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新たなアウトゾーンへ

オカンは強いんや

 

 吹き飛ばした兵士と、気絶させた兵士を通路に運び、昇降路からの通路を鉄の壁で封鎖する元気。ここからが本当のお仕事開始だ。


「これで良し……っと……。次は……」


 シャーリーとシャリの元へ戻ると元気は、シャーリーの身体の治療を始める。


「げ、元気さん……。何を……」


「フフフ……。いいから見ていなさい……。あ……そうだ……」


 元気はシャツと短パンの上に白衣をまとう。気分は正義の闇医者だ。


 不安げに見つめるシャリ。そんなシャリの前で元気はシャーリーの古傷を癒して行く。先程蹴られた時の怪我の治療はまだ出来ない。傷を洗う綺麗な水が必要なのだ。


「こ、これは……。声が……目が……。足が……どうして……」


 回復して行く自分の身体に驚くシャーリー。そんなシャーリーに小生意気にほくそ笑む元気。


「フフフ……。私に治せない病気は無いの……ひゃあ……。ちょ……ちょっと……。ぽよんぽよん……」


「あ、ありがとう御座います!ありがとう御座います!」


 シャーリーは古傷が治ると、元気に勢い良く抱きつき泣き出してしまった。


 痩せ細ってはいるが、スッポンポンのシャーリー。そして結構な大きさなのだ。完全回復したらダイナマイトなバディーなのは間違い無い。


「わ、解った……。解りましたから……離れて下さい……シャリが見てま……ひゃ!」


「げ、元気さん!凄い!ありがとう!」


 シャリもシャーリーと一緒に、元気に抱きつく、身体の前にはシャーリー。横からは顔に顔を寄せて来て元気をギュッとするシャリだ。


「三足す三は六……六足す六は十二……。十二掛ける六は……。……六は……」


 膨よかなおっぱいとプニプニの童女のほっぺに固まる元気。苦手な暗算で子元気が固まらない様に頑張る。


「お、お兄ちゃん……。お医者様なの……?」


「え……ふぁい……。今はそんな者です……」


 背後から声を掛けられ、お医者気分のままだった元気は、医者を語る。元気が振り返ると七歳位のサハギンの男の子がスッポンポンで立っている。この子もガリガリだ。


「あ、あの……僕のママが……。昨日から……動かないんです……。見て貰えませんか……」


 一気に身体の熱が引いて行く元気。シャリとシャーリーもそれを聞いて元気から離れる。


「シャリにシャーリーさん、ここって水あるのかな?綺麗な傷を洗える様なやつ……」


「アウトゾーンの端っこに……。綺麗な海水が染み出している所があります……。それ以外には……」


「上の階層に行けばあるけど……」


「そっか……。なら……」


 元気はテントから出ると、テントの前に巨大な浴槽を出す。そしてそこに綺麗な水とお風呂セットを準備した。


「凄い……」


「シャリとシャーリーさんはそれで、身体を綺麗にして下さい。多分……俺一人じゃ……手が足りないと思うから……。さぁ、お母さんの所に連れて行って……」


 驚くシャーリーとシャリを背に、少年と一緒に歩き出す元気。テントの前に着くとその光景に再度唖然とする。もの凄い腐敗臭がするのだ。


 少年の母親はかろうじて息をしているが、意識が無く声を掛けても反応が無い。傷の所々が壊死し、腐っている。……そしてその隣には……。小さな人骨……。


「……これは?」


「僕の……。弟……。ママもそうなっちゃうの?」


 小さく震えながらそう言う少年を元気は抱き締める。


「ならない……。大丈夫だから……」


 この女性もやはり足が無く、目も無い。足や腕の傷が赤黒くなり、紫色になっている場所からは、キツイ臭いの体液が垂れている。壊死した部分を取り除いて等と、ドラマや漫画とかで見た事があるが、元気にはどうすればいいか解らない。なので、腐った部分ごと再生。医学を馬鹿にした行為だが、素人の元気には関係無い。人命優先だ。


「良し……。呼吸も安定した……これを……お母さんに飲ませて、君もこれを食べるんだ……」


 少年に母親様のスポーツドリンクと、高カロリーのあのお菓子を渡す。


「あ、ありがとう!お医者様!」


「お、おん……。どういたしまして……」


 笑顔で喜ぶ少年に、ドキマギする元気。面と向かってお礼を言われるのが恥ずかしい。そして、元気はテントの外へ出てビックリ、テントの周りを魚人に囲まれていた。


 殆どがガリガリの子供達。ここで、一体どう言う事だ!?等と言う程元気もお馬鹿では無い。元気の心は今、燃えているのだ。


「ただ、純粋に恋愛をしただけなのに、この仕打ちは許せない……。お国の事なんか知るか……。俺が……絶対に何とかする……」


 とか思っちゃたけど……。ポタンにすんごい怒られるんだろうな……。そう思いながら、元気は各テントを周り傷を癒して行った。


 総勢三十八名。子供を合わせると百人近い魚人が洞穴の中には暮らしていた。


 既に死んでいる者もいたが……。子供のいる者は蘇生し、子供諸共死んで姿形が既に無い者は埋葬する事にした。


 可哀想だが、一線を引かなければきりが無いのだ。


 それが終わったら今度は、衛生面だ。


 各所にお風呂を造り、皆に身を清めて貰う。テントも一新し綺麗な布団を準備した。


「ドクター!終わりました!」


「うむ!ご苦労!……じゃあ次は……」


 お風呂が終わった魚人達が元気の手伝いを終え報告に来る。洞穴の中はすっかり綺麗になり。女子供だけの元気パラダイスへと変貌を遂げたのだった。


 似非エセドクター元気は、綺麗になった洞穴の中を見渡し満足すると、中央のキャンプファイヤーの前で食事の準備を開始した。


「あ、あの……。ドクター様……私達もお手伝いを……」


 シャーリーが魚人の女性を率いて元気の元へやって来た。


「あ……。は、はい……。お願いしゃっす……」


 人魚達は普段。貝殻の水着らしいのだが洞穴の中がそんな女性でいっぱいなのは、小心者の元気には無理だった。


 なので、ビキニタイプの水着で我慢して貰ったのだが、それでも刺激が強い。海で泳ぐのが日課な人魚達である。健康的な肉体に整った顔つき、そして何故か全員がボンキュッボン。おっぱいとお尻が大きくムッチムチなのだ。


 元気が夢見たアトランティスパラダイス。それが目の前に広がっている。そして一番困るのが距離が近いし、ボディタッチが凄い。


「ドクター様上手ね~……男の子なのに偉いわ~」


 おにぎりを握る元気のほっぺをプニプニして来る。カルエラさん。褐色肌のロングウェーブ。何だか良い匂いがする。


「あ、そうですかね……へへへ」


「ああ~ん!もう!また取れちゃったわ!ドクター様~これ着けて~」


 金髪ショートのヒトリアさん。またまた紐ビキニの紐を解いてしまった様で、ビキニブラ片手にブルンブルンと元気に駆け寄って来る。


「あぁ!お米の付いた手で紐を触っちゃ駄目だってヒトリアさん……まったく……。ほら、後を向いて……」


「え?前からで良いわよ?ドクター様のお顔が見えないじゃ無い?」


「そ、そう……?」


 ヒトリアがそう言うので、元気はおっぱいを目の前にしながら、ヒトリアのブラを着付けてあげる。


「やぁん!ありがとう!ドクター様!」


 ヒトリアがお礼を言いながら、元気を抱き締める。そうすると元気のお顔は自然と肉塊の海へと沈んでしまう。彼女も素敵な香がする。


「ぶるふん……。ど、どういたしまして……」


「ちょっと、ヒトリア!ドクター様の邪魔をしないの!子供達のが食事を待ってるでしょ!」


 そう言って元気の腕を胸に沈めるのは、ヤールさん。紫色ショートの切れ目美女。先程の少年の母親だ。


「は~い。フフフ……また後で色々とお話ししましょうね……ドクター……。お礼もしなくちゃ……」


 優しく元気に微笑む。ヒトリア。唇を怪しく舐めるその仕草には何か意味があるのだろうか……?と元気はドキッとしてしまう。


「まったく……。騒がしくしてごめんなさいね……」


「あ、いえ……。あの……腕を……」


「あ!……ご、ごめんなさい……。私ったら……」


「い、いえ……」


 赤くなりモジモジするヤール。その大人の女性の可愛い仕草に元気の鼻の穴が膨らむ。色気が半端じゃ無いのだ。


「げ、元気さんは……。や、やっぱり……大人の女の人が……好きなの?」


 おにぎりを握りながら隣で元気を見上げるシャリ。ほんのり頰が赤らんでいる。


「そ、そんな事は……無いよ?」


「本当?」


「あぁ……。本当さ」


「フフフ……。そう……」


 嬉しそうに微笑むシャリを見て元気も嬉しくなる。


「で、でも……。あれよね?大人の女も好きでしょう?ドクター?」


 現在人魚に囲まれておにぎりを握っている元気は、ヤールの発言により一斉に注目を集める。


「も、勿論ですよ……」


「フフフ……そうよね?」「やっぱりそうよね?」「良かった~」「この後いっぱいお話ししましょうね~ドクター……」


 草食獣の元気。草食獣とは本来。危機管理能力が発達しているのだが、日本と言う温室で育った元気にはそれが無い。


 そして、自然界で荒波にもまれたマザー人魚達。死に目に会いながら、子供を守る為に孤独と不安と必死に戦って来た。


 そんな彼女達の目の前に、自分と子供の窮地を救ってくれ。安定と供給をもたらそうとする汚れの無い一匹の優しいおすが現れたのだ。


 汚い等と言っている場合では無い。子供と自分の運命が元気に掛かっている。どうにかしてでも物にしなくてはなら無い。信じられる物は我が身一つなのだ。


「そ、そう言えばヤールさんって……昔……良く浮気してたわよね……?」


 おっぱいで先制攻撃を仕掛けたヒトリアが、ヤールにデバフ攻撃を仕掛ける。先手必勝だ。


「な、何を言い出すのヒトリアさん?……貴方だって……昔男の人にビンタして……」


 デバフ攻撃をカウンターされ焦るヒトリア。そこに他の人魚から援護射撃が入る。先手を取るのを失敗し窮地に陥ってしまった。


「あ!それ……私も聞いたわ!……酷いわよね!……ねぇ?ドクター?」


 ラストジャッジは元気である。人魚達が一斉に元気の発言に注目する。


「え?……う~ん……。ヒトリアさんはいい人だし……。女の人にビンタされる男の方が悪いんじゃ無いかな?……ほら、シャリお手々にお水つけて……」


 一斉にヒトリア以外の人魚達が顔を顰める。


「そ、そうよね!酷い男だったの!……私。悪い事はしないのよ?偉いでしょう?ドクター?」


 ヒトリアは子供の面倒見が良い元気を見ながら、机の下でガッツポーズする。そして足早に元気に近づきおっぱいを押し付けながら抱き付いた。


「え、偉いと思う……思うから……。ちょ、ちょっと……。離れてヒトリアさん……。お、おにぎりが……」


 背中に当たるふくよかな二つのおにぎりに赤面しながら、優しくおにぎりをにぎにぎする元気。


 ヒトリアは、おっぱいアピールをしながら周りの人魚達を睨み回す。それに顔をしかめる他の人魚達。そんなカオスな空気にシャリは息を呑む。シャリが初めて目にした大人達の本気だった。


『食事に住処……。子供の面倒まで……。……この男は絶対に渡さないわ……』


 マザー人魚達の間で火花が散る中。肉食系女子の檻の中に居る事に気付かない草食系男子の元気。


 そんな元気は「私だって、負けないんだから……」と心に決める。小さな肉食獣系童女と、楽しくおにぎりを握るのだった。

えっと。人妻パラダイスの誕生です。


今までの登場人物は生娘が多かったですが、ちょっとの間、美しく逞しい女性達を御観覧下さいw



少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。


下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw



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