表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
172/240

頑張る乙女

せっかくのミリャナの頑張りが……


 裸で走り回る人魚達に町のあちこちでは、女性の悲鳴と、男の歓喜の声が上がりお祭り状態である。


「あ!元気!それにポタンも!ミリャナもいるのね!会えて嬉しいわ!」


「ト、トリトル様!お召し物を!」


 満面の笑みで駆けて来るスッポンポンのトリトルと、それを必死に追い掛けて来るヒルトン。二人共に元気そうで元気は安心する。


「とても良いわねこの町気に入ったわ!皆優しいし!」


 ヒルトンに服を着させて貰いながら嬉しそうにするトリトル。そんなトリトルに、元気がアトランティスであった事と、ローレライの話をした。


「……お、お母様が……。ほ、本当に?……お母様が……」


「トリトル様……。早く帰りましょう!」


「で、でも……。帰るとヒルトンが……」


「私の心配何かよりも、ローレライ様と会う事の方が大事です!」


「……私が一緒に行くわ……。私もローレライはに会いたい……」


「セイレーン様……ありがとう!」


 セイレーンに抱き付くトリトル。嬉しそうな二人に、町は混乱状態だが元気は良かったと思う。


 その後。水辺に戻って来た人魚達の半数約、五十名程がユートピアに残る事に決まった。


 アトランティスに、もう親戚や家族が無い人魚達だ。


 帰る事を決めたトリトル達三人を含めた人魚、約五十名を一斉にアトランティスまで瞬間移動させる元気。


「こ、今度は何事だ……。其方は……。ト、トリトル!?」


「まぁ……。トリトル……大きくなったわね……」


「お母様!?……お母様~!!!」


 ローレライに飛びつくトリトル。それを見送ると、元気はユートピアでの話を驚くトリトンへとおこなった。


「……そうか……。了承した……我が民をどうか……宜しく頼む……元気よ」


「宜しく御願いしますね……元気さん……」


「はい……。それと……この方達なんですが……」


「……言うな……解っておる……。地下は永遠に封鎖する……。丘に行くのも……アルカンハイトになら……許可を出そう……」


「……そ、そうですか……それは……良かった……」


 どうやら、トリトンは自由恋愛を許可するつもりの様だ。それは良いが、アルカンハイトへの人魚の進出は予定外。ヴァイドへの報告にアルカンハイトの町への告知や、警備の強化等々色々と増える案件なのでは?と元気は不安になった。


「元気!……ありがとう!絶対にまた来てね!」


「あぁ、勿論だよ!」


「丘の勇者よ……感謝する……」


「え?……あ、はい……。では……」


 元気は手を振るトリトルと、仰々しくお辞儀をするヒルトンにへへへっと笑うと瞬間移動でユートピアへと戻った。


 町の方の騒動は収まった様で、橋の上でミリャナが水路を泳ぐ人魚の姿を見てニコニコしている。


「あ、お帰りなさい元ちゃん。どうだった?」


「うん!自由恋愛も大丈夫な感じで上手く行ったと思う」


「そう!良かったわ!……皆気持ち良さそう……」


「凄いよな……。昼間と言っても、今日は肌寒い位なのに……」


 そう思って元気は気が付く、今日もミリャナは薄手のワンピース。ミリャナの冬服を作らなければならないのだ。


「ねぇ。ミリャナ……。雪が振る前にさ……一緒に何処か旅行に行かない?」


「え!……どうしたの急に……」


「あ、いや……。何か……ミリャナと一緒にさ……遊びに行きたいな~って思って……」


「……でも、家が……」


「家には母さんも父さんもいるし、アイリスだって、ポタンだって、ミールだっているよ」


「……そうね……。皆……いるのね……」


 そう言って遠くを見るミリャナ。これまでの事を色々と思い出しているのだろう。


「嫌かな……?」


「フフフ……。そんな訳無いでしょ?……あ!そうだわ!お出かけするなら、ポタンの手袋編まなきゃね!」


「……。違うんだ。ミリャナ……。ミリャナと二人で行きたいんだ……」


「え!……何で?」


「何でって……そりゃ……。まぁ……その……」


「あ……」


 見る見る赤くなって行く元気。それにつられてミリャナも赤くなる。驚きのあまり聞き返した自分に後悔するミリャナだ。


「ドクター……。そこは、お前が好きだから二人でラブラブしたんだ。でしょ~って」


「ヒトリア……下品が過ぎるわよ……。……でも、確かにうぶ過ぎるわね……。丘の人達って皆こんな感じなのかしら?」


 水中から橋の上を見上げるヒトリアとヤール。


「シャリは純粋なドクターが良いと思うわ!……きゃ!」


「おませなガキね……。シャーリーアンタちょっとちゃんと面倒見なさいよ……。とんでも無い事になるわよ?」


「子供の前で下品な事を言わないでよヤール……。シャリ……ああ言う事は大人になってからするのよ!」


「……は~い」


 イチャラブする元気とミリャナを指差すシャーリーに、渋々返事をするシャリ。その指さしによって、元気とミリャナに一斉に人魚と町の人の視線が集中する。


「ヘイ!ヘイ!ヘイ!ドクターママ~!女は愛嬌よ~!そして度胸よ~!……ドクターママがいらないなら、私がドクターを貰うわよ~」


「ちょっとヒトリア!アンタ本性出し過ぎよ!」


「ド、ドクターは私が!」


「シャリ!何言ってるの!?」


 橋の下が騒がし過ぎて、元気とミリャナの恥ずかしさがピークを越えてしまう。


「ミ、ミリャナ……話の続きは……家でしよっか……」


 元気がミリャナに手を差し出し、瞬間移動で家に戻ろうとした時だった。


「……。ちゃんと紹介して……。元ちゃん……言ったでしょ……皆に紹介してくれるって……」


 そんな事を言うミリャナは耳まで真っ赤っか。元気はその可愛さに気絶しそう。こうしてアドレナリンが止まら無い元気の、思春期的暴走が始まった。


 元気は興奮状態で大きく息を吸い込むと、橋の手すりに飛び乗り、大きな声で宣言した。


「皆さ~ん!俺の嫁を紹介しま~す!ミリャナで~す!大好きで愛してま~っす!よろしくお願いしま~す!」


「アハハハ!いいぞ~ドクター!何処が好きなんだ~い!」


「ちょっと煽り過ぎよヒトリア……」


「好きな所は全部で~す!ですが特に可愛いお尻が好きで~……ひえぇぇぇ~……!?」


「お馬鹿!」


 ドボン!っと水路に落ちる元気。橋の上を見上げると怒って帰って行くミリャナの姿が見える。


「……ドクター……。あれは無いわ……。お尻が好きって言われて女が喜ぶのは、三十(みそじ)越えてからだよ……」


 煽っておいて呆れるヒトリア。


「え!?……そうなの!?」


「……思春期ボーイの暴走は、恐ろしいね……まったく……」


 驚く元気に、呆れるヤール。


「わ、私もお尻が可愛いですよ!ドクター!」


「シャリ!いい加減にしなさい……もう。ほらドクター早く追い掛けないと……」


「そ、そうだった!……それじゃまた!」


 元気は人魚達に挨拶すると、急いでミリャナの後を追った。


 町の外の農業地帯をズンズンと進むミリャナ。プリプリと揺れる可愛い後ろお尻からしてご立腹な様子が解る。


「ミ、ミリャナ。ご、ごめん……。あれは……違わないけど……違うんだ……」


 ミリャナからの返事が無い。目も合わさず前を向いたままだ。


「ねぇ~。ごめんよ~ミリャナ……。ごめんよ~……」


 元気がミリャナの回りを、謝りながらクルクルと器用に回り出す。無表情でいるミリャナだが、内心早歩きする自分の回りをクルクルと回る元気にビックリする。そしてとうとう我慢の限界だ。


「ぶっは!」


 ひょっとこ踊りの様な、訳が解らない物や動きがミリャナのツボ。堪らず吹き出してしまった。


「ミ、ミリャナ!」


 それを見て喜ぶ元気にまた腹が立つミリャナ。公衆の全面でお尻を好きです!等と言われたのだ。許せるハズも無い。


「……私、怒ってるんですけど……」


「あ……。すいません……」


 怒ったら敬語のミリャナ。元気はその様子にシュンとしてしまう。そしてトボトボと付いて行く……が、早歩きのミリャナの隣をトボトボと早歩きで元気が歩くのだ。


「はぁ……。ワザとやってるんじゃ無いんだろうけど……。それ面白いからやめて……」


「え?……何が?」


「もう!」


 そう言って走り出すミリャナ。だが、元気がそのままトボトボトボトボと付いて来る。その様子はとても気持ちが悪く、それは遠目からでも農作業をしている人達の目を引く光景だった。




頑張れば頑張る程、余計な事をする元気君です。普通に紹介して貰えれば良かっただけなミリャナなのでした。


……ポタンは何処に行った?w



少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。


下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ