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新たな命

次章に向けての準備をw


 オリビアに抱っこされたまま、城内を見て回る元気。現在、夜の真っ只中だが城内は既に設置されているライトで昼間の様に明るい。


「本当に凄いわね……。地球に居た頃より便利じゃない……」


「あっちは百年で恐ろしく化学が発達したから、多分これでも少し遅れてる位だよ?オリビアさんの魔力があれば城の物全部使えるハズだよ」


「そう……」


 外観はお城だが、中はシンプル。寝室に、台所、リビングルームに客室が数ヵ所だ。


 豪華な貴族のお屋敷程の広さはあるが、アルカンハイトの城ほどは大きくない。生活スペースを見終わると、次は客室を見て回る元気達。そして客室のドアを開けて元気の目に飛び込んで来たのは、綺麗なお尻とおっぱいだった。


「……え?……何で?」


「……あれは……。卵泥棒……」


 驚く元気に、顔を顰めるオリビア。


「卵泥棒?」


「目を離すと卵を持って行こうとする油断も隙も無い連中よ……鳥人間……ハーピーだったかしら……駆除するわ……」


 元気を地面に降ろして、腕に魔力を溜めるオリビア。そんなオリビアを止める元気。


「ま、待ってオリビアさん!……その……ハーピーってモンスターなの?」


 見た目、モンスターでは無く、立派なおっぱいとお尻を持った獣人。目の前での殺人は見逃せない元気。


「どうなのかしら?……敵って認識しか無いから……解らないわ……」


「……起こして話しを聞いてみていい?」


「……良いけど……卵を攻撃する様なら……即殺すわよ……」


「うん……」


 扉の前で仁王立ちになるオリビアの前で、寝ているハーピーを揺する元気。お尻をゆっさゆっさしようと思ったが、肩にしておく。


「う~ん……。なあに?……。まだ……夜中……」


「こ、こんばんわ~……」


「きゃあああああああああ!?」


 寝ぼけたハーピーが、元気を見てベッドから転げ落ちる。そして元気の方にお尻を向けながら部屋の隅へと四つん這いで逃げ去った。


 勿論履いてないので、丸見え過ぎて元気の鼻が広がる。


「こ、怖がらないで……大丈夫だから……」


「う、嘘よ!顔が怪しいもの!?」


「え!?」


 元気が驚いてオリビアを見ると、オリビアが頷く、鼻が開き鼻の下が伸びきった元気の顔はモンスター以外の何者でも無かった。


「……ハーピーって……喋るのね……。ギイギイ、ギャアギャア言ってる姿しか見た事無かったわ……」


「あんな、低俗なモンスターと私達を一緒にしないで!それよりも!誰なの!あなた達……。ここは私達のお家よ!」


 金髪パーマで素っ裸な少女。足は黄色い鳥の足。腕からは鳥の羽の様な物が生えている。手にはちゃんと指があり。尖った耳がエルフの様だ。


「えっと……。俺は元気……ここの……家主です……」


「え!?」


「と、取り敢えずこれ……」


 驚くハーピらしき少女に、シーツを投げる元気。裸のままでは思春期な元気は目が泳いでしまって話しが出来ない。受け取ったシーツの意味が解らない様で、取り敢えず身体に巻くハーピー。下は隠れたが乳が出たままだ。


「人里に降りないから、隠す習慣が無いのね……。原始人みたいな感じかしら?」


「あぁ……。成る程……」


 元気はオリビアの言葉に頷き、少女にワンピースを出すとオリビアに渡す。


「……何で私なの?」


「え?だって……俺一応男の子だし……」


 そういってモジモジする元気。そんな元気を見てオリビアが溜息を吐く、そしてオドオドする少女に洋服を強制的に着せた。


 最初抵抗しようとした少女だったが、直ぐに力の差に気付いたのだろう。途中から大人しく涙目でオリビアのされるがままになった。


「あ、あの……。わ、私達は……殺されるのでしょうか……」


 異常にブルブルと震える少女。


「私達?」


 オリビアが少女の言葉にピクリと反応。すると急いで口を塞ぐ動作をする少女。その動作を尊い。と思う元気。


「……まぁいいわ……。ここは今日から私の家になるの……出て行きなさい……そうすれば何もしないわ……」


「……はい」


 涙目で頷く少女。その姿に元気の『核心をついた余計な事を言う』が発動する。


「……君はここに何でいたんだい?何処から来たの?」


「……はぁ」


 オリビアは元気の発言に、片手で頭を抱える。年端の行かない少女が空き家で寝泊まりしているのだ。そんなの理由を聴いたらお終い。関わらざるを得ないだろう。


「わ、私達は……南の大陸の研究所から逃げて来た……ハーピーとエルフのハーフです……行く所が無くて……ここで休んでました……」


 ほらね……。オリビアはそう思うが、元気は興味心身だ。


「研究所……?」


 南の大陸と言えば、純潔と言われる人間が住む土地。研究所があると言う事は、化学が発達した土地なのかな?と元気は心が踊るのだ。


 しかし踊ったのはそこまでだった。


「はい……。他の大陸との戦争に使う兵士を作る人体実験を行う研究所です……。処分されそうになった仲間達と一緒に……逃げたんですけど……殆ど捕まって殺されちゃって……」


「殺されたって……。何で……」


「はぁ……。元気の時代は本当に平和だったのね……。実験や研究記録を持ち出したりすると国から処刑されるのは当たり前でしょ……。研究対象の脱走もそうよ……。何でもクソも無いわ……」


 部屋の中に重い沈黙が流れる。そんな中ポタンとフェルミナとマーリュクが瞬間移動で飛んできた。


「ちょっとパパ!?何で待っとかないのよ!?私達だけで、恥ずかしかったじゃ無い!?」


 ポタンは言う事を一切聞かない元気に、激怒する。フェルミナとマーリュクはオリビアを見つけキョドる。オリビアはフェルミナを見て警戒態勢に入る。少女はいきなり現れたポタン達に声も上げられない程に恐怖する。部屋の中はカオス状態だ。


「ポ、ポタン!ゴメン!実は……。えぇ!?ポ、ポタン!?ど、どうしたんだそれ!?超可愛いんだけど!?……ポタンが……えぇ~!?超可愛いんだけど~!?」


 銀の長髪美幼女になり、オーバーオールを可愛く着こなす。ポタンの回りを四つん這いで駆け回る元気に、カオスだった部屋の中の一同が、あまりの気持ち悪さに冷静になり落ち着く。


「あ、あの……。これ、黒竜……食べちゃった卵を持って来た……」


 フェルミナが胸に抱いたダチョウの卵程の大きさの黒い卵を黒竜に渡す。黒竜がそれを静かに受け取ると愛おしそうに抱き締めた。


「……本当に……私の……赤ちゃん……」


 卵に宿っている魔力で自分の子供かどうか解る様で、オリビアは膝から期ずれ落ちる。数百年ぶりの再開だ。


「……あの……。本当にごめん……。その……私は、何と言うか……」


「もう良い……。私も鳥の卵を食べる……。襲って来たら、鳥も殺して食べる……」


「でも……」


「今回はもう良いが……次は殺す……。解ったな……」


「うん……解った……。ごめん……」


 再び静まり返る室内。


「フフフ……。お近づきの印にちょっとサービスしてあげようかしら……」


「……。あなた……何をするの?……エルフは近づかないで……」


 卵に近づくポタンにオリビアが警戒をする。


「エルフはって……。野蛮のはフェルミナだけよ?それにその子を連れて来たのは私なんだから」


「……それは、ありがとう……。でも何をするかは教えて……」


「……ちょっとだけ、会えなかった時間分成長を促進するの……中に居る子に早く会いたく無い?ドラゴンの卵のままだと……後二十年は会えないわよ?」


「え!?そんなに……?」


 ポタンの発言に驚くオリビア。ドラゴンの様な高エネルギー生命体の孵化は、魔力が回るまでの時間が長く、孵化まで相当の時間が掛かるのだ。


「今お腹に居る子供は、人間の身体のまま産む事をオススメするわ……。母乳が出なくなってから産まれたら、お母さんが苦労するでしょ?……ベビーミルク何か無いわよ?」


「……あなたは一体何者なの……?」


 ポタンの助言に驚くオリビア。現在既に母乳など出る訳も無い。言われたらその通り。異世界にベビーミルクなど無いのだ。


「う~ん……。ママの味方かな?」


 ポタンはそういいながら卵にそっと触れる。そして『クロノス・マニピュレ』と呟いた。


 その直後から卵に変化が起こった。


「こ、これは……」


 硬かった卵の殻がフヤフヤになって行き、その中に小さな人の形が浮き上がって来る。その不思議な光景に部屋の中の一同が釘付けになる。カメラの何十倍速営造を見ている感じだ。


 そして、僅か一分の内に中の赤ちゃんが動き出したのだ。


「ストップ……。こんな物かな?ここからは……黒竜さんのお仕事よ……」


「……えぇ……。ありがとう……えっと……」


「私はポタンです!……困った事があったらいつでも相談して下さいね……」


「私は、オリビアよ……。宜しくお願いね……。ポタンちゃん……」


 握手を交わすポタンとオリビア。


 産まれた子供は、元気な女の子だ。小さな翼と尻尾と角が着いている。


「……何か……。猿みたいだな……」


「フェルミナ!……失礼よ……」


「あ!……す、すまない……黒竜……じゃ無かった……オリビア……。悪気は無いんだ……」


 必死にフォローするフェルミナ。そんなフェルミナが可笑しくなりオリビアは笑ってしまう。オリビアが笑ってホッとするフェルミナ。強い者が好きなフェルミナはオリビアと仲良くしたいのだ。


「赤ちゃんの頃は皆こうなのよ?……あなた達もそうじゃ無いの?」


「……。どうなんだろう?私達エルフはお母さんやお父さんが居ないし……。いつの間にか産まれて居るからな……」


 と森で自然と育ったフェルミナ。


「私は、死んだ妹の時に見たわ!こんな感じだった!」


 と戦争で家族と村を失ったマーリュク。


「わ、私も実験施設で産まれたばかりの子供を見たわ!もう居ないけど……」


 と殺処分寸前で逃げて来た鳥の少女。


「孤児の施設に来る子供はもう大きかったから、赤ちゃんは初めてだな~……」


 と両親が元から居ない孤児院育ちの元気。


 皆、小さな赤ちゃんに興味心身だ。


「……あなた達……。産まれたばかりの子供の前でする話しじゃ無いわよ……」


 それぞれの生い立ちが奇妙過ぎるメンバーに、ポタンは顔を顰めてしまう。


「な、名前は何にするの?」


 それもそうだと思う元気は、すかさずフォローする。


「……名前は……アーシャ……。元の世界の内戦に巻き込まれて、家と一緒に焼けて死んだ娘の名前よ……この世界でまた一緒に暮らすの……」


 中々に重いオリビアのその発言に一同は言葉を失う。


「フフフ……。暗い意味では無いのよ……。あの娘には生まれ変わっていて欲しいと思ってるわ……。でも、どうせ生まれ変わるなら……また私の所が良いじゃない……。何度目の生まれ変わりでも良いの……可能性は低いだろうけどね……」


 赤ちゃんに向かって幸せそうに微笑むオリビアを見て、無性にミリャナに会いたくなるポタンと元気なのだった。

南の大陸の情報を少し。


魔法の代わりに発達する物と言えば……ですw



少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。


下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw



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