トラベラーズ
未来を見に行く能力。何も無ければ便利そのもの……
元気がそっぽを見て涙を堪えて居ると、ポタンが未来を偵察から帰って来た。
「何気持ち悪い顔してるのパパ?……ただいまママ」
「お帰りポタン……。大丈夫だった?」
「うん。向こう五年は何も無いみたい……。でも五年後……戦争が起こるわ……」
「戦争……って……」
ミリャナの顔色が一気に青ざめる。
「今の内に潰しに行く?」
戦争と聞いてオリビアも反応する。黒竜の顔のままなので、迫力が凄い。
「いいえ……。結果を言えば結局大丈夫よ……」
「え?どう言う事……?」
ポタンの言葉にミリャナが聞き返す。
今回ポタンが行った未来では五年後。南の大陸から中央に宣戦布告あり。こちらから先制攻撃を行い、戦争が起こる前に終結したらしい。
「決め手は……露死南無天の変身の能力……」
「露死南無天?……いったい何に変身したの?」
「……太陽」
「……えげつないな……」
「……その結果……。南の大陸ごと滅んだわ……」
ポタンの言葉に部屋の中が静まり返る。その時だった元気の頭の中にポタンの声が響いて来た。
『問題はその後なの……パパ……。後でお話があるわ……』
『解った……』
「と、とりあえず。大丈夫そうなら良かったよ……」
「……はぁ。まぁ。ここが安全であるのならそれでいいわ……」
元気をジッと睨むオリビア。何かに気付いている様だが、何かは解らない様子だ。
鳥娘達の行く末や戦争は五年後と解った元気達は、暫くの間の食糧をラピタの冷蔵庫に詰め込むと、今度はユートピアの人魚達の様子を見に行く事にした。
「……何が起きてるんだこれは……」
「あ!元気さん!お帰りなさい!ねぇ!……ローレライは?……ローレライはどうなったの?」
橋の上で水路を見つめていたセイレーンが元気に駆け寄って来た。
薄手のシャツを纏った白ビキニと言うけしからん格好に、元気のあげたスラックス。満面の笑顔とおっぱいが太陽に照らされてマンゴーの様に輝いている。
「ゴホン……」
「ハッ!」
ミリャナの咳払いで我に返る元気。ポタンはあきれ顔だ。
「こ、こちら、セイレーンさん……女神さんです……」
「え……女神様!?こ、こんにちは!」
「ご機嫌麗しゅう……」
驚くミリャナとポタンがセイレーンに丁寧なお辞儀をする。セイレーンも合わせてお辞儀をした。
「顕現したままだったわね……。セイレーンです……宜しくね……。それで……」
「ローレライさんは、復活しましたよ。お城にいるはずです……」
「そ、そう……良かった……。良かったわ……。ありがとうございます!元気さん!」
「うっぷるん……」
涙を流しながら元気に抱き付くセイレーン。ミリャナの前なので焦る元気。その光景に普通なら嫉妬するミリャナだが、相手は女神様だ。困惑してしまう。
「セ、セイレーンさん……。ちょっと……今日は、よ、嫁さんと一緒で……」
「え!?……奥様と!?……ご、ごめんなさい!あぁ……私は何と言う失礼を……本当にすいません!すいません!」
元気から急いで離れるセイレーン。そしてミリャナにペコペコと頭を下げる。女神様に頭を下げられるミリャナは心臓が破裂しそうな程ドキドキだ。
「良いです良いです。大丈夫ですから!……げ、元ちゃん……。セイレーン様を止めて!」
「セイレーンさん、謝罪はそれ位にして……。……それで……これは一体どう言う事なんですか?」
「……えっと……これは……ですね……」
あの日。トリトルやポタンと一緒に、牢屋から飛んで来た人魚達。そんな人魚達に興奮したセイレーンは、ポタンが戻った後。嬉しさのあまり、水路にまた飛び込んだ。
そして、それを見た人魚達も一斉に水路に飛び込んだ。
最初は水路に現れた人魚達に町民も喜んだ。
しかし、その後が問題だった。
「ちょっと!本当に……もう飛び込まないでね……。引き上げるのが大変なんだ……」
「あ、す、すいません……」
数十名の人魚の引き上げに一日中追われる事になった町の兵士達。そんな兵士達に叱られ反省した人魚達だったのだが、本日の朝の出来事。ミールやアルカンハイトの兵士達が率いる、孤児院の大浴場で待機していた人魚ママ達がユートピアに到着。そして、綺麗な水路の水を見た瞬間一斉に飛び込んだのである。その光景にユートピア滞在の兵士達は絶句し、アルカンハイトの兵士達は足早に帰って行った。
現在。ユートピアの水路は人魚でいっぱい。そして困った事になっていた。
「ちょっと~!お兄さん!こっちよ早くして!おしっこ漏れちゃうわ!」
水路の中から、上の兵士に引き上げる様に手を振るヒトリア。兵士がそれに急いで対応しようと走る。生活用水におしっこは困るのだ。
「ちょっと待ってくれ!今梯子を……。ちょっとそれ貸してくれ!」
「こっちもなんだ、少し我慢させろ!」
水路の上では、兵士同士の梯子の奪い合いだ。
「無理よ~!女の子は我慢出来ないのよ~……早くぅ~」
甘えた声を出すヒトリア。そんなヒトリアに若い兵士がボソッと呟く。
「女の子って……もういい年だろ……」
「おい!そこの小僧!降りて来いや!お前!沈めてやる!」
「嫌だわ!大人しく待ってろ!」
「大人に何て口の利き方!……もう良いわ……」
「待って待って!御免なさいお姉さん!水路でしちゃダメだ!梯子早く!緊急だ!」
自由に泳ぐ綺麗な人魚達姿に、ミリャナは感動しているが、元気とポタンは呆れる。
「えっと……すいません……」
「あ、いや……えっと……。まぁ……元気そうで何より……」
「はぁ……。こうなるのは想定外だったわ……パパ……。水路の横……階段に出来る?ほらあの……パパの世界の川の階段のやつ」
「成る程……。川の堤防見たいにすれば良いのか……」
元気はそう言うと水路へ、陸に上がる階段を作った。
水路から真っ直ぐに階段を作ると急勾配過ぎて、子供が転げ落ちる心配があるので、水路に沿って斜めに作った安心設計だ。
「……へぇ。パパやるじゃない」
「へへへ~……だろ?子供が怪我しちゃいけないからな!…………あぁ!あれはヤバい!」
「げ、元ちゃん大変よ!……ちょっと!元ちゃん!鼻の下伸び過ぎよ!」
「え!……そ、そんな……。伸びてる?」
「パパ。最低……」
「お、俺のせいじゃ無いだろう?不可抗力だって!」
人魚達が急に現れた階段から地上に上がり、町のあちらこちらで、トイレを探す。そこまではまぁ仕方無い。だが、尾ヒレから人形の足に変形させて町を駆け回る人魚達が全
員。スッポンポンなのだった。
スッポンポンは彼女達のデフォルト。恥ずかしさはありません。
結局こう言うのって、エロいって思う人の脳味噌がエロいんだろうなと思います。その光景がエロとして想像出来ているのだから~。
勿論。私はエロです。
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