、返事したわ!偉いわねぇポタンちゃん」
「ハハハ、準備したかいがあったよ。良かった」
二人の為に一生おやつを準備しよう!そう思う元気だった。
おやつを食べた後は、しばらくお話をして就寝だ。
元気はポタンと一緒に寝ようと思ったが、ポタンがミリャナから離れない。仕方ないので、ベビーベッドを魔力で出しミリャナのベッドの横に置いた。
「それじゃ、おやすみ」
「えぇ、おやすみなさい、ポタンちゃんパパにおやすみなさいは?」
「ちゃい!」
「凄いなポタン。言葉が理解出来てるんじゃ無いの?」
「どうかしら?まだだと思うけど、何となく雰囲気でわかるんじゃないかしら?」
「そっか。そんなもんか……じゃ、ポタンおやすみな~。…………俺も一緒に寝たいなぁ~。……今度お願いしてみよ……。今日は何か眠いし……夜中二人の顔を見守る自信がないや……」
元気はとぼとぼと部屋へと向かう。そしてそのままベッドに倒れ込んだ。
「問題事は片付いたし……。暫く三人で静に暮らしたいな……。フフフ……考えるだけで何て幸せなスローライフなん……だ……ろう」
ベッドに横になって数分。元気は幸せな空想と一緒にスッと深い眠りに落ちていった。
まぁ、そうなるよね~って展開でした。
ノリで進めているので自分でもどうなるかわかってません、次回はどうしよう?w
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『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw