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フェルミナという神

前回のとつなげて書こうと思いましたが、長くなりそうなので分けましたw

「あれは日差しの心地よい日であった……。フェルミナはそんな日差しの中で生を受けたのじゃ、森のエルフ達は新たな命に歓喜しうやまった。フェルミナはエルフ達の中ですくすくと育っていった……。あれはそう、生後三ヶ月たった頃じゃった……初めての寝返りをうった……。エルフ達皆が歓喜した。その数日後、フェルミナの首が据わった……。そしてエルフ達皆が歓喜した……。その数日後だった……。フェルミナは自分で近くにあった机の柱に捕まり、座ったのだ……。そしてエルフ達皆が歓喜し……」


「あの……ちょっと良いかな?その話しどれ位かかる感じ?」


 流石に嫌な予感がしたので遮った。


「ん?これから、幼児編~幼少編~幼女編~童女編~少女編~思春期編~大人への階段編~神への転生編~葛藤編~そして未来へ……編とあるな、ざっと3年程かの?」


「えっと、神様になった理由をかいつまんで話して貰えるかな?」


「かぁ~、つまらん奴じゃの~老人の話はきいとくもんじゃぞ!フェルミナ愛がたらんわ!」


「いや、3年は無理。ってか長すぎだろ!どんだけフェルミナ好きなんだよ!」


「大好きじゃけど何か?」


 ユグドリアスの開き直りかたがムカつく。


「もういいよ、フェルミナから直接聞くことにするから」


「まぁまぁ、まてまて、気が短い奴じゃのぉ、仕方ないからかいつまんで教えてやるとするかのぉ」


 ユグドリアスの前に腰を下ろしていたのだが、立ち上がろうとしたら蔓が伸びてきて止められた。動けるのか……面倒な、そして何かウネウネしていて気持ち悪い。と元気は思う。


「お主、顔に出すのはやめた方が良いぞ?傷つくから」


「以後気をつけます」


「気を取り直して……フェルミナは里を飛び出したエルフでな、里の暮らしが退屈でたまらなかった様じゃ」


 「あぁ、確かにイケメンと比べると活発というか、ミールを追いかけている時が一番生き生きしているな」


「里を飛び出すエルフは時々いるのじゃが、その後人間に捕まり奴隷落ちになったり魔石になったりするのが殆どじゃった。」


「質問です先生!奴隷ってそんな制度がこの世界にはあるのですか?」


「なんじゃ、しらんのか?あぁ、フェルミナが其方は異世界から来たと言っていたな……。この世界には、エルフ、魔人、獣人、人間、精霊、神と大まかに分かれておる……。その中で魔族のみが奴隷として他種族を奴隷にしておる、奴隷制度があるかは知らんが昔からそうじゃったからの、今もあるんじゃないのか?」


 獣人も居るのかと、猫耳、犬耳をモフモフ出来る日が来ることがあるかも知れない事に、元気の胸が高鳴る。


「変なことを考えておるな、奴隷に関してはお主の好きにすれば良いが儂は好ぬ……」


「か、考えてない事も……ないとは言えないけど奴隷とか俺も嫌だよ」


「ほんとかの~、まぁよいわ。フェルミナが里を出た後からじゃな……。その後、数百年間、世界を旅したようじゃった。出会いや別れを繰り返し、時々儂に報告をしに帰ってくるのを繰り返しておった。勿論秘密裏にじゃけどな。フェルミナには仲間を裏切ったという意識があったのじゃろ」


「あれ?エルフとじいさんって会話出来るの?」


「あぁ、基本的に念話じゃが、可能じゃ」


「なるほど、だからイケメン達が森から消えたじいさんを探してないのか」


「そうじゃな、一応ここに居ることは伝えてある、にしても話の腰を折るのは辞めて貰えるか?何所まで話したかわからんくなる」


「あぁ、ごめんごめん、気になることが多くてさ、ささ!お先をどうぞ!」


「まったく……じゃ、続きを話すぞ」


 話の腰を折るのは我慢しようと思うが、元気の周りでウネウネしている枝は折りたかった。


「ある時、フェルミナが報告をしに来た。

 運命の神に嫁になれと言われたといってな。当時の運命の神ヘイムブルじゃった。

 気に食わない国、種族は片っ端から消す。やりたい放題の神じゃったの。このままではエルフ達が消されてしまうとフェルミナが嘆いておった。

 勿論フェルミナには、自由にするが良いと伝えた。他のエルフ達も一緒の気持ちであった。

 フェルミナは知らないだろうが、あやつの話は森の皆に思念で筒抜けじゃったのじゃ、皆がフェルミナの話を楽しみにしていたのだ。

 フェルミナが来て暫くは、皆フェルミナの話をした。森の皆がフェルミナの無事と幸せを願っていた。

 フェルミナはフェルミナで森の皆の幸せを願っていた。我々は森から動くことが出来ぬ、どうすることも出来ぬ、フェルミナの為に自ら滅びるという案も出た。

 そうこうしている内に、フェルミナが戻って来たのじゃ。運命の神を殺して力を奪い神になった、もう大丈夫、心配いらないといってな……。我々の命を救うために、フェルミナは実体を捨て、他人と関わる事の出来ない身体になってしまったのだ。

 フェルミナには苦痛であったであろうな。ここ数百年……出会いもなく、別れも無くただ他人の運命だけを眺め過ごす日々……。フェルミナにとっては生き地獄だったであろう」


 元気は泣いた……。


 朝食、昼食、おやつ、夕食を催促し、本を読んでゲームをしながらミールとの喧嘩を夜中でも平気で行い。

 夜中にも関わらずミールを追いかけ回し、俺をイライラさせているだけの元気なニートだという認識を改めなくては!


 と思うが、最近は幽霊用の風呂を所望してくるフェルミナに、少しは遠慮と言う物を覚えて貰いたいと思う元気だった。


「じゃから驚いたのだ、ここでのフェルミナは元気そのものじゃからの……其方のお陰なんじゃろうな、恩に着るぞ」


「いえいえ、そんなことはない……事も無いですね……ちょっと元気すぎるので少し控えるように言ってもらってもいいですか?」


「フォッフォッフォッフォ!元気すぎるか……フォッフォッフォッフォ!」


「毎日寝不足の俺は笑え無いんだけど。……そういえばこの子どうすれば良いの?じいさんの子供だよな?」


「そうじゃな、エルフは森の魔力の化身じゃからの、子供と言われれば子供であるが、基本的にほったらかしなので好きに育てるが良いぞ」


「え?ほったらかしって……そうなの?」


「そうなの?ってそうじゃろ~。儂、樹じゃん?人間と違ってエルフは水と魔力があれば生きていける魔力生命体なんじゃ。勝手に育つ」


「……放任過ぎる……。それに魔力生命体って何?動く魔石みたいなもの?エルフって危険物じゃん……」


「危険物……まぁそうじゃな。あの姿のままでは何も無いが、魔石になるとエルフ一体で国が一つ吹き飛ぶ。じゃから強力な魔石にしようとこの前みたいに人間が狙って来るんじゃよ」


「それ、ヤバくないか?裏の森が天然火薬庫になってる気がするんだが?」


「まぁ、魔石にならなければ大丈夫じゃよ」


 「森へ人間が侵入出来ないように、後で結界を張っておこう。動くダイナマイト集団が家の裏で大爆発したらたまらん」


「フォッフォッフォッフォ!まぁ、巻き込まれたくなかったら命を掛けて護るしかないのぉ……」


「じいさんアンタ良い性格してるな……」


「フォッフォ、お主には負けるわい」


 元気はユグドリアスに、エルフの統率はしっかり取ってくれよ。と伝えて庭を後にした。


 玄関前の広場ではフェルミナがミールを捕まえて遊んでいた。


「げ、元気~!た、助けて~!」


「おい!ミール!人に助けを求めるとは情けないぞ!そんなんだから、貴様は色欲に負けてしまうのだ!」


「うぎぎぎぎぎぎぃ」


 ミールが聞いたこともない悲鳴を上げている。


「お前ら~ご飯までには帰ってきなさいよ」


「おう!わかった!!!」


「ぎぃぃ!」


 元気はフェルミナの生き生きしている姿をみて暖かい気持ちが湧き上がってくる。


 「過去に何があったとしても、今、楽しければいいじゃないか……」


「あ~、う~?」


 ポタンがタイミング良く喋る。


「お~ポタンもそうおもいまちゅか~?ポタンは賢いでちゅね~」


 おでことおでこをくっつけて、優しくスリスリすると、キャッキャとポタンが笑う。


 元気の護りたい物がまた増えた。


 元の世界に居たときには無かった感情、気持ちが毎日溢れて来る。この世界では飾らない自分でいられるのだ。


「ポタンは何が好きかな~……今日は……フェルミナの好きなコロッケにしてやろうかな?」


「あ~い」


「そっかそっか~。ポタンもそう思うか~。良い子だな~」


 そう言いながら家に入り、晩御飯を用意する元気。今日は皆、どんな顔で食べてくれるだろう?そう考えるだけで自然に笑みがこぼれる。


「私は肉が良いんだが」


「あ、そう……」


そして、二度とフェルミナには優しくしないでおこう。と心に誓う元気なのだった。

フェルミナが神様っぽくない理由がわかりましたねw

神殺し、、、、、、どうやったかは後々。

ミールが何かちょっと良いキャラになりそうな予感ですw

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