新たなる目的
何だかんだ言ってポタンもポタンで……w
キャンプファイヤーの前で円陣を組んで話し合いをする四人。スクール水着の二人に白衣の元気がポタンを抱っこしている。ポタンのお洋服の柄は今日は、ウサギではなくイルカ。実はアトランティスに来るのが楽しみだったポタンだ。
しかしこの有様、観光どころでは無い。本来の目的は、ローレライを復活させトリトル達の処刑を止めるだけだったのだが、王との謁見はせずに人魚達の保護に勤しむ元気に、黒竜と戦い死にかけたフェルミナ。そこから人魚達の大移動である。普通ならば開いた口が塞がらないと言う物。しかし、ここまではポタンも予想はしていた。
元気が動いて何も起こらない訳が無いからだ。そして今回の件にはセイレーンも絡んでいる。何か起こらないハズが無いのだ。
一番の問題は人魚達では無く黒竜の出現。世界を揺るがす脅威だ。
しかも……黒竜が……魔物が人間の姿に戻っている……。その事実にポタンは頭を抱える。人の姿になったまま、地上に上がり、町で暴れられたら目も当てられない、最優先的討伐対象なのだ。なのだが……。先程から何かを考える元気に、ポタンは嫌な予感がする。
「……パパって……どうしてこうも何かすると面倒事になるのかしら……。フェルミナは仕方ないとして……」
「し、仕方ないだろ……ほうっておけないじゃ無いか……。フェルミナは仕方ないとして……」
「そうだな……。私は仕方ないな……」
「そうね……フェルミナだもの、仕方ないわ……」
シュンとするフェルミナとマーリュク。仕方が無い事を肯定する、仕方が無い三人だ。
「パパ。黒竜は倒せそう?」
「ん?……うん……。まぁ、一度戦ってるし……」
「元気なら……倒せると思うが……」
ポタンの問いかけに歯切れの悪い返事をする元気とフェルミナ。
「そうなの!?やるじゃない元気!早く行ってフェルミナを酷い目に合わせた黒竜を倒してよ!」
マーリュクは相当悔しかった様で、そう言いながら元気を急かす。
「……はぁ。パパ……。これからどうしたいの?……一応教えて……何かしてからじゃ、遅いから……」
「……え?……うん……実は黒竜を倒すのに……あんまり乗り気じゃ無いと言うか……」
「な、何言ってんのよアンタ!?フェルミナがやられたのよ!最低ね!意気地無し!」
元気の発言にマーリュクが怒る。そんなマーリュクを横にフェルミナが元気の意見に賛成する。
「私も……。もう無理だ……。彼女とは戦えない……」
「フェルミナ!?……何で?どうしたの?……いつもは誰彼構わず馬鹿みたいに襲いかかるのに……。あ!もしかして脳味噌も傷ついたんじゃ……。私が治してあげる!」
マーリュクがフェルミナの頭にヒールを掛ける。そんな二人を見て元気が呆れる。
「誰彼構わずって……。お前ら外で何やってるんだよ……」
「い、いや……。誰彼では無いぞ……。私を馬鹿にした奴だけだ……。でも今回は無理だ……馬鹿な私でも解る……」
「そうか……」
「一体何なのよ?」
蚊帳の外のマーリュク。話しの内容が解らない。マーリュクにフェルミナが過去に黒竜の卵を食べた事をマーリュクに話すとマーリュクも黙ってしまった。
「黒竜も……お母さんだったんだよな……」
「……うん……。私はお母さんと言う物を知らないが……。ミリャナにとってのポタンを食べた見たいなものだろ……?……私はとても酷い事をしたのだ……」
「で、でもそんなの……弱肉強食じゃ無い……」
「それならば、私が黒竜に殺されるのは自然な事だ……」
「そ、それは……」
フェルミナが珍しく言う正論に反論出来ないマーリュク。その状況にポタンが溜息を吐いた。
その仕草に元気とフェルミナが反応し注目する。その仕草にポタンが顔を顰めた。
「……な、何よ……二人とも……」
「え?……いや……ポタンがそう言う溜息をつく時ってテレビ何かを思い付いた時だろ?」
「うむ……。私もそう思う」
「そうなの?」
三人に注目され更に溜息が出るポタン。思い付いたがそれは、あまり良くない方法だ。
しかし、今回の件を丸く収めるにはそれしか無いだろう。
「……私が過去に行って……。黒竜の卵を持ってくるわ……」
「え!?そんな事出来るの!?」
ポタンの発言に驚く三人。
「中央図書館で会ったのよ……。時の神……『クロノス』様と……その時……力を渡されたわ……。その力で行ってくる……」
「それ……大丈夫なのか?」
「フェルミナが食べた卵を、フェルミナがダンジョンで拾ってアイリスにあげた卵とすり替えるだけよ……」
「でも……」
神は神の力を押し付ける面倒な者。そう考える元気は、ポタンが神に為った事にはそれ程驚きは無い。それよりもポタンを独りで過去に行かせる方が心配だ。
「じゃあ、黒竜を殺す?……私はどっちでもいいわ……」
ポタンが直接的な発言をする時は、痺れを切らす寸前の時。答えが出ないままでグダグダしている話し合いが嫌なのだろう。
「そんな言い方……。……解ったよ……ポタンに任せる……。そうだ!俺も一緒に……」
「駄目よ……。現世から過去に戻ると移動者の時間が一千倍以上で流れるの……。パパは一瞬で死んじゃうわ……。私はエルフだから問題無いけどね……。一瞬……飛んでみる?」
「い、嫌……。辞めとく……。飛ばさないでね……」
「多分ね」
何処かの地獄少女の様な事を言うポタンに、元気が首を横に振る。本当に飛ばされそうで怖いのだ。
「わ、私はどうすればいい?」
何かをしたいが、何をすればいいか解らないフェルミナ。
「フェルミナはここで私が帰ってくるのを待ってて……。酷い言い方になるけど……パパと一緒に上に行ってまた黒竜にやられるだけでしょ?……無駄よ」
「そ、そうだな……。そうする……」
「フェルミナ……」
フェルミナを心配するマーリュク。しかし少し安心している様だ。
「俺は?」
「パパはローレライ様の復活。本来の目的を果たして……。黒竜に見つかったら……。まぁ、何とかして」
「何とかって……」
「出来ないの?……もうこれ以上状況が悪くなる事も無いでしょう?」
「そうだな……。何とかしてみる!」
誰も傷つけず解決する方法が見えてやる気が出る元気。ポタンも結果はどうあれ、元気なら何とかする事が出来ると思っているのだ。
「ポタン、ありがとうな!」
「そうだな……ポタン。恩に着る……」
「そうね!ポタン!あなた凄いわ!」
「……。お礼を言えば良いって物じゃ無いのよ……あなた達……まったく……」
エヘヘと情け無く笑う元気とフェルミナとマーリュクにポタンが再度溜息を吐く、しかしポタンはこの三人の優しさを好ましく思う。
面倒者は排除すれば良い。それが最適解答なのだ。
「よし、じゃ、作戦再開!黒竜の動きが解ら無い以上パパは迅速に動いてね……。フェルミナを生かしておいた理由も解ら無いんだから……」
「確かに……」
「……何か私を子供の餌にするとか何とか言ってたが……」
「は?」
フェルミナの発言にポカンとしてしまうポタン。
「え?」
その表情に連れフェルミナもポカンとする。
「……まぁいいわ……。その話しはまた後でしましょう……」
フェルミナに詳しい話しは聞けそうに無い。ポタンはそう思い、作戦を先に行う事にした。
「パパ……。妊娠中の黒竜を傷つけちゃ駄目だからね……」
「え?うん……わかった!」
厳しい表情で元気に注意するポタン。しかし心の内は、わくわくだ。
竜と人魚の子供。それは一体どんな生物なのか……。『海竜』なのか……それとも『竜人』?……人魚と竜だから、『海竜人』かな?……新種の生物……。うぎゃひゃ~……見たいな~。え~どうしよう……見たいな~。
ポタンの中で黒竜を保護する。それが第一目標になった。
好奇心の塊ポタンですw
次回は何処から描こうかな……。まだ未定です。どの流れが綺麗か……解らんが書くことが大事と言うことで、お付き合い下さいw
少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。
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『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw