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復讐者

王座の間での様子です。

 一体我が城で何が起きておるのだ……。たくましいガッチリとした体躯に、轟々とした黒い髭を生やしたトリトン王は、城で起きている謎の自体に頭を抱えていた。


「王様!ご報告申し上げます!地下牢からトリトル様達のが消えました!……代わりにもの凄い勢いで、変な服を来たエルフがこちらへ向かっております!」


 色とりどりの貝殻が壁一面に敷き詰められた広い王座の間で、王座に座るトリトン。そんなトリトンに大きな扉から続く、大きく長い赤い絨毯の上で頭を下げる魚人の兵士。


「な!何だと!?トリトルが消えただと!?それに変なエルフとは何だ!?」


 勢い良く立ち上がるトリトン。天井からぶら下がったシャンデリアが、揺れそうな勢いだ。


「え?……。ドラグリア様にお知らせしたハズですが……」


「ドラグリアだと……どういう事だ……」


 トリトンは隣に座るドラグリアに声を掛ける。ローレライが死んでから暫く後にアトランティスに現れた女。ドラグリア。


 細長いまぶたの上には長い睫毛まつげが乗っかり、大きな唇には真っ赤な口紅。そんな強く美しい顔立ちを高い鼻がビシッと整えている。アトランティス中の男魚人が見蕩れてしまう程の絶世の美女だ。


「あら……。お伝えしておりませんでしたかしら……?色々と起こってるようですよ?」


 ニコリと微笑むドラグリアにトリトンは、溜息を吐く、ドラグリアはどうもおっとりし過ぎでは無いのか……トリトンはそう思うのだ。


 ドラグリアはローレライが死んでから暫くして現れ、失意の底で落ち込んでいたトリトンを励ましてくれた女性。人魚では無いが、魔族だ。


 ローレライと一緒で、時々城を離れてフラッと何処かに行ってしまう、トリトンは心配になるが、彼女の秘めている魔力はトリトン以上。魔力の違いに気が付かないトリトンでは無い。しかし女性だ心配にもなる。二度と妻を失う訳にはいかないのだ。


「王様!……聞いておられますか?」


「あ、あぁ……すまん……何だったか?」


「現在。三階層のクラケン様と交戦中です。四階層ではノコギリ様が待機中です!もしもの場合があります……王様はお隠れになる準備を……」


「……いい。何者かは知らんが……。ここまで来たならば私が相手をしよう……」


「な、何をおっしゃるのですか王様!?」


「そのエルフは俺に何か用事があるのだろう?……話を聞いてからでも遅くは無いだろう?……それよりも、トリトルの行方を捜すのだ!そちらを優先させろ!」


「は!解りました!」


 兵士が駆け出し扉から出て行くと、ドラグリアにトリトンが怒鳴る。


「だから俺は嫌だと言ったのだ!……トリトルを牢に入れるなど!」


「あら……。私ばかりのせいでは無いでしょ?トリトン……。貴方がトリトルを甘やかしたから……。ローレライが死んでからトリトルをほったらかしにしていたからでしょう?……それを私のせいにするなんて……。酷いわ……」


 そう言うと真っ赤なドレスの裾で顔を覆うドラグリア。


「す、すまぬドラグリア……。泣かないでくれ……責めるつもりで言ったのでは無いのだ」


 そんなドラグリアを見て、ローレライとは違い良く泣く女だ。とトリトンは思う。女の泣き姿が苦手なトリトンはどう慰めた物か。と毎回困ってしまうのだ。


 そんなトリトンを見てドラグリアは思う。この男は……。本当の馬鹿者では無いだろうか?と……。


 ある人物を捜していたドラグリアは、先にある目的を果たそうとこの国を訪れた。


 そして、たまたま失意の底にいたトリトンに優しい言葉を掛けただけだ。


 後は勝手にトリトンが惚れ、あれよあれよと求婚。人捜しの拠点に丁度良く、ドラグリアの標的だったアトランティスの王座が手に入るのだ。勿論ドラグリアは結婚に快く承諾した。


 家賃代わりに身体も許した。だがトリトンにもトリトルにもこの国にも愛情は無い。ドラグリアの目的はただ一つ。あの憎き小娘に復讐を遂げる事だ。


 一年程前にその小娘を見つけ、殺そうとしたが……失敗してしまった。


「ドラグリア……どうしたのだ?身体が震えておるぞ?」


「……ちょっとお部屋に戻っておりますわね……」


 ドラグリアはトリトンにそう言うと王座を立ち、心配そうにするトリトンを背後にしながら、王座の後にある寝室へと戻る。


「これが震えずにいられる物か……。……復讐をする相手が、私の元に揃うのだから……。こんなに嬉しい事は無いでしょう……」


 ドラグリアの胸の内は現在。喜びで打ち震えている。自然と赤い唇の端が上がって行く。


「私の一番目の子供の命を奪った魚人達……。ジワジワとおとしめていたけれど……もういいわ……。国ごと消滅させる……。フフフ……。良い機会だものね……。私の二番目の子供を奪った憎き小娘がすぐそこまで来ているのだから……。一緒に消してしまいましょう……。今度こそ殺す……。次は失敗しない……。フェルミナと言ったか……。愛しい娘の仇は必ず……」


 怒りと興奮で瞳が真っ赤になり。角が生えるドラグリア。


「……イケないわね……落ち着きましょう……」


 天蓋ベッドに座り深呼吸をするドラグリア。


「前世でも子供を失い……。この世界でも子供を失い……。魔物になってまでも子供を失った……。糞みたいな世界だと思っていたけれど……この魔物化システムってのは良いわね……。フェルミナを殺したら次はこの国を消滅させて……そして次はこの世界よ……。私の苦しみを全世界中の生きとし生ける者へ……プレゼントしてあげる……。愛する者を失う絶望を……」


 そこまで考えると心が跳ね踊り。思わず声を出して笑ってしまう。黒竜ドラグリアなのであった。

何処かで出すつもりでしたが、ここで黒竜登場です(*^_^*)


黒竜は元気に撃退されましたが、魔石にはなっていませんでしたね。


黒竜は魔物なった異世界転生者。アリアナもほったらかしておいたら、こうなっていました。


次回は、本当に救済開始のお話しですw



少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。


下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw



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