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城内探索

城内探索しながら王座を目指す元気だったが。

 

 階段を上りきった元気は辺りを見渡した。


 高い天井にぶら下がったシャンデリアに設置されたこぶし程の石が光を放ち。赤い絨毯の引かれた広い城の廊下を照らしている。その廊下は左側に曲がりながら先へ先へと続いていた。


 横に逸れる場所も隠れる場所も無い一本道。城の廊下の右側には大きな窓が等間隔に並んでおり。左側には木の扉が並んでいる。ゆっくりと登り坂になっている様子で、進みきった先が王室なのだろうか?と元気は思う。


 そして移動しながら窓の外を見やると、遠くに透明で虹色に輝く壁が見える。どうやらアトランティスと言う国は、シャボン玉の様な物に包まれた国で、目下に見える町並みは白い石造りの建物が多い。旅行のパンフレットで見たギリシャのエーゲ海の町並みに近い。


 海底なので街並みの風景は薄暗いが、それを青白い雪みたいな物がふわふわと浮き照らしていて、幻想的な風景を生み出している。


「武力の国じゃ無くて……。芸術の国じゃ無いのか……?……グレイスさんとかこんな街並み好きそうだな……」


 ステルスモードの元気は緊張感無く、アトランティス観光の気分だ。


 暫く道なりに廊下を進むと、廊下の突き当たりに大きな扉が現れた。


「ここが……最終地点なのか?」


 牢屋からまだ二百メートル程。しかし他には道は無い。廊下の右側の部屋を何室か拝見したが、生活スペースの部屋があっただけだった。


 元気はそっと扉を開けると中を覗いて見る事にした。


「うわぁ……。やばいな……フェルミナ……。先に送り返しておくべきだった……」


 部屋の中には広い舞踏場の様な空間なのだが、その中のあちらこちらにサハギンと思われる武漢服を纏った戦士達が横たわっていた。


 元気はその男達に近づき、生死の確認をする。息はあるようで気を失っているだけの様子だ。


「とりあえず、一端このままにしておいて、後で回復しよう……。追ってこられても困るからな……」


 舞踏場の奥の階段を登り、扉を開くとまた先程の様な廊下だった。


 そしてそこを進むとまた大きな扉で、中を覗くと同じ様に男達が倒れた舞踏場があった。


「……。なんだっけこれ……。上に行けば行く程強い人達がいるやつ……。……こう言うのフェルミナ好きそうだなぁ……」


 舞踏場を抜けて更に階上を目指す元気。一体何部屋あるのだろうか?そう思っていた時だった。


 左側の扉の一室から声が聞こえて来た。


「聞いたか?牢屋の中の姫達が逃げ出したらしいぞ?」


「そうか……。良かった……。一体王は何を考えているのか……。自分の娘を処刑するなど……」


「おい!お前ら!王の行いを非難するのか!?」


「いや……。そう言う訳じゃないが……。お前は正しいと思うのか?」


「……。王が決めた事だ……。良いも悪いも無い……。無駄話は終わりだ!脱走者が三階層で暴れている我々も行くぞ!」


「そうだな……。我々サハギンは……ここで暮らせるだけでも運が良い……。王の役に立たなければ……」


 男達の話しが終わり。動く気配を察知した元気は急いで扉から離れ、窓側のカーテンの裏に隠れる。しかし、待てど暮らせど男達が出て来る気配が無い。


「……どういう事?」


 元気は再度声のしていた扉に耳を当て中の様子を探る。するとさっきとは打って変わって、人の気配も物音もしない。元気は恐る恐る中を覗いて見る事にした。


 部屋の中は兵士達の詰め所の様だった。


 壁には武具が立て掛けてある。魚人の武器は槍や棒の様な長い物が多い様だ。


「成る程……。住む場所や世界が違えど、最初に学んだ物によって、暮らしや生活ってのは似てくる物なのかな……。フフフ……実に興味深い……」


 とある数学者に成り切る元気。元気は空想的考察が大好きだが。流れてくる数式は足し算かけ算だ。割り算から既に怪しい。


「だ、誰!?」


「ひぇ!?」


 ここで、む!?何ヤツ!等と反応出来ないのが元気である。声をした入り口の方を見ると、赤いチャイナドレスに似た衣裳を着た童女が立っていた。


 黒い長い髪に青い瞳。大きなヒレ耳。青白い肌で魚人と直ぐに解った。


 人魚とは、みんな美人なのだろうか?と元気は思う。大きな瞳と小さなお鼻と唇がとても愛くるしい。日本人形の様な顔立ちだ。


 部屋の中を見て、見えない元気に怯えている様だ。


 小さなレディを怖がらせてはイケない!元気は瞬時にそう思い。出来るだけ怖がらせ無い様に姿を見せる事にした。


 可愛い童女相手に、潜伏し続けると言う選択は元気には無い。楽しくお話ししたいのだ。


「呼ばれて無いのに、ジャジャジャジャーン!ハハハハハ~!不思議なお兄さん登場だよ~!」


 とびきりの笑顔でコミカルに姿を現す元気。両手を顔の横で広げて腰をくの字に曲げ。子供は皆大好き人気ネズミのポーズだ。


「ひえぇぇぇ……!?」


 悲鳴を上げて卒倒しそうになる童女。


「あ!危ない!?」


 元気は間一髪、瞬足の動きで童女の頭を地面から守る事に成功した。


「あ、あなたは……。脱走者……。丘の上の悪い人なのですか?……わ、私を食べても美味しくないです……」


「いや、絶対美味しいでしょ……」


 こんなに可愛い子が、マズい訳が無い。そう思う元気。


「ひえぇ!た、食べないで下さい……」


「う、ウソウソ!食べない食べない……。ほら、クッキーお食べ……」


「く、クッキー……?」


 元気は、涙目でガクブルする童女にクッキーを出して見せる。泣いている子供にはクッキー。元気が異世界生活で学んだ数少ない持論だ。


「い、良い匂い……。これ……。わ、私……サハギンですけど……。貰っていいの?」


「……勿論だよ。まだいっぱいあるよう?ほ~ら」


 パッと手にクッキーを出すクッキーモンスター元気。そんなモンスターの術中にハマり笑顔になる童女。


 不審者の出現で卒倒しそうになり、地面に頭を打ち付ける事からは逃れられた童女だったが、鼻の下が伸びたクッキーモンスターに捕まってしまった。


 そんなクッキーモンスターは、兵士の部屋でお茶を準備を始め。ニッコニコウフフな異国間交流を始める事にしたのだった。

とある部屋で童女と出会った元気。元気は元気でフェルミナとは違うやらかしをしますw


次回は異国間交流。



少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。


下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw



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